The Queen’s Gambit2026/03/14 19:35

 お察しの通り、野球を見るために NETFLIX の契約をせざるを得なくなっている。F1 に関しては有料チャンネルで見ることにすっかり慣れてしまったが、野球となるとちょっとびっくりする。もっとも人気のあるスポーツでこの試みはどうだろうか。
 ただ野球をみるだけでは悔しいので、1ヶ月のうちに見たいものは見ておくことにする。
 そのうちの一つが、アメリカの NETFLIX オリジナルドラマ、「クイーンズ・ギャンビット」だ。1960年代を舞台に、孤児でありながらもチェスに天才的な力を発揮しするベス・ハーモンを主人公とする小説が原作だ。



 1960年代が舞台なので、当時はやった曲も登場した。キンクスが一曲あった以外は、それほど私の好み寄りではなかったが。
 高校で孤立していたベスが、チェスで名を挙げたために女の子グループのパーティに招待されたシーンで、テレビから流れるやや安っぽいポップスに、女の子たちが夢中になるのに対して、ベスが興ざめして立ち去るシーンが印象的だった。
 The Voguesが1965年にヒットさせた、”You’re the One” がその時の曲だ。




 もともとは、UKのポップ歌手ペトュラ・クラークの曲だそうだ。ペトュラ・クラークというと、モンティ・パイソンのスケッチによく出てくる、押しも押されぬ大スターだが、ポップスの域を出ず、ロックというわけではない。それでも当時UKの勢いはポップスの世界でもすごかったことがよく分かる。
 動画を探したら、60年代名物、脈絡なく背後でお姉さんたちがやたらと踊っていたので、嬉しくなってしまった。



 ドラマはというと、評判通り面白かった。ベスがその天才性を発揮するチェスのイメージ ― 架空のチェス盤にでコマが動く様子などはうまく表現できている。
 俳優としては、ベス役女優さんがとても素敵で良かった。着ている服もどれも素晴らしい。ジンジャーもよく似合っている。ベスと全米チャンピオンを競うベニーの役者さんは、「ラブ・アクチュアリー」のドラム少年だった。
 難を言えば、60年代で「精神安定剤」という緑の薬に加えて大酒飲みときたら、もっとどぎついドラッグも身近だったのではないかという疑問点だろうか。ベスを手助けするハリーはもっと素敵な容姿でも良いと思うが…まぁ、最初の印象が悪い人なので、わざとなのか。
 東西冷戦とチェスと言えば、ボビー・フィッシャーが現実の世界では有名なので、このドラマは彼が存在しない世界という設定なのかと思った。しかし、予告されているシーズン2によると、どうやらボビー・フィッシャーが登場するらしい。フィッシャーは60年代、一時的に活動せず、世に出ていなかったので、シーズン1はそのフィッシャー不在時代を描いたということにしたようだ。
 シーズン2で伝説の天才ボビー・フィッシャーと、ベスがどんな関わりになるのか、面白そうだ。ついでにどうしてベニーが全米チャンピオンなのに貧乏ぐらしをしているかの謎も解明してほしい。(ギャンブルがどうのこうのと言っていた気はするが…)
 そうすると、私は野球が終わっても NETFLIX を契約するのか?未定だ。

Con Te Partirò2026/02/23 19:43

 オリンピックが終わり、そして私が夜中の3時に起きてはぎゃあぎゃあ騒ぐ生活も終わった。ふぅ、やれやれ。

 今回の大会でもっとも印象的な場面の一つとなった、フィギュアスケートのペア。私はもちろんショート・プログラムを生で見ていたのだが、日本のエースペア、三浦・木原の例の大きなミスによる出遅れで、すっかり絶望してしまった。フリーを生で見るかどうか迷ったが、やがて女子が始まり、全て生で見ることを考えると、体力を温存したい。そういうわけで、フリーを見ずにオフィスに出勤してしまったのだ。ところがフィギュア仲間から「朝からアゲアゲだ!」というテキストが届く。その瞬間から、私は全ての情報を遮断して猛烈に仕事をし、4時にオフィスを飛び出して帰宅すると、後半2グループ8ペアの演技を録画で一気に見たのだった。
 そんなの、りくりゅうの演技だけを動画で見れば良いじゃないかと笑われたが、フィギュア・スケート・ファンはそうはいかない。彼らだけでなく、その前後も見ての流れを鑑賞しなければならないのだ。
 改めて言うまでもないが、木原と三浦は本当によくやった。ペア・カップル種目が苦手な日本において、奇跡的な大躍進を遂げた。思えば28年前、長野オリンピックでの、国辱モノの演技が嘘のようである。このままペアも競技人口を増やしていってほしい。

 アイス・ダンスも全て堪能。前半リズム・ダンスの規定テーマが、90年代エレクトロダンスミュージックだったのは、かなりきつかった。一組や二組は我慢できるが、全員となると、やっぱりきつい。その分、フリーダンスの充実ぶりが堪能できた。
 残念ながら、日本のアイスダンスは世代の谷間にはいってしまい、個人での出場がかなわなかった。しかし、高橋大輔がアイスダンスに転向したのを期に、アイスダンス気運は高まっている。これからが楽しみだ。私の理想は、シブタニ兄妹のキレのあるダンス。期待している。

 女子シングルは本当に素晴らしかった。男子とは対照的に、最終組はミスのすくない好演技が続いた。ペトロシアンが4回転トウループで転倒した以外に、転倒者がいなかったのだ。そのため、順位ごとの点差は極僅差で、どのスケーターも称賛に値する。
 三位の中井が、あのフリーの点数で銅メダルを取れたのは、ひとえに高難度ジャンプ3Aのおかげだろう。かなり安定感があるので、これからも伸びていってほしい。残念ながらメダルに届かなかった千葉も素晴らしかった。特にSPの出来は満点で、ドナ・サマー対決としては、千葉に軍配を上げたい。
 金と銀の差は本当に紙一重だった。コンビネーション・ジャンプの後半が抜けるという、ミスとしてはかなり大きなミスをした坂本だが、その他は他を圧倒 ー 特に演技構成点、スケーティングは抜きん出ていた。金メダルを取れなかったのは悔しいだろう。でも、彼女がこの8年間で成し遂げた功績は大きい。
 女子シングルは、ドーピングによって真っ平らな幼児体型の17歳か18歳の少女が4回転を飛びまくって勝つという、スポーツとしては非健康的な状況が続き、スケーティングの粗さや、振り付けのいい加減さ、技の出来栄えの軽視などが著しかった。
 それが世界情勢の変化とともに、変化を余儀なくされ、坂本やアリッサ・リウ、アンバー・グレンといった、「アスリートとして鍛えられ、引き締まった、でも人間として普通の」体型のスケーターが、技とスケーティングの完成度で切磋琢磨するようになった。今回のオリンピックがその頂点にあるのだと思う。
 今季で引退する坂本が選んだ曲 “Con Te Partirò” が歌うように、これからまた新たな旅が始まる。それが中井や、島田などが挑む3Aや四回転の世界だ。坂本花織という一時代を代表するスケーターが実現した、完成度の高い美しいスケーティングが、受け継がれつつ、ジャンプもまた難易度を高めていってほしいと、願ってやまない。

Hallelujah2026/02/07 19:45

r  いよいよ、冬季オリンピックが始まった。フィギュアスケート・ファンとしては最大の注目イベントである。もう昨日からテレビにかじりつき、ぎゃぁぎゃあ大騒ぎ。明日の早朝も起きてみるつもりだ。まだ団体戦なのにこんなに盛り上がってしまって、どうするつもりだろう…

 フィギュアスケートで使用される曲には流行りがある。浅田真央が強かった頃はショパンがよく使われていたし、ワンシーズンに日本人が「オペラ座の怪人」を三人も使ってしまい、「オペラ座問題」などと言われたものだ。ほかには、ベートーヴェンの「月光」や、ドビュッシーの「月の光」なども人気曲だ。
 前回のオリンピックあたりから、採用する人が多くなったのが、”Hallelujah” ー もちろんヘンデルではなく、レナード・コーエンの ”Hallelujah” である。もっとも、コーエンのオリジナルを使う人はいない。さすがに踊りにくいだろう。



 使われたのは、まずジェフ・バックリーのバージョンだった。切々として、シンプルで美しい。



 今シーズンも2人くらいはいると思うが、女声と男性コーラスだっと思う。男性コーラスはベルカントの大人数でやる、最近のスタイルで私の好みではないが。

 検索していて知ったのだが、なんと1988年のライブではディラン様がカバーしていた。わぁお、これは聴かねば。



 さすがはディラン様!素晴らしく格好良い。まさに絶唱だ。フィギュアスケートには使えないが、私の心に一番突き刺さるのは、結局ディラ様なのだった。

 さて、フィギュアスケートは、女子シングルの順位争いが熱くなるだろう。なにせ、団体の予選をやっただけでも、どの選手もしっかりピーキングをしてミスのない演技が連発されている。期待大。
 今シーズンのこれまでの戦いで、ほぼアリサ・リウ、アンバー・グレン、坂本花織のメダル争いと見られていたが、ロシアから戦争に対する中立表明で出場するアデリア・ペトロシャンの出場でわからなくなった。なんでも、トリプルアクセルと、三つの四回転が跳べる…らしい。まともに評価されれば金メダル候補だが、今のジャッジはジャンプの完成度とスケーティングの美しさに重きを置いているので、さぁどうなるか。
 この2週間、私は未明の観戦を何度も繰り返すことになる。選手と一緒に私も頑張るぞ…!

Father & Son2025/04/08 21:05

 トム・オデールというシンガーソングライターが好きなのだが、最近の作品はちょっと勢いがない。
 デビューから3作品続けて素晴らしいアルバムを発表したのだが、4枚目、5枚目はすっかり作風が変わってしまい、心配になるくらいだ。鬱々とした曲調が続いて、平坦で起伏がなく、パンチが利いていない。具合でも悪いのかと心配になったが、どうやらインタビューを見る限り、こどもを取り巻く問題に心痛めている様子。共感は大事だが、自分は大事にしてほしい。

 ライブはどうなんだろうと思って検索すると、去年の夏フェスに出演していた。元気そうで結構。トム・オデールって、ソングライティングの才能も好きだし、苦しそうな歌い方もトムさんに似ていて好きだし、そして顔立ちがセバスチャン・ベッテルに似ているところが大好きだ。サングラスをかけるとさらに似ていて、ニヤつきが止まらない。



 これだったらライブを見に行ってもいいなぁ…トムさん亡き今。そしてELOも見た今。海外まで見に行きたいアーチストは、ディラン様、ストーンズ…そういえばシスター・ヘイゼルって見たことがない。あとはマイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズ。そしてトム・オデールかもしれない。

 動画サイトを見ていたら、トム・オデールとキャット・スティーヴンス(ユスフ・イスラム)の共演があった。スティーヴンスのヒット曲 ”Father & Son” をデュエットしているものだ。
 オリジナルは、父親と息子のパートをスティーヴンスが歌い分ける曲だが、ここでは二人が最初のうち役割分担をしている。かといってずっとスティーヴンスが父親でオデールが息子かというと、そうでもなくてだんだん絡まっていく様子がさらに良い。



   もともと、トム・オデールのこの苦しそうで切なそうな雰囲気が好きなのだ。鬱情も、その構成要素のひとつで、今はそれが全面に出てくる時期なのかもしれない。彼のアルバムは聞き続けて、また威勢がよくて輝くような曲調を見せてくれるといいなと思う。

Hold on, I'm Comin'2025/02/26 20:05

 ひさしぶりに新宿に行ったので、ディスクユニオンを覗いてみた。まず、トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズのボックス,[Playback] がないかチェックし、次はケルティック・ミュージックをチェック。あまり収穫はなかったが、スウェーデンのフィドル・デュオと、Four Men and a Dog のベスト版を購入した。
 後者は存在を知らなかったのだが、なかなかの収穫だった。アイリッシュ・トラッドミュージックに、ロック、ポップ、ジャズ、ソウルなどを織り交ぜたバンドで、構成がうまい。特に、サム&デイヴの "Hold on, I'm comin'"のカバーが素晴らしかった。



 組み合わされているアイリッシュは、"Congress Reel" 素晴らしいコンビネーションで、とても気に入っている。
"Congress Reel" は何年か前に Poitin の演奏がすごく有名になり、私もティン・ホイッスルで挑んだものだ。



 "Hold on, I'm Comin'" はサム&デイヴによる1966年のソウルの名曲。バックを務めているのは Booker T.& the M.G's とのことで、さすがの上手さだ。



 この印象的なイントロはよく耳にするが、動画を見ていて感心したのが、ブルース・ブラザーズ・バンドのバージョン。かなり切れがあって早い。さすが BBB。これまた手練れの演奏だ。

Last Dance2024/12/09 19:56

 2024年のF1 GPが全戦終了。コンストラクターズ・チャンピオンにはマクラーレンが輝いた。ランド・ノリスの Pole to Win は圧巻で、来年のさらなる活躍を予感させるものだった。いまから来シーズンが楽しみだ。ただ、ランドは性格が良すぎるのが心配。あのセバスチャンだってアレコレやらかしている。gentle 過ぎると、F1 ワールド・チャンピオンにはなれない。それとも、あの良い性格のまま、ぶっちぎりで勝ち逃げてくれるか。それはそれで、私の心が穏やかで良いのだが。
 フェラーリの復活も今年を面白くしてくれた。二人のドライバーがどちらも脂ののった時期にきていたし、フェラーリ名物の不手際も最小限で、良かったと思う。
 レッド・ブルは前半に絶対的な強さを誇り、後半は強いのか弱いのかよく分からず、ドライバーによるのか、何かうまくマネージメントされていないのか、不思議な展開だった。こういうF1 の政治、経済、テクノロジーが現代の最高次元で駆使されつつも、びっくりするような失敗や悪循環があるようなところが好きだ。

 ルイス・ハミルトンは長年共に戦い、6度のワールド・チャンピオンとなった、メルセデスでの最後のレースとなった。特別なお別れセレモニーも許可されており、やはり格が違う。うっかり、引退でもするのかと勘違いしそうだが、来年はフェラーリ。サインツを押し出しての移籍だ。色々な意味でドキドキする。
 
 同じ週末に、フィギュアスケート・グランプリ・ファイナルが行われた。男子のフリーの録画を失敗するという凡ミス…!佐藤のフリー、見たいぞ!
 女子は、我が坂本花織が珍しく大舞台でミスり、男女ともアメリカが勝つという近年では珍しい展開になった。ジャンプはもちろんだが、調子の良い時に比べて、完成度がイマイチ。まぁ、坂本にも調子の悪いときはある。彼女が完璧な演技を揃えたとき、グレンがどんな点をたたき出すのか、二人の勝負が楽しみだ。グレンには 3Aというかなり確実性の強い必殺技があるが、演技構成的には坂本に劣る。世界選手権では良い勝負になるのではないだろうか。

 今回のGP ファイナルで目立ったのは、なんと言っても女子2位の千葉百音だろう。あのコーチのところの選手としては、例外的にけっこう好き。特に今年の SP は凄く良い ―― というか、今年のGPシリーズの選曲のなかで、一番良いのが、千葉のSP ドナ・サマーの "Last Dance" だ。
 調べてみると、1979年のヒット曲とのこと。いかにもこの時代の最先端ポップスで、特に後半にアップテンポになるところが格好良い。千葉はかなり頑張っているが、もっと!もっと弾けて良い!こういうのは、高橋大輔、鈴木明子、友野一希という、私のなかの「三大ダンサー」を見習って、ぶっ飛ぶくらい弾けなきゃ!
 日本選手権が楽しみだ。

Stories We Could Tell2024/11/10 19:54

 例のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式が YouTube にアップしている、"French TV" とやらの、"Stories We Could Teell" ――



 この演奏の初出はいつだろうか? [Playback] に収録されていたかどうかの記憶があいまい。ライブ音源にもこの曲はあるし、この "French TV" の断片も、いろいろなところで見る。
 やはり印象的なのは、スタンとトムさんの素晴らしいヴォーカル共演だろう。スタンがいかに優れたシンガーであり、トムさんにとって大事な存在だったことが分かる。
 そのトムさんとスタンをニコニコしながら見ているマイクも好きだ…

 この曲のオリジナルは、ジョン・セバスチャンがエヴァリー・ブラザーズに提供したものだそうで、ここではセバスチャンの演奏をきいてみる。



 トムさんたちよりもややのんびり気味で、美しさが際立つ。

 再びこの曲が私たちの胸を打ったのは、2022年である。マイクのダティ・ノブズのドラマーを臨時的にスタンが務めたとき、マイクとスタンがワンマイクで "Stories We Could Twll" を歌ったのだ。グダグダな演奏だが、ひどく感想的だった。

Besame Mucho2024/10/14 20:36

 ブライアン・エプスタインの伝記映画、"Midas Man" の予告を見ると、"Besame Mucho" が使われている。ビートルズのオリジナル曲は使われていない。
 うーん、見る限り Sgt. Pepper あたりまではストーリーに含まれているようなので、さすがにビートルズ・オリジナル曲を使わずに進行することは無理だと思うのだが … オリジナル曲無しで押し切ったらそれはそれで凄い。



 "Besame Mucho" というのは1930年代にメキシコで作曲されたスペイン語の曲だが、誰がオリジナルのかというと、Consuelo Velázquez という人らしい。しかし YouTube でオリジナルの音を探そうとすると、結構難しい。小野リサが真っ先にあがってきたりする。
 別にオリジナルにこだわることはないが、せめてスペイン語で歌っているのが聞きたいと思ったら、見た目からして絶対にメキシコのお方登場。



 どうしてこの曲をレコード・デビュー前のビートルズが得意ナンバーにしていたのかはよく分からないが、とにかくデッカ・オーディションではこの曲が演奏された。



 ビートルズの魅力が十二分に発揮されているかというと、やはりそうはいかないようだ。ジョージ・マーティンもこの曲はレコーディングで却下してしているし、ピート・ベストもビートルズに残ることは出来なかった。
 こちらは、たぶん90年代。アンソロジーの後で、ポールがメキシコのテレビ番組に出演したのかな?さすがに恥ずかしそうにしている。「やめてくれ~」という感じだ。

Heavy Trip2024/10/08 21:12

 2018年のフィンランド映画 [Heavy Trip ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!] を見た。Amazon Prime レンタル。500円なり。
 実ににひょんなきっかけだ。ブライアン・エプスタインの伝記映画が紆余曲折の末にやっと出来たらしく、YouTube で予告編を見ていたら、どうやら私が映画に興味があると判断されたらしい。その流れで[Heavy Trip] の続編のトレイラーが目に入り、なんだか面白そうなので、オリジナルを見たという次第。

 北欧メタルという言葉があるとおり、フィンランドにもヘヴィ・メタル(スラッシュ・メタル?デス・メタル?詳しくは知らない)バンドが結構あるそうだ。
 この映画の中心は、ある田舎町(村)の友達同士で組んだ素人メタルバンドが、いろいろ誤解や行き違いがあって、ノルウェーのメタル・フェスへの出演をもくろみ、突っ走るというストーリーである。トナカイ粉砕!



 この、最初は名前のない素人バンド、根が真面目で練習熱心なので、演奏そのものはけっこう上手い ―― と、思う。何せジャンルがジャンルなので、演奏するたびに大笑いしてしまうのだが(ごめんなさい)、とにかく腕は良いのだ。
 しかしフロントマンからして生真面目でシャイ。野望とはほど遠い、大人しい好青年なのだ。バンド仲間も、みんな好人物で真面目。穏やかで物静かで、真面目というフィンランド人の一つのイメージにぴったりきていた。でもメタル。
 初めて作ったオリジナルソングの出来が上々で、これならフェスに出られると思ったところから、メンバーは活動を活性化する…のだが、その方向性がすこしおかしい。
 一番好きだったのは、ベーシストのパシ。頭脳明晰で天才肌、冷静沈着で無表情、でも行動が突き抜けている(当然のようにキミ・ライコネンが思い浮かぶ…)。その徹底したところが、かえって可笑しくで最高だった。

 悪役としてイヤミなムード歌謡歌手(?)が出てくるのだが、ジュリアン・バラットにそっくりでツボにはまってしまった。演技もそっくり。
 さらに、ノルウェーの(一部の)国境警備隊が完全なるアホで、平和そのもの。警察や軍隊を巻き込んだ展開は、ブルース・ブラザーズをなぞる王道だ。
 
 妙なところで感心したのが、さすがフィンランド、教育水準が高いというところ。どんな職に就いていようが、どんなにチンピラだろうが、ある程度以下の年齢の人は、ごく自然に英語が話せる。ノルウェー人ともナンの不自由もなく、英語でコミュニケーションを取る。新作はドイツのフェスが舞台になるとのこと。ここでも英語能力が生きるだろう。

 メタル、フェス…というと、ドイツ語の高橋先生を思い出す。先生の感想を聞きたい。
 第二作を映画館で見るというのはさすがにないが、Amazon Prime で見られるようになったら、見るだろうな。

Sail Away2024/06/21 19:55

 マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜 [Vagabonds, Virgins & Misfits] の到着を待ってウキウキしていたのだが、いつまで経っても届かない。しまいにはアマゾンから、在庫切れのため8月10日到着予定などとひどいことを言われて、発狂している。
 いっそUSのアマゾンで買うか。MP3で二重に購入しても良いのだが、やはりあのCDを挿入して、ちゃんとしたオーディオから聴くとう手順を経たいのだ。
 我慢がいつまで続くやら。

 携帯音楽プレイヤーには、もう処分してしまった CD の楽曲もいくらか残っている。そいう曲の中で、ハリー・ニルソンの "Sail Away" に強い感銘を受けた。
 CDを確認してみると、どうやら彼のアルバムは全て処分してしまったようだ。大袈裟なオーケストレーションは好きではないが、ハリー・ニルソンの絶唱は賞賛に値する。



 オリジナルはランディ・ニューマンの作詞作曲。
 美しい音楽とはうらはらに、歌詞はかなりきつい。人類の愚行をその当事者になりきって歌い上げ、強烈に皮肉っている。なかなか思い切った試みで、ランディ・ニューマンの肝の太さ、詩人としての覚悟が分かる。
 ロック史でもっとも優れた楽曲の一つであるディランの "Like a Rolling Stone" も、けっして愛や夢、希望そういう明るく楽しいテーマではない。いわば人生の苦難を「当事者になってみてどうだ」という痛烈な皮肉をあれだけの名曲に乗せて歌い、叫んだのだから、改めてその凄さを思い知らされる。