Tomorrow Is a Long Time2024/04/07 19:26

 初めての春開催となった F1 日本GP も無事終了。角田くんが入賞して、めでたしめでたし。本当によかった。来日したご一行様も秋とはひと味違う ―― しかも幸運にも桜の満開と重なった、日本での開催を楽しんでくれたのではないだろうか。
 GPの週末が始まる前は、やたらと「あなたが読みそうな記事」に、セバスチャン・ベッテルのF1 復帰か、はたまたポルシェなのかと、そういう記事が上がってきて、いちいち「いやいや、それは無いから」と、自分を落ち着かせていた。
 困るのは、世の中には「エイプリルフールのネタ」としか思えないほど、突拍子も無いことが起きることだ。もっとも顕著な例は、「ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞」と、「高橋大輔のアイスダンス転向」。話題になっては「冗談」として扱われてきたのに、実現してしまうのだから世の中わからない。
 私にとっての、いまのところ実現しないであろうというネタは、「セバスチャンの現役復帰」、「坂本花織の4回転ループ」、「トラヴェリング・ウィルベリーズ再結成」の三つだ。

   最後の一つは、難しいが意外と不可能でも無いような気がする。そもそもウィルベリーズはオリジナルから一人欠けた状態でも二枚目のアルバムを制作しているのだ。
 ダニーがジョージの代理を務めるのはまずハードルが低いと思うし、トムさんの代役はマイクがつとめて全然不自然ではない状況になっている。そうなったらあとはジェフ・リンを引っ張り出すのはこれまたハードルが低く、最終的にはディラン様次第ということになる。
 そりゃあ無理だ ―― というのは当然だが、去年はディラン様とハートブレイカーズの共演という、とんでもないことが実現したことを忘れてはいけない。ウィルベリーズ再結成と言いつつ、私としてはハートブレイカーズ込みである。

 80年代のディラン様とハートブレイカーズ。"Tomorrow Is a Long Time" を演奏している珍しい動画を発見。これはほとんどベンモントとディラン様の二人だけ ―― マイクのナイスアシストあり ―― で成立した、しっとりとして美しいパフォーマンスだ。思わず息を詰めて聴き入り、終わるなり「素晴らしい!」と声を上げずにはいられなかった。

Lucille2024/03/22 21:48

 リトル・リチャードの映画が見たいのだが、なかなか都合の合う場所の、都合の合う時間に上映されていない。うかうかしていると見逃してしまう。

 リトル・リチャードの数ある名曲の中でも、"Lucille" は完全にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのバージョンですり込まれている。彼らのファンになったばかりの頃にフィルモアの音源をブートで聴いていたので、そのあまりの格好良さに、ほかのバージョンは、本家リトル・リチャードですら、かすんで聞こえたのだ。
 公式発売された [Live at Filmoe 1997] にも収録されているが、ここは1999年のライブ映像で見てみよう。



 何が良いって、他の誰よりも、TP&HBのバージョンがスローで、低音がどっしりした演奏であることと、ほぼ全てのヴォーカル・パートを、トムさんとハウイのツイン・ヴォーカルで聴かせてくれること。トムさんのリズムギターが常人で無いほど上手いこと。
 そして最初は手しか映らないベンモントの、ピアノのシュアな演奏がしびれる。簡単そうに見えて、ああいう連打は実はものすごくきついのだ。しかもテンポが抑えられて、重い演奏。手首にきそうだ。

 ほかにも色々なカバーを聴いてみたが、どれもピンとこない。TP&HBのカバーは、エヴァリー・ブラザーズのカバーとも言えるのだが、気の抜けた感は否めない。でも、エヴァリー・ブラザーズのファンであるトムさんのために、ご兄弟にお出ましいただく。聞いた話によると、トムさんの孫娘はトムさんの大好きなエヴァリー・ブラザーズにちなんで、エヴァリーちゃんだそうだ。

Even the Loser / Fermata2024/03/05 19:14

 今更感が半端ないのだが、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズに興味のある人は、ぜひとも Heartbreaker's Japan Party さんが毎月発行している、メールマガジン [Depot Street] を登録して読んで欲しい。1999年1月に発刊され、なんと今年26年目を迎え、最新号は Vol. 218 というのだからまさに偉業である。
 毎月楽しみにしているが、先月からさらに楽しみが増えた。"The Guitars:Tom Petty's Gear - Guitar Trivia” というコーナーが始まったのだ。その名の通りトムさんのギターを解説してくれる。もっとも、トムさんのギター、即ちマイクのギターだったりするし、トムさんのギターを語る人がマイクのギターを語らずには済まないと思う。

 1本目に紹介されているのが、Rickenbacker 625-12 Fireglo ―― "Damn the Torpedoes" のジャケットでトムさんが持っているギターと言えば一番分かりやすい。"So you want to be a rock 'n' roll star" のビデオで、マイクが弾いているのもこれだ。

 トムさんの早い晩年はあまりライブステージに登場しなかったが、最近はマイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズのライブの "Even the Losers" で使用されているとのこと。ワクワクしながらその動画をあさっていたら、面白い演奏にあたった。



 ドラマーがスティーヴ・フェローニなので、最近のノブズなのだが、なんとスティーヴが大間違いをしているのだ。ミドル・エイト明け、"God, it's such a drag when you're living in the past..." のところで、フェルマータ休止なのだが、スティーヴはいつもの通り勢いよくサビに飛び込んでしまったのだ。
 スティーヴも会場も大笑い。ややあって、おもむろにマイクがサビを歌い出すのも面白い。

 そもそも、ミドル・エイト明けをフェルマータ休止する様式は、トムさんの生前、"Even the Losers" をアコースティック・ヴァージョンで演奏する際、主に用いられていたようだ。



 マイクはエレクトリック・ヴァージョンでミドル・エイト明けをフェルマータ休止したため、スティーヴの混乱を呼んだ模様。
 素敵なギターを使って、イカしたノブズの曲と、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの名曲…ダーティ・ノブズのライブにも行きたくなった。マンハッタンのどこか行きやすい所でやってくれないかな…

 ちなみに、楽譜上で頻繁に目にするフェルマータだが、その音か休符を適度にのばす、たっぷり奏でるという指示である。ただし、fermata というイタリア語はもともと「停止」という意味。音大生の間では有名な話しだが、バス停も ”fermata"と言う。さらに、頭髪がフェルマータ記号のように残りつつ消滅している現象もまた、 "fermata" と言う。

Steve Ferrone of Tom Petty & the Heartbreakers - Full Interview2024/02/23 20:51

 Secret Chord というYouTube チャンネルに、スティーヴ・フェローニの長いインタビューがアップされている。
 中々興味深い内容だ。字幕も出せる。たぶん、Heartbeaker's Japan Party さんがメルマガで日本語訳を出してくれる…と思う。



 スティーヴはイングランド南部海辺の保養地としても有名なブライトンの出身。12歳の時、町にやってきたバンドのドラマーを見て、その手さばきを見よう見まねし始めたのが、ドラマーとしての出発点だったとのこと。
 エリック・クラプトンのバンドで活動していたときの話も興味深かった。エリックには、ロンドンのハーロドック・カフェでフィル・コリンズを介して出会ったとのこと。クラプトンは飲んだくれているか、しらふでいるか、とにかく行ったり来たりだったとか。でもスティーブもかなり飲んだくれていたのでそれなりの時代だったらしい。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがスタンと上手くいかなくなってドラマーを探しているときに、スタジオに呼ばれたスティーヴ。マイクとジョージのバックバンドで一緒になった以外は、トムのこともよく分からず、心ぼそかったところ、スタジオのガラスの向こうで、録音を聴いたトムさんとマイクが顔を見合わせるのを見て、「なに?!なに?!なんなの?!」とドギマギしてたら、トムさんがひとこと。「心配するな。あんたで決まり。」
 スタンのことはまだ未解決の時期だったが、スティーヴの希望としてはハートブレイカーズの一員になりたかった。結局、その通りになったというわけ。

 最近も時々エリックに会うけど、そのたびに彼は「また一緒にやろうよ」というけど何も起きない。
 ハートブレイカーズのスタンや、ストーンズのチャーリーのように、バンドにとってオリジナルのドラマーがいて、その後に座ることについて。オリジナルドラマーをコピーすることは出来ない。彼らの演奏は彼らの演奏。そして後釜の演奏は後釜自身の演奏。それは知った上で割り切るしかないとのこと。示唆に富んでいる。

 終始笑顔でにこやかなスティーヴ。また日本にも来て欲しい。

(Get Your Kicks On) Route 662024/02/16 20:15

 元同僚の友人が、仕事でオクラホマに行っている。
 オクラホマ!その響きだけで気分が上がる。出張先の最寄り都市はタルサで、そこから通うのだそうだ。カウボーイ・ブーツ買わなきゃ!

 オクラホマ州。アメリカ中南部、州都はオクラホマ・シティ。ナット・キング・コールによるジャズの名曲 "(Get Your Kicks On) Route 66" には、"And Oklahoma city is might pretty" と登場する。



 もちろん、私がこの曲を知っているのは、オリジナルのジャズではなく、ロックンロール・バージョンである。
 最初にこの曲をロックンロールにした最大の功労者は、チャック・ベリーである。まさにロックンロールの父、神。



 さらに、ザ・ローリング・ストーンズや、ゼムがカバーして大爆発させた。どちらも素晴らしいが、ここはゼムのバージョンを聴いてみたい。



 まぁ、そうはいってもやはり最高なのはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズである。私が最初に聴いたのは [Pack up the plantation: Live!] の演奏だと思う。
 そしてここに貼り付けるのは、デビューして間もないころの、ロックプラストでの演奏。注目するべきは、トムさんとマイクが揃ってフライング V を弾いているところだ。リッケンバッカー二本もやらかし感があるが、ダブル・フライング V はもっとやらかしている。たぶんバンドのロゴの関係で、デビュー当初はフライング V を前面に押し出す必要があったのだろう。
 そもそも、この二本のフライング V、トムさんとマイクの所有物なのだろうか。この二人のギターは時として所有者がよくわからない。共有というか、互いのギターは互いの物という感じ。一本はともかく、もう一本は現地での借り物かも知れない。

Rock 'Em Dead (Uranium Rock)2024/02/09 21:32

 自宅で仕事をしていると、好きな音楽が聴けて嬉しいシリーズ。
 最近、気になったのは、1986年ボブ・ディラン with トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "Rock 'Em Dead (Uranium Rock)" である。
 格好良すぎるロックンロールで、明らかにディラン様の曲ではない。
 まずハートブレイカーズを紹介。観客席に「やかましい」などと言いつつ、ゴキゲンなロックンロールが始まる。



 この突っ走りながらも決して崩れない演奏、手練れ揃いのハートブレイカーズならではである。
 やはりスタンのドラミングって大好きだ。元気で威勢が良くて、気分がすっきりする。ベンモントのキーボードも絶品だ。下手するとうるさいくらいの手数だが、けっして邪魔にはならず、疾走感を煽る。マイクのソロも含めたギターはもちろんのことだが、実はトムさんのリズムギターもすばらしい。トムさんはドラマーも務まるくらいリズム感が良く、しかもシュアーに刻むことが出来る。根が真面目で勤勉な性格も出ていると思う。
 この演奏、本当に格好良い。ディラン様、マイクに頼んでハートブレイカーズをバックにまた演奏してくれて良いのですよ。コーラスはマイクが(!)拝命しますので。

 "Rock 'Em Dead (Uranium Rock)" のオリジナルは、ロカビリーのウォーレン・スミス。ディラン様とハートブレイカーズの演奏を聴いてしまうと、びっくりするほど気が抜けているが、これが本来の姿だ。



 ディランはスミスの大ファンらしい。[Theme Time Radio Hour] でも数回取り上げているし、"Rock 'Em Dead (Uranium Rock)" 以外にもカバーしており、"Red Cadillac and a Black Moustache" などはアルバムにも収録している。
 カントリーやロカビリーなど、ロックンロールの源となった音楽はそれほど好きではないが、好きなロックスターがカバーするとその曲がたちまち好きになるのだから、ロックの魔力恐るべしである。

Love Is a Long Road2024/01/13 19:50

 Heartbreaker's Japan Party さんが発行しているメール・マガジンによると、有名なゲームのトレイラーにトム・ペティの "Love is a long road" が使用され、大いに話題になっているそうだ。
 実は先月のメールマガジンにその一報が載っていたのだが、私はゲーム門外漢のため、ちゃんと読んでいなかったようだ。今月のメルマガで再度報じられるに至り、やっとその盛り上がりを知ったという次第。

 ゲームにトレイラーなんてあるのかしら思いつつ、YouTubeでそのゲーム、[Grand Theft Auto Series] のトレイラーをみたら、なんだかびっくり。なかなかに大人向けのハードな内容の、クライム物らしい。
 ともあれ人気ゲームに採用されて事で、この曲を知らなかった人の間でも話題になっているとのこと。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式動画も、"Love is a long road" の歌詞つき公式動画(静止画だけど)をアップするに至っている。



 この曲は1987年のトムさん初のソロ・アルバム [Full Moon Fever] に収録され、シングルとしては、"Free Fallin'" のB面になった。曲作りはトムさんとマイクの共同作業で、マイク曰く自分が所有していたバイクがからインスパイアされたとのこと。ジム・ケルトナーがドラマ―を務め、トムさんとマイクで録音したものを、ジェフ・リンがすっきりさせて完成したのだという。

 この曲は長くトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ・ナンバーとしても親しまれた。観客もサビを一緒に歌いやすく、とても盛り上がる曲だ。
 ライブ動画はいくつもあるが、ここは発表時に近い1991年から。ハウイの美しい高音に、さらにベンモント、たぶんスコット・サーストンも加えたコーラスが印象的な名演だと思う。

擁護派?否定派?2023/11/19 21:37

 日本におけるトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのファン組織、Heartbreaker's Japan Party さんにはとてもお世話になっている。1年に2回ほど、ファンの皆さんと直接会えるオフ会も行われており、毎回楽しみにしている。

 先だってのオフ会で、自己紹介兼近況報告の折、ある人が「ジェフ・リン否定派、リック・ルービン派です」と言って、どっと笑いが起きた。
 私はその発言そのものがちょっと意外で、へぇと思った。そういう「派」があるのか。メンバーや作曲者じゃなくて、プロデューサーの好悪というわけだ。
 確かに、ビートルズのように録音期間が10年未満しかなく、そのほとんどをジョージ・マーティンがプロデューサーを務めていたバンドともなると、最後の最後にいきなり、しかもよりよってフィル・スペクターが手を突っ込んだとなると、好悪が分かれるだろう。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズおよび、トムさんの経歴がは長いので、色々な人がプロデュースをしたし、どのアルバムも名作だ。でも、人によってはジェフ・リンのプロデューシングが気に入らない人も居るそうだ。
 多重録音の多用や、録音の切り貼り、やや過剰なポップス性。確かにロックンロールとしては相容れない物があるかも知れない。

 しかし私の場合、トムさんのスタジオ録音作品で最初に聴いて心を奪われたのが "Free Fallin'" だったので、ジェフ・リン・プロデュースの3作品にまったく不満はないし、素晴らしいコラボレーションだったと思う。
 ジェフ・リンがプロデュースしたジョージの作品に慣れ親しんでいた一方で、ELOの曲はまったく聴いたことがなかったのが幸いしたのかも知れない。逆に ELO を先に知っていたらどうだろう?トム・ペティのプロデューサーとしては、「否定派」なるものになることも、可能性が無くもない。

 「否定派」とか「擁護派」とか言うのでは無く、ジェフ・リンもリック・ルービンも、トムさんの音楽履歴を飾ったプロデューサーだったに過ぎなく、トムさんとマイクの(ここ、重要。プロデューサーは、トムさんだけではなくマイクにも好かれることが重要)音楽の行く道は一筋 ―― まっすぐではないしろ、 ―― 続いていったのであり、決して途切れることは無かった。

The Killers2023/11/08 19:46

 トム・ペティ周辺というか、ウィルベリー兄弟周辺というか、とにかくその辺りがざわついているこの秋だが、9月のザ・キラーズのライブには、エディ・ヴェダーが参加して、例によって "The Waiting" を歌った。ヴェダーも、さすがに映画 [Runnin' Down a Dream] の頃に比べると歳を重ねたなぁと思う。



 ザ・キラーズって接点がないので知らないのだが、このちょっとギラついた格好のヴォーカリスト、ブランドン・フラワーズは、ギラつきを抑えると [George Fest] での "Got My Mind Set on You" の人になる。



 [George Fest] でこの曲を選ぶセンスが良いと思う。ジョージ自身の作詞作曲じゃなくても典型的なジョージ曲で、ビートルズは "Twist and Shout" が最高なのと同じだ。ジョージやビートルズがカバーしなかったら、それぞれの曲は今ほどの知名度を得なかっただろう。

 ザ・キラーズと言えば、もう一つ。ザ・キラーズはロックンロール・ホール・オブ・フェイムのイベントで、トムさんの追悼のために "American Girl" を演奏している。
 長いギターソロのエンディングの代わりに、"Free Fallin'”のコーラスを入れ込む演出は、なかなか上手い ―― と思うと同時に、エリック・クラプトンが "Isn't it a pity" のエンディングに "Hey Jude" のコーラスを挿入したのと同じアイディアであることも分かる。
 彼らがトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの大ファンであることは間違いなく、そのうち何らかの加減でザ・キラーズを聴く機会もあるかも知れない。

Rockin' Around (with You)2023/11/03 20:02

 そもそも期待していた訳でもなかったが、それでも「ビートルズ最後の曲」なる触れ込みで発表された "Now and Then" の余りのどうしようもなさに、さすがに失望を覚えざるを得ない。あのビートルズを冠してこれ?がっかり加減が半端ない。
 やっぱりビートルズは1969年を最後に、地上から姿を消したんだなぁと実感した。

 どうしようもない曲なんかより、マイク・キャンベル&ザ・ダーティー・ノブズのライブを見よう。今回は、10月20日(トムさんの誕生日!)の LA 公演。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのデビューアルバムの、先頭を飾る "Rockin' Around (with You)" ―― そうか、この曲をやるかぁと、感慨にふける。そういえばこの曲はマイクとの共作なので、確かにマイクが歌っても不自然ではないな。
 それにしてもマイクが歌っているのにもすっかり慣れたが、最初に彼が歌ったときはドン引きしたものだ。彼はシャイで前に出たがらない、控えめな人物でマイクロフォンの前で歌うなんてとんでもない、というのが長年のスタイルだったから、ダーティ・ノブズ結成以来、特にトムさんが亡くなった後のヴォーカリストとしての活躍には目を見張る物がある。
 しかも先日は、ディラン様とワン・マイクでシャウトしていた!ディラン様もびっくり?「あの時の大人しいあいつが…?」なのか、いや、どうやらあのライブに関してはディラン様がマイクに直電したらしいという噂もあるので、ディラン様的には予想範囲なのか。
 とにかく、"Rockin' Around (with You)" である。



 2017年、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが結成40周年全米ツアーをしたときも、この曲がライブの冒頭を飾った。私もギリギリでこのツアーを見ることが出来た。別に彼らの全ヒストリーをオンタイムで体感したわけでもないのに、"Rockin' Around (with You)" によるオープニングに、鳥肌が立った。
 いつまでも色褪せない、青春の輝き、ロックンロールの息吹。トム・ペティがこのツアーが終わるなり突然亡くなるなんて、誰も想像しなかったが、とにかくこのツアーが無事に終わって本当に良かったと思う。