I Want You Back Again ― 2025/01/19 22:09
ザ・ゾンビーズといえば、トム・ペティが大ファンだったということは有名だ。"I want You Back Again" のライブ・パフォーマンスは、何枚かのライブ・アルバムにも収録されている。
ベンモントのオルガン・ソロが冴え渡っている。
こちらのロッド・エージェントのインタビューによると、トムさんとベンモントが再結成後のゾンビーズのライブを訪れ、楽しい時間を過ごしたそうだ。
エージェント曰く、トムさんが初めて見たロックンロール・ライブの一つが、1965年のゾンビーズだったとのこと。"Summer Time" にトムさんはノックアウトされたそうだ。
このインタビューはトムさんが亡くなった後だが、トムさんの生前にエージェントと、ヴォーカルのコリン・ブランストーンがトムさんのラジオ・ゲストに呼ばれたこともある。このときの写真は、色々な意味で面白かった。主にトムさんが。まず、ゾンビーズの Tシャツを着ている。好きなバンドのライブに行くロックンロール好きの格好ではないか。
そしてなんと言っても、トムさんの脱力っぷりがすごい。トムさんはフォト・セッションやツアーとなると、外見をピカピカに磨き上げてのぞんでいた。それで付いたあだ名は「女優」。ところが、このゾンビーズを迎えたときは至ってリラックス・モード。うっかりすると、トムさんということが分からないほどだ。
ともあれ、憧れのロックンロール・スターに会えて幸せなトムさんと、自分たちよりずっとビッグになった、フォロワーに会えてゾンビーズの二人にとっても幸せな瞬間だったろう。
ベンモントのオルガン・ソロが冴え渡っている。
こちらのロッド・エージェントのインタビューによると、トムさんとベンモントが再結成後のゾンビーズのライブを訪れ、楽しい時間を過ごしたそうだ。
エージェント曰く、トムさんが初めて見たロックンロール・ライブの一つが、1965年のゾンビーズだったとのこと。"Summer Time" にトムさんはノックアウトされたそうだ。
このインタビューはトムさんが亡くなった後だが、トムさんの生前にエージェントと、ヴォーカルのコリン・ブランストーンがトムさんのラジオ・ゲストに呼ばれたこともある。このときの写真は、色々な意味で面白かった。主にトムさんが。まず、ゾンビーズの Tシャツを着ている。好きなバンドのライブに行くロックンロール好きの格好ではないか。
そしてなんと言っても、トムさんの脱力っぷりがすごい。トムさんはフォト・セッションやツアーとなると、外見をピカピカに磨き上げてのぞんでいた。それで付いたあだ名は「女優」。ところが、このゾンビーズを迎えたときは至ってリラックス・モード。うっかりすると、トムさんということが分からないほどだ。
ともあれ、憧れのロックンロール・スターに会えて幸せなトムさんと、自分たちよりずっとビッグになった、フォロワーに会えてゾンビーズの二人にとっても幸せな瞬間だったろう。
還城楽 / Red River ― 2025/01/03 19:26
新年といえば、元旦の宮内庁楽部による、舞楽の放映が恒例である。今年は巳年なので、ヘビに関連した演目だった。雅楽を知っている人なら誰でもピンとくる、「還城楽(げんじょうらく)」 ―― 西方にヘビを食する人がおり、ヘビをとらえた喜びを舞で表現するというものだ。
「陵王」とならぶ右方の代表的な舞楽。勇壮で華麗。演奏していても楽しかった。ヘビをとらえて喜ぶ舞なので、小さなヘビが可愛くとぐろを巻いた小道具を使うのも、特徴的だ。
ヘビといえば、どうしても頭から離れないのは、トム・ペティの父親のエピソードだ。
幼い頃からインドア派でアート肌のトムさんは、アウトドア派でワイルドな父親が嫌でたまらなかった。渋々付き合って釣りや狩猟にもいっても、嫌な思い出ばかり。そのはなしは、カントムこと、[Conversations with Tom Petty] に詳しい。
あるとき、トムさんは父親がガラガラヘビを捕らえ、首に掛けたうえに頭上でブンブン振り回すのを見てしまったという。トムさんドン引き。読んでる私は大爆笑した。
そんなトムさんと、父親のエピソードが反映されているのが、[Hypnitic Eyes] に収録されている "Red River" だと思う。この曲に登場する女性も、ヘビを頭上でぶん回している。ちなみに、トムさんの晩年(?)の曲には、"Pulpwood" というあだ名の「祖父」が登場するが、これもまた実際のトムさんの祖父のあだ名だった。
「陵王」とならぶ右方の代表的な舞楽。勇壮で華麗。演奏していても楽しかった。ヘビをとらえて喜ぶ舞なので、小さなヘビが可愛くとぐろを巻いた小道具を使うのも、特徴的だ。
ヘビといえば、どうしても頭から離れないのは、トム・ペティの父親のエピソードだ。
幼い頃からインドア派でアート肌のトムさんは、アウトドア派でワイルドな父親が嫌でたまらなかった。渋々付き合って釣りや狩猟にもいっても、嫌な思い出ばかり。そのはなしは、カントムこと、[Conversations with Tom Petty] に詳しい。
あるとき、トムさんは父親がガラガラヘビを捕らえ、首に掛けたうえに頭上でブンブン振り回すのを見てしまったという。トムさんドン引き。読んでる私は大爆笑した。
そんなトムさんと、父親のエピソードが反映されているのが、[Hypnitic Eyes] に収録されている "Red River" だと思う。この曲に登場する女性も、ヘビを頭上でぶん回している。ちなみに、トムさんの晩年(?)の曲には、"Pulpwood" というあだ名の「祖父」が登場するが、これもまた実際のトムさんの祖父のあだ名だった。
Kings Road ― 2024/12/27 20:09
月に一度配信される、Heartbreaker's Japan Party さんのメール・マガジン、Depot Street を楽しみにしている。ネット上には膨大で雑多な情報が乱れ飛んでいるので、面倒になって遮断することも度々だが、このメール・マガジンという控え目ながらソースがしっかりしていて、しかも内容が充実している読み物には救われる思いだ。
12月の配信では、1983年にキャメロン・クロウがトムさんに短いインタビューした内容が掲載されていた。トムさんがバンドメンバーについて、そのキャラクターを説明しているのだが、スタンを「スタンリー」、マイクを「マイケル」と呼ぶのが面白い。
確かに、トムさんは急に「マイケル」とか「キャンベル」などと呼ぶことがある。もちろん「マイク」呼ぶ方が圧倒的に多いのだが、どういう時にどういうスイッチが入って呼び方を変えるのか、興味深くも、まったくつかみ所がない。
トムさんがギターソロ直前に、"Come on, Mike!" と呼びかけることは良くあるが、[An American Tresure] に収録されていたライブ・バージョンの "Kings Road" では、"Come on, Michael!" と叫んでいる。
この曲で歌われている Kings Road は、ロンドンのチェルシーにある道路で、60年代から最新ファッション、カルチャーの中心地となった。アメリカのいなかから出てきたハートブレイカー (a new world boy) にとっては、クラクラするような光景だったようだ。
「boys やら、girls やら、ちょっとよくわからない人やら」…トムさんこそ、女の子みたいに可愛いくせに。
Kings Road といえばでもう一曲、ストーンズの "You Can't Always Get What You Want" に登場する、"I went down to the Chelsea drugstore" のドラッグストアは、Kings Road にあり、いまはマクドナルドになっているそうだ。
1969年、ミックとキースは26歳。このダイナミズム、豊かな音色、心地よいリズム。プロデューサーがよほど手練れなのかと思えば、プロデューサーのジミー・ミラーも27歳だったというのだから、背筋が寒くなる。
12月の配信では、1983年にキャメロン・クロウがトムさんに短いインタビューした内容が掲載されていた。トムさんがバンドメンバーについて、そのキャラクターを説明しているのだが、スタンを「スタンリー」、マイクを「マイケル」と呼ぶのが面白い。
確かに、トムさんは急に「マイケル」とか「キャンベル」などと呼ぶことがある。もちろん「マイク」呼ぶ方が圧倒的に多いのだが、どういう時にどういうスイッチが入って呼び方を変えるのか、興味深くも、まったくつかみ所がない。
トムさんがギターソロ直前に、"Come on, Mike!" と呼びかけることは良くあるが、[An American Tresure] に収録されていたライブ・バージョンの "Kings Road" では、"Come on, Michael!" と叫んでいる。
この曲で歌われている Kings Road は、ロンドンのチェルシーにある道路で、60年代から最新ファッション、カルチャーの中心地となった。アメリカのいなかから出てきたハートブレイカー (a new world boy) にとっては、クラクラするような光景だったようだ。
「boys やら、girls やら、ちょっとよくわからない人やら」…トムさんこそ、女の子みたいに可愛いくせに。
Kings Road といえばでもう一曲、ストーンズの "You Can't Always Get What You Want" に登場する、"I went down to the Chelsea drugstore" のドラッグストアは、Kings Road にあり、いまはマクドナルドになっているそうだ。
1969年、ミックとキースは26歳。このダイナミズム、豊かな音色、心地よいリズム。プロデューサーがよほど手練れなのかと思えば、プロデューサーのジミー・ミラーも27歳だったというのだから、背筋が寒くなる。
ギター制作者は語る ― 2024/12/03 21:09
Heartbreakers Japan Party さんが、10月に LA を訪れた際、高名なギター制作者である、かねてから交流のある入戸野徹(にっとの とおる)さんを尋ね、そのときのレポートがアップされている。とても面白いので、ぜひ読んで欲しい。
Toru Nittono Guitars Report – You And I Will Meet Again(2024)
トム・ペティ、マイク・キャンベル、そして彼らのギター・テックであり、ローディであり、友人だったアラン・”バグズ”・ウィーデルが絶大な信頼を置くギター制作者が入戸野さんだ。どんなにひどい状態のギターでも、入戸野さんならどうにかしてくれるという、いわば「最後の砦」。だったら、もっと早く持ってこいという本音がすごくよく分かる。
トムさんの印象として、最初に使われたのが「優しい」という言葉なのが印象的。そう、トムさんって大人しくて優しい雰囲気が、ファンとしてもたまらない。ロックンローラーだからって、尖っていたり、つっけんどんだったりする必要はなくて、基本的な人格として「優しい」ってポイントが高い。
しかし、いわゆる「こだわりが強い」というやつで、これは本来のややネガティブな意味合いだろう。弦は長く張っていればいればいるほど良いと思い込んでいる辺り、理屈が通じない。張り替えると「MOJO が消える」という謎の信条。
さらに「こだわりが強い」のがマイクだというのだから、手に負えない。有名なブロードキャスターのネックを絶対に清掃させないという…!
マイク曰く、「MOJO が消える」 ―― それはもう聞いた!
こちらは1977年6月の Rockplast ――
もともとマイクのストラトキャスターをトムさんが弾いて、代わりとしてマイクが入手したブロードキャスターの組み合わせだろ思うのだが、どうだろう。ネックはまだきれいだ。
Toru Nittono Guitars Report – You And I Will Meet Again(2024)
トム・ペティ、マイク・キャンベル、そして彼らのギター・テックであり、ローディであり、友人だったアラン・”バグズ”・ウィーデルが絶大な信頼を置くギター制作者が入戸野さんだ。どんなにひどい状態のギターでも、入戸野さんならどうにかしてくれるという、いわば「最後の砦」。だったら、もっと早く持ってこいという本音がすごくよく分かる。
トムさんの印象として、最初に使われたのが「優しい」という言葉なのが印象的。そう、トムさんって大人しくて優しい雰囲気が、ファンとしてもたまらない。ロックンローラーだからって、尖っていたり、つっけんどんだったりする必要はなくて、基本的な人格として「優しい」ってポイントが高い。
しかし、いわゆる「こだわりが強い」というやつで、これは本来のややネガティブな意味合いだろう。弦は長く張っていればいればいるほど良いと思い込んでいる辺り、理屈が通じない。張り替えると「MOJO が消える」という謎の信条。
さらに「こだわりが強い」のがマイクだというのだから、手に負えない。有名なブロードキャスターのネックを絶対に清掃させないという…!
マイク曰く、「MOJO が消える」 ―― それはもう聞いた!
こちらは1977年6月の Rockplast ――
もともとマイクのストラトキャスターをトムさんが弾いて、代わりとしてマイクが入手したブロードキャスターの組み合わせだろ思うのだが、どうだろう。ネックはまだきれいだ。
Stories We Could Tell ― 2024/11/10 19:54
例のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式が YouTube にアップしている、"French TV" とやらの、"Stories We Could Teell" ――
この演奏の初出はいつだろうか? [Playback] に収録されていたかどうかの記憶があいまい。ライブ音源にもこの曲はあるし、この "French TV" の断片も、いろいろなところで見る。
やはり印象的なのは、スタンとトムさんの素晴らしいヴォーカル共演だろう。スタンがいかに優れたシンガーであり、トムさんにとって大事な存在だったことが分かる。
そのトムさんとスタンをニコニコしながら見ているマイクも好きだ…
この曲のオリジナルは、ジョン・セバスチャンがエヴァリー・ブラザーズに提供したものだそうで、ここではセバスチャンの演奏をきいてみる。
トムさんたちよりもややのんびり気味で、美しさが際立つ。
再びこの曲が私たちの胸を打ったのは、2022年である。マイクのダティ・ノブズのドラマーを臨時的にスタンが務めたとき、マイクとスタンがワンマイクで "Stories We Could Twll" を歌ったのだ。グダグダな演奏だが、ひどく感想的だった。
この演奏の初出はいつだろうか? [Playback] に収録されていたかどうかの記憶があいまい。ライブ音源にもこの曲はあるし、この "French TV" の断片も、いろいろなところで見る。
やはり印象的なのは、スタンとトムさんの素晴らしいヴォーカル共演だろう。スタンがいかに優れたシンガーであり、トムさんにとって大事な存在だったことが分かる。
そのトムさんとスタンをニコニコしながら見ているマイクも好きだ…
この曲のオリジナルは、ジョン・セバスチャンがエヴァリー・ブラザーズに提供したものだそうで、ここではセバスチャンの演奏をきいてみる。
トムさんたちよりもややのんびり気味で、美しさが際立つ。
再びこの曲が私たちの胸を打ったのは、2022年である。マイクのダティ・ノブズのドラマーを臨時的にスタンが務めたとき、マイクとスタンがワンマイクで "Stories We Could Twll" を歌ったのだ。グダグダな演奏だが、ひどく感想的だった。
Finding Out ― 2024/11/03 22:03
本来はもっと早くこの記事を書くつもりだったが、ビジネス・デイはチャレンジングでハード。かなり遅くまで働く日が続き(work from home であることが救い。仕事を終えて30分でシャワーを浴びて就寝できる)、今日になったら今日になったで、地球の裏側の F1 予選がとんでもないことになって大騒ぎをしている。しかも、日本プロ野球も横浜が1998年以来の日本一。
ほんとうに、色々なことが一度に起きる。あと二時間半で F1 の決勝だ。
今回の [Long After Dark] のデラックス・エディションに関して、私は完全に誤解をしていた。Bluray discが付くと聴いた時点で、動画が収録されていると信じて疑わず、即ち例のトムさんが首にブルーのバンダナを巻いている "French TV" とやらの完全版とかが、収録されると思ってウキウキしていたのだ。
平日の激務の後、いよいよと思って Bluray disc を再生してみて、ぽかんとしてしまった。ただの静止画コラージュとサウンドだけではないか。
これは私がどこかでメニューを間違えたに違いないと思って、人に訊いてみると「Bluray Audio って書いてあるでしょ。そもそも動画が収録されているとは報じられていない」と言われて、しばし目が点になり、そして悶絶した。ええ、私が馬鹿でしたよ。
気を取り直して、公式が YouTube にアップしている、いわゆる "French TV" を鑑賞する。昔から思っているのだが、金髪サラサラに青いバンダナのトムさんが、ゴールデン・レトリーバーに見えて仕方がない。
しみじみ思うに、私にとってトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベストメンバーは、ハウイとスタンのいた時期だった。バンド全体に若さがみなぎっていて、ロックンロールで、コーラスワークが最高に充実している。スティーヴ・フェローニと比較してスタンのドラミングに難ありとする人も居るが、私はそれほどとは思わず、むしろ躍動感があって、溌剌としていて好きだ。スタンのドラミングが合わなくなったのは、すなわちトムさんの変化ゆえであり、歩調を合わせるマイクやベンモントの変化ゆえだったのだと思う。
"Finding Out" はマイクとトムさんの共作らしく疾走感があって、すごく格好良い。
マイクの手つきが無性に好きだ。私は手に ―― 特に男性の手に魅力を感じる性質で、とりわけマイクのこの手つきがたまらない。ジョージも同じような手をしているが、細くて骨張っていて、指の間がしなやかに伸びて離れている。そういう手が好きで、実は自分がピアノを弾くときも ―― 骨張ってはいないが ―― 類似の手をしている。
トムさんのマイクを見るまなざしが愛しくていい。「良いギタリストがいるなぁ」という視線。初めて会ったときから、こいつを絶対に離さないを決めたトムさんの意志は、その後何十年と、彼らの人生とロックンロール・ミュージックを、より豊かなものにしたに違いない。
ほんとうに、色々なことが一度に起きる。あと二時間半で F1 の決勝だ。
今回の [Long After Dark] のデラックス・エディションに関して、私は完全に誤解をしていた。Bluray discが付くと聴いた時点で、動画が収録されていると信じて疑わず、即ち例のトムさんが首にブルーのバンダナを巻いている "French TV" とやらの完全版とかが、収録されると思ってウキウキしていたのだ。
平日の激務の後、いよいよと思って Bluray disc を再生してみて、ぽかんとしてしまった。ただの静止画コラージュとサウンドだけではないか。
これは私がどこかでメニューを間違えたに違いないと思って、人に訊いてみると「Bluray Audio って書いてあるでしょ。そもそも動画が収録されているとは報じられていない」と言われて、しばし目が点になり、そして悶絶した。ええ、私が馬鹿でしたよ。
気を取り直して、公式が YouTube にアップしている、いわゆる "French TV" を鑑賞する。昔から思っているのだが、金髪サラサラに青いバンダナのトムさんが、ゴールデン・レトリーバーに見えて仕方がない。
しみじみ思うに、私にとってトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベストメンバーは、ハウイとスタンのいた時期だった。バンド全体に若さがみなぎっていて、ロックンロールで、コーラスワークが最高に充実している。スティーヴ・フェローニと比較してスタンのドラミングに難ありとする人も居るが、私はそれほどとは思わず、むしろ躍動感があって、溌剌としていて好きだ。スタンのドラミングが合わなくなったのは、すなわちトムさんの変化ゆえであり、歩調を合わせるマイクやベンモントの変化ゆえだったのだと思う。
"Finding Out" はマイクとトムさんの共作らしく疾走感があって、すごく格好良い。
マイクの手つきが無性に好きだ。私は手に ―― 特に男性の手に魅力を感じる性質で、とりわけマイクのこの手つきがたまらない。ジョージも同じような手をしているが、細くて骨張っていて、指の間がしなやかに伸びて離れている。そういう手が好きで、実は自分がピアノを弾くときも ―― 骨張ってはいないが ―― 類似の手をしている。
トムさんのマイクを見るまなざしが愛しくていい。「良いギタリストがいるなぁ」という視線。初めて会ったときから、こいつを絶対に離さないを決めたトムさんの意志は、その後何十年と、彼らの人生とロックンロール・ミュージックを、より豊かなものにしたに違いない。
Ways To Be Wicked ― 2024/10/26 19:41
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの [Long After Dark] デラックス・エディションが届いたので、主にディスク2を集中的に聴いている。"Wild Thing"とともに、凄く良いなと思ったのが、"Ways To Be Wicked" ―― [Playback] から知っている曲だが、やはり素晴らしい。
やはり凄く若い時期のアルバムなので、メロウな曲より、ロックンロールなサウンドが好きだ。
さりげない A メロから、マイナー展開するきゅんとするようなサビ。トムさんとマイクの共作ものには、よくある構成で最高。なぜ彼らのオリジナル・アルバムに採用されなかったのか不思議で、ジミー・アイヴィーンを問い詰めたい。
80年代にローン・ジャスティスというカントリー・バンドがカバーしたが、まぁ動画をはりつけるほどでも…ない。それよりは、やはり [Petty Country] のマーゴ・プライスとマイクのカバーの方がずっと良い。マイクの自信満々の存在感。
一応、キーファー・サザーランドがライブで歌っている動画もあったが…すごく気の抜けた曲になっていたので、却下。
やはり凄く若い時期のアルバムなので、メロウな曲より、ロックンロールなサウンドが好きだ。
さりげない A メロから、マイナー展開するきゅんとするようなサビ。トムさんとマイクの共作ものには、よくある構成で最高。なぜ彼らのオリジナル・アルバムに採用されなかったのか不思議で、ジミー・アイヴィーンを問い詰めたい。
80年代にローン・ジャスティスというカントリー・バンドがカバーしたが、まぁ動画をはりつけるほどでも…ない。それよりは、やはり [Petty Country] のマーゴ・プライスとマイクのカバーの方がずっと良い。マイクの自信満々の存在感。
一応、キーファー・サザーランドがライブで歌っている動画もあったが…すごく気の抜けた曲になっていたので、却下。
Well... All Right ― 2024/10/22 21:23
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの [Long After Dark] のデラックス・エディションの発売日を過ぎているが、アメリカの公式サイトで購入したので、航空便を待っている。
日本のショッピング・サイトで日本版を買った方が良かったかなと思う一方、アメリカに直接「日本にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファンあり!」とアピールしたいという気持ちもある。
とにかく、いまは我慢、我慢。YouTube でも聴かないように避けて通っている。
先週末、Heartbeaker's Japan Party さんのオフ会があった。楽しく参加させてもらった。TP&HB をちょっとでも好きになったら、ぜひとも参加してみて欲しい。TP&HB のみならず、周辺の広い範囲をカバーする音楽好きが大歓迎する。
そのオフ会で、トムさんのレアな映像や音源を鑑賞させてもらった。その中で気になったのが、1980年代にトムさんが単独で出演したコンサートで、バディ・ホリーの "Well... All Right" を演奏している音。
本当にレア音源だったので、YouTube にもない。ここはバディ・ホリーのオリジナルから。
バディ・ホリーに詳しくないのでよくわからないのだが、生前のアルバムには収録されていない…?のかも知れない。曲自体、まだデモっぽい。
不覚ながら、この曲のオリジナルがバディ・ホリーであることを知らなかった。ブラインド・フェイスでお馴染みではあったが、誰が作った曲かは気にしたことがなかったのだ。実のところかなりの名曲ではないか。
一体どこをどう通って、こういうギターリフがついたのだろうか。ブライド・フェイス自体、元祖スーパー・グループの天才集団なので、かなりすっ飛んでいる。バディ・ホリーのオリジナルは広く知られていたのだろうか?
どうやら、The Trashman の7インチ・シングルで知られていた…らしい。ブラインド・フェイスがどういう経緯でこの曲をカバーすることになったのか、詳しい方がいらしたら、教えてほしい。
日本のショッピング・サイトで日本版を買った方が良かったかなと思う一方、アメリカに直接「日本にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファンあり!」とアピールしたいという気持ちもある。
とにかく、いまは我慢、我慢。YouTube でも聴かないように避けて通っている。
先週末、Heartbeaker's Japan Party さんのオフ会があった。楽しく参加させてもらった。TP&HB をちょっとでも好きになったら、ぜひとも参加してみて欲しい。TP&HB のみならず、周辺の広い範囲をカバーする音楽好きが大歓迎する。
そのオフ会で、トムさんのレアな映像や音源を鑑賞させてもらった。その中で気になったのが、1980年代にトムさんが単独で出演したコンサートで、バディ・ホリーの "Well... All Right" を演奏している音。
本当にレア音源だったので、YouTube にもない。ここはバディ・ホリーのオリジナルから。
バディ・ホリーに詳しくないのでよくわからないのだが、生前のアルバムには収録されていない…?のかも知れない。曲自体、まだデモっぽい。
不覚ながら、この曲のオリジナルがバディ・ホリーであることを知らなかった。ブラインド・フェイスでお馴染みではあったが、誰が作った曲かは気にしたことがなかったのだ。実のところかなりの名曲ではないか。
一体どこをどう通って、こういうギターリフがついたのだろうか。ブライド・フェイス自体、元祖スーパー・グループの天才集団なので、かなりすっ飛んでいる。バディ・ホリーのオリジナルは広く知られていたのだろうか?
どうやら、The Trashman の7インチ・シングルで知られていた…らしい。ブラインド・フェイスがどういう経緯でこの曲をカバーすることになったのか、詳しい方がいらしたら、教えてほしい。
The Session Man ― 2024/09/07 20:16
ニッキー・ホプキンズの伝記映画 「The Session Man セッションマン ニッキー・ホプキンズ ローリング・ストーンズに愛された男」を見に行った。
当然である。私が好きなピアニストは、グレン・グールド,ニッキー・ホプキンズ,ベンモント・テンチ。
60,70年代のロック好きなら、この映画を見なければならない。ロックバンドが、ギター、ベース、ドラムスだけで構成されていた次元から、一気に多様でカラフルで魅惑的なサウンドに発展したのは、ニッキー・ホプキンズあってのことだった。ビートルズやローリング・ストーンズ「のような」バンドは数多あるが、ニッキーの存在は唯一無二。彼はその虚弱な体質と引き換えに、天からその才を授けられ、この世に使わされたに違いない。
いくつも面白い話しが出てきた。マーキー・クラブに出始めたニッキーを見て、ミックとキースが顔を見合わせて「ワァオ」というのは、トムさんとマイクのパターンでもよくある。
そのキース曰く、曲が半分できてもその先が出来ない時にニッキーに任せると、ちゃんと凄い物ができる。映画の独特な表現なのだが、ニッキーは、キンクス、ストーンズ、ザ・フー、そしてビートルズと、「グランド・スラム」を成し遂げたのだとか。ついでに、解散後のビートル4人のアルバムに参加するという、これまた「グランド・スラム」だそうだ。
我らがベンモント・テンチはニッキーに会ったことはないが、ニッキーのファン代表の現代の「セッション・マン」。ニッキーの素晴らしさを語る。ニッキーはその音楽を直感的に、しかも完璧に理解し、完璧なピアノを弾いた。ベンモント曰く、「曲のイントロからではなく、途中からはいってくるタイミングも完璧」。その話しのバックで流れているのが、 "Give Me Love" だった。
それにしても、ニッキーのストーンズに対する貢献度は本当に計り知れない。たしかにロックンロールスターたちが音楽の革命を起こしたが、セッション・マンであるニッキーの存在なしには、今日まで続くストーンズは考えられないだろう。
ひとつ謎が解けたのが、"Edward" の話。ニッキーのソロ・アルバム [The Tin Man Was a Dreamer] に収録されているのこの曲がどうして Edward なのかと不思議だった。
キース曰く。スタジオでチューニングをしようとして、ニッキーに「Eをくれ!」と言ったところ、
「え?聞こえない」
「E!」
「なに?」
「エドワードの E!」
それでニッキーのあだ名がエドワードになったそうだ。なるほど。
映画の終盤で、ニッキーが自分はショパンの生まれ変わりだと語っていた話がでてくる。生まれ変わりという事がピンとこないひとや、ショパンをよく知らない人には分からないが、私にはよくわかる。
ニッキー・ホプキンズはショパンの生まれ変わりだということは、かなり納得がいく。その天才性、ピアノに特化した音楽、虚弱体質で、早世する。親指と中指でオクターブをおさえるべらぼうな手。確かにニッキー・ホプキンズはショパンの生まれ変わりだっただろう。
当然である。私が好きなピアニストは、グレン・グールド,ニッキー・ホプキンズ,ベンモント・テンチ。
60,70年代のロック好きなら、この映画を見なければならない。ロックバンドが、ギター、ベース、ドラムスだけで構成されていた次元から、一気に多様でカラフルで魅惑的なサウンドに発展したのは、ニッキー・ホプキンズあってのことだった。ビートルズやローリング・ストーンズ「のような」バンドは数多あるが、ニッキーの存在は唯一無二。彼はその虚弱な体質と引き換えに、天からその才を授けられ、この世に使わされたに違いない。
いくつも面白い話しが出てきた。マーキー・クラブに出始めたニッキーを見て、ミックとキースが顔を見合わせて「ワァオ」というのは、トムさんとマイクのパターンでもよくある。
そのキース曰く、曲が半分できてもその先が出来ない時にニッキーに任せると、ちゃんと凄い物ができる。映画の独特な表現なのだが、ニッキーは、キンクス、ストーンズ、ザ・フー、そしてビートルズと、「グランド・スラム」を成し遂げたのだとか。ついでに、解散後のビートル4人のアルバムに参加するという、これまた「グランド・スラム」だそうだ。
我らがベンモント・テンチはニッキーに会ったことはないが、ニッキーのファン代表の現代の「セッション・マン」。ニッキーの素晴らしさを語る。ニッキーはその音楽を直感的に、しかも完璧に理解し、完璧なピアノを弾いた。ベンモント曰く、「曲のイントロからではなく、途中からはいってくるタイミングも完璧」。その話しのバックで流れているのが、 "Give Me Love" だった。
それにしても、ニッキーのストーンズに対する貢献度は本当に計り知れない。たしかにロックンロールスターたちが音楽の革命を起こしたが、セッション・マンであるニッキーの存在なしには、今日まで続くストーンズは考えられないだろう。
ひとつ謎が解けたのが、"Edward" の話。ニッキーのソロ・アルバム [The Tin Man Was a Dreamer] に収録されているのこの曲がどうして Edward なのかと不思議だった。
キース曰く。スタジオでチューニングをしようとして、ニッキーに「Eをくれ!」と言ったところ、
「え?聞こえない」
「E!」
「なに?」
「エドワードの E!」
それでニッキーのあだ名がエドワードになったそうだ。なるほど。
映画の終盤で、ニッキーが自分はショパンの生まれ変わりだと語っていた話がでてくる。生まれ変わりという事がピンとこないひとや、ショパンをよく知らない人には分からないが、私にはよくわかる。
ニッキー・ホプキンズはショパンの生まれ変わりだということは、かなり納得がいく。その天才性、ピアノに特化した音楽、虚弱体質で、早世する。親指と中指でオクターブをおさえるべらぼうな手。確かにニッキー・ホプキンズはショパンの生まれ変わりだっただろう。
Long After Dark (Deluxe Edition) ― 2024/08/31 22:15
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが、10月18日に [Long After Dark (Deluxe Edition)] がアナログ・レコード、CD & Bluray で発売になる。
別に何十年記念でも何でもないが、未発表音源を含む、豪華な曲目が揃っている。まずは本作のトレイラーから。(期限付きらしい)
毎度ギョッとするのだが、トムさんのコメントの続きだと思ったら、マイクのコメントだったりする。
"Keep Me Alive"! アルバム発表時に収録されなかった、全TP&HBキャリアの中でも、特別に大好きな曲だ。トムさんはどうしても収録したかったが、ジミー・アイヴィーンと意見が合わず、泣く泣く削除した。
この曲を演奏するシーンが大好きだ。トムさんの髪がツヤツヤ、マイクの控えめで愛らしい佇まい(あれから変わったものだ…)、そしてスタンの飛び跳ねるようなドラミングとコーラス。このスタンが最高。確かこのセッションを収録した動画では、スタンのヘッドホンの音が大き過ぎて中断し、調整したと思ったら逆にヴォリュームを上げてしまい、みんなが飛び上がるシーンなど、私がハートブレイカーズのファンになった、ごく初期の頃に何度も見惚れていたものだ。
もう一曲、ピックアップされているのが、"Straight into Darkness"。この時期の曲に多い、ちょっと影のある微妙なポップ感の代表曲だろう。
みんな若いし、細いし、神々しい。Bluray の内容も楽しみだ。
CD の曲目はどれもワクワクだが、とくに "Wild Thing" が楽しみ。野球大好き人間としても、もちろんリッキー・ヴォーンの入場曲ヴァージョンは素晴らしいと思う。しかしこの1982年ハートブレイカーズのセッションは、控え目に言っても最高すぎる。高らかなトムさんとマイクのギターももちろんだが、スタンとハウイの重いリズムが格好良い。
このシーンではトムさんが勢い余ってギターのネックでマイクロフォンをぶん殴り、咄嗟に右手で押さえるのだが、この音が CD に収録されるのか、はたまた別のバージョンなのか。Bru rayは、たぶんこれの綺麗な画が見られるのだと思うが、最後の方のマイクがずっと笑顔のように見えるのが、確認できるのか。10月が待ち遠しい。
別に何十年記念でも何でもないが、未発表音源を含む、豪華な曲目が揃っている。まずは本作のトレイラーから。(期限付きらしい)
毎度ギョッとするのだが、トムさんのコメントの続きだと思ったら、マイクのコメントだったりする。
"Keep Me Alive"! アルバム発表時に収録されなかった、全TP&HBキャリアの中でも、特別に大好きな曲だ。トムさんはどうしても収録したかったが、ジミー・アイヴィーンと意見が合わず、泣く泣く削除した。
この曲を演奏するシーンが大好きだ。トムさんの髪がツヤツヤ、マイクの控えめで愛らしい佇まい(あれから変わったものだ…)、そしてスタンの飛び跳ねるようなドラミングとコーラス。このスタンが最高。確かこのセッションを収録した動画では、スタンのヘッドホンの音が大き過ぎて中断し、調整したと思ったら逆にヴォリュームを上げてしまい、みんなが飛び上がるシーンなど、私がハートブレイカーズのファンになった、ごく初期の頃に何度も見惚れていたものだ。
もう一曲、ピックアップされているのが、"Straight into Darkness"。この時期の曲に多い、ちょっと影のある微妙なポップ感の代表曲だろう。
みんな若いし、細いし、神々しい。Bluray の内容も楽しみだ。
CD の曲目はどれもワクワクだが、とくに "Wild Thing" が楽しみ。野球大好き人間としても、もちろんリッキー・ヴォーンの入場曲ヴァージョンは素晴らしいと思う。しかしこの1982年ハートブレイカーズのセッションは、控え目に言っても最高すぎる。高らかなトムさんとマイクのギターももちろんだが、スタンとハウイの重いリズムが格好良い。
このシーンではトムさんが勢い余ってギターのネックでマイクロフォンをぶん殴り、咄嗟に右手で押さえるのだが、この音が CD に収録されるのか、はたまた別のバージョンなのか。Bru rayは、たぶんこれの綺麗な画が見られるのだと思うが、最後の方のマイクがずっと笑顔のように見えるのが、確認できるのか。10月が待ち遠しい。
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