The Commitments2023/06/16 20:06

 「アイルランド映画祭2023」で見た二本目の映画が、「ザ・コミットメンツ The Commitments」―― 1991年のアイルランド映画だ。特に前知識はなかったのだが、ピーター・バラカンさんがお薦めしていたので、見に行った次第。バラカンさんのトークつき上映だった。

 舞台はダブリンの北側(この「北側」という点が重要らしい)で、ジミーという若者(例によって無職)が、マネージャーとしてソウル・バンドを結成しようとギタリストとベーシストの友人を誘い、新聞広告を見てきた人や、友人、その他の縁でメンバーを揃えるところから始まる。
 ジミー曰く、アイルランド人(特にダブリンの北側人)は、「白人の中の『黒人』であり、ソウル・ミュージックをやるのにふさわしい」とのこと。そういうわけで、1960年代のソウル・ミュージック・バンドを演奏する、ザ・コミットメンツが結成される。



 音楽は最高。ライブシーンも長く取られているので、音楽を満喫するには十分すぎる作品だ。ブラック・ソウルの異様に上手な白人,しかもアイルランド人バンド。みんな尖っていて妥協が無い。
 バンド活動というものは楽しいが、まともなバンドを結成するのはとても大変であることがよく分かる。なんと言っても良いシンガーが必要だし、演奏人口の少ないドラマーに辞められると,本当に困ってしまう。人間関係はいくらでもこじれるし、長続きするバンドの方が希少なのだ。
 言うなればこの映画はホワイト・ソウル・ミュージック版「荒野の七人」である。あれこれ事情はあれど、腕の立つメンバーが揃い、崩壊する様を楽しく明るく、笑いながら、音楽を聴きながら楽しむ映画だ。

 英語の映画の場合、極力英語を聞きながら字幕を見ることにしているのだが、この映画は早々にあきらめた。余りにも英語が分からなすぎた。
 ジミーの役者さん、容姿やしゃべり方、声が誰かに似ているなぁと思ったら、ジョン・レノンに似ているのだ。ジョンもアイルランド系移民の子孫だから、無理のない類似だろう。
 バラカンさんの解説ではじめて分かったのだが、ギタリストのアウトスパンを演じていたのは、[Once] のグレン・ハンサードだった。長髪でヒゲ無しだったので、全く気付かなかった。

 アイルランド人がブラック・ソウル・ミュージック。音楽は人種、文化、宗教、その他様々な違いを越えて理解することは出来るのか。日本人である私にとっても興味深い点を考えさせる良作。お薦めだ。

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