A Little Help from a Friend2017/08/29 20:54

 ザ・ビートルズの原曲は、"With A Little Help From My Friends"。でも、今回は "A Little Help from a Friend" なぜなら…



 F1ベルギー・グランプリは本当に良いレースだった。これぞF1、最後までハラハラさせつつも、F1の良さが詰まった決勝となった。

 さて、その "A Little Help from A Friend" というのは、予選での出来事である。
 最終計測時に、ポールポジションを狙っていたフェラーリのキミ・ライコネンは、ターン9でコースアウト。計測を諦め、予選4位に終わった。
 一方、週末のセッションを通じてライコネンに及ばなかったチームメイトのセバスチャン・ベッテルが、最後の計測で突然1分42秒台を叩き出し、予選2位に躍り出たのだ。ベッテルはライコネンの「トウ」を得ており、タイムがあがったのだ。

 フォーミュラカーの場合、他の車の直ぐ後ろを走ると、乱気流のためにスピードが出ない場合と、空気抵抗が弱まり、スピードが上がる場合がある。後者を「トウ tow」と言う。つまり、前の車に引っ張ってらうのだ。
 予選などでナンバーワン・ドライバーに良いタイムを出させるために、チームがセカンド・ドライバーにわざと高速ストレートで前を走らせ、トウを与えるというのが、普通の方式だ。ただし、引っぱり役になった方は、トウが終わったら道を譲るので、自分のタイムを犠牲にしなければならない。今回のベルギーでも、マクラーレン・ホンダが非常に分かり易く実行し、効果を得ていた。

 一方、フェラーリの二人の場合、ライコネンの方がこの週末は調子が良く、このサーキットも得意にしているので、ライコネンがベッテルを引っぱる筋合いはなかった。むしろ、日本の実況席で「ベッテルが、ライコネンを引っぱれば良いんじゃないですか?」「実質ナンバーワン・ドライバーが?!ないでしょー!」「ないですよね~」などと言われていたのだ。
 実はベッテルがライコネンからトウを得ていたということは、予選直後のインタビューにおけるベッテルの感謝のコメントで判明した。
 この出来事について、ライコネンは…

ベッテルを“トウ”で助けたのは僕自身の判断

 チームの指示ではないと強調している。どうやら、自分がチームやベッテルに良いように使われているように思われるのが、気にくわないらしい。チームプレイに徹した「美談」にされるのもご免のようだ。自分は何も犠牲にしていないし、これからも犠牲にするつもりはない。

 いやいやいやいや、ちょっと待て、キミ、ちょっと待て!自分の判断でやった?それって、もの凄いことだよ?!どこまでセブのことが好きなの?!

 無線を聴くと、さすがのキミも後ろにセブがいてトウができるとまでは、分からなかったらしい。ただ、チームからの無線で「後ろにセブがいる」とだけ伝えられると、「セブを助けられるか、やってみる」と答え、あとはバックミラーを見ながらの走行になったのだ。
 ネットにあがっている動画は主に第2セクターのカーブの連続で、ここでは乱気流で遅くならないように、セブとの距離を取っている。おそらく、やや速くなる第3セクターでセブがキミに接近して、トウを得たのだろう。そうでないと、突如出たあのタイムの説明がつかない。
 セブの無線はタイムが出た直後で、チームとキミに感謝している。セブはキミが引っぱってくれるとは知らされていなかったが、キミの気持ちは分かったらしい。要するに、チームからのちょっとした期待を含んだ無線と、キミのセブをトウで助けようという強い意志、それを理解したセブによって、今回の顛末となったのだ。

 キミ・ライコネン、格好良すぎ!
 無愛想、無表情、無口、滑舌悪い、F1に友達居ない、そもそも人間関係に興味がないなど、散々な言われようだが、相手がセバスチャン・ベッテルとなると、人が変わり過ぎ。私もセブが大好きだが、キミにはかなわないな…

 もっとも、ライコネンが格好良かったのは予選まで。決勝ではイエローフラッグがでかでかと出ているのに、思いっきり全開で、当然10秒ペナルティをくらい、まだゴチャゴチャ文句を言っている。

 フェラーリのツイートは、ベッテルがビートルズ・ファンであることを意識したもので、ナイス・アイディア。
  "With A Little Help From My Friends" の一番好きなバージョンは、[Nobody's Child: Romanian Angel Appeal] だ。初めて聴いたライブバージョンでもある。この曲が最後に来るところが、このアルバムの良いところ。
 こちらの動画では、ドラムにジム・ケルトナーも居る。まさに、友達一堂の助けと、リンゴ。

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