Music Box2014/11/12 21:44

 親戚の子にプレゼントをあげることになった。
 彼女は最近ピアノを習い始めたという。そうとなると真っ先に思いついたのが、オルゴール。それも、ピアノの形をしたオルゴールだ。
 それというのが、私自身が5歳の時にオルゴールを欲しがり、ピアノの形のものをもらったからだ。その赤いピアノ型のオルゴールは今でも持っている。

 都内のオルゴール店に足を運び、白いグランドピアノ型のオルゴールを購入した。
 正直言って、私が欲しい。本物のグランドピアノのように三本足に、蓋が斜め開き、さらにペダルも装備している。中に仕込むオルゴールは沢山の曲から選ぶことが出来るようになっているので、当然クラシックだろうと、ショパンのノクターンを選択。
 これはバレンボエムの演奏。



 

 おおお…私が欲しいぃぃぃ…黒いのが欲しいぃぃぃ…

 オルゴール店に居たとき、印象的なことがあった。
 男子高校生が一人で入ってきたのだ。前髪の垂れた、参考書も読まずにスマホでゲームをしていそうな、いかにもイマドキの高校生。
 彼は店に入るなり、一直線に棚へ向かい、シンプルで可愛い小さなオルゴールを手に取り、レジに出した。
 お店の人がプレゼントかと尋ねると、ぶっきらぼうに頷く。リボンの色を選ぶのもぶっきらぼう。とにかく、彼は2000円払い、そのオルゴールを持って出ていった。
 あまりにも詩的な光景で感動してしまった。あれは誰へのプレゼントなのだろうか。喜んでもらえると良いのだが。

 さて、私が購入したプレゼントのオルゴール。小さな譜面がついている。この譜面、ちゃんと曲になっているのだ。読んでみると…



 これは、ロシア民謡として有名な「カチューシャ」という曲。もちろん、オルゴールが奏でる曲とは全く合致しない。
 カチューシャというのはエカテリーナの愛称で、日本語で言うところの髪飾りとは関係ない。
 「カチューシャ」という曲を Wikipedia で確認してみると、「民謡」と言うほどには古くないらしい。イサコフスキーという人が1940年代に作曲した流行歌とのこと。日本では戦後に流布したらしい。



 実は、このオルゴールに貼り付けられた「カチューシャ」の楽譜、私が数十年前にもらった赤いピアノのオルゴールにも、貼り付けられている。
 音符の大きさなど、細部は違うので全く同じ物が貼り付けられているわけではないが、曲が「カチューシャ」であること、f-moll(へ短調)であることは同じ。
 どうやら、日本でピアノの形をしたオルゴールには、「カチューシャ」の楽譜をつける事になっているらしい。一体、どこの誰が始めたのだろうか。