Stephen / Steven2014/10/25 20:29

 ディラン様ラジオこと [Theme Time Radio Hour] で、ディランは「番組のテーマがネタ切れになるような心配はない、名前一つでも番組が一つできる」という一例として 、"Joe" をテーマにしたことがある。
 今回の記事は、この伝でいく。「スティーヴン」という名前について。

 なぜ「スティーヴン」なのか。iPodに入っているアーチスト名をアルファベットを Z から逆行して順番に聞いているうちに、「スティーヴン」というファースト・ネームのアーチストが多いことに気付いたからだ。
 私はロック・ファンなのでアーチスト名は圧倒的に「バンド名」であることが多い。私の iPod に入っている個人名で確認してみると、ファースト・ネームで一番多いアーチストは、「スティーヴン」だった。

スティーヴン・スティルス Stephen Stills
スティーヴ・アール Steve Earle
スティーヴ・ミラー Steve Miller
スティーヴ・ウィンウッド Steve Winwood
スティーヴィー・レイ・ヴォーン Stevie Ray Vaughan
スティーヴィー・ワンダー Stevie Wonder

 Steve や Stevie は Steven の愛称・短縮形。Steven は日本語では「スティーヴン」と表記するし、Stephen も同じ発音だ。
 ウィキペディアを見ると、この名前はギリシャ語で「冠」を意味する「ステファノス」が原型。最初の殉教者と言われている聖ステファノの影響で、キリスト教圏の男子の名前としてポピュラーになった。元が「ステファノス」ということで、英語での綴りも本来は Stephen だったが、やがて発音に近い Steven と綴られる方が一般的になったようだ。
 エアロスミスのヴォーカリストと、ハートブレイカーズのドラマーは Steven。"Oh! Susanna" などで有名なアメリカの作曲家は Stephen。
 "-phen" に引っぱられて「ステファン,シュテファン」と読みたくなるが、これはドイツ語などヨーロッパ大陸圏の発音で、英語ではあくまでも「スティーヴン」。

 ノルマン王朝ウィリアム一世以降のイングランド(およびUK)の国王のなかで、スティーヴンという名前は一人しか居ない。12世紀、ヘンリー1世と2世の間に、ブロア家ただ一人の国王として君臨したスティーヴン王である。
 さすがに中世なので、英語では Stephen と綴る。
 「君臨した」とは言え、その治世は伯父ヘンリー1世の娘マチルダとの王位争いに明け暮れ、安定したものではなかった。評判の良い国王とは言えず、英語圏ではポピュラーな名前の割に、その後国王としてスティーヴンを名乗る人はでなかった。「ジョン王」と同じような物か。
 ちなみに、英国王で一人しかいない名前は、ジョン,スティーヴン,アン,ヴィクトリアの4名。

 さて、スティーヴンの曲を一つあげる。
 私は誰のファンかと聞かれてスティーヴ・ミラーと答えることはまずないと思うが、アルバムは意外と持っていた。ライブアルバムも含めて6作品。  "Suger Baby" や、"The Joker", "Fly Like a Eagle" が名曲なのは言うまでもない。ここでは、アルバム [The Joker] の最後を飾る、"Something to Believe in"。



 このカッコ悪さ大爆発のレコード・ジャケットからはまったく想像できない、シンプルで美しく、しみ通るような優しい名曲。簡単にサビには進まず、穏やかにAメロとBメロを繰り返す。そしていよいよ迎えるサビで胸がいっぱいになる。
 「おやすみ、いとしい人 ぼくが子守歌をうたってあげよう」という歌詞も美しい。平易で、訥々とした愛情が胸をうつ。
 「山を流れる小川のように きみの夢をおだやかに 山の湖面が映し出す風景のように きみが目覚めたとき そばにいてあげる」… 

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