Do you believe in magic?2025/07/11 21:14

 公私ともに忙しく、やることだらけで、すっかり記事を上げられないでいたら、なんとクリスチャン・ホーナーがレッド・ブル・レーシングのプリンシパルから解任されてしまった。
 実のところ、彼を巡っては去年からすでにその席にあっても良いのかどうか、疑問があった。シーズン途中での更迭はよろしくない。今シーズンが始まる前に、人事異動を済ませるべきだった。ついでに若手レーサー育成もセブにお願いしてはどうか…というか、私はセブを見られる機会さえ増えてくれればそれで良いのだ。

 昨晩、友人たちと一緒に東京でも有数の飲食店街のレストランで会食していた所、プロのマジシャンだというお兄さんがやってきて、テーブル・マジックを披露させてほしいと言った。ポカンとしていたら、かなり上手なテーブル・マジックが展開して、投げ銭をするに至った。
 実は私、基本的に手品というものがあまり好きではない。上手に演出していればよいのだが、普通のマジックを淡々とこなして観客がビックリしたり喜んだりというのが、娯楽の構造としてイマイチ。不思議なことが披露されて、最終的にその秘密が理路整然と説明されないのが消化不良で、気持ちが悪いのだ。マジックなのだから当たり前だが、「ミステリーが好き、ファンタジーが嫌い」という私としては致し方ないだろう。

 そもそも magic という言葉は、「魔術」とか「呪術」といった、超自然的な現象をその意味に含んでおり、いわゆる手品は trick のほうが適切な言葉だと思う。ここにも、手品が「不思議でしょ?」という心の反応に対する押し付けを含んでいることが現れており、私はそういう感じが好きではないのだ。
 「magic を信じますか?」と言われれば Noだし、trick に対してはYesと言った所だろうか。その割には投げ銭を弾んだような気もするが…。



 60年代の超名曲の一つであるこの曲は、オリジナルが良すぎる割には、良いカバーには恵まれていないと思う。やや「甘い」曲なので、カバーされると、どうしても甘く流れてしまう傾向にある。
 その点、こちらの ラヴィン・スプーンフル・トリビュートのカバーはとても良い。テンポを早く保っているのが良いのだろう。

You Ain’t Going Nowhere2025/06/13 20:04

 ポピュラー音楽界は、もっぱら亡くなったブライアン・ウィルソンの話題でもちきりだろう。だが、私は彼やビーチボーイズにはあまり縁がない。[George Fest] で “My Sweet Lord” を歌っていた…くらいかな。

 マイク・キャンベルの自伝を冒頭から読み始め進めているのだが、もう何もかもが胸がキュンとする展開で、萌え散らかして悶絶している。
 まず、マイクの家庭環境の貧しさがなかなか厳しくて、シャイで無口な少年が可愛そうでしょうがない。高校を出たらどこかで働くか、軍隊に入るくらいしか選択肢のなかったマイク少年。ところが、進路指導員が言うには学業成績が抜群に良い。学生生活を通じてすべてAを取っているのだから、進学するべきだとアドバイスする。でも、学校に行くお金はないんだと、涙をこらえながら言うマイク。指導員が資料を見るために後ろを向いた隙にそっと袖で涙を拭くところで、私も大泣きしてしまった。
 マイクが学業成績優秀だったという話はいたく私を喜ばせた。私はロックンローラーも好きだが、インテリも好きなのだ。このマイク、学業優秀につき学資金を提供されたことが、ロックの歴史の一部となる。そうでなければマイクはゲインズヴィルには向かわなかった。

 基本的に一人でネコ相手にギター(かの有名な日本製のグヤトーン)を弾いていたマイク。一応バンド友達もいるが、あくまでも趣味、遊びの範疇。自分は家族から孤立し、お金もない、寄る辺もない、あるのは音楽への愛情だけ。人生の見通しのなさに孤独と不安を抱えていたある日、キャンパスでなかなか上手なバンド(主にカントリー)の演奏を目にして、感銘を受ける。ブロンドを長く伸ばしたベーシストが印象的に言う。「ありがとう、俺らはマッドクラッチ」。  その時演奏していたのが、ザ・バーズ,バージョンの “You Ain’t Going Nowhere”だった。

 程なくしてマイクはマッドクラッチに加わるのだが、そのシーンはもうブロンドを長く伸ばし、シャープな顔つきで、チェロキーらしく頬骨が高く、青い青い、瞳をしている ― トムさんの独壇場だった。マイク曰く、その目の青さは、青すぎて見つめ続けられな硬そうだ。プロ・ミュージシャンとしてのキャリアも積んでいるトムさんは、自信満々で、マイクがバンドに入るということにまったく疑いを持っていなかった。

 それから数十年が経ち、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズはボブ・ディランと長いツアーを共にし、ロジャー・マッグインもそれに加わる。そこでマッグインとトムさんがワン・マイクで “You Ain’ Going Nowhere” を歌うのだが、それを見ながらマイクはあの、初めてブロンドのベーシストを見た日のことに思いを馳せるのだ。マイクは、あの瞬間が人生を導いたと信じている。胸に迫るものがあっただろうし、そして読んでいる私も胸が苦しくなるほどキュンキュンして半ば発狂していた。

 こちらは2016年マッドクラッチのツアーに、ロジャー・マッグインがゲスト参加したときだろう。トムさんが亡くなる前年だと思うと悲しくなる。でも、当人たちはもちろんそんなことは想像だにせず、ニコニコしながら ― 特にマイクはニコニコしている ― 思い出深い “You Ain’t Going Nowhere” をプレイするのであった。



 マイクの自伝は読み進めながら印象的だったり、キュンキュンしたところに付箋をつけているのだが、もうかなり付箋だらけになっている。
 英語としてはとても短い文章が多く、簡潔で読みやすい。ハートブレカーズ・ファンで英語読書に挑戦を考えている人には、とてもおすすめだ。

Mike Bloomfield2025/06/07 20:28

 私が働いているビジネス(この場合は商売という意味)のプレジデントが来日した。アジアのセールス・リーダーが来ることはあるし、それでもかなりエライ人。さらにプレジデントとなると、もっともっと上で、彼の上にはもう CEO しかいない。
 いち社員も気楽にティータイム・セッションで話そう!とはいっても、やはり下っ端はガチガチで、プレジデントが話してばかりいた。
 ところが仕事の話が終わって、さぁ、エライ人達は次のスケジュールの確認でも…というところで、必殺「アメリカ人にはトム・ペティ投入作戦」を実行する。素晴らしい効果があった。とてもエライ・プレジデントは最初度肝を抜かれたような顔をしていたが、もう一人のエライ・アメリカ人と私の三人で、飲み物片手にロック談義で大盛り上がり。「ライブ・エイド見た?」「小学生だったけどテレビでやってたよ!」「うちのハズバンドはフィリーの現場で見てたのよ!」などなど…。日本の部長が「大丈夫?あの人プレジデントだよ?」と感心するより心配するほどだった。トム・ペティは世界をつなぐのだ。

 マイク・キャンベルの自伝の拾い読みをやめて、冒頭から読み始めた。印象的なところに付箋をつけていく。普段の読書ではやらないが、英語の場合はそうしないと見失ってしまう。
 拾い読みしたときは、ラスト・エピソードがジョージで締められたのにびっくりしてしまったが、プロローグで「彼(トム)はおなじミューズから生まれた兄弟であり、なにものをしても引き離すことは出来ない」と、ちゃんとトムさん愛を語っていたので安心した。
 まだ冒頭部分だ。知ってはいたつもりだが、それ以上にマイクが貧しい家庭に育ったことを実感した。英語がわからないからという理由で辞書を引くのは稀だが、アメリカ特有の文化についてはググらないとならない。たとえば「ボローニャ・サンドイッチすら賄えないのにギターどころではなかった」というところ。ボローニャ・サンドイッチを知らないと話にならない。
 マイクがラジオやテレビを通じてビートルズにのめり込むのは、60年代少年少女のお約束。エド・サリバンショーでも痩せていてダークヘアーのギタリスト(もちろんジョージ)にロック・オン!するのを忘れない。
 教則本のお世話にもなるビーチボーイズに続いて、ディランの “Like a Rolling Stone” に衝撃を受けるマイク。バーガーショップのバイトで、椅子をテーブルに上げ、フロアにモップをかけながらこの曲を聞くところは、まるで映画のワンシーンのようだ。やせっぽちで大人しくて、貧しくて、でも音楽を心から愛するマイクの姿はいじらしくて、いとおしい。
 さて、”Like a Rolling Stone” でギターサウンドに感動したマイク。この曲のリード・ギターを弾いているのが、マイク・ブルームフィールドだと知って、彼のブルース・ギターを師匠とするようになる。ポール・バターフィールド・バンドのレコードを手に入れ、回転数を落として音を拾いながら練習するのも、これまた60年代ボーイズの定番だ(たしか、デュエイン・オールマンは足でレコードの動きを止めたり戻したりしながらギターの練習をしていた)。

 そういえばマイク・ブルームフィールドのことを深く考えたことがなかった。確認してみると、1943年イリノイ州出身というのだから、ディランとは同郷,歳も近かった。ジョージと同い年で、クラプトンよりは年上なので、白人のブルース・ロック・ギタリストとしてはかなり草分け的な存在だろう。マイクがお手本にするにはこの上ない人だ。



 ポール・バターフィールド・バンドといえば、何と言っても “Born in Chicago” で、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズもライブでのカバーもある。もちろん素晴らしいのだが、やはり PBB を超えるものはない。”Twist and Shout” はビートルズが最高なのと同じで、誰にも超えることは出来ないだろう。
 マイクも書いているが、PBB は熱量がすごい。まさに「噴出」という感じで、その説得力がこの演奏の特徴ではないだろうか。

A Girl from North country2025/05/31 19:58

 ボブ・ディランの公式動画で、 “A Gilf from North Country” に関する短い動画を公開した。好きな曲なので、とても嬉しい。



 この動画によると、ディランが1962年にはじめて UK へ行った際に、フォーク・シンガーであるマーク・カーシーと知り合い、彼にスコットランド民謡 “Scarborough Fair” を教えてもらい、それが元になったらしいという見解である。



 ”Scarborough Fair” の動画を探すとすべからくサイモン&ガーファンクルか、そのカバーになってしまって、けっこう邪魔。それらをかき分けて、録音としては一番古そうなものにたどりついた。1956年だそうだ。



 話を “A Girl from North Country” に戻すと、ディランは二枚目のアルバムの後に、ジョニー・キャッシュとのデュエットでもよく知られている。私の好みはもちろんオリジナルの方。
 この曲もまたカバーが多いが、ここでは、クロスビー・スティルス&ナッシュで。この美しいハーモニ―はもう聞くことができないのは寂しい。



 ”A Girl from North Country” を聞くたびに思い出すのは、10年ほど前に亡くなった友人のことだ。不思議な縁のの友人であり、人生の不思議さを知らせてくれたその人は、北国のひとだった。彼女が亡くなったときも、いまでもこの曲を聞くと彼女を思い出さずにはいられない。

The Beatles in Netherlands2025/05/17 19:05

 速さは確かだが勝利に繋がらず苦戦するランド・ノリスが、たびたびセバスチャン・ベッテルからアドバイスを受けていると告白。その記事に踊るのは “メンター” の文字。セブはミックのメンタ―だともっぱら言われて「友達だ」と笑っていたが、ランドにとっては本当にメンターだろうなぁ。頑張れランド、助けてセブ…!
 何なんだ、この私しか驚喜しないような話題は…

 オランダといえば?
 F1好きとしてはマックス・フェルスタッペンなのだろうが、いかんせん彼のファンではない。彼以外なら誰がチャンピオンになっても大歓迎。
 チューリップのも風車にも興味はないが、絵画にはとても興味がある。そう、レンブラント、フェルメール、ゴッホ、ついでにブルーナ。
 明日からアムステルダム5泊の旅に出る。目的はただただ、名画である。あとはボリスの夜景とナインチェのミルクメイド。クノールのシュパ―ゲル・スープ。以上!

 クラシック音楽的には、オランダ黄金時代とクラシック音楽の古典派が時代的に合致していないせいか、とくに有名なものはない。ただ、中世〜ルネサンス期にはネーデルランド楽派といって、オランダやベルギーを中心に音楽が栄えたこともある。ともあれ、有名なクラシック音楽ではない。

 ポピュラー・ミュージックでオランダというと、大スターが公演しに行きました!という話程度だろうか。
 ビートルズはリンゴが病欠のときにアムステルダムを訪れており、運河を船で移動し、運河に面した高級ホテルの窓から手を振る様子が印象的だ。



 うーん、やっぱりビートルズはリンゴがいなきゃビートルズじゃないなぁ。リンゴが行けないなら、自分も行かないとジョージが散々ごねたのもわかるというものだ。

The Beginning of Folk Rock2025/05/10 21:19

 先週、マイク・キャンベルの自伝 [A Memoir Heartbreaker] が届いたので、まずは面白そうなところから拾い読みしている。
  総じて文章は読みやすい。話がわかりやすいところもトムさんに似ているのか。そしてけっこう表現がロマンチックで胸が熱くなることがある。彼の生涯で重要な人物に出会うシーンなどは特に顕著だ。どうもマイクは一目惚れするタイプらしい。しかも的確に惚れる。トムさんとジョージに出会うシーンは本当に一目で落ちている。
 だれでもその本の締めくくりがどうなっているのかは気になるところで、私もその例外ではない。やっぱりトムさんとのエピソードで締めるのかと思ったら…違った。違うんかい!と思わずツッコミを入れたくなるほど、鮮やかな違い。しかも私がキャーキャー言って喜ぶ人とのエピソードなのだから。マイク先生、最高です。

 先週なんとなくピーター・バラカンさんのラジオを聞いていたら、告知で「1965年ニューポート・フォーク・フェスティバルでボブ・ディランがエレキを持ってステージに立った『出来事』をフォーク・ロックの始まりとして、その後の展開を語る」と言っていた。おお、面白そう。私も聞きたいが、どこか遠方でとっくに予約で埋まっているような話だった。
 それにしても、気になったのは「フォーク・ロック」の始まりである。果たして1965年7月で良いのだろうか。

 そもそもフォーク・ロックとは、ウディ・ガスリー、ピート・シーガー、そしてボブ・ディランに代表されるモダン・フォークとビートルズに代表されるロックンロール(アメリカで誕生した元祖『ロックンロール』よりもUKで洗練されたそれ)の音楽要素が融合したものだといって間違いはないだろう。
 そもそも、ロックになにか別の音楽ジャンルの要素が加わると安易に「なんとかロック」と名付けすぎである。「カンタータ・ロック」とか、「ラーガ・ロック」とか。特に音大では不評だった。
 ただ、フォーク・ロックだけはそのジャンルが確立され、継承され、今も続いている。ロックのジャンルのなかでも「強い」方だろう。

 Wikipedia を見ると、1965年4月にリリースされたザ・バーズの “Mr. Tambourine Man” をもってフォーク・ロックの始まりとしている。私もこちらの説に同意だ。
 YouTube を検索したら、ザ・ダーティ・ノブズによる “Mr. Tambourine Man” というものがあって、ちょっと怖いけどけっこう良かった。途中でコードが怪しくなるのは御愛嬌。



 マイクの自伝で、ロジャー・マッグインに初めて会うところはまだ読んでいない。そもそもハートブレイカーズが初めてザ・バーズ関連の人に会うのはいつなのだろう?そろそろ拾い読みはやめて最初から読むことにするか。

Father & Son2025/04/08 21:05

 トム・オデールというシンガーソングライターが好きなのだが、最近の作品はちょっと勢いがない。
 デビューから3作品続けて素晴らしいアルバムを発表したのだが、4枚目、5枚目はすっかり作風が変わってしまい、心配になるくらいだ。鬱々とした曲調が続いて、平坦で起伏がなく、パンチが利いていない。具合でも悪いのかと心配になったが、どうやらインタビューを見る限り、こどもを取り巻く問題に心痛めている様子。共感は大事だが、自分は大事にしてほしい。

 ライブはどうなんだろうと思って検索すると、去年の夏フェスに出演していた。元気そうで結構。トム・オデールって、ソングライティングの才能も好きだし、苦しそうな歌い方もトムさんに似ていて好きだし、そして顔立ちがセバスチャン・ベッテルに似ているところが大好きだ。サングラスをかけるとさらに似ていて、ニヤつきが止まらない。



 これだったらライブを見に行ってもいいなぁ…トムさん亡き今。そしてELOも見た今。海外まで見に行きたいアーチストは、ディラン様、ストーンズ…そういえばシスター・ヘイゼルって見たことがない。あとはマイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズ。そしてトム・オデールかもしれない。

 動画サイトを見ていたら、トム・オデールとキャット・スティーヴンス(ユスフ・イスラム)の共演があった。スティーヴンスのヒット曲 ”Father & Son” をデュエットしているものだ。
 オリジナルは、父親と息子のパートをスティーヴンスが歌い分ける曲だが、ここでは二人が最初のうち役割分担をしている。かといってずっとスティーヴンスが父親でオデールが息子かというと、そうでもなくてだんだん絡まっていく様子がさらに良い。



   もともと、トム・オデールのこの苦しそうで切なそうな雰囲気が好きなのだ。鬱情も、その構成要素のひとつで、今はそれが全面に出てくる時期なのかもしれない。彼のアルバムは聞き続けて、また威勢がよくて輝くような曲調を見せてくれるといいなと思う。

The Beatles F1 Racing Is Comming!2025/04/01 00:00

 このたびビートルズ・F1 レーシングが、F1 グランプリに参戦することが発表された。2027年からフル参戦予定。シャシー、エンジンともに自ら手がけるワークスチームだ。
 チーム・オーナーはビートルズのメンバーとその遺族、および管理会社のアップル。スポンサーにはギブスン、フェンダー、リッケンバッカー、グレッチ、ヘフナー、ラディック、その他多数の楽器メーカーなどが名を連ねている。



 チーム代表はゲルハルト・ベルガー、顧問にデイモン・ヒル。広報にダニー・ハリスン。チーフエンジニア兼、ファースト・ドライバーとして、ゼバスティアン・フェテルの現役復帰が決定している。
 当初ファクトリーはリヴァプールに新設することが検討されたが、初期設備費用投資額の評価から判断し、初年はマンチェスターに置かれる。デザイナー、エンジニア、メカニックの多くは、ジョージ・ハリスンが太いパイプを持っていたウイリアムズ、マクラーレン、ジョーダン、スチュワートなどの OBおよび研修生などが名を連ねている。

 ビートルズ・F1レーシングはその豊富な資金力から、現在 F1 サーカスの中心で働いている有能なストラテジストを引き抜くのではないかと噂されている。少なくとも、適切なタイミングで適切なタイヤ交換作戦を立てることが必須だ。
 ドライバーの人選に関しては経験豊富なフェテルが決まっている一方、もう一人は若手を起用すると言われている。ただし、トラック・リミットを逸脱するドライバーだけは絶対に採用しないと、パドックではもっぱらの噂だ。
 ベルガーは「トラック・リミット内で走る限り、クラッシュしないから」とその理由を述べている。

 また、地球温暖化とそれに伴う異常気象への関心の高いフェテルは、雨のレースがさらに増えると予想している。その上で、「雨の」タイトルの付く人材には積極的に声が掛かっているとみられる。このため、サトル・ナカジマのビートルズ・F1レーシング入りは秒読み段階だと言われている。

 昨年から、F1 勢力図は大きく変わりつつある。この新しいワークスチームの参戦は、さらなる混戦激化を生むのか、パドックの人々の思惑は、早くも2027年へと向いている。
(2025年4月1日 ドイツ「 ディー・リューゲ・モーターシュポルト」誌)

Typewriter2025/02/13 22:41

 ボブ・ディランが滞在中のホテルの一室で、ジョーン・バエズが歌っているシーン。ディランは、タイプライターを打っている。タイプライターの独特の音がするし、紙の右端になるとタイプライターに仕込まれたベルが「チン!」と鳴り、リターン・レバーを引いて改行する。



 私の家にも、タイプライターがある。1950年頃に祖父がアメリカから持ち帰った物とのこと。有名なタイプライター・メーカーの、レミントン・ランド製。
 私がこどものころにはすでに骨董品だったが、どこも壊れていないので立派に機能する。中学生のころはさかんにこれでバンド名や曲名、歌詞を打ったもので、作文の宿題をこれで出したこともある。



 インク・リボン式。さすがに年月を経てカラカラになってしまい、色が出ないが、かすかならが文字が打てる。このカシャカシャした打ち心地が気持ち良い。シフトキーが重くて、私には小指で押さえることが出来ないが、ディラン様はちゃんと小指で操作していた。



 タイプライターと言えば、ルロイ・アンダーソンの "Typewriter" ―― カジュアルなコンサートではお馴染みのナンバー。
 タイプライターを演奏するのは大抵、打楽器奏者。オフィスワーカーっぽい演出や、無意味なチューニングがお馴染みだ。上述の通り、本来紙の右端に来るとタイプライター内のベルが鳴るのだが、この曲では机上のベルを叩くことで音を再現している。



 楽器としてのタイプライターの使用というのは意外と珍しくはなく、ビートルズの "Revolution No. 1" の冒頭でも音が聞こえる。
 もう一つタイプライターで思い出す話と言えば、モンティ・パイソンがネタの打ち合わせ中、議論が白熱しすぎてケンカになり(主にジョン・クリーズとテリー・ジョーンズの間で)、タイプライターをぶん投げたというエピソードだろうか。

Marianne Faithfull2025/02/06 21:22

 毎週のように誰かの訃報に触れているのだが、今度はマリアンヌ・フェイスフルだという。特に音楽的に興味のある人ではなかったが、60年代のアイコンの一人だったことは間違いないだろう。
 彼女を最初に見たのは、ローリング・ストーンズの [Rock 'n' Roll Circus] の出演だと思う。出来の良い作品ではないので一度しか見ていないが、一番印象深いシーンだった。



 やっぱりその美貌がまず強い。この曲のプロデューサーはミックだとのこと。バックで鳴っているギターは誰なのだろうか。キースとか?

 動画を見ていて初めて知ったのだが、1965年,ボブ・ディランがホテルの一室でタイプライターを打っている後ろで、ジョーン・バエズがギターを弾きながら歌っている隣で、座っているのはマリアンヌ・フェイスフルだそうだ。



 ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] にも「夢」についてコメントを寄せたこともある。どうして唐突に彼女が登場したのか不思議だったが、それなりにつながりがあったようだ。



 ディランのカバーも多く残しているが、中でも "It's All over Now Baby Blue" は、彼女の声にとても合っている。丁寧で味のある歌唱で、とても良い。