Tempo of Satidfaction2022/12/06 19:48

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの待望のライブ・アルバム [Fillmore 1997] の聴き所はたくさんあるが、ザ・ローリング・ストーンズ・ファンも必聴である。ストーンズのバージョンで有名な曲もあるし、なんと言っても "(I Can't Get No) Satisfaction" の演奏があるのだ。これがもう最高。



 Heartbreaker's Japan Party さんによる曲目解説によると、「(ストーンズの)オリジナルではなく70年代以降の速い演奏」とのこと。
 確かに、"Satisfaction”は年を追うごとに速くなっているという印象がある。1965年、オリジナルの演奏は、だいたい四分音符=132くらいだ。(だいたいというのは、私がデジタルのメトロノームを持っていないため、アナログの刻みでしか確認できないのである。)同じく、1965年の BBCレコーディング [On Air] でも同じテンポだ。



 それが1981年になると、なんと約168という、ぶっ飛んだテンポになる。これはかなり極端。ライブ会場が巨大スタジアムになったりして、ストーンズのライブ観の変化が反映されているのだろうか。ほとばしるアドレナリンのなせる技か、いかにも乱入者をギターでぶん殴りそうな速さだ。



 1989年の [Flash Point] になると少し落ち着いて、144になる。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの [Fillmore 1997] もだいたい144だ。ハートブレイカーズの場合は、オリジナルをちょっとノリ良く、軽やかに演奏としているという感じだろうか。ハウイという優れたハイ・トーン・ヴォーカル兼ベースの存在が大きいだろう。

 それで、一番最近はどうなのかと思って、今年のヨーロッパ・ツアーの動画を見てみた。
 これがびっくりするほどゆっくり。オリジナルの132より更に遅くて、128~129くらいではないだろうか。これもまた、彼らのライブ観の変化かも知れない。
 それにしてもこの動画、キースが長い間映っているので思うのだが…やっぱり老いたなぁと思う。ミックがちょっと異常なのであって、キースの佇まいが「お若い79歳」というところで、ロニーもまた、「お若い75歳」なのだろう。