Street Map2014/12/03 22:54

 先日のディラン様ラジオこと [Theme Time Radio Hour]、テーマは “Street map” ということで、色々な道,道路に関する曲が紹介された。
 今回面白かったのは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがカバーしている曲が4曲もかかったこと。

 まずは、”Hit the Road, Jack”。レイ・チャールズのカバーで有名なこの曲を、ディランは作曲者でもあるパーシー・メイフィールドのア・カペラで紹介した。
 TP&HBのカバーは、[Live Anthology] の “Breakdown” への挿入として登場する。これはなかなか面白い趣向。"no more" という言葉からの連想だろう。



 2曲目は、ハンク・ウィリアムズの “Lost Highway”。29歳で亡くなったウィリアムズ26歳の時の録音だそうだ。
 TP&HBは、ドキュメンタリー映画 [Runnin’ Down a Dream] の演奏シーンで、披露している。マイクの「小さいリッケンバッカーみたいなマンドリン状の楽器」が印象的で、曲が終わったあとに、「マジでいい曲だよね」と、トムさんとスコットがやり取りするのが面白い。



 ハンク・ウィリアムズといえば、彼の息子もハンク・ウィリアムズ・ジュニアとして有名なシンガーとのこと。1986年には、父親の “Mind your own Business” をトム・ペティやウィリー・ネルソンなどと一緒に歌っている。



 さて、3曲目はリトル・フィートの “Willin’”。改めて歌詞を見てみると、どうやら、すごく怪しくてヤバイものとかを運んでいるかなりヤバイ人の歌らしい。とても美しい曲なのに…。まぁ、ロックの名曲には往々にしてそういうことがある。
 これはさすがに、好きなので原曲もあげる。



 そして、TP&HBは、2013年のツアーで演奏しているのが、ファンクラブ特典のライブ音声で聴くことができる。これはさすがに、原曲には太刀打ちできないか…と思ったが、これがなかなか良い。特にマイクと思われる美しいギターソロが、"Knockin' on Heaven's Door" を彷彿させる。それから、地味だがベンモントのピアノがとても光る。


 最後は、”Route 66”。言わずと知れたスタンダード・ナンバー。
 ロックファンにとってはチャック・ベリーやストーンズのロックなバージョンがおなじみだが、本来はジャズの曲とのこと。だからなのか、ディラン様も最初のレコード録音である、ナット・キング・コールのバージョンを流した。
 ここではもちろん、TP&HBの “Route 66”。ファンの間では、ライブ映像作品の “Pack up the Plantation: Live!” のエンディングでお馴染みだろう。なぜ、これがライブ・アルバムのほうに収録されなかったのか、残念でならない。
 [Pack up…] で映像を探したのだが、うまくヒットしなかったので、ここはさらに遡って1977年,ドイツのテレビ番組 [Rockpalast]。



 若い!細い!青い!
 なにも二人そろってフライングVを持つこともないだろうに。バンドイメージ的にも必要だったのか?本当にサウンド的に必要だったのか?そもそも、フライングVってちょっと格好悪い。トムさんの扱いもあまり大事そうじゃない。
 ともあれ、若さ溢れる ― ある意味、余裕の無いシャウトっぷりが格好良い。マイクが頭を振っている!

 昔は、旅芸人,吟遊詩人がいたように、音楽にはよく旅のイメージがかぶせられる。必然的に道、道路、ハイウェイなどの曲が多くなる。20世紀、モータリゼーションの発達と、ポピュラー・ミュージックの発達が同時進行となり、その傾向に拍車がかかった。
 TP&HBのようなバンドが道,道路に関する曲を作ったり、多くカバーするのは必然であり、それらがディランの選曲と被るのも、これまた必然なのだろう。