g - moll Sonata2009/09/15 22:01

 PCが本格的に壊れ、長い入院生活に入ってしまったため、記事の編集に限界がある。南北戦争の記事は、おそらくしばらくお預けになるだろう。
 ああ、もう…チャンセラーズヴィル、さっさと書いてしまえばよかった…!

 よほど面白かったので、タモリ倶楽部を引きずっている。
 タモリ倶楽部では、独特のやり方で音楽を使う。ナレーションが「ルールを説明しよう!」と言うと、バックには「夜明けのスキャット」ル~ル~ルル~♪…という具合。要するに、駄洒落で選曲されているのだ。
 「ルール」はまだ簡単な方で、聞いただけではその駄洒落の本意が何なのか、解らないケースが多々ある。

 先日の、ビートルズ・リマスター特集の時。聞き比べで "Taxman" のBGMに、カタカタ言う音と、派手なクラシック音楽が流れた。
 カタカタ言っていたのは、タップダンスのステップ音。クラシックは、シューマンのピアノ協奏曲の冒頭だった。私はしばらく考え込んでしまった。これのどこが "Taxman" なのか…?
 あくまでも、選曲基準は駄洒落だ。タップダンス、タップ、タップ…シューマン…、タップシューマン…タップスーマン…タックスマン!解けた…(脱力)。
 ドイツ・ロマン派を代表する大作曲家ロベルト・シューマンも(1810~1856)、まさか自分の大名曲が、こんな駄洒落に使われるとは思いもしなかっただろう。

 シューマンは1810年生まれ。来年、生誕200周年を迎える。普通なら、彼一人分で大騒ぎになるのだが、幸か不幸か彼はあのショパンとタメ歳なのだ(ショパンの生年は諸説あるが、一般的には1810年となっている)。おそらく、お祭り騒ぎ的にはショパンが勝つだろう。
 シューマンというのは、なかなか面白い人物だ。前時代とは違って、家業として音楽を継いだのではなく、法学を大学で学びつつも音楽への情熱を捨てきれずに作曲家になった。
 当初ピアニストを目指して猛練習をしたが、手を傷めて断念。この手を傷めるほどの練習というのが、「ピアノ上達装置」のような器具のせいだという話もあるのだから、かなり困った男だ。装置やらギプスやら、重りやらでピアノが上達したなんて実例、見た事も聴いたこともない。
 師事したピアノ教師の娘クララ(これまた著名なピアニスト,作曲家)との大恋愛と、結婚も有名。
 さらに、作曲活動のみならず、文章力を駆使した評論活動や、出版、先人の研究、若い才能の発掘と紹介、劇場の音楽監督など、実に多彩な活動を展開した。その近代的な活躍っぷりが私の共感を呼ぶのだが、惜しいことに早くから病魔に犯され、その早い晩年は暗い影に覆われている。

 どうしてここでシューマンについて突っ込んだ記述をしたかというと、私自身が今、彼にお世話になっているからだ。年末のピアノの演奏会に、シューマンのピアノ・ソナタ,ト短調(Op.22)を選んだのだ。
 通称、「ゲーモール・ソナタ g-moll Sonata」。この通称も格好良いし、曲想もかなり格好良い。暗くて、ロマンチックで、ぶっきらぼう。私の実力には余る大曲で、譜読みの時点ですでにへこたれている。ゴールが見えない。どうなることやら。

 ウィキペディアを見てみると、この曲で単独の項目が立っていた。一般的には有名とは言いかねる曲なのにどうしてだろうかと思ったら、人気漫画「のだめカンタービレ」に登場するとのこと。なるほど。
 私はこの漫画やドラマを(ほとんど)見た事がない。「のだめ」の影響による選曲だと思われるのは、ちょっと嫌かも。