Tom Leadon2023/03/29 20:15

 マッドクラッチのメンバーであり、トム・ペティの古い友人だった、トム・レドンが亡くなった。  Leadon というファミリーネイムに関しては、日本語表記に揺れがあるが、ウィキペディアによると発音は led-un となっている。「レドゥン」の方が近いかも知れないが、彼の兄も含めて「レドン」が多いようなので、そちらに統一する。

Tom Leadon, Tom Petty’s Mudcrutch Bandmate, Dead at 70

 トム・ペティがゲインズヴィルを拠点に、フロリダ中でツアーをしていたジ・エピックスの若い方のメンバーだった頃に、レドンが加入した。彼はペティより三歳ほど若く、意気投合して一緒に行動していた。ペティの父曰く「トムトム」という仲良しコンビだったという。
 ほどなく、ペティとレドンはエピックスを抜けて、新しいバンドを結成した。それがマッドクラッチであり、ドラマーを募集したところ、応募してきたのがランドル・マーシュだった。そのマーシュのルームメイトだったのがマイク・キャンベルで、ここにマッドクラッチのメンバーが揃ったのである。
 ただ、マッドクラッチが LA に拠点を移したときには既にレドンは脱退しており、この第一期マッドクラッチで、正式メンバーとしてレドンと、ベンモント・テンチが同時に在籍したことはないと言うことになっている。
 ただし、ベンモントは学校の休みで帰省するたびにマッドクラッチのライブに加わっていたので、後年マッドクラッチが再結成するまでベンモントとレドンに面識がなかったとは思えない。

 マッドクラッチの物語が面白いのは、30年の時を超えて再結成し、アルバムを二枚製作し、ライブツアーをしたことだ。
 そもそもは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ結成30周年のドキュメンタリー映画を作成するにあたって、レドンとマーシュにインタビューをする機会があり、ついでに昔のメンバーで再結成してしまうという、なんだかおとぎ話めいた経緯がある。
 これは想像だが、マイク・キャンベルが運動したのではないだろうか。「面白そうじゃん」などど言って。彼は寡黙で大人しいという印象の人だが、実のところかなりの人誑しであり、バンド仲間に引き入れたり、自分がメンバーになったりすることが、一種の特技とみている。

 とにかく、マッドクラッチは21世紀に再結成をして、素晴らしい音楽活動を行った。レドンにとって、30年の時を超えてそんなことが起きるとは、想像もしていなかっただろう。若かった頃の友達が大成功してスターになったのを、遠くで眺めているだけの人生ではなかった。
 ロックの歴史の中で、キラリと光る素敵な話の構成員であり、人生の面白さを体現してくれた人だった。大スター、トム・ペティを産みだした人の一人でもある。
 きっといまごろ、また「トムトム」が楽しく揃って、ジャムでもしているだろう。

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