アンドレ・プレヴィン2009/02/28 00:04

 24日に、私にとって9年ぶりとなるエリック・クラプトンのライブに行った。クラプトンはイメージ通りだったし、曲目も良かった。1970年前後の曲が好きなのだ。
 しかし、彼が連れて来たもう一人のギタリストには、困惑してしまった。彼は既に名を成しているギタリストだそうだが、24日のプレイを聴く限りでは信じられない。よほど調子が悪いか、アクシデントがあったか、決定的に音楽価値判断基準が私と合わないのだろう。

 本題。
 1929年生まれのクラシック指揮者,ピアニスト、そしてジャズの巨匠としても知られるアンドレ・プレヴィンが、この秋からN響の首席客演指揮者になるそうだ。
 プレヴィンは、異なる二つのジャンルにおいて巨匠たり得た、稀有な人物だ。クラシック界の巨匠は、同時に1960年までにモダン・ジャズ・ピアニストの天才として名が知れ渡り、数々の録音を残している。
 作曲家として、「オーケストラの少女」,「マイ・フェア・レディ」などの数多くの映画音楽を手掛けている。ロック・オペラとして名高い「ジーザス・クライスト・スーパースター」も彼の作品だ。
 指揮者としては、1968年から1979年までロンドン交響楽団の音楽監督を務めたのをはじめ、世界のオーケストラと共演している。

 しかし、私がプレヴィンに魅かれる一番の理由は、正直言って彼の音楽的才能ではない。イギリスの有名なコメディ番組に出演して大活躍したからだ。
 ビートルズも出演した、マーカム&ワイズ(「アンソロジー」にも収録されている)。1971年に出演したプレヴィンは、グリーグのピアノコンチェルトをめぐるスケッチで名演を見せた。



 まず、名前は「アンドリュー・プレビュー」のはずだが、その名前がコロコロかわる。ソリストがピアノを見失い、出だしが分からなくて指揮者が飛ぶはめになる。やっと合ったかと思ったら、巨匠曰く「それ、音が全然違う。」すると、ソリストは傲然と巨匠の胸倉を掴み、「音は合っている!ただ順番が違うだけだ!」(そうか!)仕方がないので、巨匠がピアノを弾いてみせると、一言「へたくそ!」やがてグリーグは巨匠お得意のジャズになって、大団円。
 何と言っても、プレヴィンの芸達者ぶりがすばらしい。モンティ・パイソンのグレアム・チャップマンばりの名演技(容姿も少し似ている)。巨匠相手に容赦しないコメディアンたち。
 ロンドン交響楽団の音楽監督である以上、ユーモアを解し、コメディもこなさなければいけない。
 秋からのN響では、どんな活躍を見せてくれるのか、楽しみだ。