Hold on, I'm Comin'2025/02/26 20:05

 ひさしぶりに新宿に行ったので、ディスクユニオンを覗いてみた。まず、トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズのボックス,[Playback] がないかチェックし、次はケルティック・ミュージックをチェック。あまり収穫はなかったが、スウェーデンのフィドル・デュオと、Four Men and a Dog のベスト版を購入した。
 後者は存在を知らなかったのだが、なかなかの収穫だった。アイリッシュ・トラッドミュージックに、ロック、ポップ、ジャズ、ソウルなどを織り交ぜたバンドで、構成がうまい。特に、サム&デイヴの "Hold on, I'm comin'"のカバーが素晴らしかった。



 組み合わされているアイリッシュは、"Congress Reel" 素晴らしいコンビネーションで、とても気に入っている。
"Congress Reel" は何年か前に Poitin の演奏がすごく有名になり、私もティン・ホイッスルで挑んだものだ。



 "Hold on, I'm Comin'" はサム&デイヴによる1966年のソウルの名曲。バックを務めているのは Booker T.& the M.G's とのことで、さすがの上手さだ。



 この印象的なイントロはよく耳にするが、動画を見ていて感心したのが、ブルース・ブラザーズ・バンドのバージョン。かなり切れがあって早い。さすが BBB。これまた手練れの演奏だ。

Last Dance2024/12/09 19:56

 2024年のF1 GPが全戦終了。コンストラクターズ・チャンピオンにはマクラーレンが輝いた。ランド・ノリスの Pole to Win は圧巻で、来年のさらなる活躍を予感させるものだった。いまから来シーズンが楽しみだ。ただ、ランドは性格が良すぎるのが心配。あのセバスチャンだってアレコレやらかしている。gentle 過ぎると、F1 ワールド・チャンピオンにはなれない。それとも、あの良い性格のまま、ぶっちぎりで勝ち逃げてくれるか。それはそれで、私の心が穏やかで良いのだが。
 フェラーリの復活も今年を面白くしてくれた。二人のドライバーがどちらも脂ののった時期にきていたし、フェラーリ名物の不手際も最小限で、良かったと思う。
 レッド・ブルは前半に絶対的な強さを誇り、後半は強いのか弱いのかよく分からず、ドライバーによるのか、何かうまくマネージメントされていないのか、不思議な展開だった。こういうF1 の政治、経済、テクノロジーが現代の最高次元で駆使されつつも、びっくりするような失敗や悪循環があるようなところが好きだ。

 ルイス・ハミルトンは長年共に戦い、6度のワールド・チャンピオンとなった、メルセデスでの最後のレースとなった。特別なお別れセレモニーも許可されており、やはり格が違う。うっかり、引退でもするのかと勘違いしそうだが、来年はフェラーリ。サインツを押し出しての移籍だ。色々な意味でドキドキする。
 
 同じ週末に、フィギュアスケート・グランプリ・ファイナルが行われた。男子のフリーの録画を失敗するという凡ミス…!佐藤のフリー、見たいぞ!
 女子は、我が坂本花織が珍しく大舞台でミスり、男女ともアメリカが勝つという近年では珍しい展開になった。ジャンプはもちろんだが、調子の良い時に比べて、完成度がイマイチ。まぁ、坂本にも調子の悪いときはある。彼女が完璧な演技を揃えたとき、グレンがどんな点をたたき出すのか、二人の勝負が楽しみだ。グレンには 3Aというかなり確実性の強い必殺技があるが、演技構成的には坂本に劣る。世界選手権では良い勝負になるのではないだろうか。

 今回のGP ファイナルで目立ったのは、なんと言っても女子2位の千葉百音だろう。あのコーチのところの選手としては、例外的にけっこう好き。特に今年の SP は凄く良い ―― というか、今年のGPシリーズの選曲のなかで、一番良いのが、千葉のSP ドナ・サマーの "Last Dance" だ。
 調べてみると、1979年のヒット曲とのこと。いかにもこの時代の最先端ポップスで、特に後半にアップテンポになるところが格好良い。千葉はかなり頑張っているが、もっと!もっと弾けて良い!こういうのは、高橋大輔、鈴木明子、友野一希という、私のなかの「三大ダンサー」を見習って、ぶっ飛ぶくらい弾けなきゃ!
 日本選手権が楽しみだ。

Stories We Could Tell2024/11/10 19:54

 例のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式が YouTube にアップしている、"French TV" とやらの、"Stories We Could Teell" ――



 この演奏の初出はいつだろうか? [Playback] に収録されていたかどうかの記憶があいまい。ライブ音源にもこの曲はあるし、この "French TV" の断片も、いろいろなところで見る。
 やはり印象的なのは、スタンとトムさんの素晴らしいヴォーカル共演だろう。スタンがいかに優れたシンガーであり、トムさんにとって大事な存在だったことが分かる。
 そのトムさんとスタンをニコニコしながら見ているマイクも好きだ…

 この曲のオリジナルは、ジョン・セバスチャンがエヴァリー・ブラザーズに提供したものだそうで、ここではセバスチャンの演奏をきいてみる。



 トムさんたちよりもややのんびり気味で、美しさが際立つ。

 再びこの曲が私たちの胸を打ったのは、2022年である。マイクのダティ・ノブズのドラマーを臨時的にスタンが務めたとき、マイクとスタンがワンマイクで "Stories We Could Twll" を歌ったのだ。グダグダな演奏だが、ひどく感想的だった。

Besame Mucho2024/10/14 20:36

 ブライアン・エプスタインの伝記映画、"Midas Man" の予告を見ると、"Besame Mucho" が使われている。ビートルズのオリジナル曲は使われていない。
 うーん、見る限り Sgt. Pepper あたりまではストーリーに含まれているようなので、さすがにビートルズ・オリジナル曲を使わずに進行することは無理だと思うのだが … オリジナル曲無しで押し切ったらそれはそれで凄い。



 "Besame Mucho" というのは1930年代にメキシコで作曲されたスペイン語の曲だが、誰がオリジナルのかというと、Consuelo Velázquez という人らしい。しかし YouTube でオリジナルの音を探そうとすると、結構難しい。小野リサが真っ先にあがってきたりする。
 別にオリジナルにこだわることはないが、せめてスペイン語で歌っているのが聞きたいと思ったら、見た目からして絶対にメキシコのお方登場。



 どうしてこの曲をレコード・デビュー前のビートルズが得意ナンバーにしていたのかはよく分からないが、とにかくデッカ・オーディションではこの曲が演奏された。



 ビートルズの魅力が十二分に発揮されているかというと、やはりそうはいかないようだ。ジョージ・マーティンもこの曲はレコーディングで却下してしているし、ピート・ベストもビートルズに残ることは出来なかった。
 こちらは、たぶん90年代。アンソロジーの後で、ポールがメキシコのテレビ番組に出演したのかな?さすがに恥ずかしそうにしている。「やめてくれ~」という感じだ。

Heavy Trip2024/10/08 21:12

 2018年のフィンランド映画 [Heavy Trip ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!] を見た。Amazon Prime レンタル。500円なり。
 実ににひょんなきっかけだ。ブライアン・エプスタインの伝記映画が紆余曲折の末にやっと出来たらしく、YouTube で予告編を見ていたら、どうやら私が映画に興味があると判断されたらしい。その流れで[Heavy Trip] の続編のトレイラーが目に入り、なんだか面白そうなので、オリジナルを見たという次第。

 北欧メタルという言葉があるとおり、フィンランドにもヘヴィ・メタル(スラッシュ・メタル?デス・メタル?詳しくは知らない)バンドが結構あるそうだ。
 この映画の中心は、ある田舎町(村)の友達同士で組んだ素人メタルバンドが、いろいろ誤解や行き違いがあって、ノルウェーのメタル・フェスへの出演をもくろみ、突っ走るというストーリーである。トナカイ粉砕!



 この、最初は名前のない素人バンド、根が真面目で練習熱心なので、演奏そのものはけっこう上手い ―― と、思う。何せジャンルがジャンルなので、演奏するたびに大笑いしてしまうのだが(ごめんなさい)、とにかく腕は良いのだ。
 しかしフロントマンからして生真面目でシャイ。野望とはほど遠い、大人しい好青年なのだ。バンド仲間も、みんな好人物で真面目。穏やかで物静かで、真面目というフィンランド人の一つのイメージにぴったりきていた。でもメタル。
 初めて作ったオリジナルソングの出来が上々で、これならフェスに出られると思ったところから、メンバーは活動を活性化する…のだが、その方向性がすこしおかしい。
 一番好きだったのは、ベーシストのパシ。頭脳明晰で天才肌、冷静沈着で無表情、でも行動が突き抜けている(当然のようにキミ・ライコネンが思い浮かぶ…)。その徹底したところが、かえって可笑しくで最高だった。

 悪役としてイヤミなムード歌謡歌手(?)が出てくるのだが、ジュリアン・バラットにそっくりでツボにはまってしまった。演技もそっくり。
 さらに、ノルウェーの(一部の)国境警備隊が完全なるアホで、平和そのもの。警察や軍隊を巻き込んだ展開は、ブルース・ブラザーズをなぞる王道だ。
 
 妙なところで感心したのが、さすがフィンランド、教育水準が高いというところ。どんな職に就いていようが、どんなにチンピラだろうが、ある程度以下の年齢の人は、ごく自然に英語が話せる。ノルウェー人ともナンの不自由もなく、英語でコミュニケーションを取る。新作はドイツのフェスが舞台になるとのこと。ここでも英語能力が生きるだろう。

 メタル、フェス…というと、ドイツ語の高橋先生を思い出す。先生の感想を聞きたい。
 第二作を映画館で見るというのはさすがにないが、Amazon Prime で見られるようになったら、見るだろうな。

Sail Away2024/06/21 19:55

 マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜 [Vagabonds, Virgins & Misfits] の到着を待ってウキウキしていたのだが、いつまで経っても届かない。しまいにはアマゾンから、在庫切れのため8月10日到着予定などとひどいことを言われて、発狂している。
 いっそUSのアマゾンで買うか。MP3で二重に購入しても良いのだが、やはりあのCDを挿入して、ちゃんとしたオーディオから聴くとう手順を経たいのだ。
 我慢がいつまで続くやら。

 携帯音楽プレイヤーには、もう処分してしまった CD の楽曲もいくらか残っている。そいう曲の中で、ハリー・ニルソンの "Sail Away" に強い感銘を受けた。
 CDを確認してみると、どうやら彼のアルバムは全て処分してしまったようだ。大袈裟なオーケストレーションは好きではないが、ハリー・ニルソンの絶唱は賞賛に値する。



 オリジナルはランディ・ニューマンの作詞作曲。
 美しい音楽とはうらはらに、歌詞はかなりきつい。人類の愚行をその当事者になりきって歌い上げ、強烈に皮肉っている。なかなか思い切った試みで、ランディ・ニューマンの肝の太さ、詩人としての覚悟が分かる。
 ロック史でもっとも優れた楽曲の一つであるディランの "Like a Rolling Stone" も、けっして愛や夢、希望そういう明るく楽しいテーマではない。いわば人生の苦難を「当事者になってみてどうだ」という痛烈な皮肉をあれだけの名曲に乗せて歌い、叫んだのだから、改めてその凄さを思い知らされる。

I Believe in You2024/05/30 20:41

 引き続き朝ドラにはまっている。私としては本当に希なことで、よほど良く出来ているのか、私が弱っているのか、その両方か。
 今日も例の "You are so amazing" が使われて、大泣きしてしまった。

 "You are so Amazing" が最初に使われたとき、私は既存の何かの曲だと思った。どこかで聴いたような曲に思えたからだ。
 音楽を聴いて「良い」と感じるときは、大抵じぶんが慣れ親しんだ、好きな音楽に類似しているということは、音大時代に音楽心理学講義で習った。親しみが好印象と結びつく一方、耳慣れないものの連続は冗長と感じられるからだ。音大の作曲科の学生がピアノの弦を棒で叩く的な「オリジナリティ豊かな曲」を作ると、聴いていられないシロモノであるのはそういうわけだ。

 "You are so amazing" を鼻歌で歌って、私の記憶の中のメロディは何だろうかと思ったら、存外簡単にボブ・ディランであることが分かった。
 1979年のアルバム [Slow Train Comming] の収録曲 "I Believe in You" がそれだ。もちろん、"You are so Amazing" の方が繊細で複雑な曲の作りをしているが、メロディラインの所々が、ディランに似ているようだ。

 [Slow Train Comming] はディランの「キリスト教時代」の作品で、"I Believe in You" の "You" がキリストのことなのか、愛する人なのか(キリスト教徒にとってはイエスこそが愛する人なのだろうが)。私は平均的な日本人の宗教観なので、この曲の "you" は身近な誰かだと解釈している。
 ディラン様、Aメロは優しく、ブリッジは絶叫系。格好良い。ジョージを彷彿とさせるスライド・ギターを弾いているのはマーク・ノップラーだろうか。



 ライブでのパフォーマンスとなると、"You are so Amazing" のかけらもないようなド迫力なので共通点が薄れる。
 とはいえ、私はあるメロディを聴くと、けっこうすぐに「アレに似ている」と言い当てる名人らしいので(ティン・ホイッスルの先生曰く)、この二曲は同類項として整理しておくことにする。

You Are So Amazing2024/05/26 21:41

 珍しく日本のドラマを見ている。しかも朝ドラだ。
 主演の伊藤沙莉が好きなのと、法曹界を描くので、裁判物として楽しめるだろうと期待している。
 先週の金曜日、珍しく歌詞つきの曲が BGM として挿入された。それが素晴らしく良かった。シーンとしては、太平洋戦争末期、徴兵された夫が、妻と幼い娘に別れを告げるという、いわば「ベタな」ものだが、それでも穏やかで美しい曲調に感動してしまった。

 その曲を確認してみると、ドラマの音楽担当である森優太が作り、スチュアート・マードックが歌った、"You are so amazing" という。早速 iTunes で購入した。
 この曲は、ドラマのサウンドトラックの中でメインテーマに位置しているらしい。
 ドラマのテーマは、女性差別と戦い、乗り越え、力強く未来を掴む強い女性達の活躍だ。しかし、その一方で彼女たちも得るもの、失う物、傷つくこと、悲しむこともある。強い人間にはそんな弱さなんてないと思われがちだが、強くあろうとする人こそ、その弱さが哀しい。その哀しさを "You are so amazing" という美しい曲で表現していると思う。

 スチュアート・マードックのことは知らなかったのだが、スコットランドのベル&セバスチャンズというバンドヴォーカルとのこと。
 ちょっと聴いてみると、なかなかに素敵なバンドではないか。アルバムも買うかもしれない。マードックの優しい歌い口がこの曲にぴったりだった。

The Hu2024/05/03 19:19

 以前から気になってはいたが、かといってファンだというわけではないので記事にしていなかったのが、モンゴルのロック・バンド、ザ・フー。The Hu, Хү хамтлаг と表記するらしい。
 音楽的にはヘヴィ・メタルと言って良いと思うが、特徴的なのがモンゴルの伝統的な楽器のモリンホール(日本人にとっては馬頭琴のほうが分かりやすい)や、鼻を使った歌唱の一つであるホーミーを多用していることだ。
 まずは一曲。



 歴史的なイメージをゲーム的(もしくは中二病的?)に増幅した雰囲気。草原のチェロこと、モリンホールも原型をとどめていないが、これはこれなりにアリだと思う。
 何せヘヴィ・メタルっぽいので重苦しい曲が多いのだが、こちらは思いっきりポップスに振り切った曲調。80年代風だろうか。



 一応、「アコースティック」なパフォーマンスもあって、こちらの方が草原のチェロの良さが良く出ている。それにしても着ているTシャツがかなり偏っている。趣味がはっきりしていて、むしろ好感が持てる。
 このバンドのどこに惹かれるのかといえば、たぶん民族音楽の旨いところ取りの妙と、器楽好きの琴線に触れるからだろう。

Why Didn't They Ask Evans2024/03/10 16:25

 アガサ・クリスティのファンなので、映像化はそこそこ見るのだが、近年の映画もテレビも不作続きである。ケネス・ブラナーの映画も、ジョン・マルコビッチのテレビも最初の作品で見る気を失った。
 今夜から NHK で、いわゆるノン・シリーズの「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」の放映が始まる。あまり期待していなかったのだが、制作がヒュー・ローリーだときいて俄然興味が湧いた。彼も出演するし、エマ・トンプソンまで出演するというのだから、必見である。



 ヒュー・ローリーといえば、ブリティッシュ・コメディ界の大スター。名門ケンブリッジ大学のフットライツ出身で、盟友のスティーヴン・フライとともに名作スケッチの数々を生み出した。ちなみに、エマ・トンプソンもフットライツ以来の盟友である。ローリーはコメディのみならず、医療ドラマの主演を経て俳優としても活躍している。

 ローリーの良いと思うところの一つが、音楽が得意なところだ。ギターもピアノも玄人はだし。
 以前も貼り付けたことがあるこちらの [Protest Song] というスケッチでは、ボブ・ディランのパロディとおぼしきミュージシャンが活躍する。



 歌詞の肝心な所を忘れてしまい、適当にごまかすのが最高。
 もう一つ面白かったのが、F1 ウィナーのインタビュー。最初に挿入される映像を見ると、80年代末頃かな?面白いことに、ボソボソとしたしゃべり口がキミ・ライコネンに、姿は痩せすぎたセバスチャン・ベッテルに似ている。要するに好きだ。



 ひどく後ろ向きなウィナーに、どうしても "happy" と言わせたいインタビュアーがどんどんエスカレートする辺りは、[Dead parrot] を彷彿とさせる。ローリー&フライのスケッチは、最終的に切れたフライがローリーをぶん殴って終わらせることが多い。

 今夜からの放映は、ブリティッシュ・カルチャー好きを満足させることが出来るのか?要チェックである。