Ludwig van Beethoven2015/12/17 22:04

 今日はベートーヴェンの誕生日だ。
 日本ではルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンと呼ばれるボン出身のこの音楽家は、1770年12月17日に生まれたことになっている。はっきりとした日付の記録があるのか、洗礼記録か何かから推測しているのか、その辺りはよく覚えていない。

 ベートーヴェンは、ビートルズと似ていると思う。
 双方ともに、べらぼうな天才だったこと、その音楽は世界に、後世に、凄まじい影響を与えたこと、そして当人がそれを強く自覚していたこと。自信にあふれ、こわいもの無しで、説得力の塊だった。

 そして、ベートーヴェンも、ビートルズは「親しみやすさ」がひどく似ている。ボブ・ディランはビートルズを評して「ほかにはない親近感と仲間意識を感じさせるグループだった」と表現している。
 ビートルズと言えば、多くの人がマッシュルーム・カットの可愛い四人組の男の子をイメージするのと同じように、ベートーヴェンと言えば、多くの人がボサボサ頭の仏頂面を思い浮かべるだろう。ビジュアルからして、すでに良く知られている。
 しかも、エピソードも多い。マスコミが血眼になってビートルズを追ったために、私たちは膨大な映像や画像、音声でビートルズを知っている。ベートーヴェンは耳が悪かったこともあり、会話帳が残され、手紙も沢山残っている。変わり者だが友人も多かったので、エピソードには事欠かない。ベートーヴェンは、ほかのどのクラシックの音楽家達よりも、イメージしやすい存在 ― 要するにキャラが立っているのだ。

 音楽的にも、「親しみやすさ」で両者は共通している。ビートルズがポップでキャッチーな音楽を多く送り出したように、ベートーヴェンの音楽も、印象に残りやすい、口ずさみやすい、曲ごとの特徴が鮮やかで、分かりやすい。要するに、「ポップでキャッチー」なのだ。「運命」の主題など、ビートルズより有名だろう。
 先達の音楽を上手く消化吸収し、それらを壊すことなく、鮮烈に独自の表現にして華々しく送り出していく。決して難しいものでも、前衛的なものでもない。ひどく新しいようで、でも実はよく知っている、「親しみやすい」響きなのだ。
 表現の上手さは、ずるいほどだ。音大時代、和声を教えてくれた作曲家の先生が、「運命」の第一楽章に関して、笑いながら「同じ和音を12回も鳴らすだけなんて、ずるくないか?」と言っていたことを思い出す。ずるいかもしれないが、それをやってのけた人は結局、ベートーヴェンなのだ。

 ベートーヴェンは、彼自身が卓越したピアニストだったため、ピアノの作品を多く残している。私程度のピアニストでも、子供の頃から散々世話になっているし、これからもそうだろう。
 ベートーヴェンでお勧めの曲を一曲だけ挙げろと言われると難しいようで、私にとってはそうでもない。ピアノを堪能できて、オーケストラの壮大さも味わえる、ピアノ協奏曲が良い。しかも、思い切りポップでキャッチーな。
 そのようなわけで、ピアノ協奏曲第五番「皇帝」。クリスティアン・ツィメルマンと、レナード・バーンスタイン、ウィーン・フィルハーモニー。さすがにツィメルマンも若々しく、溌剌としている。例によって、終わった時のマエストロのハグが熱い。