The Composer2015/10/01 22:47

 スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの曲のなかで、彼らの代表曲の一つには挙げられないが、個人的に好きな曲として、"The Composer" という曲がある。
 驚いたことに、YouTubeをざっと見渡しても、スモーキー・ロビンソンのバージョンのこの曲がアップされていなかった。

 まず歌詞がとても素敵だ。
「きみは韻の踏み方なんて知らないし,音楽的な知識もない。四分音符とか、拍子のことなんて、ギリシャ語みたいに思えるだろうけど。でもきみがつくるメロディはなんて心に深く染みこむのだろう。きみはぼくの心で聴く歌の作曲家」
 
 スモーキー自身が偉大なソングライター。リズムと、美しい歌詞が、明るく軽やかなメロディに調和する曲を多く書いている。

 この曲をスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズで録音するのは1969年だが、ダイアナ・ロス&スプリームスも同年、彼らより先に録音している。こちらのバージョンの方が有名なようだ。



 ゴージャスでややオーバー・プロデューシング気味だろうか。一応ヒットしたようだが、彼女たちの他のヒット曲に比べると、「それほどでも無い」らしい。スプリームス自身も、一種の「失敗作」のように捉えていたらしきコメントを見たことがある。
 個人的にはとても好きだ。ダイアナ・ロスの愛らしい歌い方が、サビなどでいかされている。

 スモーキーの方のバージョンを貼ることができないのが残念。ぜひとも聞いて欲しい曲だ。収録アルバムは、[Time Out for Smokey Robinson & The Miracles](1969)

 スモーキーの動画をアレコレ探していたら見つけたのが、これ。1993年に、スモーキーが初めて親友のアレサ・フランクリンとテレビで共演した時の様子。
 スモーキー80年代のヒット曲"Just to See Her"(彼は作曲には関わっていない)。
 アレサとスモーキーなんて、間違いない取り合わせ。圧巻だ。

Bizet:Symphony No.12015/10/04 14:54

 事情があって、ビゼーの交響曲1番(C dur) を聴いている。事情というのは、そのうち説明するだろう。

 フランス人作曲家,ジョルジュ・ビゼー(1838-18785) と言えば、なんといってもオペラ「カルメン」だ。そして、「カルメン」以外は、せいぜい「アルルの女」くらいしか知られていない。もう一つ、「美しきパースの娘」のうちの一曲が日本語の歌曲になって有名なくらいだ。
 もっと長く生きていれば、ヴェルディやプッチーニのようなオペラの大家としてもっと有名になっていたかも知れない。しかし、「カルメン」のような作品を一つでも世に送り出したなら、作曲家として幸せな方だろう。
 もっとも、ビゼー自身は「カルメン」初演後すぐに亡くなっており、当初の不評しか知らなかった。後に「カルメン」を知らぬ人はいないほどの作品になるとは、夢にも思わなかっただろう。世に出した当初の批評など、気に留めるほどのことも無いのだという好例。

 さて、交響曲1番は、ながらくその存在が知られていなかった。どうやら、ビゼーがパリ音楽院に在学中,17歳の時に書かれた物で、勉強中の習作といったところだろうか。作曲者自身が世に出す気がなかったようだ。
 その楽譜が、作曲者の死後60年ほどして発見され、1935年の初演を迎えた。
 私が買ったのは、オトマール・スウィトナー(1922-2010)指揮,ドレスデン・シュターツカペレの演奏で、1972年の録音。別にどの版でも構わなかったのだが、アマゾンの検索でトップにあがり、在庫していたのでこれにしたというだけ。
 同時に小澤征爾のものも候補にあがったが、ジャケットの趣味が悪かったので、スウィトナーにしただけで、深い理由はない。



 17歳の少年が作ったとは思えない、堂々たる交響曲だ。さすがに憧れの作曲家達の影響からは逃れきっては居ないが、その好ましい影響力が清々しくあらわれている。
 全体的にロッシーニ風の軽やかで躍動的な、陽気な雰囲気。ロマン派的な叙情性は第二楽章に反映されている。特にこの第二楽章、オーボエのたっぷり取ったソロから展開してゆく心地よさが良い。
 第三楽章のスケルツォもなかなか素敵な曲で、何回か出てくる、コントラバスの低い刻みが格好良い。
 第四楽章はちょっとモダンなモーツァルトという感じだろうか。オペラ・ブッファの序曲のようなウキウキさせる力に満ちている。最後の和音をあと何音か鳴らしていたら、本当にモーツァルトっぽくなるが、そこはスパっと、ややせっかちに終わらせる初々しさも良い。

 「カルメン」しか知らなかったビゼーについて、こう言う曲もあったというのは嬉しい驚きだ。
 なんでも、ビゼーはピアノの名手であったらしく、多くはないが作品も残している。グレン・グールドが「半音階的演奏曲」を録音しているとのことなので、いつか聴いてみたい。

Which Beatle Are You?2015/10/07 21:56

 「あなたはどのビートルズのメンバーと性格が似ているか?」を診断するクイズ♪

 記事によると、英国文化好きのアメリカ人のためのサイトBBC America.com なるものがあり、そこで九つの質問に答えて、あなたがビートルズの誰に性格が似ているか診断するのだと言う。

 まずはっきりさせたいのは、私はこの手の性格判断なるものには全く興味が無いということ。血液型性格判断の話をする人に至っては、即、話のつまらない人間と断定している。
 だがしかし。相手はビートルズである!どうしよう。
 そりゃぁもちろん、自分がジョージに性格が似ているなどと、図々しいことは期待していない。しかし、「あなたの性格はポールに似ています」と診断されたときの精神的ダメージの大きさを思うと、恐ろしくてチャレンジできない!
 でもまぁ。そもそも、この日本語の記事では…

あなたはシニカルな突っ込み体質のジョン?
それともチャーミンングなレディ・キラーのポール?
それとも寡黙な皮肉屋ジョージ?
いや、それとも庶民派コメディアン体質のリンゴ?


…などと、ツッコミどころ満載のビートル性格分析になっているではないか。BBC America.com では、ジョンは "cynic"(皮肉屋), ポールは "the charmer"(魅力的な人),ジョージは "sardonic"(冷笑的),リンゴは "down-to-earth clown"(そこらにいそうな道化役) となっている。やっぱり色々間違っていると思う。
 そりゃぁ、私はFAB4を個人的に知っているわけじゃないけど。この手の話に、それは重要じゃないだろう。

 前置きが長くなったが。要するに、やってみた。

Personality Quiz: Which Beatle Are You?

 そもそも、性格判断なんていい加減な物なので、質問もなんだか良く分からん。男性を対象にした質問もある。
 そして結果は…

Your result: Congratulations! You are Ringo

 ちょっと待て。
 「おめでとうございます」って何だ?
 リンゴだから「おめでとうございます」なのか?他の誰か(ポール)だったら、「お気の毒でした」とか言われるのか?
 とにかく、精神的ダメージは避けられた。少なくとも、リンゴならジョージにべらぼうなほど好かれるだろうし。良い事にする。

 どうせなら、「あなたはウィルベリーズの誰に性格が似てる?」とかやれば良いのに。ハートブレイカーズでも良い。

Watson and Dylan2015/10/10 22:01

 IBMが開発した Watson は人工知能のような物だと思うが、Wikipediaによると、IBMは「自然言語を理解・学習し人間の意志決定を支援する」システムと説明している。
 要するに、「質疑応答」システムで、機械との会話でありがちなトンチンカンなやりとりを解消しようという試みだろうか。
 ミステリー・ファンとしては、Watson という名前に凄く意味がありそうだが、何のことはない、IBMの創業者から取った名前とのこと。

 IBM Watson のCMで、Watsonがボブ・ディランと共演している。



 「ボブ・ディランは私の言語能力を向上させてくれる。あなたの詞を全て読みました」と言うWatsonに、ディランが「全部?」と聞きかえす。1秒で数百ページの言語を読み込むことが出来ると知ると、「早いな」というディラン。
 Watson は歌もうたえると言う。「歌える?」とディランが聞きかえすと…というオチ。
 いきなり、ディラン様がギターを持って登場し、身を乗り出す!おお、ギター!やっぱりディラン様にはギターですよ!弾くのか?!弾きますか?!…持ってきただけだった。
 ディランの明るいところで見ることはあまりない。でもこの明るい画面の中で、その青い瞳の美しさが際立つ。

 ディランと言えば、1965年から1966年のアウトテイクを収録した、[The Cutting Edge] から、"Sitting on a Barbed Wire Fence - Take 2" が公開されている。



 ちょぉっと素っ頓狂な…何か食べたか、吸ったか?ヒヤヒヤ…。とにかくかなりハイなディラン様。なかなか聴けないようなシャウトが、ビックリだけど格好良い!最後は、"Fade out!" と叫ぶ。
 18枚組がどんな濃度の構成になるのかはともかく、少なくともハイライトだけを集めた2枚組は、こんな凄い音が詰まっているに違いないと期待している。

 ディランは10月1日ノルウェーのオスロから、ヨーロッパ・ツアー再開。11月下旬まで、元気に頑張って欲しい。

The Mousetrap2015/10/15 22:26

 舞台作品のロングラン ― しかも世界最長記録を持っているのは、ロンドンで上演が続いている、[The Mousetrap] 。邦題では「ねずみとり」と言う。原作はアガサ・クリスティ。

 舞台は、マンクスウェル荘というゲストハウス。ホテルに近い下宿屋といったところだろうか。結婚から1年、モリーとジャイルズがこのゲストハウスを開業したその日、予約客達がやってくるが、降り続く雪のため、孤立状態になる。さらに、雪道で立ち往生した旅行者も含め、主人夫妻と、5人の客があつまる。
 そこへ、警察から一人の刑事が派遣されてきた。刑事の説明によると、ロンドンで起きたある殺人事件と、このゲストハウスに何らかの関係があるのだと言う。やがて電話までもが不通となり、完全に外界と遮断されたゲストハウスで、事件が起きる ―



 いわゆる「クローズト・サークル物」の典型。
 クリスティは、1947年に小説 [Three Blind Mice] 邦題は「三匹の盲目のねずみ」を執筆。これを原作として、1950年に舞台化したのが[The Mousetrap]で、それ以来65年にわたって上演され続けているのだ。
 そもそも、「三匹の盲目のねずみ」というのは、UKで有名な童謡,マザーグースの一曲だ。
 よくあることだが、歌詞がやや不気味。

Three blind mice. Three blind mice.
See how they run. See how they run.
They all ran after the farmer's wife,
Who cut off their tails with a carving knife
Did you ever see such a sight in your life
As three blind mice

三匹の盲目ねずみが走る姿を見てごらん
農家のおかみさん、ねずみを追っかけ
ナイフでしっぽをちょん切った
そんなの見たことがあるかい

 この曲の動画をはりたいのだが、どうにもろくなバージョンがない。



 クリスティお得意のマザーグースの歌詞をミステリーに取り込んだ趣向で、舞台化したときに、[The Mousetrap] に改題された。
 [The Mousetrap]「ねずみとり」というのは、シェイクスピアの「ハムレット」に登場する。ハムレットが父の仇である伯父に、奇妙な演劇を見せたとき、伯父にそのタイトルを訊かれて答えるのが、"The Mousetrap"。敵である伯父を罠にはめようとする意図が隠されている。
 クリスティの舞台作品に「ハムレット」は直接的には関係しないが、舞台作品の題名としては秀逸だ。

 なにせ60年以上もロングランを続ける名作演劇作品だ。クリスティ・ファンとしては、一度は必ず ― いや、二度は見たい作品だろう。

London 20152015/10/18 22:31

 明日から五泊でロンドンへ行く。

 今年はTP&HBのツアーもなく、遠征は無し。とは言え、TP&HB以外のコンサートを見に、しかも一人で気ままに旅行をするのも良いなと思った。
 最初に画策したのは、10月のニューヨーク。去年のニューヨークでやはりここが好きだと自覚。カーネギー・ホールで、マウリッツオ・ポリーニのピアノリサイタルがあるという。これは見たい!
 ところが、ニューヨークはやはり手強い。一人で、安全で便利なホテルに五泊となると、宿泊費だけで目玉が飛び出す。
 来年はTP&HBがツアーをする可能性もあるし、そうするとニューヨークも有力なので、今年は見送ることにした。

 次の候補は、もちろんロンドン。
 英国ミステリー,特にアガサ・クリスティのファンとしては、[The Mousetrap] の観賞は長年の夢だった。まずはこの舞台を見ることを旅の目標と定めた。
 なにせ [The Mousetrap] は最長上演記録保持作品だ。いつ行っても見ることが出来る。次に検討したのは、クラシックのコンサート。しかも世界有数のコンサート・ホールとして有名なロイヤル・フェスティバル・ホールで見てみたい。
 ドイツはゲヴァントハウス・オーケストラが来るという情報があり、かなり魅力的。しかし、それを凌駕したのが、23日のロンドン・フィルハーモニー・オーケストラの演目だ。これまでに記事にした、ラヴェルのピアノ・コンチェルトと、ビゼーの交響曲。そして、サン=サーンスの交響曲5番「オルガン」がという。
 「オルガン」は見たい!生で、素晴らしいホールで、是非とも見たい!この曲は音大の入学式で聞いて、その迫力に圧倒された。それを世界最高峰のオーケストラとホールで!これは贅沢だ。
 さっそく1階席を予約。

 さて、[The Mousetrap] と、ロンドン・フィル。仕事の関係も考えて、10月19日からの週にロンドンへ滞在と決まったわけだが…。
 偶然にも。偶然にも!ロイヤル・アルバート・ホールで、ボブ・ディランがライブをやる…。

 もちろん、ヨーロッパ・ツアーに出ることは知っていたし、ロイヤル・アルバートであることも知っていた。でも聴きに行く気は全くなかった。
 しかし!ここまで来て、ディラン様を見ずに、ロンドンを去るわけにはいかない。
 そのようなわけで、遅ればせながらディランのチケットを取った。もちろん、座席はソールド・アウト。最上階の立見席だけが辛うじて売っていたので、これを購入した。

 今回のロンドンは、[The Mousetrap] に、ロンドン・フィル、まだ行っていない美術館や、大聖堂。いつものお買いもの。そして気楽に、まぁ見えなくても仕方がない、たまたまロンドンに居るから…という理由で、ボブ・ディラン。

 意外にも、最初から最後まで一人きりの海外旅行は初めて。さて、どうなることやら。最近はまっているドラマ [Foyle's War] が見れたりすると良いな。
 ブログへのアップは…さて、これはよくわからない。ネット接続の環境がどうなるか不確定だし、私が機械音痴。あまり期待しないでほしい。

London 到着2015/10/20 03:46

 ロンドン到着。まずは色々お買い物。
 そして、明日のために偵察。迷わないように。

Savoy の裏手2015/10/21 23:03


50年以前ディランがビデオ撮影した所へ。
そして今夜はコンサート。

Bob Dylan at Royal Albert Hall2015/10/22 05:45


Bob Dylan at Royal Albert Hall

At Royal Festival Hall2015/10/24 06:21


London Philharmonic Orchestra
素晴らしかった!