Rock Legends ― 2015/11/05 20:29
日本のテレビで、めずらしくトム・ペティが紹介されるというので、喜び勇んで録画し、観賞した。BS日テレで放映された、「ロック・レジェンツ」。UKの番組だそうだ。
観賞した日本のファンたちの評価は、あまり芳しくない…らしい?アーチスト本人や、ハートブレイカーズ、直接の関係者のインタビューなどもないし、ワーナー以降の動画やライブ映像もないせいだろうか。
私はとても興味深く観賞した。登場するのはいずれもUKのメディア関係者,NME, BBC Radio, Evening Standard, Time Out の人々。アメリカではなく、UKの人から見たトム・ペティに関する考えを述べるのが面白かった。
トムさんがエルヴィスを見た時の話に関しては、エルヴィスに熱狂する人々をみて、スターになりたいと思った…という解釈に聞こえる。私の印象では、エルヴィスその人の魅力にひきつけられたという感じなのだが。
影響を受けたミュージシャンとして、ビートルズとストーンズが出てくるまでは普通だが、ザ・バーズがクローズ・アップされているのが嬉しい。音と画像で時間を割いているのが良かった。
NME,マクベイン君の発言内容が一番アヤシイのだが、中でもアヤシかったのは、「10代でLAに出てきた」というコメント。たぶん…違う。でも、マクベイン君の発言はアヤシイ一方で面白かったりする。
他の人のコメントで、「フロリダはロックに向かない」というコメントもあったが、やや手厳しいかも知れない。ゲインズヴィルもそれなりに良い環境だったと思うのだが。しかし、トムさんも言っていたことがあるが、「LA出身だ」というくらい、LAが長いのも事実だ。
"American Girl" が最高傑作であることを、時間をかけて力説していたのが嬉しい。ロマンスと臨場感、いかにもアメリカ的というコメントはとてもよく表現していると思う。
トムさんの最大の魅力が、そのヴォーカルであるというコメントもあった。独特のスラーがかかるというのだが、これは在りし日のジョージと同じコメントだ。もしかしたら、ジョージに影響されているのかも知れない。「もの悲しさはジェフ・リンの影響」というコメントもあるが、これは彼のプロデュース以前に、ELOを聴いていて受けた影響だと解釈するべきだろうか。
アルバムの値段のことで会社と対立したことに関連して、トムさんの「度胸のよさ」を表現したのも良かった。トムさんは大人しくて物静かでシャイだが、根性があるのだ!
"Don't come around here no more" に時間を割いているが、あのビデオの印象が強調されている。アリスがUKモノであるだけに盛り上がるのだろうか。
ディランとのツアーの前に、[Full Moon Fever] の話題になるのだが、ここは話がちょっと前後している。マクベイン君の、「マイク・キャンベルには不満があったようだ」とは、どういう意味だろう?私は、マイクは一緒にアルバムを作っていたのだし、ジェフから多くを学んで、良い体験だったと思っているのだが。
ディランとの写真が登場するのだが、これが格好良い。トムさんとディラン様が意気投合したのは、「二人とも独自性を重んじる、似たもの同士だから」とするコメントも面白い。
"Into the great wide open" ビデオの解釈が面白かった。二回目に出てきたタトゥーショップの客が、エディと同じタトゥーをしているというのは、初めて知った。この曲がスティーヴィー・ニックスのために書いた曲だというのは、初めて聴いた。忘れただけだろうか。
スーパーボウルへの出演に関しては、これで国内の人気を不動にしたと言っているが、これはちょっと違うだろう。それ以前に不動の人気を獲得していたからこそ、スーパーボウルに出たのだろう。
アメリカでは大きなスタジアムの大物ロック・バンドの印象だが、イングランドでは若手のお手本であり、彼らの憧れだという話が良かった。以前、レイザーライトのライブに行ったとき、彼らが登場する時に大音響で TP&HBの "American Girl" を流したのがその証明だったと思う。
最後の曲と映像は、"You got lucky"。 曲としてはそれほど良いチョイスではないが、トム・ペティひとりではなく、唯一無二、決して離れることのない最高のバンド,ザ・ハートブレイカーズとともに締めているのが好印象だ。
ペティ・フェストのように若手たちへの大きな影響を強調し、60年代のロックの精神を今に伝えているのが、トム・ペティ。字幕では長さの問題なのか、「バンド」とされているハートブレイカーズとの関係も強調して、短い番組は終わる。
デビューから30年以上たったバンドを30分以内にまとめるのは困難だが、独自のコメントとともに、それなりに面白い番組だった。
観賞した日本のファンたちの評価は、あまり芳しくない…らしい?アーチスト本人や、ハートブレイカーズ、直接の関係者のインタビューなどもないし、ワーナー以降の動画やライブ映像もないせいだろうか。
私はとても興味深く観賞した。登場するのはいずれもUKのメディア関係者,NME, BBC Radio, Evening Standard, Time Out の人々。アメリカではなく、UKの人から見たトム・ペティに関する考えを述べるのが面白かった。
トムさんがエルヴィスを見た時の話に関しては、エルヴィスに熱狂する人々をみて、スターになりたいと思った…という解釈に聞こえる。私の印象では、エルヴィスその人の魅力にひきつけられたという感じなのだが。
影響を受けたミュージシャンとして、ビートルズとストーンズが出てくるまでは普通だが、ザ・バーズがクローズ・アップされているのが嬉しい。音と画像で時間を割いているのが良かった。
NME,マクベイン君の発言内容が一番アヤシイのだが、中でもアヤシかったのは、「10代でLAに出てきた」というコメント。たぶん…違う。でも、マクベイン君の発言はアヤシイ一方で面白かったりする。
他の人のコメントで、「フロリダはロックに向かない」というコメントもあったが、やや手厳しいかも知れない。ゲインズヴィルもそれなりに良い環境だったと思うのだが。しかし、トムさんも言っていたことがあるが、「LA出身だ」というくらい、LAが長いのも事実だ。
"American Girl" が最高傑作であることを、時間をかけて力説していたのが嬉しい。ロマンスと臨場感、いかにもアメリカ的というコメントはとてもよく表現していると思う。
トムさんの最大の魅力が、そのヴォーカルであるというコメントもあった。独特のスラーがかかるというのだが、これは在りし日のジョージと同じコメントだ。もしかしたら、ジョージに影響されているのかも知れない。「もの悲しさはジェフ・リンの影響」というコメントもあるが、これは彼のプロデュース以前に、ELOを聴いていて受けた影響だと解釈するべきだろうか。
アルバムの値段のことで会社と対立したことに関連して、トムさんの「度胸のよさ」を表現したのも良かった。トムさんは大人しくて物静かでシャイだが、根性があるのだ!
"Don't come around here no more" に時間を割いているが、あのビデオの印象が強調されている。アリスがUKモノであるだけに盛り上がるのだろうか。
ディランとのツアーの前に、[Full Moon Fever] の話題になるのだが、ここは話がちょっと前後している。マクベイン君の、「マイク・キャンベルには不満があったようだ」とは、どういう意味だろう?私は、マイクは一緒にアルバムを作っていたのだし、ジェフから多くを学んで、良い体験だったと思っているのだが。
ディランとの写真が登場するのだが、これが格好良い。トムさんとディラン様が意気投合したのは、「二人とも独自性を重んじる、似たもの同士だから」とするコメントも面白い。
"Into the great wide open" ビデオの解釈が面白かった。二回目に出てきたタトゥーショップの客が、エディと同じタトゥーをしているというのは、初めて知った。この曲がスティーヴィー・ニックスのために書いた曲だというのは、初めて聴いた。忘れただけだろうか。
スーパーボウルへの出演に関しては、これで国内の人気を不動にしたと言っているが、これはちょっと違うだろう。それ以前に不動の人気を獲得していたからこそ、スーパーボウルに出たのだろう。
アメリカでは大きなスタジアムの大物ロック・バンドの印象だが、イングランドでは若手のお手本であり、彼らの憧れだという話が良かった。以前、レイザーライトのライブに行ったとき、彼らが登場する時に大音響で TP&HBの "American Girl" を流したのがその証明だったと思う。
最後の曲と映像は、"You got lucky"。 曲としてはそれほど良いチョイスではないが、トム・ペティひとりではなく、唯一無二、決して離れることのない最高のバンド,ザ・ハートブレイカーズとともに締めているのが好印象だ。
ペティ・フェストのように若手たちへの大きな影響を強調し、60年代のロックの精神を今に伝えているのが、トム・ペティ。字幕では長さの問題なのか、「バンド」とされているハートブレイカーズとの関係も強調して、短い番組は終わる。
デビューから30年以上たったバンドを30分以内にまとめるのは困難だが、独自のコメントとともに、それなりに面白い番組だった。
ニ大Bがやってきている けど!でも!まだ! ― 2015/11/11 06:40

そもそも、「ドイツ三大B」ってブラームスのためのことばだよなぁ…と、思う。
ともあれ。ビートルズも、ディランも届いている。しかし映像を見る時間はまったく無い!
かろうじて、ディランは聞いているところ。やはり2枚組で良いと思う…。あの曲、この曲の試行錯誤が面白かったり、 一方でほとんどブレない曲あり。とても楽しい。
Savoy Hill ― 2015/11/17 21:25
いろいろ取り込んでおり、音楽関係が追いつかない。もちろん、"Petty: The Biography"は入手してある。英語が難しくて分からない。
ボブ・ディランのブートレグ・シリーズ第12弾,[The Cutting Edge] の発売を受けて、あの有名な "Subterranean Homesick Blues" のビデオの別バージョンが発表された。
そもそも、有名なオリジナルは、サヴォイ・ホテルの裏手の路地で撮影されている。
今回発表された未発表版のロケーションは、まずサヴォイ・ホテルの隣りに位置するヴィクトリア・エンバンクメント・パークだそうだ。屋上の方は明かではないのだが、サヴォイの屋上ではないかとも言われている。
今回のロンドン旅行で最も印象深かったところの一つが、こ "Subterranean Homesick Blues"の撮影場所である、サヴォイホテルの裏手の路地だった。住所としては、Savoy Hill というところだ。
サマーセット・ハウスのコートールド・コレクションを観た帰りに寄ったのだが、小雨交じりだった。近くで工事をしており、その関係者がちらほらみえる。そんな中、いかにもな観光客で、小っこい私が、夢中で写真を撮っているのだから、とても変な目で見られた。

アビー・ロードとは違い、観光地化していない。50年前、ディランがあのビデオを撮ったこの場所は、工事中ではないこと、ゴミなどはないことなどを除けば、ほぼそのままだった。
とても印象的で、嬉しい訪問だった。
これからロンドンへ行く人のために地図で示すと、この通り。
ストランドからサヴォイ・ストリートをテムズ川に向かって降り、2本目を右に入り、左にカーブする前に右を向けば、ディランが立っていたあの場所が目に入るだろう。
ボブ・ディランのブートレグ・シリーズ第12弾,[The Cutting Edge] の発売を受けて、あの有名な "Subterranean Homesick Blues" のビデオの別バージョンが発表された。
そもそも、有名なオリジナルは、サヴォイ・ホテルの裏手の路地で撮影されている。
今回発表された未発表版のロケーションは、まずサヴォイ・ホテルの隣りに位置するヴィクトリア・エンバンクメント・パークだそうだ。屋上の方は明かではないのだが、サヴォイの屋上ではないかとも言われている。
今回のロンドン旅行で最も印象深かったところの一つが、こ "Subterranean Homesick Blues"の撮影場所である、サヴォイホテルの裏手の路地だった。住所としては、Savoy Hill というところだ。
サマーセット・ハウスのコートールド・コレクションを観た帰りに寄ったのだが、小雨交じりだった。近くで工事をしており、その関係者がちらほらみえる。そんな中、いかにもな観光客で、小っこい私が、夢中で写真を撮っているのだから、とても変な目で見られた。

アビー・ロードとは違い、観光地化していない。50年前、ディランがあのビデオを撮ったこの場所は、工事中ではないこと、ゴミなどはないことなどを除けば、ほぼそのままだった。
とても印象的で、嬉しい訪問だった。
これからロンドンへ行く人のために地図で示すと、この通り。
ストランドからサヴォイ・ストリートをテムズ川に向かって降り、2本目を右に入り、左にカーブする前に右を向けば、ディランが立っていたあの場所が目に入るだろう。

Alone in the Universe ― 2015/11/23 10:44
ジェフ・リンズELOの新譜 [Alone in the Universe] が届いた。
これはELOというバンドのアルバムなのか、ジェフ・リンという一人のアーチストのアルバムなのか、良く分からない。その区別に関して特に強い思い入れがないので、まぁ、要するにウィルベリー兄弟のあの人のアルバムということにしている。
梱包を解くと、いきなり3D仕様になっていたので、びっくり。ジャケットにお金かけているなぁ!…と、思ったらカードだった。
さて、私が持っているELO, ジェフ・リン関連のアルバムというと、あまり多くない。[The Very Best of Electric Light Orchestra],[Discovery],[A New World Record],[Zoom], そして[Armchair Theatre]と、[Long Wave]。
これらを踏まえて聴くと、今回の新譜は70年代のELOの再来というよりは、[Zoom] の延長であり、なおかつ[Long Wave] のテイストを強く反映した作品と、捉えられた。
特に[Long Wave] でリンが深い尊敬と愛情で表現した憧れが、色濃く出ていると思う。これぞELO!という壮大で(ある意味、大袈裟な)ポップ感覚よりも、センチメンタリズム、ロマンティシズムが前面に押し出されている。"I'm Leaving You" などは、[Long Wave] に入っていてもまったく違和感がないだろう。
かといって、多くのELOファンが「これじゃない…」などとは決して思わない、ポップ・センスも豊富にあふれたアルバムだ。解説文のそこかしこに、過去のELO作品を引き合いに出していることからもそれは確かだろう。
もっとも、私自身は特にELOの大ファンだというわけではないので、過去の作品とのリンクをそれほど強くは感じていない。
私のお気に入りの曲は、"Dirty to the Bone"と、"Ain't It a Drag"。
前者は、とても印象的なパッセージから始まるイントロから、もう名曲確定。それほどテンポの速い曲ではないが、リン独特の疾走感が気持ち良い。
そして思わず笑ってしまうのが、ギター・ソロ。ジョージ・ハリスンが弾いてくれそうなソロだが、明かにジョージよりも音のつなぎが固いし、伸びが足りない。ジョージならもっとスラーをなだらかに、溶け込むように弾くし、最後のフレーズは1オクターヴ上げるだろう。それが、なんだか素人じみた固さで、一生懸命に、余裕のない感じにリンが演奏するのだから、可愛いような、微笑ましいよな。かえって、ジョージやマイク・キャンベルほど上手すぎない良さがあって、ちょっと嬉しかった。
"Ain't It a Drag" は聴いて直ぐに、ザ・ウォールフラワーズを連想した。ジェイコブ・ディランがいかにも作りそうな爽やかで、少しだけもの悲しい、アメリカの良質なロック・サウンドに思えた。そこに、ちょっと古くさいくらいがちょうど良い、マージ―・ビートのエンディングがうまくつながってゆく。短いが、ジョージ風のギターサウンドがチラっと聞こえるが、こちらは完璧に滑らかだ。
"When I Was a Boy" のビデオは、ジョージの "When We Was Fab" や、ビートルズの "Free as a Bird" のような、判じ物に彩られていて、楽しい。えっと、あれは…やっぱりトムさんなんだよね?!
ジェフ・リンはちょうど今頃、アメリカで発売記念ライブを行い、来年はヨーロッパ・ツアーとのこと。ファンは待った甲斐があったというものだろう。
これはELOというバンドのアルバムなのか、ジェフ・リンという一人のアーチストのアルバムなのか、良く分からない。その区別に関して特に強い思い入れがないので、まぁ、要するにウィルベリー兄弟のあの人のアルバムということにしている。
梱包を解くと、いきなり3D仕様になっていたので、びっくり。ジャケットにお金かけているなぁ!…と、思ったらカードだった。
さて、私が持っているELO, ジェフ・リン関連のアルバムというと、あまり多くない。[The Very Best of Electric Light Orchestra],[Discovery],[A New World Record],[Zoom], そして[Armchair Theatre]と、[Long Wave]。
これらを踏まえて聴くと、今回の新譜は70年代のELOの再来というよりは、[Zoom] の延長であり、なおかつ[Long Wave] のテイストを強く反映した作品と、捉えられた。
特に[Long Wave] でリンが深い尊敬と愛情で表現した憧れが、色濃く出ていると思う。これぞELO!という壮大で(ある意味、大袈裟な)ポップ感覚よりも、センチメンタリズム、ロマンティシズムが前面に押し出されている。"I'm Leaving You" などは、[Long Wave] に入っていてもまったく違和感がないだろう。
かといって、多くのELOファンが「これじゃない…」などとは決して思わない、ポップ・センスも豊富にあふれたアルバムだ。解説文のそこかしこに、過去のELO作品を引き合いに出していることからもそれは確かだろう。
もっとも、私自身は特にELOの大ファンだというわけではないので、過去の作品とのリンクをそれほど強くは感じていない。
私のお気に入りの曲は、"Dirty to the Bone"と、"Ain't It a Drag"。
前者は、とても印象的なパッセージから始まるイントロから、もう名曲確定。それほどテンポの速い曲ではないが、リン独特の疾走感が気持ち良い。
そして思わず笑ってしまうのが、ギター・ソロ。ジョージ・ハリスンが弾いてくれそうなソロだが、明かにジョージよりも音のつなぎが固いし、伸びが足りない。ジョージならもっとスラーをなだらかに、溶け込むように弾くし、最後のフレーズは1オクターヴ上げるだろう。それが、なんだか素人じみた固さで、一生懸命に、余裕のない感じにリンが演奏するのだから、可愛いような、微笑ましいよな。かえって、ジョージやマイク・キャンベルほど上手すぎない良さがあって、ちょっと嬉しかった。
"Ain't It a Drag" は聴いて直ぐに、ザ・ウォールフラワーズを連想した。ジェイコブ・ディランがいかにも作りそうな爽やかで、少しだけもの悲しい、アメリカの良質なロック・サウンドに思えた。そこに、ちょっと古くさいくらいがちょうど良い、マージ―・ビートのエンディングがうまくつながってゆく。短いが、ジョージ風のギターサウンドがチラっと聞こえるが、こちらは完璧に滑らかだ。
"When I Was a Boy" のビデオは、ジョージの "When We Was Fab" や、ビートルズの "Free as a Bird" のような、判じ物に彩られていて、楽しい。えっと、あれは…やっぱりトムさんなんだよね?!
ジェフ・リンはちょうど今頃、アメリカで発売記念ライブを行い、来年はヨーロッパ・ツアーとのこと。ファンは待った甲斐があったというものだろう。
Roger McGuinn in Tokyo ― 2015/11/29 14:33
当初、7月の予定だったものが延期となったが、いよいよ待望のロジャー・マッグインの来日公演があった。会場も、当初の新宿から、渋谷に変更されている。
7月25日、幸いにして最前列に陣取り、マッグインの登場を待つ。iPodで彼の曲を聞きながら、歴史の本を読みながら。音楽と歴史、最高の娯楽の組み合わせ。
いよいよ登場したマッグイン。黒いハットに眼鏡、髭、グレーの柄シャツに、黒い革のベスト。黒いボトムズはコーデュロイだろうか。そして黒いカウボーイブーツ。
まずはリッケンバッカーのシグネチャーモデルを携えて、軽く "My Back Pages"から始まった。短く終えると、すぐにリッケンバッカーを置き、アコースティックに持ち替えて、椅子(ピアノの椅子だ)に腰掛け、次の演奏 "Ballad of Easy Rider" へとスラスラと進む。
最初の数曲、カバー曲が続いたのだが、どれもとても短い演奏でびっくりしてしまった。しかし、ザ・バーズなど、自身の曲が始まる辺りから、だんだん曲が長くなっていった。
たった一人で、アコースティック・ギター一本、足で拍を取りながら、たった一人の歌声で パフォーマンスをするマッグイン。実に楽しそうで、余裕すら感じる。軽くおしゃべりを挟みつつ、全身これミュージシャンという、引力のある魅力的な存在だ。
"He Was A Friend Of Mine" などは、美しい歌声を持つということが、どれほど貴重なことかと思い知らされる。彼の声は決してパワフルでも、力強くもないが、ロックが持っている、ひたすら美しくて、儚い一面を凝縮したような良さがある。バックバンド無しの、こういうシンプルな形式だからこそ、堪能できる歌声だ。
たった一人という形式ながら、その曲調のバラエティは目を見張る物がある。"Mr. Spaceman " で見せた、諧謔性や、"Knockin' on Heaven's Door" の壮大な雰囲気など、次々とあふれ出す音楽に、引き込まれっぱなしだった。

15分の休憩を挟んで後半。いきなり、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファンには嬉しい展開となった。
"So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star" で盛り上がるなんて、日本で普通にあることなのだろうか?この曲をやると、「トム・ペティの曲でしょ?」という話で、みんなクスっと笑う。…トム・ペティを知っているの?!と、みんなに確認しそうになる。さらに、トム・ペティが大好きだというマッグインのコメントに続いて、"American Girl" が始まり、さらにおもり上がる会場。トムさんのファンなの?!本当に?!と、一人一人に確認したくなる私。
次の曲 "King of the Hill" では、思わずトムさんの声で第二ヴァーズが脳内で再生される。破裂するような "Lover of the Bayou" は、マッドクラッチとの違いが顕著だ。
カバーやトラディショナルが続き、いよいよ "Mr. Tambourine Man"。まずはディランのバージョンでたっぷり聴かせてくれる。それをデイヴィッド・クロスビーが「イマイチ」と評し、バッハの名曲からリフを取って、あの有名なザ・バーズ・バージョンが生まれるという、お馴染みの、素晴らしい物語だ。
バッハからリフと取ったという話から、バッハの原曲をこのブログのトピックにしたことがあったはずだと、確認してみたら、2012年の記事だった。
McGuinn & Bach 2012/1/14
ザ・バーズの "Mr. Tambourine Man" を聴くと、いつも胸が一杯になる。あの、喜びも、悲しみも全てが美しさの中に溶け込んだような、何とも言えないイントロを聴くと、どうしようもない気持ちになる。今回も、たった一人でリケンバッカーを鳴らすロジャー・マッグインを見つめながら、涙がこぼれてきた。
そのまま、リッケンバッカーで、"Turn! Turn! Turn!" ここがこの日の最高潮だっただろう。
2回のアンコールに応え、時間にしたら短いけれど、濃密で豊かなコンサートが終わった。
偉大なる60年代のレジェンド、ロジャー・マッグイン。でも一人の、音楽を愛する、同じ人間だという共感をも持たせる。音楽を愛して、音楽を共有する。飽くまでも、演奏する側も聴く側も同じ人間であり、コンサートは共通の良き相互理解の空間なのだと、思い知らされた。小さな会場の、多くもない観衆だが、ささやかで、幸せな、そういうロックのコンサートだった。
欲を言えば、ロック・バンド好きとしては、バンド編成のロジャー・マッグインも観てみたい。あれだけしっかり演奏し、歌う人なのだから、きっと格好良いだろう。特に "Chestnut Mare" などは、バンドで聞かせて欲しい曲だ。
写真にもあるとおり、私は翌26日のチケットも持っていた。買った当初、シート配置が分からなかったので、立ち見で取っていたのだ。すっかりZEPPのように、立ち見が前だと思っていた。
ともあれ、諸事慌ただしく、どうしても26日は行かれなかった。手元には、切られていない、整理番号1番のチケットが残った。これは何かのお守りにとっておく。また、いつかロジャー・マッグインに会える日までの、約束の切符になるだろう。
7月25日、幸いにして最前列に陣取り、マッグインの登場を待つ。iPodで彼の曲を聞きながら、歴史の本を読みながら。音楽と歴史、最高の娯楽の組み合わせ。
いよいよ登場したマッグイン。黒いハットに眼鏡、髭、グレーの柄シャツに、黒い革のベスト。黒いボトムズはコーデュロイだろうか。そして黒いカウボーイブーツ。
まずはリッケンバッカーのシグネチャーモデルを携えて、軽く "My Back Pages"から始まった。短く終えると、すぐにリッケンバッカーを置き、アコースティックに持ち替えて、椅子(ピアノの椅子だ)に腰掛け、次の演奏 "Ballad of Easy Rider" へとスラスラと進む。
最初の数曲、カバー曲が続いたのだが、どれもとても短い演奏でびっくりしてしまった。しかし、ザ・バーズなど、自身の曲が始まる辺りから、だんだん曲が長くなっていった。
たった一人で、アコースティック・ギター一本、足で拍を取りながら、たった一人の歌声で パフォーマンスをするマッグイン。実に楽しそうで、余裕すら感じる。軽くおしゃべりを挟みつつ、全身これミュージシャンという、引力のある魅力的な存在だ。
"He Was A Friend Of Mine" などは、美しい歌声を持つということが、どれほど貴重なことかと思い知らされる。彼の声は決してパワフルでも、力強くもないが、ロックが持っている、ひたすら美しくて、儚い一面を凝縮したような良さがある。バックバンド無しの、こういうシンプルな形式だからこそ、堪能できる歌声だ。
たった一人という形式ながら、その曲調のバラエティは目を見張る物がある。"Mr. Spaceman " で見せた、諧謔性や、"Knockin' on Heaven's Door" の壮大な雰囲気など、次々とあふれ出す音楽に、引き込まれっぱなしだった。

15分の休憩を挟んで後半。いきなり、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファンには嬉しい展開となった。
"So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star" で盛り上がるなんて、日本で普通にあることなのだろうか?この曲をやると、「トム・ペティの曲でしょ?」という話で、みんなクスっと笑う。…トム・ペティを知っているの?!と、みんなに確認しそうになる。さらに、トム・ペティが大好きだというマッグインのコメントに続いて、"American Girl" が始まり、さらにおもり上がる会場。トムさんのファンなの?!本当に?!と、一人一人に確認したくなる私。
次の曲 "King of the Hill" では、思わずトムさんの声で第二ヴァーズが脳内で再生される。破裂するような "Lover of the Bayou" は、マッドクラッチとの違いが顕著だ。
カバーやトラディショナルが続き、いよいよ "Mr. Tambourine Man"。まずはディランのバージョンでたっぷり聴かせてくれる。それをデイヴィッド・クロスビーが「イマイチ」と評し、バッハの名曲からリフを取って、あの有名なザ・バーズ・バージョンが生まれるという、お馴染みの、素晴らしい物語だ。
バッハからリフと取ったという話から、バッハの原曲をこのブログのトピックにしたことがあったはずだと、確認してみたら、2012年の記事だった。
McGuinn & Bach 2012/1/14
ザ・バーズの "Mr. Tambourine Man" を聴くと、いつも胸が一杯になる。あの、喜びも、悲しみも全てが美しさの中に溶け込んだような、何とも言えないイントロを聴くと、どうしようもない気持ちになる。今回も、たった一人でリケンバッカーを鳴らすロジャー・マッグインを見つめながら、涙がこぼれてきた。
そのまま、リッケンバッカーで、"Turn! Turn! Turn!" ここがこの日の最高潮だっただろう。
2回のアンコールに応え、時間にしたら短いけれど、濃密で豊かなコンサートが終わった。
偉大なる60年代のレジェンド、ロジャー・マッグイン。でも一人の、音楽を愛する、同じ人間だという共感をも持たせる。音楽を愛して、音楽を共有する。飽くまでも、演奏する側も聴く側も同じ人間であり、コンサートは共通の良き相互理解の空間なのだと、思い知らされた。小さな会場の、多くもない観衆だが、ささやかで、幸せな、そういうロックのコンサートだった。
欲を言えば、ロック・バンド好きとしては、バンド編成のロジャー・マッグインも観てみたい。あれだけしっかり演奏し、歌う人なのだから、きっと格好良いだろう。特に "Chestnut Mare" などは、バンドで聞かせて欲しい曲だ。
写真にもあるとおり、私は翌26日のチケットも持っていた。買った当初、シート配置が分からなかったので、立ち見で取っていたのだ。すっかりZEPPのように、立ち見が前だと思っていた。
ともあれ、諸事慌ただしく、どうしても26日は行かれなかった。手元には、切られていない、整理番号1番のチケットが残った。これは何かのお守りにとっておく。また、いつかロジャー・マッグインに会える日までの、約束の切符になるだろう。
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