Larry Crowne : 幸せの教室2012/05/13 20:50

 私は特に映画好きというわけではないので、たまにしか映画館には行かない。
 しかし、トム・ハンクス監督・主演の [Larry Crowne](邦題「幸せの教室」) は、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの音楽が使われていると聞いていたので、見たいと思っていた。そこで珍しく、日本での公開二日目にして足を運んだ。

 スーパーで充実した店員生活を送っていた中年バツ一男のラリー・クラウン(トム・ハンクス)は、ある日突然大卒ではないことを理由に、解雇される。そこで、遅ればせながら大学に通い始める。学部長のすすめに従って、経済学と、スピーチの講義を選択。若い友人もできて、ラリーは新たな人生を拓こうとする。
 一方、スピーチの先生はであるマーシー・テイノー(ジュリア・ロバーツ)は、結婚生活にも、教えることにもうんざり気味。しかし、彼女もラリーとの出会いから人生を変えようと考え始める…




 ストーリーだけ見ると、いかにもトム・ハンクスらしい無害な作品で、なにも映画館で見なくても良さそうなものだが…しかし、TP&HBファンと、ELOファンにとっては、間違いなく映画館で見るべき作品だ。
 音楽が使われているとは聞いていたが、TP&HBは3曲、ELOは2曲も ― しかも、かなり重要なシーンに、フルで使われているという特別扱いを受けているのだ。大画面・大音量で自分の好きなバンドの曲が流れる瞬間の感激は、かなりのもの。
 曲名やシーンは伏せておくが、TP&HBの2曲目は特に、グッとくるシーンで使われる。私には、このシーンが一番良かった。この曲は他の映画でも使われたのだが、今回の[Larry Crowne] での使われかたの方が印象的で良い。
 ELOについては―これまで、これほどELOが優遇された映画があったのだろうか?
 どちらのグループにしても、トム・ハンクスのこだわりが非常に強く出ているようだ。彼が好きで、使いたいのだという意志が表れている。

 映画そのものの評価は、まぁまぁ。善良で、希望があって、大袈裟ではなく、明るい気持ちになる。
 構成的には、ちょっと飛躍があるかな…という点が惜しい。ラリーの若い友人達と関係はかなり丁寧に描かれているが、恋愛面はちょっと飛躍気味かも知れない。あと一、二ステップほしい。スピーチクラスの雰囲気が良くなっていく過程も、もう少し段階をきちんと踏んだ方が良かった。
 いいなと思ったのは、小難しい経済学のマツタニ教授と、そのクラス。別嬪なジュリア・ロバーツ先生のクラスとは対照的だが、これはこれで充実していて、新たな人生への良き糧となる様子がとても良かった。
 マツタニ教授役は、ジョージ・タケイ。どこかで見たことがあると思ったら、私が2008年にニューヨークに行った折、同性婚が合法になったとして結婚したというニュースに出ていた人だった(私はスター・トレックを全く知らない)。

 TP&HB,ELOファンは、今のうちに映画館へ!…ロングランになるかどうかは、自信がない!