ステージから Free Fallin'2009/08/08 22:43

 8月6日、エアロスミスのスティーヴン・タイラーがステージから落下して負傷。何でも、サウンドシステムの故障中に、観客を退屈させまいとダンスを披露していたら落ちたというのだから、その根性は見上げたものだ。
 そうは言っても、スティーヴンも、もうイイ年である。体には気をつけて、活動を続けてほしい(踊らないでくれとは、決して言わない!)。スティーヴンに関しては、あの歌唱力もさることながら、やはりあの声質に圧倒される。独特のメタリックな声 ― 私はグラスハープの音色に似ていると思っている。

 ステージから落ちると言えば、トム・ペティも落ちたことがある。1978年12月、サンフランシスコのウィンターランドにて、ステージの縁を歩いていた時に、観客に足を取られ、その中に落下してしまったのだ。
 シャツ,ベストは破れ、唇を切って流血。この時の様子は映像にも残っていて、RDADにも出てくる。本気で「ぎゃー!」と叫んでいる。この時のことに関して、カントムではこのように語っている。

 空気がなくて、ぼくは本当に死ぬんだと思った。しかも何もかもが真っ暗で見えなくなった。
 突然、上の方で小さな穴が開いたように見えた。ステージから覗き込んでいるバグズの姿が、その穴から見えた。するとバグズは文字通り、プールに飛び込むみたいにして、手からダイブしてきた。そしてその穴 ― ぼくの上に落ちてきた。そしてぼくの肩をつかんだ。その次の瞬間、ぼくら二人とも絶望的になって目と目を見合わせた。この群衆の真ん中で、二人とも死ぬんだと思った。
 やがてセキュリティのスタッフが飛び込み始め、人の鎖みたいなものを作り、ぼくらを順々に引き上げていった。ステージに戻ったとき、ぼくは茫然自失だった。


 死を覚悟するトムさん。そして、プールに飛び込むかのように、手からダイブするバグズ!(アラン "バグズ" ・ウィーデル。TP&HBデビュー当時からのローディ。レコーディングでも、ライブでもTP&HBに欠かせない存在。ウィルベリーズのローディ&写真係も務めている)。
 凄いぞバグズ!格好良いぞバグズ!でも、真上に落ちてきて、二人して絶望して顔を見合わせている…つまり、あまり助けにならなかったらしい。
 写真もカントムに載っている。白いシャツがビリビリな若きトムさん。きゃぁ。

 RDADの映像を見ると、トムさんがボロボロになってステージに戻ってくる。ステージでは、それまで演奏を持続させていたハートブレイカーズが待っていた。彼らが心配してたかどうかはともかく、明らかにマイクは笑っている。かなり笑っている。
 待っていた方にとっては笑い話だろうが、落ちた本人は本当に怖かっただろう。こんなきっかけで、つまらない喧嘩にならなきゃ良いけど。とにかく無事で良かったね。