ロック戦隊 ビートレンジャー!2023/04/01 00:00

 新時代を彩る戦隊ヒーロー発動!「ロック戦隊ビートレンジャー!」

 世界のビートを滅ぼそうとする悪の組織ダラダラ団から、熱き魂とロックを守るため、きょうも戦うビートレンジャー!それゆけビートレンジャー!
 普段は売れないロックバンドで細々と暮らしている6人組。その正体は「ロック戦隊ビートレンジャー」の若き精鋭たち!それぞれ愛用の楽器に、「ロック・オン!」するとたちまちビートレンジャーに変身し、次から次へと襲い来るダラダラ怪人と戦うのだ!



登場人物

トミー・レッド
 真っ赤な12弦リッケンバッカ―が愛器のリーダー。サラサラ金髪を振り乱してロックの魂を叫ぶ!

ミック・ブルー
 青いデューセンバーグが愛器だが、次から次へと楽器を取り換えるギター・マニア!最近のマイブームはファイヤーバード!

ベニー・ブラック
 黒いスタインウェイが愛器のキーボーディスト。富豪なので、戦隊を金銭面からもささえている!

スティーヴィー・グリーン
 緑のグレッチを愛用する、安心安全ドラマー。ニース・コンセルヴァトワール出身の知性で敵をかく乱する!

スコッティ・オレンジ
 オレンジのギブスンを愛用する、マルチプレイヤー。カレーが大好き!

ハワード・ホワイト
 白いフェンダー・ベースを愛用するベーシスト。美しいコーラスで敵の戦意を喪失させる!

ディラン司令官
 頭の中では複雑怪奇な作戦を立てているが、何を喋っているのかは往々にして不明瞭。その場合は秘書が通訳する。

ジョージア・ハリスン
 司令官の秘書にして戦隊の女ボス。交友関係が広く、「コンサート・フォー・ロック」作戦を実行する。

AI ジェフリー・L
 ビートレンジャー司令部の人工知能。作戦にチェロを加えようとしてジョージアに怒られている。


 日曜日、朝9時30分好評放映中!イベント in 武道館でビートレンジャーと握手!変身インストゥルメント・キッズ・セット、好評発売中!

Stop the New Wave2023/04/06 20:52

 R.I.P 坂本龍一さん。
 偉大なミュージシャンが亡くなったのでそれなりの記事を書きたいところだが、いかんせん彼の音楽との接点がない。当然私が語るほどの事はなく、ちゃんと想いのある人の文章にお任せしたい。

 強いて言うなら、私が最も回数多く聞いている坂本龍一 (YMO) の曲と言ったらエリック・クラプトンの "Behind the Mask" だろう。
 60年代ロックヒーロー達にとって、80年代はとても難しい時代だったと思うが、クラプトンの80年代というのは意外に好きなのだ。



 なんとなく YouTube を見ていたら、結局お決まりの「スネークマンショー」にたどりついてしまった。この辺りのつながりについては、割愛するが、私の中では YMO がスネークマンショーとセットになって整理されているようだ。

 この「Stop the New Wave」はバンドが好きな人には、たまらないシロモノだろう。
 へなちょこヴォーカルの言うことが、いちいちツボにはまる。
「YMO はもう古い!」
「さすが特注のラディック、それ500万したんだって?」
「あのーずいぶん派手ですね…ぼくもそういうの好きだな…」
「藝大はさすが、基礎が違うな」
―― くらいまでは良かったんだけど、「きみのボディはノーボディ!ノーボディ!」とかアホンダラなヴォーカル。ヤマハのエレクトーン教室も、カワイのドラム教室にも行っている。
「そこのロンドンブーツ!!!!!」
「パンク!そこのパンク!止まれ!!!!」
「聞け―!ちょっと聞いてくれよみんなー!!!」

ロック・ファン、花の都へゆく2023/04/11 01:28


 いま、休暇をとってイタリアのフィレンツェに来ている。
 音楽とはまったく関係のない場所へわざわざ出かけていくのは珍しい。しかし、音楽やスポーツ観戦、歴史、ミステリーなどに続く私の好きなものが、実はルネサンス美術なのだ。
 ルネサンス美術好きは子供のころからだが、高校生のころに特にフィレンツェ・ルネサンスに心惹かれて幾数十年。いちどローマに旅行した時、日帰りで数時間フィレンツェに行ったが、まったく足りないという点が心残りだった。
 このたび、念願かなってフィレンツェに5泊するという、なかなかイケてる計画を実行。爆発したみたいになって毎日ルネサンス美術を求めて町中を駆け回っている。
 理想と現実、さて結論やいかに?

フィレンツェからの帰還2023/04/15 21:20

 フィレンツェから帰ってきた。約三年半ぶりの海外旅行。ああ、こういうものだったなぁという旅行の実感を取り戻した5泊7日だった。

 ルネサンス美術好きにとっては夢の旅、フィレンツェ5泊滞在。ウフィツィ美術館、アカデミア美術館、パラティーナ美術館(ピッティ宮殿)には朝一番の予約を取り、その時間より前に入り口に並び、並み居る名品の数々を、ひとも少なくたっぷり堪能できた。パラティーナの二大ラファエロ作品の部屋に、数十分私しかいなかったのには驚いた。
 やはり映像で見たり、本で見たりするよりも、現物を目にすることは何倍も素晴らしい経験だ。
 こちらは、サン・マルコ美術館(修道院)の階段から。ああ、これぞフィレンツェ!



 しかし一方で、私が夢に見ていたフィレンツェは、実在しないということを思い知らされた。観光客で溢れかえり(まだ少ない方だったのかも知れない。第一、私が観光客だ)、狭い道にはびっしり車とバイク。そしてその路上にはゴミ、路上喫煙、路上飲食が横行し、ヴェッキオ宮殿の入り口で係員が大声を張り上げる。
 夢のような憧れのフィレンツェは今はもうなく、ローマ、京都などに代表される、歴史の古い都市観光地の限界を実感させられたのだ。グチャグチャの町のなかに、本物の天上の傑作が点在し、私は細い路地の人、車、ゴミ、犬、ハトを乗り越えて、それらになんとかたどりついたのだった。

 詳細もレポートしたいが、実は帰りのトランジットの問題で、ロストバゲージになってスーツケースが戻っていないのだ。従って資料も手元に無い。まぁ、一日くらい大丈夫だろうと高をくくっていたが…化粧品だけでも、明日の午前中に届けてくれ!ディラン様に会いに行くのだ!(切実)

 こちらは、ルネサンス美術で一番のイケメン。アンドレア・デル・サルトの「ハルピュイアの聖母」の、福音書書記者ヨハネ。
 私の好みが色濃く反映されていてて、誰かさんに似ているよね。

Bob Dylan "ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR in Tokyo2023/04/17 21:15

 イタリアから帰国した翌日、ディラン来日公演のうち、最後の東京公演に駆け込むように行ってきた。

 予想していたよりずっと良かった!
 前回来日までの「シナトラ・シリーズ」には心底辟易していたので、ディラン自身の曲を並べた今回のツアーには多大な期待をしていた。しかし、その期待を上回る、素晴らしいステージだった。
 前回までのバンドは、なんだか内にこもって硬直したようにディランのシナトラ賛美を護っていたが、今回は堂々と外向きにディランの曲を発光させるように奏で、躍動していた。特にドラムスの勢いの良さは1990年代後半を思わせるもので、凄く素敵だった。
 そして肝心のディラン。相変わらずピアノのタッチは下手だが、歌唱のほうがシナトラをやっていたころよりも、断然力強く、自信に満ちて、自由自在、しなやかで、凄みのある素晴らしい出来だった。そうだ、この人はやっぱりライブでこうやって力強くロックしてくれる人だったのだ。

 最新作である [ROUGH AND ROWDY WAYS] からの曲が当然多かったが、アルバム録音で聞くよりも活き活きとしていて魅力的だった。家に帰ってすぐ、「聞くCD」の一番上に置いた。
 そして彼の長いキャリアからの曲はやはり、会場も盛り上がる。"When I Paint My Masterpiece" は感動的だったし、私が一番心動かされたのは、 "Gotta Serve Somebody"。この「宗教期」のディランも、私は大好きなのでこの選曲の妙、演奏のハードさがたまらなかった。

 開演時間ちょうどに観衆が拍手をしてディランを呼び出し、彼が登場して大いに盛り上がり、そして満足そうに会場を見渡して帰って行った。終始ゴキゲンで(もっとも、私は彼がゴキゲンじゃないライブというのは見たことが無い)、サービス精神にも満ちあふれていた。
 今回は一回しか行けなかったのが本当に惜しい。今回のツアーに関しては、ライブ・アルバムを出しても良いと思う。

 とかく60年代ロックヒーローたちは、高齢化しており、「もうライブは見られない」と言われがちだが、ディラン様は相当にしぶといと思う。日本でかどうかはともかく、また彼のパフォーマンスを楽しみたい。

The Doobie Brothers the 50th Anniversary Tour2023/04/19 20:51

 ディラン様の興奮も冷めやらないまま、昨晩はパシフィコ横浜へ、ザ・ドゥービー・ブラザーズの50周年ツアーライブを見に行った。

 今回のツアーは50周年であると同時に、マイケル・マクドナルドが参加するという点が特別だろう。彼が参加するからこそ、ライブに来るという人も多かったのではないだろうか。
 実は、私はマイケル・マクドナルドが参加したドゥービーがあまり好きではない。ドゥービーのアルバムは1975年の[Stampede] までしか持っておらず、一度買ったはずの [Takin' It to the Streets]の CD は、音楽ファイルで持っているからと売り飛ばしてしまっている。
 来日が発表されたときも、マクドナルドはどうかな…と思って、ちょっとチケット購入をためらっていたのだ。でもやはりドゥービーほどのロックバンドがあとどれほど残っているのかと思い直し、参戦したというわけ。

 結果としては、完全に1975年までの曲で盛り上がり、マクドナルドの曲では休んでいるという、彼のファンには申し訳ないライブとなった。まぁ、そういうこともあるだろう。マクドナルドという人は、間違いなくある種の天才だとは思うが、私の好みでは無いと言うだけである。
 それに七割がたは私の好きなドゥービーなので、全体としてとても楽しかった。私にとってのドゥービーは活動時期が短く、曲も多くない。その多くない曲がどれも名曲で、それを続々とライブ・パフォーマンスしてくれるのだからたまらない。
 特に "Jesus Is Just Alright" は凄まじく良かった。それから1曲挟んで、"Long Train Runnin'", "China Grove" という間違いなしの展開。
 前回、初めてドゥービーのライブを見たとき、アンコール最後の曲が "Listen to the Music" というのは、スロー過ぎるのではないかとちょっと思っていたが、今回はバッチリきまったと感じた。会場全体も大合唱。こういう体験、久しぶりである。

 さて、"Listen to the Music" も終わり、これでコンサートはおしまいです!となったとたんに、会場に流れたのはなんとトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "Refugee"...! 最後は完全にハートブレイカーズに持って行かれてしまったとさ。

ELVIS (Movie)2023/04/23 19:49

 フィレンツェへの飛行機内で、映画「エルヴィス」を見た。見たいと思いつつ、やや癖の強い映画だとも聞いていたので、見逃していた。飛行機で見られたのは良い機会だった。

 全体的には、よくまとまったエルヴィスの伝記映画だったと思う。彼のキャリアが分かりやすく説明されているし、パーカー大佐の悪評、悪影響はべつに目新しい物ではない。
 白人でありながら、黒人のブルース、ゴスペルに強い影響を受け、独特のリズム、グルーヴをもつ素晴らしいシンガーになった経緯が分かりやすい。
 ただ、事前に聞いていたとおり過剰な演出は好悪が分かれると思う。大音響,大画面の映画館で鑑賞したら疲れてしまっただろうし、気持ちの良い結末でもなかった。
 それにしても、エルヴィスのパフォーマンスの再現性は素晴らしかった。最近はこういう「そっくりミュージシャン映画」が流行りのようだ。1977年の体型まで再現していたら完璧だったかも知れないが、そこはエルヴィス本人に申し訳ないだろう。

 ある意味、エルヴィスは幸運であり、不運であった。あの革新的な音楽は世界中に衝撃を与え、さらにロックンロールに何十年という長い生命を与えた。しかし、その後のロックの展開は UK 勢のすさまじさと、アメリカでの受容、発展を経て、とてもエルヴィスにはついていけなくなっていた。
 エルヴィスにだって、チャック・ベリーやリトル・リチャード、ジェリー・リー・ルイスなどのように長命するチャンスがあったかも知れない。今もまだ、元気に生きていたかも知れない。結局彼は「早死にする天才」の一人であり、ちょっとタイミングが違っただけだろう。

 映画の中でけっこう印象的だったのが、1968年の「カムバック」テレビ出演。黒いレザーの上下でとても格好良い。



 映画の中で印象的だった人の中でも、B.B.キングの良い人加減は群を抜いていた。キングはエルヴィスより10歳年長であり、人格もできあがっていたのだろう。
 これは1974年。魂の発露が音楽に昇華している人で、この域を目指して鍛錬したのではなく、そもそもこういう人なのだということが分かる。

Not Fade Away2023/04/27 20:58

 今回のボブ・ディランのライブは、一回しか見られなかったが、演奏そのものはこの上なく素晴らしく、この上なく満足だった。
 ただ、ほかの日のライブを見に行った人の話を聞いたり、セットリストを見ると、取り上げたカバー曲が惜しかった。私はグレイトフル・デッドにはあまり詳しくなくて、ちょっと盛り上がりきれなかったのだ。同じデッドでも、"Truckin" だったらもう少し盛り上がったかも知れないが。
 ある友人が行ったときは、"Not Fade Away" だったというのだから、とても羨ましい。私も "Not Fade Away" の日が良かった…!

 "Not Fade Away" といえば、バディ・ホリーのオリジナルよりも、ザ・ローリング・ストーンズが有名にしたと言って間違いないだろう。ミックのヴォーカルとマラカス、ブライアン・ジョーンズのハープ、キースの熱いギター、そしてチャーリーとビル・ワイマンのどっしりとしたリズム。文句の点けようが無いし、その後もライブでの人気曲になったのも頷ける。



 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズも、ライブでプレイしているはずだと思って確認すると、2003年のサウンド・ステージでやっている。ふむふむ、これを貼り付けよう―― と思ったら、意外な物を見つけた。
 オリジナル・マッドクラッチ ―― おそらく1970年代前半のライブと思われる録音だ。これは凄い!



 どうやらトムさんはまだ発声法が定まっていない頃らしく、声がやたらとミックに似ている。ツインギターが賑やかで、しかもベンモントと思われるオルガンが煌びやか。さらに、最初にどっと音量を出して盛り上げ、一度下げて、引く、そしてもう一度最後に爆発させて、バシっと終わらせるのが決まっている。
 21世紀になってからの再結成時ではなく、オリジナル・マッドクラッチの音源もどうにか綺麗にして発売されないだろうか。そもそも、公式が音源を持っていないのだろうか。もし出してくれたら有頂天である。