ELVIS (Movie)2023/04/23 19:49

 フィレンツェへの飛行機内で、映画「エルヴィス」を見た。見たいと思いつつ、やや癖の強い映画だとも聞いていたので、見逃していた。飛行機で見られたのは良い機会だった。

 全体的には、よくまとまったエルヴィスの伝記映画だったと思う。彼のキャリアが分かりやすく説明されているし、パーカー大佐の悪評、悪影響はべつに目新しい物ではない。
 白人でありながら、黒人のブルース、ゴスペルに強い影響を受け、独特のリズム、グルーヴをもつ素晴らしいシンガーになった経緯が分かりやすい。
 ただ、事前に聞いていたとおり過剰な演出は好悪が分かれると思う。大音響,大画面の映画館で鑑賞したら疲れてしまっただろうし、気持ちの良い結末でもなかった。
 それにしても、エルヴィスのパフォーマンスの再現性は素晴らしかった。最近はこういう「そっくりミュージシャン映画」が流行りのようだ。1977年の体型まで再現していたら完璧だったかも知れないが、そこはエルヴィス本人に申し訳ないだろう。

 ある意味、エルヴィスは幸運であり、不運であった。あの革新的な音楽は世界中に衝撃を与え、さらにロックンロールに何十年という長い生命を与えた。しかし、その後のロックの展開は UK 勢のすさまじさと、アメリカでの受容、発展を経て、とてもエルヴィスにはついていけなくなっていた。
 エルヴィスにだって、チャック・ベリーやリトル・リチャード、ジェリー・リー・ルイスなどのように長命するチャンスがあったかも知れない。今もまだ、元気に生きていたかも知れない。結局彼は「早死にする天才」の一人であり、ちょっとタイミングが違っただけだろう。

 映画の中でけっこう印象的だったのが、1968年の「カムバック」テレビ出演。黒いレザーの上下でとても格好良い。



 映画の中で印象的だった人の中でも、B.B.キングの良い人加減は群を抜いていた。キングはエルヴィスより10歳年長であり、人格もできあがっていたのだろう。
 これは1974年。魂の発露が音楽に昇華している人で、この域を目指して鍛錬したのではなく、そもそもこういう人なのだということが分かる。

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