日本の伝統芸能展2017/01/24 21:48

 国立劇場開場50周年記念,日本の伝統芸能展を見に行った。日本橋の三井記念美術館にて。
 実のところ、演劇や音楽はそのものを観賞するか、参加するかで、展覧会で見るものではなないと思っている。そう言いつつ、見に行くのを先送りにしていたのだが、見ないというのも癪なので、ぎりぎりになって見に行った。



 私が好きな邦楽は、雅楽と能楽。雅楽の演奏会にはよく行くし、ニセの新作能をでっちあげたこともある。

2015年4月1日 新作能「エルヴィス」

 そのような訳で、期待していたのは雅楽と能楽の展示。
 まずは、雅楽の舞楽面が数点。琵琶,篳篥,笙などの道具が数点。以上。
 能楽は大鼓,小鼓の胴、能管、能面数点。以上。

 物足りない。
 雅楽なら、もっと豪華絢爛な装束とか、火焔太鼓とか。もっとあるだろうに。
 能面については、旧金剛宗家から受け継いだ能面が54面、しかも重要文化財に指定されているのだがら、全部ずらりと並べれば良いのに。孫次郎の小面「オモカゲ」一つさえあれば良いとでも思ったのだろうか。
 金剛流は戦前に坂戸金剛宗家が断絶し、受け継いできた面をまとめて三井に譲渡したのだが、これは純然たる譲渡だったのか、売却だったのか、ちょっと気になっている。もっと気になるのは、せっかくの能面が美術館に収まっているということだ。面は舞台で用いられるからこそ生きる。ぜひ積極的に使って欲しい。

 屏風の展示室には、「舞楽図」が数点あった。「舞楽図」とくれば期待するのは、俵屋宗達なのだが、もちろんそんなビッグネームは無い。私が見た時は狩野探信でもなく、輪王寺蔵の作品だった。
 描かれている舞楽の数が多くて面白いのだが、どうせなら俵屋宗達が見たい。

 屏風以降の展示は浮世絵などになってしまう。私は近世邦楽に興味が無い。

 結局、やはり音楽,芸能はその演じるものを聴く、見るものであって、展覧会で見るものではないということを、確認するに至った。