Unplugged from Daryl's House Club2017/02/04 20:52

 シスター・ヘイゼルのライブ・アルバム [Unplugged from Daryl's house club] が届いたので、さっそく聴いている。ライブの様子が収録されたDVDもセットなので、とてもお得。
 このアルバムが発売されたのは、去年の9月。
 私はヘイゼルのファンのくせに、その新譜情報をキャッチするのが遅い。TP&HBは日本のファンコミュニティに参加しているし、ディランやビートルズ、ストーンズなら、情報は普通に日本語のニュースとして伝わってくる。
 しかしシスター・ヘイゼルとなると、自分で情報をキャッチする努力が必要。私は twitter もfacebook もやらないので、必然的に情報が集まってこない。
 さすがにこれはまずいので、さっきニュースレターの登録をした。

 さて、この [Unplugged from Daryl's house club] だが、その名に出てくる「ダリル」というのは、ダリル・ホールのこと。彼が自宅に作ったクラブで、小規模なライブを開き、それをインターネット番組として配信しているのだ。名だたるアーチストが出演しているが、シスター・ヘイゼルも、その仲間に加わったというわけ。
 タイトルのとおり、コンセプトはアンプラグド。ギターは三人ともアコースティックだ。ケンとライアンは日本のタカミネ、ドリューはギブスン。
 撮影機材にはそれほどお金をかけていないらしい。テレビで再生するなり、「画像粗ッ!」となってしまった。YouTubeで見た方がよほど綺麗。



 もともと、ヘイゼルの曲はアコースティックに作って、エレキで味付けする感じなので、アンプラグドにしたといって、それほどの新鮮味はない。いつもの素敵なロックをきかせてくれている。
 ライアンは少し減量したかな?首回りが、ややすっきり。やばそうなのは、ドリュー。典型的なアメリカの肥満体型。睡眠無呼吸症候群になっていやしないかと、心配になる。
 もともと、容姿で売る気がまったくないから、構わないけど。みんな良い年になっているので、健康に気をつけて欲しい。ジェットはスマートだし、いまやヘイゼルで一番格好良くなっている。

 じつのところ、90年代に猛威をふるった「アンプラグド」というアイディアを、私はあまり買っていない。ロックという単純な作りのポピュラー・ミュージックは、エレクトリック・ギターのサウンドをフルに活用して、威勢良く迫ってくるからこそ、魅力的なのだ。たまに別の側面として、アンプラグドなサウンドを聴かせるのも良いが、コンサートやアルバムのコンセプトがまるごとアンプラグドとなると、ちょっと物足りないし、やや退屈。
 ヘイゼルのライブ・アルバムとしても、同じ感想を持った。そういう観点から言えば、2003年のライブ・アルバム [Live*Live](映像作品としては [A Life in the Day])の方が、ロックバンドらしくて好きだ。
 今回の「アンプラグド」では、アンコールでドリューをピアノを弾きながら一人で "This kind of love" を歌っているけど、ややイマイチ。この曲、前のライブアルバム [20 Lives] ではオーケストラや合唱とコラボしていたが、これもちょっと空振り気味だった。

 やっぱり威勢良く、"Change Your Mind" や、"Mandolin Moon", "Happy" などを演奏している方が良い。もちろん、ヒット曲 "All for You" では大盛り上がり。
 最新アルバムからの "Something to Believe in" では、"Just a kid from Gainesville watching Petty with my lighter in the dark" という歌詞のところでちょっと盛り上がるのが良い。

 去年のアコースティックなシスター・ヘイゼルついでに、こんな動画も。ライブでの、"Listen to Her Heart"。ギターソロでライアンが失敗して、苦笑している。カワイイから許す。

ウクレレ・トムさんがやってきた ヤァ!ヤァ!ヤァ!2017/02/08 21:34

 ウクレレ弾きお待ちかね、"Tom Petty for Ukulele" がアメリカから届いた!
 ワクワクしながら包みを開ける。
 じゃじゃーん!



 ええと…なんですかねぇ…この微妙な写真は。ウィルベリーズの頃かな?帽子は "Inside Out" の時のに似ているが。
 そもそも、この楽器はウクレレなのか?謎の4弦楽器…?ジョージから山ほどもらったウクレレ(ギブスン)を構えている写真がどうしても無いのか。私も画像検索したことがあるが、確かに見当たらない。むしろ、ベンモントがギブスンのウクレレ持っている画像とかある。あれは、ジョージ・ウクレレが流れた物だと思っている。
 まぁ良い。若くて可愛いトムさんなので全て許す。

 いよいよ、ワクワクの中身。



 ああ…え?これだけ?
 メロディの五線譜に歌詞、コードが書いてあって、ウクレレ用の各コードのポジションが添えてあるだけ。
 要は、コードをチャカチャカ弾きながら、歌えということか。
 それだったら、わざわざ一冊の譜面にしなくても…別に…良さそうだが… "American Girl" から "Walls" まで。"Walls" なんて、わざわざ(Circus)って但し書きがあるが、それってこの程度の譜面だったらどうでも良さそうな物じゃないか?

 私が期待したのは、ウクレレ一本でリフから、メロディから、ギターソロもバリバリ弾けちゃうイカしたウクレレ・ソロの楽譜だ!。

 ウクレレの先生曰く
「そりゃ、NIぶちさんが作って出版するしかないっすね…」

 そうっすか…。いや…薄々わかってはいたが…。リフもソロもないなんて… "The Waiting" なんて特に、期待していたのだが。私は歌が駄目だから、やたらと器楽をやるのだ。ウクレレを弾きながら歌う気なんてさらさら無い。
 まぁ、仕方がない。ウクレレを取り巻く環境など、そんなものだろう。自分で弾きたい曲は、自分で編曲するしかない。先生も面白がっていることだし、いま作っている "Crossroads" が出来上がって、暇ができたら、またトムさんに挑戦しよう。

The MusiCare Gala2017/02/12 22:01

 トム・ペティがグラミー・アウォードの MusiCares Person of the Year を受賞。ガラ・コンサートが賑々しく開かれた。
 ジェフ・リン,ドン・ヘンリー,スティーヴィー・ニックス,ジェイコブ・ディラン、ダニー・ハリスンほか、大勢の豪華メンバーが揃い、客席にはリンゴ・スターもいた。
 リンゴなど、さっそく twitter に動画をアップしていた。楽しそうだ。

トムさんのスピーチも動画でアップされている。

 LAに出てきたばかりの頃、リオン・ラッセル,ジョージ,リンゴ,ジム・ケルトナーなどと出会った想い出も語っている。サングラスがちょっとずれていても、ジム・ケルトナーみたいで格好良いだろう?そしてリオン曰く、夜にサングラスってのは、イカして見せるもんだぜ。そういうわけで、サングラスをかけます!



 トムさん可愛い…!でも緊張して、顔が引きつっている!姿勢も悪いし。やだ、可愛い。
 豪華な演奏シーンも、細切れながらアップされつつある。

 

 ダニーの位置取り、最高ね。さすがだわ。以前は、ジジイ転がしと言えばトムさんだったが、いまやダニーがジジイ転がしね。

 写真も色々あがっている。
 マイク…いいよ…マイク…!


Ringo and Benmont2017/02/18 11:46

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベンモント・テンチは、すっかりリンゴ・ファミリーである。先日も、リンゴのレコーディングに参加したとかで、twitter に写真が挙がっていた。
 Love and peace! 家業さえなければ、すぐにでもオールスター・バンドに入りそう。オールスター・バンドで来日してくれてもいいよ。



 リンゴ、自分のスタジオの壁に、自分の巨大写真を飾っているの?

 リンゴのアルバム・レコーディングに参加するだけではなく、コンサートに参加したこともあるし、お誕生日イベントにもお邪魔。さぁ、ベンモントを探せ!ついでにジム・ケルトナーも探せ!



 ベンモントがリンゴ関係の画像に最初の登場したのは、いつなのだろうか。1992年の "Weight of the World" のMVではないかと思うのだが。最初にこのMVを見た時は、ベンモントが出ているとは知らなかったので、度肝を抜かれた。
 ベンモント、そのヒラヒラな紫ブラウスはどうしたの?家業の時は着ていないと思うのだが。

CRT & レココレ ジョージ・ハリスン誕生祭2017/02/21 17:55

 年に一度のお楽しみ、レココレ・プレゼンツ CRT ジョージ・ハリスン祭りが開催され、例年のとおり参加した。

 今回の話題の中心は、2月24日に迫った"THE VINYL COLLECTION"の発売。ジョージのオリジナル・アルバムと、日本公演のLPレコードセットの発売だ。



 ジョージ大好き、本秀康さんが会場に集ったジョージファンたちに、「レコードボックス買う人!」と訪ねたところ、まさかのゼロ!なんと誰も予約もしていないし、買う人も居なかったのだ。ショックを隠せない本さん。
 さらに追い打ちを掛けることに、日本限定CD紙ジャケを購入予定なのは、二人だけだったのだ。ちなみに、そのうちの一人が私。
 「この場に居る人が買わなかったら、誰が買うわけ?!」とは、萩原健太さん。

 思うに、どうやらCRTに集まるジョージファンは、ジョージのファンではあっても、コレクターではないということのようだ。殆どの人が [Dark Horse Box] と[Apple Box] を持っているわけだし、かさばる上に高額で、聴くにはターンテーブルが必要なLPボックスには食指が動かないのも分かる。
 私はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのLPボックスも購入していない。もしCD紙ジャケセットがあれば買うのだが。ジョージも小さいのなら持っていていても良いだろうと思い、予約している。もっとも、発送は3月以降だそうだ。

 アンケートコーナーでは、イベントについて「マニアック過ぎでは?」との意見があった。
 確かにその通り。「あえて」メジャーでポップな曲を流すことを避けているし、「電子音楽の世界」と「不思議の壁」を苦行のように聴こうとするのは、あまり意味がないと思う。
 我等こそはジョージのファンだという力みは否めない。気持ちは分かるが、もっと気楽に、好きな曲、多くの人に分かり易い曲を楽しんだ方が良さそうだ。
 「ジョージを世に広めるには、どうすれば良いか?!」と大まじめに考えているが、よく考えれば、既にジョージは世に広まっているし、音楽が好きな人が素晴らしき音楽を探索する過程に、ジョージが居ればそれだけで良いと思う。

 そうは言っても、欧米と日本での知名度に落差のあるTP&HBのファンである私としては、「もっとよく知って欲しい!」と努力したい気持ちも良く分かる。このブログだって、そういう意義が無いとは言えない。
 「いくらか知識があって、それを前提とした音楽の話」も良いが、もっと基本的な「彼らの良さ」から語るのも、重要な切り口だと、改めて思った。

All Things Must Pass2017/02/26 19:40

 CRTジョージ祭りで、本秀康さんがお勧めしていたドキュメンタリー映画が、「オール・シングス・マスト・パス」。タワーレコーズの誕生と隆盛、そしてその終焉までを追っている。



 監督はコリン・ハンクス。名前でピンと来るが、トム・ハンクスの息子だそうだ。
 インタビューに登場するのは、タワーの創始者であるラス・ソロモンをはじめとする、草創期のスタッフたち。彼らが、タワーレコーズがいかに発展していったのかを楽しげに語る。そして、ブルース・スプリングスティーンや、エルトン・ジョン、デイヴ・グロールなどが、巨大レコード店で膨大な在庫に目を輝かせた想い出を懐かしむ。デイヴ・グロールという人は、この手のドキュメンタリーには必ず登場する。
 タワーの隆盛は、まさに60年代から始まったポップミュージックの爆発的な発展と、歩みを共にしていた。そしてその雰囲気も、自由ではちゃめちゃ。服装も髪型も自由だし、アルコールやドラッグ、パーティの日々も謳歌していた。それでも誰もが音楽を愛し、その知識も豊富で、若者たちと情報を交換していた。
 あぶなっかしいが、とりあえずは絶好調で、アメリカ西海岸を足がかりに、まずは日本、さらにアメリカ東海岸、ヨーロッパ、南米へと店舗を広げる。
 80年代のCDの登場は、さらなる業界の発展を予感させたが、それは終わりの始まりだった。音楽のデジタル化は、ディスクというものを介さない、インターネット上の音楽の拡散となり、それがタワーレコーズの店舗を維持することを不可能にしたのは、周知のとおり。もっとも、それだけが原因ではないかも知れないが。

 勢いのある頃を語る人々が、やがて会社の解体となると、人を非難しがじめるのが、辛い。何事にも、そういう時期はある。このドキュメンタリーは、まだタワーの終焉の傷が癒えないうちに作られたことが分かる。
 アメリカのタワーが消滅し、悲しみだけが残る中、日本ではタワーの看板が輝いている。その不思議さにも思うところがある。もっとも、日本のタワーがこれからどうなるかは、私にも分からない。

 音楽は、ディスクという「盤」を完全に必要としなくなるのだろうか。音楽を愛する人は、「物」を集めたがるはずだという考えは、個人的には賛成だ。確かに、かつてほど多くの人がディスクを必要とはしていないし、その商業が衰えるのは仕方が無いことだろう。
 しかし、かつてエジソンがレコードを発明したとき、演奏を生業とする人が職を失うことを心配しつつも、100年以上経過した今でも、「演奏家」は存在する。映画が登場しても舞台芸術は滅びていないし、テレビが普及しても、映画は滅びていない。
 確かに、インターネット普及前ほどの爆発的な利益は得ないかも知れない。音楽にお金を払わずに楽しむ人も多いかも知れない。しかし、音楽にお金をかけたい人も、必ずいると私は信じている。
 音楽が好きな人なら ― ディスクを買う人も、買わない人も ― 一度見てみて欲しい作品だ。

 さて、タイトルでも分かるとおり、このドキュメンタリー作品は、ジョージ・ハリスンファンには必見の作品でもある。アルバム [All Things Must Pass]や[Cloud Nine] が良いところで登場するし、楽曲 [All Things Must Pass]の使われ方など、最高で、かなり涙腺に来る。
 エンディングクレジットの Special Thanks の冒頭に、オリヴィア・ハリスンの名前がある。映画のタイトルを拝借する許可をもらったのだろう。

 All Things Must Pass
 万物は変わりゆく。すべては移りゆく。それでも、音楽と、音楽を愛する人々は存在し続けるに違いない。