Bob Dylan in Tokyo 2014 / 3月31日2014/04/04 06:30

 2014年ボブ・ディランの日本ツアー初日,3月31日。Zeppダイバーシティ。
 整理番号が、グループAの40番と、これまでに経験のない良さである。そのため、入場方法もまた、初めての経験だった。かなり厳密に整理番号を呼び、会場へは二人ずつしか入れないという念の入れようだった。
 40番とあって、さすがに良い場所に立てた。最前列から2列目、ステージ中央からやや右寄り ― つまり、ピアノと中央のマイクスタンドという、ディランが歌う位置がよく見える場所だ。

 ディランは、19時に登場した。バンドメンバーは、去年の欧州ツアーと同じ。5人とも同じスーツに身を固めている。
 つばの広い白っぽい帽子を手に持って登場したディランは、袖とパンツの脇に白い刺繍のある黒いスーツ。ディランをこんな間近で見ることが出来るなんて、感激。皺やら、お肌のたるみやら、色々しっかり見える。
 セットリストは、去年のロンドンとほとんど同じで、違うのは "Blind Willie Mctell" と、"Waiting For You" だけだった。"Love Sick" の後で20分の休みが入るという二部構成も同じ。

Things Have Changed
She Belongs To Me
Beyond Here Lies Nothin'
What Good Am I?
Blind Willie McTell
Duquesne Whistle
Pay In Blood
Tangled Up In Blue
Love Sick
High Water (For Charley Patton)
Simple Twist Of Fate
Early Roman Kings
Forgetful Heart
Spirit On The Water
Scarlet Town
Soon After Midnight
Long And Wasted Years
All Along The Watchtower
Blowin' In The Wind

 かつては、ライブのたびにセットリストを大幅に変えるのが普通だったディランだが、去年からは、かなり固定する傾向にある。特に、秋の欧州ツアー以降は変わるのは決まった2曲程度で、今回もそれを継続した。
 私はクラシックをやる人間なので、セットリストが同じでもそれほど不満には思わない方だが、変えるディランに慣れているだけに少し驚きだ。しかし、それが往年のヒット曲ばかりのラインナップではないところが、いかにもディランらしいのだろうか。

 やはり二列目の威力は凄い。ディランがニコニコしながら歌う様子も分かるし、視線をめぐらすのもよく見える。
 ギターを弾かないスタイルはもうずいぶん長いが、それでも両手をどうすれば良いのかやや困るのか、腰の辺りでモゾモゾするのが可笑しい。
 ピアノを弾く様子もばっちり見える。私はピアニストなので評論させてもらうと、ディランはほとんど鍵盤から指を上げずに弾いている。指の関節ではなく、手首で鍵盤を押さえ込む。従って音に切れはなく、時々びっくりするようなパッセージを「ちからワザ」で弾く。
 ともあれ、2010年私に不評だったオルガンより、ピアノのほうがよほど良い。

 そのピアノの弾く足下を、後半から急に気にし始めたディラン。椅子は置いてあるが、まったく腰掛けることなく、立ったまま弾き、脚を大きくひらく。その時、左足を置くところの間近に、モニター用のスピーカーが置いてあるのだ。
 いったん気になり始めたら、とことん気になるディラン様。やたらとスピーカーを踏みつける。押したら動くとでも思っているのか、しつこく蹴る。動かないと分かると、そのスピーカーの上に左足を乗せてピアノを弾く。来月74歳になるボブ・ディラン。非常にお行儀の悪い不良ピアニストぶりも格好良かった。

 話すのは休憩を知らせるときだけ、バンドメンバー紹介もせず、最後はバンドメンバーと一列に並んで仁王立ち。これらもロンドンと全く同じ。
 去年のロイヤル・アルバート・ホール以来、最初のライブが3月31日だった。つまり、私はディランの公演を3回連続で見たことになる。
 まずは初日、手を伸ばせば届くような至近距離でのボブ・ディラン観賞。満足、満足。今夜4月4日が、私にとって今回ツアーの2回目。もちろん前では見られないので、視覚よりも、音を楽しむとしよう。

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