That's pretty wild s***, you know?2013/06/14 22:43

 ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] は、日本でのエピソード11。テーマは "Father"。これこそ、エピソード6 "Jail" の後に飛ばされた、アメリカでのエピソード7で、来週はエピソード8の "Wedding" となっている。
 どうやら、今年の父の日に合わせてエピソードの順番を入れ替えたらしい。今後はエピソード36まで、順番に放送してくれることを願っている。

 ディランが流した曲目で印象的だったのは、まずジョン・ハイアットの "Your Dad Did"。この番組にしては新しい選曲。ディランも解説していたが、曲の良さもさることながら、演奏陣が豪華なのだ。ライ・クーダーに、ジム・ケルトナー、そしてニック・ロウ。さながらスーパーバンドだ。
 それから、テンプテーションズの、"Papa was a Rolling Stone"。1972年のヒット曲とのこと。印象的ではあるが…私の好みではない。1970年代となるとフュージョン系というか、なんというかそう言うサウンドになるのだが、私が好きなモータウンはもっと古風な60年代風。でもディランは好きらしい。
 "Rolling Stone" と言えば、エルヴィス・コステロの話が面白かった。彼の父親もミュージシャンで、ラジオで色々な音楽をカバーするために、家では当時のヒット曲(ビートルズやらなにやら)をよく聞いていたし、"Like a Rolling Stone" もあったという。ディラン様ラジオの本編で、ディラン自身の曲が言葉に登場するのは珍しい。

 さて、ロッカーの父親の話。
 トム・ペティは正直言って、自分の父親が苦手だったようだ。複雑な感情があるようだし、家族のことなので踏み込めないが、少年時代のことを語る内容によると、どうも苦手であまり一緒には居たくなかったとのこと。

 久しぶりに、Cool Dry Place の自分で翻訳した[Conversations with Tom Petty] を読んだら、しばらく読みふけってしまった。素人なりに、頑張っている。
 「カントム」の冒頭に、トムさんの生い立ちの話が出てくるのだが、そこに登場するお父さんがとにかく強烈。何せ、私が「カントム」を完訳した時に選出した、「カントムに登場する強烈キャラ5」で、栄えある第一位に輝いたのが、このトムさんのパパである。

 狩りや釣りにトムさんを連れ出す、パパ・ペティ。でも、青白い金髪ヤセ少年のトムさんは、インドア派でもっとアートなことがしたい。アウトドアな狩りだの釣りだのは性に合わず、獲物も不味く、嫌で嫌でたまらない。しかも…

 ある日、小さなワニがボートのそばに近寄ってきた。実際この目で見たんだけど、父は人差し指と親指でワニを掴んで、その目にパンチを食らわせた。ワニをノックアウトするところを、ぼくに見せたのさ。親指と人差し指でつかめるようなワニをだよ。目をつぶして、ワニは水の中へ逃げていった。
 父がおかしくなったみたいだった。いや、実際おかしかった。とにかく、父は何物も恐れなかった。ある時なんて、父がガラガラヘビの尻尾を持って頭の上でグルグル回し、首に巻き付けたの見てしまった。
 とんでもないワイルドさだろう?だから、ぼくは父が怖くなってしまった。


 スギちゃんより遙か以前、既に「ワイルドだろぉ?」
 嫌々釣りに連れてこられた少年トムさんの前で、ワニと闘う父。さらに、ガラガラヘビと戦い、首に巻き付ける父。
 おびえるトムさんには悪いが、「カントム」の中で一番笑ったのは、この下り。いま読み返しても笑える。
 ガラガラヘビをグールグル振り回し、勝利する様子を「見てしまった」と訳したのには、英文法上なにか理由があったのだろうかと原書を確認してみると、"I once saw..." とあり、ただ「見た」という表現になっている。しかし、どうもドン引きしているトムさんの状況を鑑みると、「見てしまった」の方が的確だと、今でも思っている。

 ちなみに、「カントム」における強烈キャラ第二位は、たしかデイヴ・スチュアートだっと思う。探検服でトムさんの家に乗り込み、変なビデオを一緒に見ようとする変態(「変な」も、ただの「変」ではない)。
 あとはマイクや、ジョージ。もうひとりはデニー・コーデルだったと記憶している。

Tom Petty concert gets shut down (6/12追記あり)2013/06/11 21:30

6月12日追記

TICKET AND PREMIUM PACKAGE REFUND FOR JUNE 8 FONDA THEATRE SHOW
 Tom Petty and The Heartbreakers and Goldenvoice are pleased to announce that full refunds for the June 8 show are now available at the point of purchase.
 We are also pleased to confirm that Ticketmaster has agreed to refund all incurred Ticketmaster fees.
 Fans who attended the June 8 show at the Fonda Theatre can request a refund with proof of purchase anytime prior to September 10, 2013.

 全額返金?!へえぇぇぇー!!

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 6月8日土曜日、LAのザ・フォンダ・シアターでのトム・ペティ&ザ・ハートレブレイカーズのライブが、1/3ほどを残して「終わりにさせられた」という出来事があったとのこと。
 遠征に加わっている友人が、ちょうどこのライブにあたった。これまでにも何度もTP&HBのライブを見ている歴戦の強者にとっても、「途中終了」というアクシデントは初めてだという。
 事情は、どうやらバルコニー席に居るべき100人ほどがフロアに入っており、フロアのキャパシティを越える人員数のために消防当局から中止を命じられたと言うことらしい。
 どうして6日間のフォンダ公演の4日目、しかもライブの最中にこんなことになるのだろうか。当日会場に居た皆さん、本当にお気の毒。

 TP&HB当人たちも、当惑しているようで、まずベンモントがツイッターでその当惑をつぶやいている。
 Fox News によると、トムさんのコメントは…

 "I don't like point fingers or blame... But it wasn't me."
「誰かのせいにして非難したくはないけど…とにかくぼくのせいでもない。」


 なかなかはっきりしていて可笑しくなってしまった。
 当日会場に居て十分楽しめなかったオーディエンスは「そりゃないよ」と言いたくなるコメントだが、でも正直なところだろう。日本でニュースをチェックしているファンの私には、トムさんの気持ちも分かるような気がする。
 "If it has to come out of my own pocket everyone will get reimbursed," と言うコメントが、この記事のタイトル "Tom Petty concert gets shut down; he offers to pay fans from his pocket" の根拠らしい。英語の解釈が間違っていなければ、トムさんが払い戻しに自腹を切るぞ!…と言っているのだろうか。

 私はライブでトラブルという物に遭遇したことがない。強いて言えば、音校のころの演奏会で、同級生が演奏中にピアノの弦が切れたため、一度演奏し終わってから、ピアノを替え彼女がもう一度弾いたことくらいか。
 ライブ中断でもっともびっくりしたのが、2010年7月、マイク・キャンベルが熱中症のために倒れた時だ。そのときの私の記事を読むと、動揺がよく伝わる。

2010年7月20日
2010年7月24日


 いつ、どのライブだったかは失念したが、野外フェスティバルでのTP&HB演奏中、激しい風雨のために演奏が中断したこともあった。
 しばらくした後、バンドはステージに戻り、強風の中、最後まで演奏しきった。トムさんも帽子を被って頑張ってくれた。

 今年のツアーはまだまだ続く。トラブルなく、無事に終わってくれることを祈っている。

Time is on my side2013/06/06 20:51

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーは、いよいよLAはザ・フォンダ・シアターに舞台を移した。イカしたカバー曲などを沢山織り交ぜて、楽しいセットリストになってるようだ。

 ここ数日、iPodでザ・ローリング・ストーンズをアルバム・ランダムで聞き続けている。やはりストーンズは良い。
 ストーンズがカバーして有名になった曲はいくつかあるが、中でも "Time is on my side" は群を抜く名曲だろう。
 まずは、そのストーンズから。1964年。轟音のごとき女の子の叫び声とともに。ああ、これぞ伝説の60年代。80年代以降のライブ映像などもあるが、やはりこの熱気、騒々しさこそが、ストーンズの60年代であり、ロックンロールの黄金期だった。
 キースがどういうわけか、ジョージとそっくりだった時期だが、面白いほど映らない。



 そもそもは、ジェリー・ラゴヴォイというソングライターの作品で、トロンボーン奏者のカイ・ウィンディングや、ソウル・シンガーのアーマ・トーマスが録音していた。ストーンズのカバーは、おそらくトーマスのカバーだろう。
 ここでは、1992年、ボニー・レイットとアーマ・トーマスのデュエット。これは格好良い!



 そして、何と言ってもTP&HBによるカバー。
 1997年伝説のフィルモア・ライブで披露している。有名なブートがあり、私もそれで聞いたのだが、何と言ってもハウイ・エプスタインのコーラスが素晴らしい。
 このライブでは、"Satisfaction" でもハウイのコーラスワークの上手さ ― コーラスというよりは、トムさんとのツイン・リードが絶品だった。これを聞くといつも、ハウイという唯一無二、偉大なる才能と、愛すべき人の損失がいかに大きかったかを実感させられる。

(I'm not your) Steppin' Stone2013/05/27 22:37

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーも、いよいよニューヨーク,ビーコンシアターでの連続公演が終わろうとしている。
 毎日数曲がかわるセットリストを見てると、今回のツアーの特徴として、お馴染みだったり、珍しかったりするカバー曲が、数曲含まれていることがわかる。"So you want to be a Rock 'n' Roll star" や、"Friend of the devil" など。
 私はもう数回TP&HBのライブを楽しんだから、これらのカバー曲が聴けるとても嬉しいが、その一方で "Free Fallin", "I won't back down", "Learning to fly" などお馴染みのヒット曲が聴けないのが残念に思われる人も居るだろう。この辺りの兼ね合いは難しいところだ。

 さて、今回のカバー曲の中で、モンキーズ・ファンをどよめかせているのが、"(I'm not your)Steppin' Stone" だ。



 私はこの曲を知らなかった。モンキーズは、[The Monkees Show] のDVDが欲しい欲しいと思いつつ、いつも後回しになっている ― 不義理をしているような存在だ。
 最初に "(I'm not your)Steppin' Stone" を録音したのは、Paul Revere & the Raiders、1966年。同年、すぐにモンキーズがカバーしたのが、この曲の一番のヒットバージョンとのこと。モンキーズの特徴と思われる、やや甘い感じが曲のハードさとのコントラストを成していて、凄く格好良い。



 これは確かに、TP&HBが好きそうな曲。Them の "Gloria" ともよく似ているし、これまた、TP&HBがカバーしている、アニマルズの "I'm Crying" にも似ている。
 そこで、[Sound Stage]。このライブは、マイクが素敵な爆発頭だった最後だし、トムさんの女優っぷり(本番に向けて容姿を完全に整える技術という意味)が最大限で発揮されていて、大好きだ。



 トムさんとマイクは、この手の曲を聴くとムズムズするし、ベンモントは格好良いオルガンを響かせずにはいられないのだろう。
 この格好良さで、まだまだ続くツアーを、頑張って欲しい。

Tears2013/05/24 23:15

 まずは、訃報から。
 狂言大蔵流の四世茂山千作さんが亡くなった。当代一の名人の死去だった。
 私にとっては、千作さんがまだ千五郎さんだったころの印象が強い。西日本が拠点の狂言師さんだったため、残念ながら直接舞台を見ることは出来なかったが、映像で見る狂言は、本当に素晴らしかった。特に「彦一ばなし」のお殿様役は、千作さん以外には考えられないほどだ。
 何年か前に、西日本の大蔵流若手楽師さんがテレビに出ているのを見たが、びっくりするほど下手なので、ちょっとショックだった。名人亡き後、彼らが成長してゆくのを祈るばかりだ。

 さて、ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] は、何事もなかったかのように、アメリカでのエピソード39,日本でのエピソード8 [Tears] が放送された。そして、今日はディラン様の誕生日!72歳おめでとう!
 相変わらず面白い番組で、重ね重ね、飛ばされたエピソードがどうなるのか気になる。

今回の[Tears]は、とりわけ興味深い選曲が多かった。
まずは、ソロモン・バークの、"Cry to me"。



 私にとっては、もちろんトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ若かりし頃のカバーで覚えている曲。TP&HBのカバーは、バークのカバーというよりは、やはりバークをカバーした、ストーンズのそのまたカバーと言うべきだろう。

 と、言う訳で、TP&HBの "Cry to me"。この動画のトムさんは若い。若いぞ、可愛いぞ。
 2分24秒くらいに出てくる写真の左のお兄さんは、誰だろう?TP&HBのファンなら絶対に分かっていなければいけない人のような気がするが、ピンと来ない。忘れているのかも知れない。お分かりになる人、教えて下さい。(「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」と言うし…)



 今回のディラン様ラジオでは、スモーキー・ロビンソンのべた褒めコーナーがあり、大喜び。マーティン先生!ディラン様が、スモーキー最高って言ってます!
 スモーキーに "Tears" と来れば、当然 "The tears of a clown" かと思ったら、そこはさすがディラン様。韻の踏み方が凄い(と、コステロも言っている)、マーヴェレッツの "No More Tear-Stained Makeup" をかけた。マーサ&ヴァンデラスではないところにも、こだわりがあるのだろうか。

 ううむ、私としては、やはり "The tears of a clown" を推したい。ねぇ、マーティン先生?



 もう一つ、気になったのは、ジェイ・ガイルズ・バンドの "Cry One More Time"。凄く格好良い演奏なのだが、YouTubeにはアルバム収録版がアップされていないようだ。
 私はこの曲をどこかで聴いたような気がしていた。ザ・バンドのような、違うような…なんだか分からないでいると、最後の解説でピーター・バラカンさんが教えてくれた。グラム・パーソンズだ。彼のカバーで聞いていたらしい。
 でも、私の好みとしては、グラム・パーソンズよりは、ジェイ・ガイルズ・バンドの方が格好良い。

 最後に、バラカンさんがテーマに沿った、ディラン様自身の曲をかけることになっている。
 毎回、何をかけるのか予想するのが楽しみで、今回どういう訳か、"The Lonesome Death of Hattie Carroll" 以外が思い浮かばなかった。
 バラカンさんが「tears といえば、ほとんどのディラン・ファンが思い浮かべる曲」というので、ドキドキしたのだが、なんと、ビンゴ。"The Lonesome Death of Hattie Carroll" だった。悲しい歌ではあるが、とても美しい。
 次回のテーマは、"Laughter"。バラカンさんがかけるディランの曲は、"Bob Dylan's 115th Dream" と予想。さぁ、どうだろう?

Psychotic Reaction2013/05/21 21:32

 きょうはスタン・リンチの誕生日。1955年なので、アメリカも21日になれば58歳。おめでとう。
 ハートブレイカーズの末っ子はまだ50代。やっぱり若い。

 スタン・リンチはとても好きだ。ハートブレイカーズに欠かせない存在だった。
 ジミー・アイヴィーンなどは、はっきりと言うが、マイクやベンモントのような正真正銘ヴィルトゥオーソに比して、技術的には劣る物があったという。しかし、私にはその詳細は分からない。凄く格好良いドラミングだと思っている。
 そして何と言っても、スタンの歌の上手さは抜群だった。トムさんとの絶妙なコーラスワークは、ハートブレイカーズに欠かせない要素だ。さらにハウイが加わると、ハートブレイカーズは一つの絶頂期を迎えたと思う。

 スタンがメイン・ヴォーカルを取った曲で有名なのが、"Psychotic Reaction"。[Playback]や、[Take the Highway] にも収録されているので、ファンにはお馴染みだ。



 このスタンがカバーする "Psychotic Reaction" について、[Playback] の解説にはこうある。

 面白かったのは、オリジナルをやっていたカウント・ファイヴの連中がオークランド・コロシアムまで僕らに会いに来て、僕らがこの曲をやるというのに感激して、僕に吸血鬼のマントをくれたことだった。彼らが席に戻るとスタンが僕を見て言った、『歌えないよ、声が出無いんだ』と言った。『何だって?こんな特別の晩に歌えないだって!彼らが来ているし、マントももらったというのに…』

 なんだか文章が変だが、私のせいではない。翻訳がこうなっているのだ。
 「吸血鬼のマント」というのが、よく分からない。
 分からないが、とりあえずそのオリジナルのカウント・ファイヴによる "Psychotic Reaction" を聞いてみよう。



 アメリカはカリフォルニアで活躍、1964年結成の5人組。ジャンルは「ガレージ・ロック」と言うそうだ。
 たぶん、アンサンブルを始める際の拍子=カウントと、伯爵=count を掛けたバンド名だろう。(ちなみに、伯爵を count というのは、ヨーロッパ大陸の呼び方で、イングランドでは earl を使う。earl はトムさんのミドルネームでもある)
 伯爵 → ドラキュラ伯爵 → ヴァンパイア → 吸血鬼コスプレ → ケープ(マント)を羽織る



 どうやら、そういう事らしい。この写真は、カウント・ファイヴのアルバムの裏ジャケットに載っているとのこと。
 トムさんがもらったのはこのケープのうちの一つ。
 質問!トムさん、そのケープ、どうしたの?着たの?トムさん…どうも似合いそうにないなぁ。帽子は似合うが、マントは似合わないと思う。こういうのは、マイクが似合うと思う。

 そういえば、トムさんはジョージの家でノサノサしていたら、大掃除を始めたジョージに「エルヴィス好き?これあげるー」と、エルヴィスのサイン入りホルスターをもらったことがある。
 ウクレレも4つもらったことだし。他にも色々ありそう。

素敵な知らせと、嫌な予感2013/05/18 13:28

 いよいよ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの2013年ツアーが始まった。
 まずは、インディアナ州エヴァンスヴィルのフォード・センターから。セット・リストも公式ページには上がっている。

 注目は、なんと言っても冒頭の "So you want to be a rock 'n' roll star"。私をTP&HBファンにしたのは、この曲だ。そして、ウィルベリーズからは、"Tweeter and the Monkeyman"。確かにハートブレイカーズ向けの曲だ。格好良さそう。オリジナルにはジョージ独特のスライドは入っていないが、マイクはどうしているのだろう?その辺りにも興味がある。
 それから、"Louisiana Rain" も切なくて好きな曲。アコースティックテイストの強い曲だが、その中でエレキの響きが格好良い。

 動画も上がり始めた。
 こちらは、アンコールの "American Girl"。とても良く撮れている。マイクが自分のシグネチャーモデル,デューセンバーグを格好良く弾いている。すこし音符が変わっているようにも聞こえる。ギターの色と、シャツの色もとても合っていて素敵。
 トムさんは前髪をあれで行くことにしたらしい。まぁいいか。格好良いから。エンディング・ギターソロに入る一瞬、2分33秒くらいのトムさんが、「いくぜっ!」という感じてドキっとするほど格好良い62歳!
 ライティングもコードによって切り替えるなど、なかなか凝っている。
 ごあいさつはいつものとおり。撒くものが無くて苦笑のマイク。良いのです、マイク先生が格好良ければ、それで良いのです!



 一方、ここ日本では。
 少し、嫌な予感がしている。
 ディラン様ラジオこと、インターFMの [Theme Time Radio Hour]。毎週楽しみにしている。5月9日の放送は、エピソード6、テーマは[Jail]。アメリカで放送された順番で言うと、次のテーマは[Father] のはずが、5月16日に放送されたのは、[Luck] ― アメリカでは、エピソード38にあたる。つまり、エピソード7から、37を飛ばされたようなのだ。
 さあ、これはどうしたことか。しかも、次回のテーマは[Tears] ― アメリカではエピソード39なのだ。7から37は、どうなってしまったのだろうか。もの凄く気になるし、絶対に聞きたい。誰か、この辺りの事情をご存じの方、教えて下さい!

 毎回、ディラン様が提供する色々な話題も面白いし、曲も素晴らしい。気になった曲を後でチェックするのも楽しい。ピーター・バラカンさんの解説も嬉しいし、ディラン自身の曲を推理したり、楽しんだり。
 そういえば、インターFMのサイトに、バラカンさんの解説後に流れるピアノによるブルース曲は何かという、ツイートが載っていた。演奏者は分からないが、曲名なら分かる。ディランのアルバム[Shot of Love] 収録の、"Trouble"。

 何はともあれ、ディラン様ラジオは全エピソードを聞きたい!私の嫌な予感が、杞憂でありますように。ただ単にエピソードの順番を入れ替えただけでありますように。
 助けて、神様、仏様、ディラン様!

The Old Grey Whistle Test2013/05/12 20:15

 先日、ビリー・ジョエルが出演したライブ映像を記事にした。
 その出演番組が、英国BBCの [The Old Grey Whistle Test] である。1971年から1987年にかけて放映されたBBCの看板音楽番組の一つで、ジュールズ・ホランドの番組の先達である。

 珍妙なタイトルだが、Wikipedia の記事によると、ティン・パン・アレイで昔使われた言葉で、灰色の制服を着たドアマンたちに最初にプレスされたレコードを聴かせ、反応を確かめたという話に由来しているとのこと。
 番組のコンセプトは、「華々しいチャートよりも、『シリアス』なロック・ミュージックにフォーカスすること」。

 まずは、1978年のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの、"American Girl"。実は、この映像、私が一番好きな "American Girl" 映像のひとつ。とにかく若くて格好良い!トムさんのスーツ姿もばっちりだし、ヒールの高い白い靴もイカしている。何と言っても長い前髪と、でっかいサングラスが似合っている。
 さらに、マイクのギター・プレイがアップになるのも良い。本当に格好良いの一言に尽きる。
 途中で、トムさんやバンドの来歴や、「30年たっても、まだまだ大活躍中」という解説がはいるので、最近BBCが編集した映像らしい。



 [The Old Grey Whistle Test] にはホストがおり、アーチストたちから直接話を聞き出す。
 これは、1976年ELOのジェフ・リン(サングラス無し)のインタビュー。気さくで話好きな好青年っぽい…向こうにいるデイヴィッドに「やぁ!」と声をかけるとか。誰?デイヴィッドって?



 最後はパロディ作品。
 ザ・マイティ・ブーシュでもお馴染みのマット・ベリーと、リッチ・フルチャーの番組、[Sfuff Box]。
 ホスト役は、リチャード・アヨエイド(ケンブリッジ大学フットライツのプレジデントだった)。静かで、穏やかな会話のあと、穏やかに曲が始まるが…?!ダブルネックのギターを弾いているのは、リッチ・フルチャー。彼は多分エアギター。キーボードのマット・ベリーは、おそらく彼自身の演奏だろう。

The Wallflowers + TP&HB2013/05/09 21:08

 来週から、いよいよトム・ペティ&ザ・ハートレブレイカーズのツアーが始まる。
 そんな中、大きなニュース。あのザ・ウォールフラワーズが、6月23日の公演にスペシャル・ゲストとして参加するというのだ。たぶん、オープニング・アクトをつとめ、ハートブレイカーズの演奏中にも1曲か2曲参加するというパターンだろう。



 どうでも良い事だが、ジェイコブって、前髪クライシスなの?額ラインがどんどん上昇しているの?美男子ベンモントへの道まっしぐらなの?

 いやべつにいいんだよろっくすたーがおはげだろうがもさもさだろうがそんなことはじつりょくとはかんけいないしかっこういいものはかっこういいしべつにいいんだきにしない。(棒読み)

 それで、実際はどうなの?!最近帽子が多いのには事情があるの?!(前のめり)胸毛はボーボーなのにねぇ(「胸毛裁判」再び)。

 ウォールフラワーズは結構好きだ。なんといっても親しい友人のプッシュが凄くて聞き始めたのだが、確かにとても良い。2枚目から5枚目までのアルバムは、どれも好き。
 一方で、ジェイコブのソロはちょっと違う。私が求めるロックはちょっと違う。
 最近、バンドに復帰してアルバムを発表したが、ソングライティングの面でまだ復帰し切れていない感じがする。ソロ前はもっと突き抜けた、爽快なロックを量産していた。復活を願う。

 バンドの再開にともなってライブ活動も活発な模様。今年のスプリング・ツアーでは、北米を回っているエリック・クラプトンと一緒だった。
 これは、"The Weight" をジェイコブが歌っているシーン。カメラマン、落ち着け。それにしても、クラプトンは酷い格好しているなぁ。ジェイコブが格好良くキメているだけに、なおさら酷さが際立つ。



 夏のツアーはカウンティング・クロウズとのジョイント。その合間に、TP&HBのスペシャルゲストになるというわけ。

 マイク・キャンベルが、ウォールフラワーズの、"6th Avenue Heartache" でギターソロを弾いているというのは有名な話。
 尺を長く引っぱり過ぎなのが玉に瑕だが、名曲。



 マイクは、2003年ソングファクツでのインタビューで、このギターソロについて尋ねられているのだが(Cool Dry Placeに翻訳あり)、プロデューサーがテープを送ってきたので、オーバーダブしただけで、バンドのメンバーとは会っていないと、その辺りはサラリと流されてしまった。
 ところがそのすぐ後に、「ジョージ・ハリスンっぽく弾けて満足!しかもジョージの耳にもとまって、『やぁ、あの曲をラジオで聞いたよ。今度は、ぼくっぽくやる事にしたの?』って言われちゃった。(えへへ)」…と、何だか知らんが話がジョージに飛ぶ。
 分かっています、マイク先生はジョージ愛です。今となっては驚きません!

 そのマイクが、ジェイコブと共演している短い映像がある。
 アコースティックなライブだったのか、マイクもアコギ。なんたる贅沢!
 6月はTP&HBとウォールフラワーズ、どんな共演を見せてくれるのか、楽しみだ。

Coffee or Tea?2013/05/03 22:05

 Tea!

 私はコーヒーが飲めない。
 味も香りも好きだが、どういうわけか胃が受け付けない。圧倒的に牛乳の多い割合にしても、どうしてもだめ。少しでもコーヒーの要素が入っていると、たちまちお腹が痛くなる。ひどいところでは、コーヒー風味の飴までだめだった。あれには、本当にコーヒーの要素が入っているのかどうかも怪しいのに。どういうわけだ。
 カフェインがダメなのかと言えば、そうでもない。日本茶は毎日ガブガブ飲むし、紅茶も大好きだ。
 ともあれ、そういう訳で、私はコーヒーが飲めない。飲みたいのだが。

 ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] 5回目のテーマは "Coffee"。ディラン様お気に入りのコーヒーに関する曲を色々と聴かせてくれた。今回は、スクイーズやブラーなど、新し目の曲も入っていたのが面白い。
 一番最初にかかったのが、ジ・インク・スポッツの "Java Jive"。多くのカバーがあって有名な曲だそうだ。歌詞の意味としては、いくらかドラッグの要素も入っているとのこと。



 最初にディランがジ・インク・スポッツの曲だと紹介したとき、ピンと来た。たしか、ディランとハートブレイカーズのベンモント・テンチが意気投合して、一緒に歌っていたのが、インク・スポッツの曲だったはず。
 どこで出てきた話かといえば、トム・ペティのロング・インタビュー本 [Convertions with Tom Petty](通称「カントム」)。私の翻訳では、こうなっている。

 あの頃ボブは、即興をやっていた。もしくは、ぼくらは知らなくても、ベンモントとはやっていた歌とかね。ボブはベンモントを信頼していたんだよ。
 ある夜、ボブはベンとインクスポッツの曲をやったけど、あれはすごく良かった。でもぼくらは知らなかったから、演奏のしようがなかった。


 ディラン様ラジオの最後の15分は、ピーター・バラカンが流れた曲の解説などをしてくれる。そして、最後にテーマに沿ったディラン自身の曲を1曲かけるのが、これがこの先いくらか苦労するのではないかと思われる。先週の「野球」など、本当によく見つけてきたものだと思った。
 しかし、今週の「コーヒー」は簡単だった。ディラン好きなら誰でも思いつくであろう。アルバム [Desire] から、"One more cup of coffee" が流れた。

 紅茶好きの私としては、"Tea" もテーマに入れて欲しいのだが、確かディラン様ラジオでは取り上げられていなかったと思う。彼が英国人なら絶対に入っただろう。

 紅茶が登場する曲も色々あるだろうが、ここでは私が大好きな、シスター・ヘイゼルの "Strange cup of tea"。もちろん、"cup of tea" というのは、「お気に入り」という表現であることにも掛かっている。
 メインボーカルは、いつものケンではなく、ドリュー・コープランド。リフも格好良いし、サビの軽快さがいい。さらに、最後のスキャットがイカしている。