Morning Has Broken2011/05/14 23:28

 テレビを点けたら偶然、とある飲料メーカーのCMが流れており、その音楽がキャット・スティーヴンスの "Morning Has Broken" だった。
 ただし、歌が入っているわけでは無く、インストゥルメンタルのカバーと言った方が適当のようだ。この曲はもともとスティーヴンスのオリジナルではなく、賛美歌のようなものらしいので、スティーヴンスのカバーという表現は正確ではなさそうだが、ともあれ彼の録音が非常に有名なので、そうとらえるのが自然だろう。

 私が最初に "Morning Has Broken" を聞いたのは、ずいぶん昔だ。学生時代、生まれて初めて飛行機に乗ったとき、機内エンターテインメント・チャンネルで「AOR 特集」というものがあり、そこでこの曲を聴いた。アダルト・オリエンテッド・ロックという日本独特のカテゴライズに、スティーヴンスが当てはまるのかどうかは知らない。その場で曲名とアーチスト名をメモし、かなり長い間 - おそらく6, 7年は手帳の間にそのメモを挟んでおり、就職してCDが自由に帰るようになった頃、やっと収録アルバム [Teaser and the Firecat] を購入したという次第だ。

 ともあれ、"Morning Has Broken" のライブ動画をどうぞ。

 アルバムレコーディングの時、あの印象的なピアノを弾いていたのは、リック・ウェイクマン(イエス)だったそうだが、ライブ映像では、巨漢。…しかも巨大アフロ。ピアニストでこんな巨漢って、なかなか見たことが無い。ピアノとどっちがでかいだろうか。
 感動的なのは、キャット・スティーヴンスが録音そのままの美しい声の持ち主であるところ。容姿もかなりグっと来る。
 アルバムそのものも名作で、ほかにも "Moonshadow" や "Peace Train" などと言った名曲が含まれ、ビルボードで最高2位を記録している。プロデューサーは、元ヤードバーズのポール・サムウェル-スミス。ちなみに、同時期にジョン・レノンの "Imagine" や、ロッド・スチュワートの "Every Picture Tells A Story" などが発表されており、このことは、1971年という時期は60年代マジックが続いている、ロックの黄金期であることをまざまざと語っている。

 キャット・スティーヴンスは、その後イスラムに改宗し、名前もユスフ・イスラムと改め、音楽活動から身を引いた。1985年のライブエイドの折には、久しぶりに公衆の面前に登場する予定だったが、前のエルトン・ジョンのセットが長引き、結局彼は登場できなかったという、酷い話がウィキペディアに載っていた。
 実は、彼のアルバムは1枚しか持っていない。久しぶりに、初めて飛行機に乗って聞いたときの感動がよみがえったので、他のアルバムの買ってみようと思う。