The Mousetrap2015/10/15 22:26

 舞台作品のロングラン ― しかも世界最長記録を持っているのは、ロンドンで上演が続いている、[The Mousetrap] 。邦題では「ねずみとり」と言う。原作はアガサ・クリスティ。

 舞台は、マンクスウェル荘というゲストハウス。ホテルに近い下宿屋といったところだろうか。結婚から1年、モリーとジャイルズがこのゲストハウスを開業したその日、予約客達がやってくるが、降り続く雪のため、孤立状態になる。さらに、雪道で立ち往生した旅行者も含め、主人夫妻と、5人の客があつまる。
 そこへ、警察から一人の刑事が派遣されてきた。刑事の説明によると、ロンドンで起きたある殺人事件と、このゲストハウスに何らかの関係があるのだと言う。やがて電話までもが不通となり、完全に外界と遮断されたゲストハウスで、事件が起きる ―



 いわゆる「クローズト・サークル物」の典型。
 クリスティは、1947年に小説 [Three Blind Mice] 邦題は「三匹の盲目のねずみ」を執筆。これを原作として、1950年に舞台化したのが[The Mousetrap]で、それ以来65年にわたって上演され続けているのだ。
 そもそも、「三匹の盲目のねずみ」というのは、UKで有名な童謡,マザーグースの一曲だ。
 よくあることだが、歌詞がやや不気味。

Three blind mice. Three blind mice.
See how they run. See how they run.
They all ran after the farmer's wife,
Who cut off their tails with a carving knife
Did you ever see such a sight in your life
As three blind mice

三匹の盲目ねずみが走る姿を見てごらん
農家のおかみさん、ねずみを追っかけ
ナイフでしっぽをちょん切った
そんなの見たことがあるかい

 この曲の動画をはりたいのだが、どうにもろくなバージョンがない。



 クリスティお得意のマザーグースの歌詞をミステリーに取り込んだ趣向で、舞台化したときに、[The Mousetrap] に改題された。
 [The Mousetrap]「ねずみとり」というのは、シェイクスピアの「ハムレット」に登場する。ハムレットが父の仇である伯父に、奇妙な演劇を見せたとき、伯父にそのタイトルを訊かれて答えるのが、"The Mousetrap"。敵である伯父を罠にはめようとする意図が隠されている。
 クリスティの舞台作品に「ハムレット」は直接的には関係しないが、舞台作品の題名としては秀逸だ。

 なにせ60年以上もロングランを続ける名作演劇作品だ。クリスティ・ファンとしては、一度は必ず ― いや、二度は見たい作品だろう。