The Best of Everything ― 2023/08/15 19:50
ロビー・ロバートソンと言えば、忘れてはいけないのはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "The Best of Everything" をプロデュースしたことだ。
この曲はもっと前のアルバムのために書いておきながら、結局収録しないでいたもので、偶然テープがロビーの手に渡ったことをきっかけに、ロビーがプロデュースし、かなり分厚いホーンセクションをはじめとした音を足し、なおかつリチャード・マニュエルのコーラスまで加わった。
その経緯について、「カントム」こと、The Conversations with Tom Petty で、トムさん自身が語っている。翻訳は私なので、あしからず。
Q:"Rebels"には、ホーンが上手くフィーチャーされていますが、抑えた音量になっています。同じく [Southern Accents] 収録の "The Best of Everything" とは対照的ですね。あちらのホーンは、とても明るく、目立つように、ミックスされています。
それに、亡くなったリチャード・マニュエルもハーモニーで参加しています。
TP:彼はぼくのお気に入りシンガーの一人だ。でも、(リチャード・マニュエルが)録音したときには、一緒にいなかったんだよ。ロビー(・ロバートソン)がやったから。
Q:もともと、"The Best of Everything" は[Hard Promises] のために録音しとうとしていたのですか?
TP:うん。でも、長さ的に余裕がなくてね。いつも入れたい曲をカットする必要に迫られる。
([Hard Promises]に)入れなくて良かったよ。ロビー・ロバートソンが手を加えた後の方が出来が良いからね。彼が手を加えてくれたことによって、とても良くなったと思うんだ。
ぼくが書いた中では、一番良い曲の一つだと思う。本当に良い曲だし、彼はそこを評価してくれた。今でも、この曲に関しては誇りに思っている。
ぼくらがこの曲を作ったとき、ロビーは "The King of Comedy" っていう映画の音楽監督をしていた。それでぼくに何か良い曲はないかと訊いてきたので、ぼくは完璧に合うとても良い曲があると答えた。そうしたらロビーが言った。
「なるほど、この曲を借りて、金管とか加えても構わない?」
ぼくは答えた。「もちろん。やってみてよ。」
ぼくはずっとザ・バンドのホーン・アレンジが好きだったからね。それでロビーはこの曲を持って行き、少し編集を加えた。もともと、無くても構わない余計なひとヴァースがあったのだけど、これが凄いことになった。とても嬉しかったよ。
Q:(ロビーは)あなたが何かをまた追加で録音することなく、全てのミックスをやったのですか?
TP:そうなんだ。ぼくがスタジオに入ってくるのも嫌がってね。ぼくはこの曲を彼にくれてやって、仕上げるということを理解した上で、渡したんだからね。
ある時偶然、ぼくはロビーが仕事をしている同じ建物で、仕事をしたことがあった。ぼくは彼のところへ行って、覗いてみようとした。ところがロビーはドアを締め切って言うんだ。
「だめ、だめ、だめ、入っちゃだめ。こっちが終わるまで近寄るな。お前さんが気に入らなかったら、また変えてやるから。」
結局、ぼくは一音も変えなかった。出来上がりを聴いたとき、ぼくは「まじかよ、すげぇな」と思った(笑)。安心してくれると良いね。
実のところ、ロビーは曲そのものに少し手を加えていた。彼がどこを削除したのかは覚えていないけど、とにかくもっと単純明快にしたんだ。歌詞には手をつけてないと思うけど、とにかく曲を少し短くした。
さらにロビーはホーンのアレンジを加え、リチャード・マニュエルのハーモニーをぼくのボーカルに重ねた。
Q:あなたの声と重なったこのサウンドは好きですか?
TP:そりゃ、夢が叶ったんだから。ぼくはシンガーとして、(リチャード・マニュエルを)すごく尊敬しているんだ。(リチャードが録音した)その場に居なかったとしても、ぼくは満足さ。居たらぼくがドジるだろうし(笑)。
ロビーは本当に良くやってくれた。彼には大きな借りができた。
思っていたよりも多くこの曲について語っていた。ロビーがトムさんを締め出すところの口調は、それなりに考えて訳したつもりだ。ロビーはジョージと同い年だったから、トムさんにとっては完全に先輩格。そしてトムさんは有名な年上キラーである。この曲以外にもロビーとの共同作業もあったら面白かっただろう。
実のところ私はある時期まで、このロビーによって分厚く作り込まれた "The Best of Everything" をそれほど評価していなかった。ハートブレイカーズにこのサウンドは、大袈裟すぎると思ったのだ。
しかし、2006年に TP&HB のドキュメンタリー映画 [Runnin' down a dream] でこの曲が使われた場面が印象的で、評価が変わった。とても味わい深く美しい曲で、感動的なホーンやコーラスが加えられた名プロデュースに聞こえてきたのだ。
トムさんが亡くなってから6年後に、ロビーが亡くなった。ロビーの才能を評価するのに、ふさわしい一曲としてこの曲も記憶しておきたい。
この曲はもっと前のアルバムのために書いておきながら、結局収録しないでいたもので、偶然テープがロビーの手に渡ったことをきっかけに、ロビーがプロデュースし、かなり分厚いホーンセクションをはじめとした音を足し、なおかつリチャード・マニュエルのコーラスまで加わった。
その経緯について、「カントム」こと、The Conversations with Tom Petty で、トムさん自身が語っている。翻訳は私なので、あしからず。
Q:"Rebels"には、ホーンが上手くフィーチャーされていますが、抑えた音量になっています。同じく [Southern Accents] 収録の "The Best of Everything" とは対照的ですね。あちらのホーンは、とても明るく、目立つように、ミックスされています。
それに、亡くなったリチャード・マニュエルもハーモニーで参加しています。
TP:彼はぼくのお気に入りシンガーの一人だ。でも、(リチャード・マニュエルが)録音したときには、一緒にいなかったんだよ。ロビー(・ロバートソン)がやったから。
Q:もともと、"The Best of Everything" は[Hard Promises] のために録音しとうとしていたのですか?
TP:うん。でも、長さ的に余裕がなくてね。いつも入れたい曲をカットする必要に迫られる。
([Hard Promises]に)入れなくて良かったよ。ロビー・ロバートソンが手を加えた後の方が出来が良いからね。彼が手を加えてくれたことによって、とても良くなったと思うんだ。
ぼくが書いた中では、一番良い曲の一つだと思う。本当に良い曲だし、彼はそこを評価してくれた。今でも、この曲に関しては誇りに思っている。
ぼくらがこの曲を作ったとき、ロビーは "The King of Comedy" っていう映画の音楽監督をしていた。それでぼくに何か良い曲はないかと訊いてきたので、ぼくは完璧に合うとても良い曲があると答えた。そうしたらロビーが言った。
「なるほど、この曲を借りて、金管とか加えても構わない?」
ぼくは答えた。「もちろん。やってみてよ。」
ぼくはずっとザ・バンドのホーン・アレンジが好きだったからね。それでロビーはこの曲を持って行き、少し編集を加えた。もともと、無くても構わない余計なひとヴァースがあったのだけど、これが凄いことになった。とても嬉しかったよ。
Q:(ロビーは)あなたが何かをまた追加で録音することなく、全てのミックスをやったのですか?
TP:そうなんだ。ぼくがスタジオに入ってくるのも嫌がってね。ぼくはこの曲を彼にくれてやって、仕上げるということを理解した上で、渡したんだからね。
ある時偶然、ぼくはロビーが仕事をしている同じ建物で、仕事をしたことがあった。ぼくは彼のところへ行って、覗いてみようとした。ところがロビーはドアを締め切って言うんだ。
「だめ、だめ、だめ、入っちゃだめ。こっちが終わるまで近寄るな。お前さんが気に入らなかったら、また変えてやるから。」
結局、ぼくは一音も変えなかった。出来上がりを聴いたとき、ぼくは「まじかよ、すげぇな」と思った(笑)。安心してくれると良いね。
実のところ、ロビーは曲そのものに少し手を加えていた。彼がどこを削除したのかは覚えていないけど、とにかくもっと単純明快にしたんだ。歌詞には手をつけてないと思うけど、とにかく曲を少し短くした。
さらにロビーはホーンのアレンジを加え、リチャード・マニュエルのハーモニーをぼくのボーカルに重ねた。
Q:あなたの声と重なったこのサウンドは好きですか?
TP:そりゃ、夢が叶ったんだから。ぼくはシンガーとして、(リチャード・マニュエルを)すごく尊敬しているんだ。(リチャードが録音した)その場に居なかったとしても、ぼくは満足さ。居たらぼくがドジるだろうし(笑)。
ロビーは本当に良くやってくれた。彼には大きな借りができた。
思っていたよりも多くこの曲について語っていた。ロビーがトムさんを締め出すところの口調は、それなりに考えて訳したつもりだ。ロビーはジョージと同い年だったから、トムさんにとっては完全に先輩格。そしてトムさんは有名な年上キラーである。この曲以外にもロビーとの共同作業もあったら面白かっただろう。
実のところ私はある時期まで、このロビーによって分厚く作り込まれた "The Best of Everything" をそれほど評価していなかった。ハートブレイカーズにこのサウンドは、大袈裟すぎると思ったのだ。
しかし、2006年に TP&HB のドキュメンタリー映画 [Runnin' down a dream] でこの曲が使われた場面が印象的で、評価が変わった。とても味わい深く美しい曲で、感動的なホーンやコーラスが加えられた名プロデュースに聞こえてきたのだ。
トムさんが亡くなってから6年後に、ロビーが亡くなった。ロビーの才能を評価するのに、ふさわしい一曲としてこの曲も記憶しておきたい。
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