Band Member Introductions2014/11/03 20:08

 まず、ニュース。トム・ペティが 2015年のソングライターズ・ホール・オブ・フェイムに殿堂入りするとのこと。

Songwriters Hall of Fame Announces 2015 Nominees

 殿堂入りしていなかったのか…というのが正直な感想。パフォーマンス・ソングライターというカテゴリーなのだが、トムさんの場合はマイクも一緒の方が良くないだろうか。
 来年、6月18日にガラが行われるとのこと。トムさんが出るかどうかは分からないが、出るとしたらスティーヴ・ウィンウッドとまたまたジョイントなのか。ジェリー・ガルシアの功績を称える何かをするのか。個人的には、スティーヴ・ミラーと何か面白いことをやって欲しい。

 先週の土曜日は、いつもお世話になっているハートブレイカーズ・ジャパン・パーティのオフライン・ミーティングだった。
 今回は夏のツアー終了直後であり、日本からの参戦メンバーも多数居たということで、最新ライブ映像の観賞会が楽しかった。
 私もニューヨークで見たツアーの映像を見ている内に、レポートに書き忘れたことを思い出した。

 ライブ中の、バンド・メンバー紹介が好きだ。特にハートブレイカーズは思い入れのある大好きなメンバーが揃っているだけになおさら。
 これは私がロンドンで撮影した2012年の紹介動画。



 けっこうよく喋るトムさん。とくに最初のスコットが長い。
 ともあれ、順番はスコット→スティーヴ→ロン→ベンモント→マイクの順。これが普通なのだが…

 2014年9月10日、ニューヨークはマディソン・スクェア・ガーデンで、トムさんは順番を間違えた。
 この動画は、ステージの左後方から撮っている。35分50秒ごろから、メンバー紹介が始まる。

Tom Petty and the Heartbreakers @ Madison Square Garden, NYC 9/10/14 - FULL SHOW

 スコット,スティーヴ,…そしてなぜかベンモント。
 マイクが大笑いしている。「先にロンだろー!(笑笑)」と、ロンを指さしている。
 しかし、動じないトムさん。最初からそういう順番だったとでも言わん様子でロンを紹介する。そしてお約束のハグ♪
 まぁ…ね、トムさん。一生言われると思うが、マッドクラッチをやめた時、マイクだけキープしてベンモントを置き去りにした人だからね…時々可愛いポカをやるわけです。(置き去りは可愛いポカか?)

 メンバー紹介の時、誰かトムさんを紹介してあげれば良いのにと、いつも思う。確かに、トムさんは「トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズです!」と言うときに自分の胸をおさえ、バンドに向かって手を広げるけれど。
 ストーンズもミックの紹介をロニーが担当する時期があった。最近は、キースを紹介して、そのままキース・セクションに入ってしまうようになったが。
 では、ハートブレイカーズでは誰がトムさんを紹介するか?…マイクは絶対マイクロフォンの前で声を出しそうにない。ベンモントは場所がちょっと良くない。そうなると…スコットか。やっぱりスコットか。スコットだろうな。
 バンド・デビュー40周年、新たな事に挑戦の一環で、やってみてはいかが?

Jerry Lee Lewis singing Shakespeare2014/11/06 21:50

 誰かになぜこのラジオ番組をやっているのかと尋ねられたら、ジェリー・リー・ルイスがシェイクスピアを歌ような曲を流せるから。だからやるのさ。

 先日のディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] のテーマは、"Blood"。いろいろな「血」に関する曲が紹介される中、気になったのは、ジェリー・リー・ルイスの曲だった。シェイクスピアの作品関連だと言う。
 残念ながら、ピーター・バラカンさんの解説には取り上げられなかった。

 話は、まず「マクベス Macbeth」から始まる。…ディランが居る場所も、私が今居る場所も劇場ではないので「マクベス」と言うが、劇場では "The Scottish Play" と言いましょう。

 王位を奪うべく、国王ダンカンを殺害したマクベス。その妻が有名なマクベス夫人。マクベスが持ち帰った血まみれの短剣を取り上げ、他人にその罪をきせる人物である。後に彼女は夢遊病となり、彷徨いながら手をこすりあわせ、「どうしても、血が落ちない」という有名な場面を演じることになる。
 「マクベス」全体から言うとマクベス夫人の出番はあまり多くないのだが、この強烈なキャラクターのため、シェイクスピアの数ある名キャラクターの中でも特に有名になった。
 ディランがそのことを紹介している間に流れたのは、多分ヴェルディのオペラ [Macbeth] だと思うのだが、どうだろう。

 さて、いよいよ曲を流すとなったら、「マクベス」ではなく、「オセロ Othello」に話が変わる。「嫉妬は緑色の目をした怪物 Jealousy; It is the green-ey'd monster.」という言葉が有名な作品だ。

 なんでも、[Catch My Soul] という、「オセロ」を元にしたミュージカル舞台作品が1960年代に作られたのだという。その後、映画にもなり、オセロ役はリッチー・ヘイヴンズが務めた。
 この作品のアメリカ舞台版のオリジナルキャストでは、イアーゴをジェリー・リー・ルイスが演じていたそうだ。
 イアーゴと言えば、これまたあまりにも有名なキャラクター。タイトルロールのオセロよりも強烈な印象を残す人で、ヴェルディのオペラ「オテロ」においても、一番有名なのは、「イアーゴの信条」だ。
 ともあれ、そのような訳でジェリー・リールイスがイアーゴに扮して歌う、"Lust of the Blood" を、ディランは流したというわけ。



 確かに、冒頭に "Cassio loves her." という言葉が出てくる。どうやら、先に出世して気に入らないキャシオを陥れてやるぞとやる気満々のイアーゴの気持ちを歌っているようだ。
 舞台や映画の出来は分からないし、ジェリー・リー・ルイスの歌とピアノがとても上手い以外に、特筆するような曲でもない。しかし確かに、冒頭にあげたディランの言葉、「ジェリー・リー・ルイスがシェイクスピアを歌う」というのが面白い。
 本当に、ディラン様ラジオは勉強になる。

People Get Ready2014/11/09 12:52

 ボブ・ディランの新しいブートレグシリーズ,[The Basement Tapes Complete] が到着した。
 最近はすっかり解説を読むという習慣がなくなったため、今回もアメリカ版にした。それにしても[Another Self Portrait] に続いて、でかい箱。このノリを続けられるとちょっと辛い…



 ディランとザ・バンドの膨大な音源を集めた聞き応えのあるセットだが…どうだろう。これ、そう何度も聞くだろうか。たとえば、[Royal Alber Hall] や、[Rolling Thunder Revue] ほどは聴くだろうか?
 私はたぶん聴かないと思う。ビートルズの [Anthology] の時も同じことを感じたのだが、私はどうも中途半端な録音を聴く趣味が無いようだ。アルバムに収録しなかったバージョンはそれなりに未完成であり、アーチスト自身が出来に満足していない。音が悪かったり、切れ端だったり…「これらにこそ、本当の良さがある!」と言えれば格好良いファンなのだろうが、あいにく私はそこまで格好良くない。

 そんな中、印象的だったのは、"People Get Ready"。インプレッションズのカバーで、ディランが歌っていたということは知っていたが、録音されたものを聴いたのはこれが初めてだ。
 この曲そのものが、まず素晴らしく良い。当時、インプレッションズにはカーティス・メイフィールドが在籍しており、作曲も彼だ。



 いかにもアフリカ系アメリカ人の宗教歌らしい歌詞に、美しいメロディ。
 アレサ・フランクリンや、ブラインド・ボーイズ・フロム・アラバマ、ボブ・マーリーなどもカバーしている。
 しかし、ロックファンである私は、やはりロッド・スチュワートの声で記憶している。これはロッドの [Unplugged] の印象があるからだ。
 しかし、そもそもは1985年にジェフ・ベックとロッド・スチュワートでカバーされたものとのこと。先にこちらをチェックする。



 うわ、なんだこれ。
 見事なクサイ芝居で笑わせてくれる。いきなりロッドがベックにお手紙を書いているだけで大笑い。それを読んでウフっと笑うベックでさらに爆笑。その、絶対に繋いでいないと思われるエレキで何をすると言うのだ。
 駅に到着するベックとロッドは、…ええと、まぁいいや。好きにさせておこう。



 私はやはりこちらの方が好きだ。ニコニコしているロニーもさることながら、ロッドのソウルフルなヴォーカルが圧倒的。ロッドはいつもそうだが、歌詞の発音が非常にはっきりしていて良い。ロックにおいては「個性的な発音」として歌詞が不明瞭なことはあまり問題にされないが、ロッドの明瞭さは評価に値する。

 さて、肝心のディランとザ・バンドの "People Get Ready" は…?
 まぁ、これはやはり公式にアルバム収録されなかっただけの出来である。ディランとザ・バンドなので「味わい」という点では素晴らしいが、コードも歌詞もやや怪しく、音程,コーラスも不安定。楽器によってはチューニングもおかしい。
 もうちょっと研究して、練習した後のバージョンがあると良かったのだが。もっとも、それがあったら、アルバムに収録されただろう。

Music Box2014/11/12 21:44

 親戚の子にプレゼントをあげることになった。
 彼女は最近ピアノを習い始めたという。そうとなると真っ先に思いついたのが、オルゴール。それも、ピアノの形をしたオルゴールだ。
 それというのが、私自身が5歳の時にオルゴールを欲しがり、ピアノの形のものをもらったからだ。その赤いピアノ型のオルゴールは今でも持っている。

 都内のオルゴール店に足を運び、白いグランドピアノ型のオルゴールを購入した。
 正直言って、私が欲しい。本物のグランドピアノのように三本足に、蓋が斜め開き、さらにペダルも装備している。中に仕込むオルゴールは沢山の曲から選ぶことが出来るようになっているので、当然クラシックだろうと、ショパンのノクターンを選択。
 これはバレンボエムの演奏。



 

 おおお…私が欲しいぃぃぃ…黒いのが欲しいぃぃぃ…

 オルゴール店に居たとき、印象的なことがあった。
 男子高校生が一人で入ってきたのだ。前髪の垂れた、参考書も読まずにスマホでゲームをしていそうな、いかにもイマドキの高校生。
 彼は店に入るなり、一直線に棚へ向かい、シンプルで可愛い小さなオルゴールを手に取り、レジに出した。
 お店の人がプレゼントかと尋ねると、ぶっきらぼうに頷く。リボンの色を選ぶのもぶっきらぼう。とにかく、彼は2000円払い、そのオルゴールを持って出ていった。
 あまりにも詩的な光景で感動してしまった。あれは誰へのプレゼントなのだろうか。喜んでもらえると良いのだが。

 さて、私が購入したプレゼントのオルゴール。小さな譜面がついている。この譜面、ちゃんと曲になっているのだ。読んでみると…



 これは、ロシア民謡として有名な「カチューシャ」という曲。もちろん、オルゴールが奏でる曲とは全く合致しない。
 カチューシャというのはエカテリーナの愛称で、日本語で言うところの髪飾りとは関係ない。
 「カチューシャ」という曲を Wikipedia で確認してみると、「民謡」と言うほどには古くないらしい。イサコフスキーという人が1940年代に作曲した流行歌とのこと。日本では戦後に流布したらしい。



 実は、このオルゴールに貼り付けられた「カチューシャ」の楽譜、私が数十年前にもらった赤いピアノのオルゴールにも、貼り付けられている。
 音符の大きさなど、細部は違うので全く同じ物が貼り付けられているわけではないが、曲が「カチューシャ」であること、f-moll(へ短調)であることは同じ。
 どうやら、日本でピアノの形をしたオルゴールには、「カチューシャ」の楽譜をつける事になっているらしい。一体、どこの誰が始めたのだろうか。

The Leningrad Cowboys2014/11/15 21:14

 前の記事を書く都合上、YouTube でロシア民謡を検索したのだが、ちょいちょい顔を出してきたのが、長大なリーゼントとサングラス、恐ろしく先が長くとがったブーツ。そう、ザ・レニングラード・カウボーイズである。

 そういえば彼らはどこの国の人なのだろうかと思い(まさかロシア人のはずがないだろう)、Wikipedia で確認したところ、フィンランド人とのこと。なんか…凄いな、フィンランド。
 レニングラード・カウボーイズと言えば、まずはこれ。



 楽しそうだ…。
 バックに控える大人数の軍服姿の男声コーラスとバンドは、アレキサンドルフ・アンサンブル。ソヴィエト時代から続くロシア軍の正規音楽団。ガチガチの彼らと、すっとぼけたカウボーイズとのコラボレーションが最高。この動画はドイツでのコンサートの模様で、ドイツ語でカウントしている。

 私にとって、レニングラード・カウボーイズでとても印象的だったのは、1994年のMTVビデオ・ミュージック・アウォードの授賞式だ。
 この受賞式、実はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが登場していたのだ。私は当時、TP&HBを知ったばかりで、何とかして彼らの動く映像が見たいと思っていた。そして発見したのがこの授賞式。私が見たTP&HBのライブ映像の二つ目だった(一つ目は "So you want to be a Rock 'n' Roll Star" のビデオ)。
 この時、レニングラード・カウボーイズもやはりアレキサンドルフ・アンサンブルを引き連れて、レーナード・スキナードの名曲 "Sweet Home Alabama" を熱唱した。



 当時は "Sweet Home Alabama" を知らなかったのだが、このバンドの強烈さが記憶に残った。そして、もちろん大迫力のコーラスと、旧ソ連のイメージ。授賞式の番組エンディングでは、司会のロザンヌ・バーが、コーラス隊を侍らせて一杯飲んでいた。

 カウボーイズは今でも活動中とのこと。
 比較的最近のビデオが、こちら。メンバーがかなり入れ替わっているし、芸風も違ってきている。



 好き。こういうの大好き。Superdry極度乾燥(しなさい)的なの、大好き。
 撮影場所は絶対に日本じゃない。お寿司が食べたくなる。けど、ぺやんぐとか、わかめラーメンも食べたい。
 しつこく「馬鹿は死ななきゃ治らない」と力説。これは諺じゃないけどね。そうか…死ななきゃ治らないか…治らないだろうな。

 芸風は変わっても、リーゼントとブーツはそのままに、これからも頑張ってほしい。

1994 MTV Video Music Award2014/11/18 21:54

 レニングラード・カウボーイズが出演した1994年のMTVビデオ・ミュージック・アウォード授賞式は、私がトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのファンになったばかりの頃に見た。

 今になって考えてみると、あれは1994年に見たのではなく、翌年の1995年に見たのだと思う。1995年の授賞式放映の前に、前年の授賞式を再放送しており、それを録画して一生懸命見たのだ。
 TP&HBの存在を知ったばかり、ファンになりたてのころ。アルバムなど買える身分ではなかったし、[Greatest Hits] すら持っていなかっただろう。そんな頃に見た番組なだけに、印象深い。

 親切なことに、この時のトムさんの出演シーンをまとめて YouTube にアップしてくれている人がいた。
 まず、スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンが登場して、「ビデオ・ミュージック先駆者賞」とでも言うべき、Video Vanguard Award をトムさんに授与する。
 次に、司会者曰く「キム・ベイシンガー殺しの曲!」である、"Mary Jane's Last Dance" の演奏。最後に、「最優秀男性ビデオ賞」を、受賞する。



 あの頃、何度見返した分からない。ウィルベリーズの若い末っ子ちゃんだと思っていたのがヒゲ面だったのに、まずびっくりした。今にして思えば、すごく若い(44歳)のだが。ちょっと恥ずかしそうにスピーチしたり、宇宙飛行士のトロフィーをいじる手つきなど、可愛い人だなと思った。
 "The Video Vanguard Award" のイントロダクション映像は、MCA時代のビデオのオンパレード。こんなビデオがあるのか、全部見たいと大興奮。

 そしていよいよ、"Mary Jane's Last Dance" の演奏。スタンとハウイの居る、一番好きな頃のバンド編成だ。
 スコット・サーストンがけっこう前に出ている。ベンモントよりもずっとよく映って、大活躍。そしてもちろん、ハウイの素晴らしいコーラスが聴ける。彼の声とトムさんのアンサンブルは格別だ。スタンも白いシャツとベストが格好良く、ニコニコしながら叩いているのが良い。惜しいのは、ベンモントがほとんど映らないこと。
 一方、マイク。うわぁ、なんですかその格好は。どう見ても本番があることを忘れていて、家でくつろいでいたのを引っ張り出されたお父さんみたい。ユニクロみたいな格好なのに、高そうなレス・ポール。でも格好良い。頭も爆発していて好きな頃だ。
 演奏そのものは、最近のライブ・パフォーマンスよりも初々しい感じがする。ギター・ソロはマイクよりもトムさんが前に出るのはこの頃からで、エッジの立ったサウンドも格好良い。

 最後に、最優秀男性ビデオ賞を受賞。またトロフィーをいじって、旗が「チン!」と音を立てている。

 まだDVDも、ネットもない。ファン仲間もいなければ、CDも自由には買えなかった頃の大事な映像。80年代風の肩の広いジャケットも、コンバースも格好良い。これに夢中になり、お金をためて何を買おうか考え、MTVのどの番組を見れば彼らを見ることが出来るのか、やたらとビデオを録ったりしてあれこれ頑張った頃。あの新鮮な感動が蘇る。
 あれから20年。バンドのメンバーは変わり、あまりビデオも作らなくなったけれど、変わらずイカしたアルバムを作り、ツアーで最高の演奏を披露してくれるTP&HB。良いバンドのファンになったものだと、改めて思うのだ。

20 Stages2014/11/21 21:36

 シスター・ヘイゼルがレビューしてから20周年をむかえ、ライブアルバム [20 Stages] を発売した。



 私はこのシスター・ヘイゼルが大好き。ここでも何度か記事にしている。
 良く考えてみると、かなり好きな割りに、彼らのライブを見ていない。来日は絶対しないだろうし、見るとしたらアメリカなのだろうが、私がひとりでノコノコ出かけて、まともに見られるような会場でプレイすることはあるのだろうか?
 いちばんオイシイのは、ヘイゼルがトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの前座を務めるという最高の取りあわせなのだが、今のところ実現していない。同じフロリダ州ゲインズヴィル出身だし、ヘイゼルはスタン・リンチとも仲良しなので実現しても良さそうだが。

 それくらい好きなのに、この [20 Stages] に関しては、やや出遅れた。発売は10月7日。TP&HBのライブ遠征やら、ジョージのボックスやらにかまけて、すっかり入手し損ねていたのである。< br>  ともあれ、まず2枚組のCDが到着。DVDは輸入なので未着。

 シスター・ヘイゼルの結成は1993年。最初のアルバムは翌年に発売された。今回の20周年記念は、どうやらバンド結成から数えているらしい。それを記念して、「お気に入り」の場所、会場で20公演のツアーを行い、その模様を撮影してドキュメンタリーも制作したとのこと。これはDVDの方に譲る。
 CDは、それらのライブから選りすぐりの20曲を収録している。お馴染みのヒット曲から、アルバム未収録の曲まで。

 最初から最後まで、ああ、へイゼルだなという印象。お馴染みの軽やかで爽やか、楽天的でちょっとだけ切ない、素敵なロックンロール。
 アルバム [Chasing the Daylight] のサポートツアーの模様がライブアルバムになっているが、それ以降のアルバムからの曲が特に嬉しい。
 何割かの曲はアンプラグド仕様のアコースティック・バージョン。私は5人組なのに3人もギターという「ギター大好き」なヘイゼルが好きなので、エレキで強めに弾く方が好きなのだが…特に一番好きな "Your Mistake" はエレキの方が好きだ。しかし、それだと、前作のライブ・アルバムと同じにになってしまうので、アコースティックも良いか。
 どの曲にしても、コーラスの美しさが素晴らしい。最大、4人で歌えるので、特に "Mandlin Moon" など、完璧なハーモニーを聴かせてくれる。練習も入念なのだろう。私はこういう手堅さが好きだ。
 お馴染みのヒット曲を、ちょっとアクセントの置き場所を変えて歌う上手さもある。特に "Change Your Mind" のサビが格好良い。アルバム未収録の "Karaoke Song" には、曲の最後にヒット曲 "All For You" のサビを差し込むような茶目っ気もある。

 驚いたのは、キーボードの音がすること。
 シスター・ヘイゼルにキーボード?!あの気のよさそうな、ハゲにメガネとか、メタボとかダサいTシャツ、だぼだぼデニム、BBQ大好きの仲良しバンド、シスター・ヘイゼルにキーボード?!
 クレジットを見ると、デイヴ・ラグランデという人らしい。5人のヘイゼルと一緒にクレジットされているので、準メンバーのような扱いなのだろうか。
 もっとびっくりしたのは、"This Kind of Love" に、大仰なオーケストラとコーラスが入っていたこと。この曲は、メンバーのドリュー・コープランドと、スタン・リンチの共作である。
 一体、ノース・カロライナ州ウィルミントンでのライブは、どんな事になっていたのだろう?こうなると、はやくDVDが見たい。

 全体的には大人しくて、スタジオ録音とあまり変わらない。冒険のない演奏だが、そういう安心感がヘイゼルの良いとことだと思う。巨大な成功を収めた大スターの、スタジアム級の派手さはない、近所のお兄ちゃん達の素敵バンドであり続けてくれていることが嬉しい。
 スタジオ・アルバムは2010年の [Heartland Highway] 以降、発表されていない。20周年に向けてライブ活動に専念したのか。ともあれ、そろそろ新しいアルバムが聴きたいところだ。

Louie Louie2014/11/24 21:04

 今年のF1グランプリが終了した。最後はハミルトンが自力でチャンピオンを決めた。前回が誰もがびっくりの展開で手にしたタイトルだっただけに、今回のチャンピオン獲得は格別だろう。
 ドライバーも、チームも、運営、裏方さんも、みんなお疲れ様。来年、ドライバー・チームに大きな変化が起きて、また面白いシーズンになるだろう。
 そして、ミハエル・シューマッハとジュール・ビアンキが良くなりますように。

 UKのBBCでは、フォーメーションラップ(最初の1周を、隊列を組んでゆっくり走るラップのこと)における、各ドライバーのテーマ曲を、ドライバー自身に選んでもらうという企画をしていた。それぞれ、思い思いの曲を選んでいて面白い。

Formula 1 drivers formation lap music choice

 チャンピオンのハミルトンはラッパーのケンドリック・ラマーを選曲。最近のはやりの曲を選ぶ人が多い中、ニコ・ロズベルグはクィーンの "Don't Stop Me Now" と、私も好きな曲だが、なぜか音痴なカラオケがはりつけられている。
 ストーンズを選んだのは、残念ながらシーズンの最後の数戦は走れなかったマックス・チルトン。さすがUK人。自分の国のアーチストという意味では、リカルドもオーストラリアのパークウェイ・ドライヴを選曲している。

 そしてさすがと思わせたのは、セバスチャン・ベッテル。ロック大好き、ビートル・マニアのベッテル君が選んだのは…



 ザ・キングスメンの "Louie Louie" !他のドライバーとは一線を画しすぎている!さすがだ…。

 "Louie Louie" のオリジナルは、リチャード・ベリー。しかし、ロック好きにはこのキングスメンや、キンクスのカバー・バージョンの方がお馴染みではないだろうか。
 私は断然、キンクスのバージョン。マージ―ビート全開,ロックなノリに、青臭いけど格好良いコーラス、上手いのか下手なのか微妙だが、これしか合わないというギター・ソロ。



 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズもライブでカバーしているが、彼らは誰のバージョンを意識して演奏しているのだろうか。私はキンクスのバージョンだと思っている。

 最後にオマケ。セバスチャン・ベッテルを知る60秒。



 ストーンズかビートルズかなんて、ビートルズに決まってる。クラシック音楽か、R&B かと尋ねられて、「えーっと」と言ったのは何故だろう?クラシックも好きなのかな。寿司よりも、シュニッツェル。そりゃドイツ人だし。女性の好きな体の部位は…(笑)…
 「リトル・ブリテン」か、「ディナー・フォー・ワン」というのは新旧ブリティッシュコメディ対決。ベッテルは、「もちろんリトル・ブリテン」と答えている。確か、かれはモンティ・パイソンも好きだったはず。
 さすがにドライバーなので、オートマチックよりも、マニュアルが好き。セナとプロストならセナ。シューマッハとハッキネンならシューマッハ。最後に出てきたのはレッドブルのボスの名前で、テクニカル・ディレクターのエイドリアン・ニューウェイと、チーム代表のクリスチャン・ホーナー。ニューウェイと答えているその心は…?
 ともあれ、来年はフェラーリ。マクラーレン・ホンダと共に、F1をさらに面白くしてほしい。

Don't Sleep in the Subway2014/11/27 22:41

 特に聴くべき音楽が定まっていないときは、iPodのアーチスト・リストを、Z から遡って順番に聴いていくということを、続けている。
 普段、あまり聴いていないアーチストを聴くことが大事なので、TP&HB, ウィルベリーズ,シスター・ヘイゼル,ストーンズは除外しており、今、P まで来たところ。
 P では、1曲ずつしか持っていないアーチストが二つ続いた。ピンク・フロイドと、ペトゥラ・クラークだ。
 私はプログレというジャンルに関心がないが、ピンク・フロイドの1曲だけは英会話の先生に勧められて購入。確かに良い曲だった。
 一方、ペトゥラ・クラークはモンティ・パイソンの影響で購入した。もちろん、1967年のヒット曲 "Don't Sleep in the Subway" である。



 日本語訳すると、「地下鉄で寝たりしないで」。なんだかヘンテコな歌詞。そこがパイソンのツボにはまったのだろうか。
 そもそも、歌うクラークも、作詞者もUK人なので、地下鉄だったら "underground" が一般的なのだが、Wikipedia によると作詞者は意図的にアメリカ英語の "subway" を使って「地下鉄」としたそうだ。歌にしたときの語感の問題だろうか。

 さて、モンティ・パイソン。
 まずは、「歴史的モノマネ」。歴史的に凄いモノマネという意味ではなく、どれも歴史に関したモノマネということ。その冒頭に、「ペトゥラ・クラークのモノマネをするリシュリュー枢機卿」が登場する。演じるは、司会者と同じマイケル・ペイリン。



 あまりの馬鹿馬鹿しさに大爆笑したものだ。リシュリュー枢機卿とは、17世紀ルイ13世時代のフランスで辣腕を振るった政治家で、デュマの小説「三銃士」の登場人物としても有名。
 ほかに私が好きなのは、ナポレオンによるR-101爆撃機のモノマネと、洗礼者ヨハネによるグレアム・ヒルのモノマネ。グレアム・ヒルとはF1レーサーで、ワールド・チャンピオンも2回獲得。私が大好きなデイモン・ヒルの父親。

 もう一つ、パイソンで "Don't Sleep in the Subway" が登場するのは、「選挙速報特番」。賢人党、愚民党、ちょっと愚民党、かなり愚民党などが各地で激戦を繰り広げている。
 愚民系は開票が進むにつれて名前が長く、ヘンテコになる。最後に中継がつながるハーペンデンでは、かなり愚民党候補は箱の中に逆さまに突き刺さっており、名前は…

 Malcolm Peter Brian Telescope Adrian Umbrella Stand Jasper Wednesday (pops mouth twice) Stoatgobbler John Raw Vegetable (whinnying) Arthur Norman Michael (blows squeaker) Featherstone Smith (whistle) Northcott Edwards Harris (fires pistol, then 'whoop') Mason (chuff-chuff-chuff-chuff) Frampton Jones Fruitbat Gilbert (sings) 'We'll keep a welcome in the' (three shots) Williams If I Could Walk That Way Jenkin (squeaker) Tiger-drawers Pratt Thompson (sings) 'Raindrops Keep Falling On My Head' Darcy Carter (horn) Pussycat (sings) 'Don't Sleep In The Subway' Barton Mainwaring (hoot, 'whoop') Smith

 …以上、Wikipediaから引用。



 久しぶり見るとかなりの力作スケッチ。「票の動きは興味深いけど内容は秘密」とエリックが煙に巻いた後、オロオロするジョンが良い。

 ペトゥラ・クラークと言えば一番のヒット曲は "Down Town" なのだが、パイソンにとっては、"Don't Sleep in the Subway" のなんとなく変な感じが格好のネタになったのではないだろうか。

It's All Too Much2014/11/30 21:33

 ジョージ・ハリスンが亡くなったのは2001年11月29日。LAで亡くなったのだが、日本では当然30日になっていた。
 ジョージのオフィシャル・サイトは毎年なんらかの映像,音声をアップするのだが、今年は "It's All Too Much" だった。画像が動かないのは、私だけだろうか…?



 これは好きな曲。ジョージの明るく弾けた曲には、爽快感がある。祝祭的な雰囲気も楽しく、晴れやか。私は以前、勝手に裏CFG! という記事を書いたことがあるが、この時、最後に "Wah-Wah" の代わりに演奏する曲として、この "It's All Too Much" を選んだ。

 Wikipedia を見ると、この曲の録音は1967年の5月から6月にかけて。収録されたアルバムは [Yellow Submarine]。アルバムのリリースは1969年1月だが、アニメ映画「イエロー・サブマリン」の公開は1968年7月なので、録音から1年後のお披露目ということになるか。
 この曲は、アニメ映画のサントラであることを意識して作られたのか、それともそれは特に意識されなかったのか、よく分からない。[Yellow Submarine Songtrack] の日本語解説を見ると、「映画のために提供された曲」とある。やはり良く分からない。

 サイケデリック、ジミ・ヘンドリックス、アシッド・ロック、様々な影響が指摘されているが、私には単純に、ジョージのソロ・ワークへの助走に聞こえる。この明るく軽やかな曲調は [All Things Must Pass] の何曲かに見いだせるし、祝祭的な賑やかなサウンドもしかり。
 むしろ、冒頭のポールによると言われているギターの音と、エンディングのホーンの使い方こそがビートルズ的で、ジョージのソロ・ワークにはないものだろう。

 これらのジョージの曲を聴いて、彼のソロ・アルバムを聴いてみたいと思った人は、当時いなかったのだろうか?そういう風に考える隙間もないのが、ビートルズだったのだろうか。ジョージのソロ・ボックスを眺めながら、後生からビートルズを眺めるときに、そんなことを思うのだ。