正しいLet It Roll!2009/05/04 20:31

 ジョージ・ハリスンのオールタイム・ベスト [ Let It Roll ] のトラック・リストが発表され、各CDショップでも予約を受け付け始めた。

 曲数は19。ファンとしては「これじゃ足りない」と思うが、しかし良く考えてみるとベスト版の目的の一つは、「お手軽にそのアーチストの良さを伝える事」とも言える。だとしたら、19は多過ぎでも、少な過ぎでもない、ちょうど良い数かもしれない。ジョージをまだよく知らない人、ビートルズのファンになって、さてソロはどうしようと思っている人などへの入門編としては、重すぎないことも肝心だ。
 注目の曲目は以下の通り。

1 Got My Mind Set On You
2 Give Me Love (Give Me Peace On Earth)
3 The Ballad Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)
4 My Sweet Lord
5 This Song
6 While My Guitar Gently Weeps (Live)
7 Any Road
8 This Is Love
9 All Those Years Ago
10 What Is Life
11 Rising Sun
12 When We Was Fab
13 Something (Live)
14 Blow Away
15 Cheer Down
16 Here Comes The Sun (Live)
17 I Don't Want To Do It
18 All Things Must Pass
19 Isn't It A Pity

 [ All things must pass] から5曲、 [The concert for Bangladesh ]から3曲、[ Living in the material world ],[33&1/3],[George Harrison],[Somewhere in England] からそれぞれ1曲、[Cloud Nine] から3曲、[Brainwashed] から2曲、そしてアルバム収録されていない曲が2曲。
 つまるところヒット曲オンパレードであり、しかも「ジョージのソロ・アルバムでお勧めの作品」からピックアップしていると言える。そしてキャリア前半の重厚さと、[33&1/3]以降の軽やかで爽やかという、二つのサウンドの数がほぼ同数であるところも面白い。
 ソロ・アーチスト,ジョージ・ハリスンを強烈にアピールする気合いの入った時期から、リラックスして、そしてジェフ・リンとのチーム・プレイが花を咲かせて行く ― このジョージがたどった軌跡も、見事に楽しむことができる。
 しかも、"I don't want to do" や"Cheer down" で、ウィルベリー兄弟との素晴らしき友情の産物もカバー。このベストを聴いて、ウィルベリーズも聞きたくなるという流れは、しっかり出来ている。
 曲順は、発表年を無視した並びになっている。私としては、最後が [Isn't it a pity ] という選択が嬉しい。ただその前が [All things must pass] だと、同じ味付けが続いてしまう感じがするのだが。冒頭に [Got my mind set on you] とは、思いきった。しかし効果は抜群だろう。

 ベスト版とはいえ、とても楽しみになってきた。これをきっかけに、新しいジョージ・ファンがたくさん誕生するだろうし、そうすればウィルベリーズ、さらにTP&HBへと広がっていくだろう。実は、私もビートルズからの広がりのきっかけは、ジョージの [Best of Dark Horse] だった。そこから [Cloud Nine] ,ウィルベリーズ、そしてTP&HBへとたどりついたクチである。
 だからついでに、トムさんあたりに一肌脱いでいただけば、今回のベスト版は更に完璧になるのではなかろうかと、自分に美味しい想像ばかりしている。