Echo in the Canyon (Trailer)2019/04/30 22:27

 いまからその公開が待ちきれないのが、60年代から70年代のLA, ローレル・キャニオンを中心としたポップミュージック・シーンを描くドキュメンタリー映画、[Echo in the Canyon] だ。
 予告編からしてすでに最高。まぁ、映画は予告編が一番面白いというのも、よくある話なのだが。
 とにかく、日本での映画館上映は絶対にお願いしたい。複数回見るから。



 やおら、トム・ペティを、前面にフィーチャーするあたりが、ロックファンとしてのツボを心得ている。トム・ペティがジェイコブ・ディランを従えて、リッケンバッカーにプラグインって、最高じゃないか。
 そもそも、年代的にトム・ペティはこのローレル・キャニオンのミュージシャンの後輩にあたるのだが、もっともそのスピリッツを純粋に受け継ぎ、大幅に増殖させたロックンロールスターに違いない。
 LAのミュージック・シーンの映画なのに、UK人がかなり登場するのも面白い。グレアム・ナッシュは当事者としても、リンゴとクラプトンというのが面白い。この二人と、ノラ・ジョーンズはこの手の作品には欠かせない。

 トレイラーにも登場するが、ジェイコブ・ディランとその仲間たちによる、"Go Where You Wanna Go" が凄く格好良い。是非とも、サウンドトラック希望。
 そのようなわけで、The Mamas and the Papas のオリジナルで予習しておく。

Free Fallin'2019/04/26 20:40

 昨日4月25日は、トム・ペティの名作アルバム [Full Moon Fever] の発売から30年周年だったとのこと。
 TP&HB公式 Twitter が尋ねることには、[Full Moon Fever] の中で、どの曲が一番好き?



 やはり "Free Fallin'" が別格だと思う。
 しかし、最初に聞いたときはどうだったろうか。思い出してみる。ちなみに、私は [Full Moon Fever] をオンタイムでは聴いていない。後追い組だ。
 最初に印象的だったのは、"Runnin' Down a Dream"。やはりマイクのあのギター・リフとソロが格好良かった。それから、"I Won't Back Down" ―― 最初に聴いたときは、ジョージが参加しているとは知らなかったと思うが、とにかくポップでキャッチーな良い曲だった。
 それから、"Feel a Whole Lot Better"。 ビートルズっぽさを感じたのだろうか。

 繰り返してアルバムを聴いて、何回目か。その時、鉄道の駅のプラットホームに立ち、屋根の隙間から青空を見上げていた。やがて、ヘッドフォンから "Free Fallin'"のあの震えるようなサビが、頭の中に鳴り響いた ――

"I'm free....... free fallin'" ――

 突然、ああ、この曲はなんて名曲なんだ ―― と気づいた。
 この気づきが、すべてだった。もし、"American Girl" がなかったら、一番好きな曲になっていたかも知れない。

 名盤が発表されて30年 ―― 何年たっても、名作は名作。きっとこの先何十年たっても、"Free Fallin" のサビに、突然心を奪われるひとたちがいるに違いない。

Taking Photos or Listening to Music2019/04/22 20:47

 ボブ・ディランが、ウィーンでの公演中に、観客が携帯電話で写真を撮る(もしくは動画を録画する)ことに対して、怒り気味に止めるように言った後、演奏を切り上げてしまったというニュースがあった。

 私が海外で見たロックコンサートが、TP&HBだけだった頃は、写真,動画はとり放題だと思っていたため、2013年ロンドン,ロイヤル・アルバート・ホールでのディランのコンサートで、撮影が固く禁じられ、観客もその指示にほぼ従っていたのには驚いた。
 TP&HBのコンサートでは、みんな嬉々として撮影しまくり、ハートブレイカーズ側も、トムさんの死後、そういう動画や写真も含めて募集していたほどだから、非常に自由だったのだ。

 一方、ディランのように、一切撮影を禁止するアーチストもいる。スマホではなく、演奏そのものに集中してほしいという気持ちが、第一だろう。
 ロンドンでは、多くの人が撮影せずにいたのだが、こっそり撮影しようとする人はあちこちに、ちらほら出現した。すると係員が飛んできて、注意する。複数回になると、機器を取り上げられる人もいたようだ。
 もっとも、アンコールになると、みんな立ち上がったのと、相当数の人が堂々と撮影し始めたので、注意もできない状況だった。

 日本には、もともとおおっぴらに撮影する文化がないので、「禁止」と言われれば当然と思う。
 私はコンサートというものを日本以外ではアメリカ、ロンドン、ウィーンでしか経験したことがないが、やはり日本の聴衆というのは、お行儀が良いと思う。ロンドンも良い方。
 ニューヨークでは、前座の演奏中、完全に演奏を無視して大声でしゃべっている人と隣になって、ウンザリした経験がある。ウィーンの国立歌劇場で、オペラの上演中に(トスカ)、前の席の人が携帯で撮影し始めたのには、さすがに驚いた。

 ともあれ、アーチスト側にそれなりに信条と心情があって、聴衆に求めるものがあるのは、当然だろう。
 一方で、素晴らしい思い出を記録に残したい、人に見せたいという側の気持ちも、よく分かる。特にわざわざ海外から遠征しているとなると、できる限りの手段で記録しておきたくもなるというものだ。

 ただ、私が2017年6月、最後にTP&HBを見たときは、それほど撮影には熱心ではなかった。席が悪かったので、機器に気を取られるよりは、全力で鑑賞せねばと思っていたのだ。だから、ほかのTP&HBのコンサートに比べて、記録が少ない。
 それでも、今となっては、それで良かったのだと思う。

Gyllene Tider2019/04/18 21:31

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式 Twitter が4月15日につぶやいたことには、1978年、"I Need to Know" が録音されたのだという。
 トムさん曰く、ウィルソン・ピケットの "Land of 1,000 Dances" っぽく作り始めて、なんだか全然違うものができたとのこと。

 さて、Wikipedia によると、"I Need to Know" にもいくつかのカバーが存在する。中でも、1981年にスウェーデンのバンド Gyllene Tider (なんと発音するのかは皆目見当がつかない)は、独自にスウェーデン語の歌詞をつけてカバーしたのだとか。
 どれどれ、聴いてみよう。・・・べつに、ハートブレイカーズのカバーバンドじゃないよね?金髪マッシュルームがいるんだけど・・・



 あああ・・・ごめん、なんか残念。何だろう、けっこうオリジナルに近いアレンジだが、そこはかとなく・・・ださい。キーが高いせいもあるか。ちょっとスティーヴィー・ニックスが歌ったときに似ている。
 "I Need to Know" は確かに格好良いけど、彼らには固すぎたのではないだろうか。TP&HBは70年代後半のデビューだが、音楽は60年代前半のものに近いので、80年代ポップスには難しい。特にこの曲はそうだ。

  Gyllene Tider、どうやら代表曲は "Leva livet" というらしい。ビートルズっぽいリッケンバッカーや、ストーンズっぽいケーキが出てくる。やがて、美しいスウェーデンを旅する、みたいなノリになる。



 ああ、これなら分かる。これならしっくりくる。ちょっと「真夜中の煙突」っぽい?
 TP&HBというよりは、チープトリックとかの方が近いだろう。ポップでスウィート、ちょっと安っぽい感じがいかにも80年代で、これはこれで良いと思う。

Ringo Starr & His All Starr Band2019/04/09 22:01

 4月7日、東京ドームシティホールに、リンゴ・スター&ヒズ・オールスター・バンドのライブを見に行った。午後5時開始、早い始まりだった。
 
  まず、バンドメンバーがステージに揃い、そこへリンゴが駆け込んでくる。会場じゅうから、おお、リンゴ若い!という、どよめきが起こる。スリムで、健康そうで、底抜けに明るい、光り輝くリンゴ・スター!圧倒される。

 全24曲のうち、半分がリンゴ。あとは豪華なバンドメンバーが活躍する。
 リンゴの、気負いのない楽しいパフォーマンスには、心癒やされる。私は音楽にほとんど「癒やし」という言葉を使わないのだが、リンゴは存在自体が癒やし。
 気楽に、肯定感をもって、人生は楽しむべきだ ―― リンゴはそういう生きることを謳歌しているようだった。

 TOTOや、アベレージ・ホワイト・バンドのメンバーによる名曲の演奏も楽しいけど、もっとリンゴの割合が高くても良い。そもそも、もっとリンゴのソロ時代の曲を、あれこれやってくれても良いのではないだろうか。
 そう思う一方で、この割合だから、リンゴも気楽なのかも知れない。
 一番感動的だったのは、やはり "Photograph" ―― 楽しいリンゴだけど、すごく泣ける。

 さて、リンゴ以外で印象的だったのは、ヘイミッシュ・スチュアートによる、アベレージ・ホワイト・バンドの楽曲。
 すごくクールで素敵だった。

 AWB と言えば、ハートブレイカーズのスティーヴ・フェローニも9年ほど在籍していた。
 演奏された中では、一番好きなのが、代表曲の一つである、"Cut the Cake" 。1975年の演奏では、若々しいスティーヴが格好良くきめている。

Mike in Mac2019/04/05 21:16

 何度も言うようで申し訳ないのだが、私はフリートウッド・マックをよく知らない。ピーター・グリーンがいたころのアルバムは数枚持っているのだが、「全盛期」と呼ばれる時代のものには、まだ触れていない。
 それはともかく、今はマイク・キャンベルがいるのである ――

 スティーヴィー・ニックスがソロアーチストとしてロックの殿堂入りするのにあたり、セレモニーには今のマックのメンバーも顔をそろえたとのこ。
 どれどれ。



 わぁ!マイク、格好良い!ちょっと、なんなの、キリッ!!!としちゃって!最近はサングラス姿が多いけど、素顔も格好良いじゃないか!キリッ!!!

 まだまだ。
 こんなのもあるぞ。



 今度は可愛くアプローチ。ななめ。ななめ・・・いいね・・・

 そんなフリートウッド・マック、ストーンズの代役を務めることになったそうだ。ミックの療養でツアーを延期しているストーンズが、出演する予定だったニューオーリンズ・ジャズ・フェスティバルに出演するとのこと。
 などと言っていたら、今度はマックが、ツアー日程のうち、ボストン公演をいったん、キャンセルしたではないか。なんでも、メンバーのひとりが病気だとのこと。それが誰なのかは、公表されていない。ちょっと心配になる。

 大きな悲しみから、前に進み始めたマイクにとって、楽しく充実したフリートウッド・マックでの日々であってほしいと思う。

Dhani Harrison with Jeff Lynne's ELO2019/03/21 19:08

 6月から始まるジェフ・リンズELOの北米ツアーの全日程で、ダニー・ハリスンがオープニング・アクトを務めることが発表された。
 なにぃ?なんだ、その情報は!行きたくなるじゃないか!行かないけど!



 ダニーはソロ・アルバムを発表しているので、そのプロモーションのための出演ということもできるのだが、いや、しかし。ジェフ・リンとダニーなんて、組み合わせとして胸キュン過ぎだろう。
 そもそも、オープニング・アクトとは言っているが、前座だけで終わるはずがない。ELO ―― と言うか、ジェフ・リンとの共演は確定だろう。"Handle with Care" は言うまでもなく、もしかしたらTP&HBなどを含めた、カバーなんかもあり得る!
 わけもなくワクワクするな・・・この取り合わせ、美味し過ぎる・・・!ジェフ・リンも息子同様のダニーが可愛いんだろうな・・・四十だけど・・・

 ダニー・ハリスンというのは、容姿はジョージにそっくりで、お金持ちの割には働き者。お気楽で健康的な活動をしつつも、ジョージの作品のリイシューも忘れないでいてくれる。孝行息子である。ジョージ・ファンにとっても。

 さらに油断ならないことに、なにかTP&HBとコラボレーションをしているらしい気配がある。むむっ!一体何をするつもりだ!ジェイコブ・ディランともコラボなのか?もしや、トリビュート・アルバムか?コンサートか?!
 べらぼうに楽しみである。

Tom Petty on Norwegian TV 19892019/03/14 21:47

 チャーリー・ホワイティングが亡くなったと聞いて、超びっくり。R.I.P. ―― 明日からどうするんだろう?「チャーリーに言え!」は、どうなるんだろう?

 1989年のノルウェイのテレビ番組だという、トム・ペティのインタビュー動画を見つけた。
 ジェフ・リンとの仕事(つまり [Full Moon Fever])や、ウィルベリーズについて。
 この動画、とても素敵!ウィルベリーズのビデオを別としてもとても素敵だ。



 特に後半、トムさんの顔がアップになって、肌の質感や、虹彩の色まではっきり見える。歯並びもオリジナル(?)のまま。ちょっと恥ずかしそうに、やたらと右目を触ったり、ちょっとうつむいたりする、トムさん ―― カワイイ!!
 そして特筆すべきは、髪型。この頃独特の、後ろだけ長くして、サイドには段を入れるスタイルの、最終形。おおお、なんと希少な・・・!80年代風だけど、若いトムさんには似合っていたな・・・カワイイよ・・・

 LAにいろいろな人が集まって、録音を始めて、ジェフ・リンが中心になる。それからマイク・キャンベルと、自分自身、時々ジョージ。そうしているうちに、ジョージが12インチ用に録音することになって、古い友達のボブのスタジオに行って ―― という、ウィルベリーズ結成に話が至る。

 一番興味深いのは、インタビュアーが、「アルバムのタイトルは [Volume 1] ですが、[Volume 2] があるのですか?」と尋ねるところ。
 [Volmume 3] が出る前、つまり[1] が出てまもなく、[2] の存在が噂されていたのだ。私はてっきり、[3] を踏まえての噂だと思っていた。このインタビューは1989年であり、デル・シャノン加入の噂もまだ無い頃だろう。
 トムさんの答えは、明確にノー。ただの噂で、[2] は存在しない。この時点では、もう一枚作るかどうかは不明。みんな忙しいから ―― それが、ディランが言い出して [3] を作ることになろうとは!

 トムさんが亡くなって、もう新しいものは出ないのだろ思うと悲しいが、それが意外なところで意外なトムさんに出会うこともある。きっとそのたびに、カワイイとか、素敵とかいちいちときめくのだろう。

Mike Campbell Answers 21 Questions2019/03/06 20:02

 Heartbreakers Japan Party さんに教えてもらった、マイク・キャンベルへの21の質問。いろんな事を訊いていて、面白い。



 マイク・・・なんか、変わったな・・・。
 どこがどう、というのははっきり言えないのだけれど、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズだったころとは、雰囲気が違うような感じがする。
 なんだろう、トムさんが亡くなる前のマイクは、ちょっと距離感があって、引っ込み思案ながらも、そっと自分を出してくる感じだった。その、ちょっと取っつきの悪い感じも好きだった。
 一方、今回の動画のマイクは、すごく堂々としていて、積極的な印象。以前のマイクとは違う。半身としてしてのトムさんがいなくなって、別の自分を自律させているのだろうか。ちょっとそんな風にも思う。
 ハートブレイカーズから、フリートウッド・マックへ。環境の変化ももちろん影響しているのだろう。ちゃんと、しっかりしているマイクを見ると嬉しいのと、青春が遠ざかる感じが、さみしくもある。

 実は私、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画をちゃんと見たことがない。断片的にならあるような気もするが。デロリアンというのが、タイムマシンであることは知識で知っている。
 過去に戻れるとしたら?「60年代半ばのイングランド」という答えがイカしている。ビートルズに、ストーンズ、キンクス、彼らの熱気を感じられる場所へ。すごく素直で良い答えだ。
 今後の展望としては、マックのあとは自分のバンド,ダーティ・ノブズの仕事の仕上げがあるとのこと。楽しみにしている。
 あと、「宇宙人の音楽を録音するために送り出すとしたら、どのプロデューサー?」と訊かれて、「ジェフ・リン」と即答。笑える。「マイク・キャンベルを演じてもらうなら?」には、「ジョニー・デップ」ああ、分かる。彼なら、うまくマイクをやってくれそう。

 マックのツアーは、9月までUKやオーストラリアも含めて、まだまだ続く。
 マックのファンではないのであまり見ていないのだが、先日マックのライブを見た人の話を聞いて、"Free Fallin'" をチェックすることにした。
 これは去年の10月20日。トムさんの誕生日だ。さすがにスティーヴィー・ニックス。コーダの展開が独特で素晴らしい。写真の数々も良いものばかり。そして、うろうろしながら、ギターを弾くマイク。何が彼の胸に去来するのかは分からないけど、きっと毎回、なんらかの感慨があるのだろう。

The Best of Everything2019/03/02 15:38

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、そしてソロ活動,部外活動(マッドクラッチ)―― すべてのキャリアを通じてのベスト・アルバム [The Best of Everything] をどうやって入手するか。
 今回は、輸入盤はネット購入した。そのようなわけで、届くのは大分先だ。
 一方、国内盤は、近所の音楽ショップで購入することにしていた。都心の大きなCDショップではない。楽器や楽譜、ほんの少しの映像やCDを総合的に扱う、近所の小さなお店である。
 予約もしていない。一種の賭けだった。いつもならTP&HBの作品など一枚もおいてくれていないような店に、[The Best of Everything] はあるだろうか?私はちょっとした「勝負」を挑んだ。

 結果は私の勝ち。一枚、平置きになっていた。少なくともこの郊外のお店で、一枚のトム・ペティのベストアルバムは買い上げられたのだった。

 あまり事前に情報を入れないようにしていたので、曲順を見るのも、現物を手にしてからが最初だった。そのアヴァンギャルドな曲順選択に、まずびっくり。普通、年代順に並べるものを、いきなりデビューから13年後の、しかもソロ名義である "Free Fallin'" ―― 最後から四曲目が "Even the Losers" ときている。
 何もかも、普通のベストアルバムとは違う、ものすごい代物に思える。
 そもそも、ソロも、部外活動も、メインのバンド活動も統一したベストアルバムにできるアーチストなど、ほかに誰がいるのだろうか。そんな素っ頓狂なことも、バンドメンバーや、ファンがごく自然に受け入れてしまうのが、トム・ペティという希代のミュージシャンのなせる技なのだろう。

 そして、年代をまったく超越した曲のを一連の流れで聴いてみて、なんの違和感もなく、混乱もないところが、ハートブレイカーズのすごいところだ。
 多少サウンドや声が変わっているはずなのに、ずっと変わらぬハートブレイカーズの価値観に統一され、説得力を持っている。しかも、トム・ペティのソロですらその流れから外れない。
 トムさんのソロ活動のせいで、バンドメンバーたち(マイクを除く)は疎外感を感じただろう。しかし、今こうしてオールタイム・ベストを聴くと、トム・ペティは結局何をしてもハートブレイカーズの一員であり、そこから離れることは決して無かったことが分かる。彼は、本当の意味でのソロ・アルバムを作らなかった。

 キャメロン・クロウ曰く、「静かなる巨匠,ひにくれた笑顔と職人的なギタープレイが印象的な」マイク・キャンベルの、その笑顔が目の前に浮かぶようだ。
 マイクは初めてトムさんに会って、友人,バンドメイトとなったその日から、この金髪の青年が、決して本物の意味の「ソロ」にはならないことを知っていたのかも知れない。私にはそう思えるのだ。

 さて、ロックンロール、ポップ・ミュージックを愛する人々よ。このベスト・アルバムを買うのです。ビートルズファンも、ストーンズファンも、ディランでも、キンクスでも、バーズでも、もっと若いバンドでも何でも良いけど、音楽が好きだったら、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは、ものすごくおすすめ。
 このオールタイムベストは、入門編としてこの上ない。時系列がちょっと混乱するかも知れないけど、かまうものか!このベストを手始めに、これからTP&HBを聞き始める人がうらやましい。
 強く、強くおすすめする最強音楽のザ・ベストなのだ。