The Weight2019/05/04 20:13

 6月にウクレレの発表会があるのだが、"Layla" しか準備しておらず、これ一曲でいいやなどと思っていたら、先生から、ダメだしをされた。曰く、もう一曲は絶対であるとのこと。
 うーん、コードだけ取っていたのは "The Weight" だなぁと言ったら、即決で "The Weight" になった。あと一ヶ月あまり、どの程度までできるやら。

 "The Weight" という曲にはもちろん、無数にカバーがあるし、数多くのライブでも演奏されている。
 しかし、どれもしっくりこない。オリジナルのスタジオ録音が良すぎるし、せいぜいザ・バンドのライブ・バージョンくらいが良いところだ。
 実は、[The Last Walzt] でのザ・ステイプル・シンガーズとのコラボも、オリジナルにはかなわないと思っている。

 泥臭くて、素朴に見えて、実は絢爛たるピアノがよく効いている。そして複数のヴォーカリストからなるロックの芯がぶれずにいて、この曲の強さを支えている。
 ザ・バンドは最初のアルバムである程度の解答を導き出していて、すでに完成形だったのかも知れない。

Wolfgang Niedecken2019/05/08 19:39

 ドイツ人のシンガー・ソングライターに、ヴォルフガング・ニーデッケンという人がいるそうだ。
 Wolfgang Niedecken と書くのだが、発音に自信はない。Wolfgang というのはモーツァルトと同じ名前だが、ドイツ語圏ではポピュラーなファースト・ネームだ。
 1951年ケルン生まれ。70年代後半あたりから、ロックバンド,BAPとして、またソロシンガーとして活躍している。

 その存在を知ったきっかけは、ディラン様。
 何となく "Seven Days" を聴いていて、"Seven Days" と言えばロニー・ウッドだよね、ほかにもカバーはあるのかしら・・・と思ってググったら、引っかかったのがニーデッケンというわけ。
 その名も "Sibbe Daach" ―― ニーデッケンはただのドイツ語ではなく、ケルン地方のドイツ語を歌う人でもある。
 彼は、1995年にディランのカバーアルバムを発表しているのだ。ちょっと試聴するだけでもけっこう面白い。"Highway 61" が、ニュルブルクリンクになっていたりする。

napstar "Sibbe Daach"

 ディランの曲をドイツ語(もしくはケルン語)にするだけではなく、英語で歌ったりもするし、ストーンズや、スプリングスティーンもありのようだ。

 こちらは、名曲 "Forever Young" のニーデッケン・バージョン "Für immer jung" ライブ。
 オーストリアのシンガー・ソングライター,Wolfgang Ambros の何か偉い賞の、受賞セレモニーでの一幕のようだ。最後に、Ambros 本人も登場する。
 ただのディラン・ドイツ語バージョンではなく、普通に音楽として格好良い。

For Real (Music Video)2019/05/12 20:11

 先日、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式ミュージック・ビデオ "For Real" が公開された。
 言うまでも無く、オールタイム・ベスト盤 [The Best of Everything] に収録された未公開曲に映像をつけたものだ。



 私は映像に関する知識・技術がまったくないので、こういうモノを作り上げる人の技というものには、本当に感心する。
 写真を加工して、三次元っぽくする手法、1996年のザ・ビートルズ・アンソロジーあたりから多用されるようになったと思うのだが、とても効果的だ。

 このビデオを見ていて痛感するのが、やはりTP&HBはバンドだったのだなぁということ。ハートブレイカーズは、ビートルズや、ストーンズ・タイプの、「このメンバーの、こういうバンド」ということだ。
 楽しそうで、一体感が抜群のライブ映像の断片などが、それを如実に物語っている。

 私が今回初めて見たと思ったのが、2分10秒ぐらいにでてくる写真。[Greatest Hits] のジャケットの元になった写真だ。加工前のオリジナルは、初めて見た。
 この写真、加工してジャケットになったバージョンもサイケで格好良いが、オリジナルもすごく良い。特にマイクの笑顔と、ベンモント&ハウイの仕草。

 この"For Real" という曲の性格のせいか、ちょっと寂しくなってしまうビデオだ。まぁ、実際寂しいのだけど。
 少しずつでもかまわないので、トムさんの明るく、楽しく、力強い何か ―― 曲でも、ライブでも、映像でも、積極的に出して、彼を失った悲しみを超えるような、幸福感を届けてほしいと思う。

Mick and Boosh are Back !2019/05/16 20:30

 先月心臓の手術を受けたミック・ジャガーが、ダンスのレッスンをする動画をアップしたとのこと。どれどれ。



 ああ、元気そう。良かった。
 何の映像だったか、ミックがインストラクターの指導を受けながらダンスの練習をしていて、それを見た人が一斉に、「ダンスの先生がいるの?!」と突っ込んだものだ。
 ミックのダンスは、ミックが自ら作り出して、完全な世界に仕上げたのだと思う。たぶんあのダンスの先生は、ミックのダンスを徹底的に研究して、ミック以上にミックらしいダンスを熟知しており、ミックをさらにブラッシュアップする役割の人だったのだと思う。

 ミックのダンスというと、ノエル・フィールディング!UKの人気コメディアンの彼は、ミックの大ファンで、ものまねもうまい。そのコメディ作品「ザ・マイティ・ブーシュ」にも何度か登場した。
 これは、「ミック祭壇」のシーン。「誓うか?本当だな?!ジャガーに誓え!」



 マイティ・ブーシュと言えばなのだが、なんとUKにおける今年の Record Store Day のアンバサダーを、ザ・マイティ・ブーシュのコンビ,ジュリアン・バラッドとノエルが務めたというのだ。
 うわぁ、この二人の揃った姿、久しぶりじゃない?さすがに年を食ったなぁ・・・二人とも・・・ジュリアンは五十代だもんね・・・
 でも二人が揃うと、相変わらずの息の合いっぷり!さすがだ。
 やっぱりまた、二人で何かやるといいと思う。ジュリアンの音楽、ノエルのデザイン、二人のセンスで笑わせてほしい。

Won't Get Fooled Again (Classroom Instruments)2019/05/20 22:01

 ジミー・ファロンが最近、また面白いことをしている。
 題して、"Classroom Instruments" ―― 小学校の音楽室にありそうな可愛い楽器で、一流ヒップホップグループ,ザ・ルーツと、大物ミュージシャン、そしてもちろんファロンが演奏したら、どうなるか?
 ずばり、最高で、特にこのザ・フーの "Won't Get Fooled Again" がイカしている!



 ロジャー・ダルトリーって若い。声も十分に出ているし、張りとパワーがある。
 そして、おもちゃのような楽器も交えての演奏。結論は、うまい人が演奏すれば、どんな楽器でもうまい演奏になるのだということ。
 鍵盤ハーモニカとか、後ろのウクレレの人なんかはいくらかまともな楽器。鍵盤ハーモニカね・・・!銀座のヤマハの前を通ったら、「大人のピアニカ」というのが売っていて、うっかり買いそうになったになったものだ。買わなかったけど。
 そして、当然破壊されるウクレレ。あああ、ピート・タウンゼントの手に取られたのが運の尽き!これ、800円くらいなのかな?真似してはいけません!

 私がYouTubeを見たら、「おすすめ」と出たのが、この動画だった。きっと、ロジャー・ダルトリーがキーなんだと思う。そう、最近ちょっとダルトリーを「見て」いるのだ。ヒントは、シェイクスピア!

The Comedy of Errors2019/05/24 23:21

 BBCが1978年から1985年にかけて制作した、シェイクスピア全作品(当時認定)のドラマ化のうち、「間違いの喜劇 The Comedy of Errors」には、ロジャー・ダルトリーが出演している。
 このたび、UKからDVDを購入したので、楽しく鑑賞した。

 そもそも、このBBCのシェイクスピア全集の存在は、学生の頃から知っていた。音大の図書館で、「ヘンリー四世」を見て、「こんなおじさん、プリンス・ハルじゃない!」と憤慨したものだ。
 ロジャー・ダルトリーが出ているとあれば、DVDがほしいと思っていた。ところが、日本語字幕付きの全集はものすごい高額の代物だった。おそらく、教材向けだったのだろう。
 友人のATさんと、どうやってUKから自分が見たい作品のDVDだけを入手するか、よく相談したものだ。その頃は、悲劇や喜劇をセットで売っていたり、やはり全集だったり。でも、「アテネのタイモン」とか、「タイタス・アンドロニカス」とか、要らなくない?私は「ロミオとジュリエット」も要らない・・・
 そうこう言っているうちに、今日を迎える。
 最近ある人から、今は単独の作品DVD入手可能と、教えてもらった。しかも、主演は「刑事フォイル」で有名な、若かりし日のマイケル・キッチンなのだ。

 さて、「間違いの喜劇」。主人と従者がそれぞれ生き別れの同名双子で、彼らが偶然ある町に居合わせたことで、人違いをめぐる大騒ぎが起こるというのが、その内容。BBCでは双子を、一人二役で演じている。
 マイケル・キッチンが主人のアンティフォラス(兄&弟)、ロジャー・ダルトリーが従者のドローミオ(兄&弟)。

 ロジャー・ダルトリー、これがすごい大熱演!容姿は変えずに、二人を演じ分けなければならず、なかなか素人にできることではない。兄の方がちょっと抜けていて、しゃべる方もクセがある。弟の方が闊達でしゃれっ気がある。そして二人とも歯が出ている・・・



 BBC「間違いの喜劇」は1982年の制作。二組の双子が同一シーンに登場するところは、どう処理するのかと心配したのだが、これがなかなかよくできていた。

 一方、マイケル・キッチン・・・というか、フォイル警視正!若い!可愛い!なんてこった!すごい可愛い!この人、ホセ・カレーラス,ベンモント・テンチ系のハンサムくんだったんだ。



 そして当然ながら、主従のやりとりがあるわけで(時々、お互いを取り違える)、あの穏やかな!フォイル警視正が!ロックスター・ロジャー・ダルトリーを、どつき回す!面白すぎる。どうしてもっと早く買わなかったのだろう。
 UK版なので日本のオーディオ機器では再生できず、PCで見るしかないが、どちらか、もしくは双方のファンであれば、ぜひ入手してみてほしい。

青海波2019/05/29 22:42

 伶楽舎の雅楽演奏会に行った。前半管弦、後半舞楽の古典プログラム。
 今回のテーマは、一曲。「青海波」だった。



 「青海波」は有名だ。「青海波」という和柄もある。
 そして、伶楽舎の解説によれば、盤捗調、黄鐘調、双調、平調と、四つの異なる調で演奏された記録があるという。異なる調で演奏される曲を「渡し物」と言うのだが、せいぜい二つ程度の調が普通で、四つというのは例外的だ。
 伶楽舎曰く、これだけの調で演奏されたというのは、名曲の証なのだと言う。

 それはどうだろう ―― と思った。
 抜粋も含めてだが、四つの調で聞き比べる趣向だったのだが、結局どれもしっくりこなかった。
 学生のころ、それから社会人になってからもこの曲は吹いているが、実はあまり印象になかったのだ。
 それで思ったのだが、実はこの「青海波」、管弦としてはそれほど名曲ではないのかも知れない。決め手を欠くやや中途半端な曲のため、いろいろな調を試したものの、結局どれもうまく行かなかったのではないかというのが、今回の演奏会での感想だった。

 では、なぜ「青海波」は有名なのか。
 これはもう、「源氏」に尽きる。

 「青海波」は「源氏物語」に登場する。私はまったく「源氏」に関心がないので調べるのだが、第七帖「紅葉賀」の中で、光源氏が「青海波」を舞うシーンがあるのだ。
 例によって(?)光の君は美しく、息をのむようで、どうのこうの。雅楽のことは知らなくても、「源氏」とそれに登場する「青海波」は知っているという人も、多いのではないだろうか。

 実は今回の演奏会、前売りだけで完売だったそうだ。
 伶楽舎の通常の演奏会は七割か八割くらいの入りなのだが、この大盛況。どういうわけだと楽団員に訊くと、「源氏に関係すると人が入る傾向がある」とのこと。
 やはり「源氏」の影響力恐るべし。後半の舞楽こそが「源氏」の「青海波」で、何割かのお客様の目的だったのだろう。私も、この曲は舞楽あっての曲だということを、実感した。

 伶楽舎は意欲を持って復曲を含めて様々な試みを行うが、今回は立って琵琶 ―― 楽琵琶である ―― を弾くという記録にある奏法にトライした。素晴らしい。
 でも、あまり出番はなく。なんか、白い布で首から琵琶を吊った姿が ―― 大ケガをした琵琶奏者みたいで、可笑しかった。