Box box, box box.2018/07/19 20:27

 F1レース中の無線交信で、よく "Box box, box box." という言葉を聞く。「ピットインせよ」という意味である。ガレージ前の停車位置が四角く囲われているのを、「ボックス」と呼ぶことに由来する。
 「ボックス」して、タイヤの交換、破損箇所の修理交換、ウイングの調整 ― 昔は、燃料充塡なども行われていた。当然、タイヤ交換ミスやら、エンジンストール、不安全な発車などなど、様々な事件が起きる。レースの面白さの一つだ。

 違う。F1の話じゃない。
 ボックスセットの話だ。

 いよいよ、9月28日にトム・ペティの6枚組ボックスセット "An American Tresure" が発売されるわけだが ― 微妙にタイトルがダサいような気がする ― 私は特に「箱」が好きかというと、そうでもない。
 音楽の記録媒体(私の場合CD)こそ大事なものの、その要は中身の音楽そのものであって、外見はそれほどこだわりがない。本も同じで、書いてある内容には興味があっても、装幀などにはほとんど興味がない。
 だが、好きなアーチストのボックスセットとなると、やはり手に入れずにはいられない。

 もっとも思い入れが強く、好きなボックスは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの [Playback] 。生まれて初めて購入したボックスだ。まだ学生だったため、当然高価なシロモノ。確か、ロッド・スチュワートのライブと天秤にかけて、このボックスを買ったのだ。しかも、残りが少ない頃で、CDショップを3軒ほど回った。
 何せTP&HBのアルバムをまだ全然持っていなかった頃なので、本当に貴重で、まさに聴き倒した。彼らの写真も私にとってはこれまた貴重。悪文ではあるが、やはりバンドヒストリーもありがたかった。
 このボックスは、いまだに取り出しやすい所に置いてある。

 ジョージの [Dark Horse] と[Apple] のボックス,二組も、気に入っている。特に前者、ワーナー時代のジョージも大好きなので、発売当時、本当に嬉しかった。

 しかし、一方で「何もこんな箱にしなくても」という物もある。
 まず、ビートルズ。リマスターの時に、通常ボックスを買ったまでは良かったが、初期アルバムがステレオになっているのが気持ち悪くて、結局 MONO ボックスまで買う羽目になったことは、いまだに恨んでいる。通常ボックスのハコは早々に捨てたはずだ。
 ビートルズと言えば、映画 [Help!] のボックスも酷かった。私はビートルズ映画の中では [Help!] が一番好きなので期待していたのだが、なんだかでっかいばっかりで期待はずれのシロモノだった。「撮影はしたけど、結局本編で使われなかったシーンに出演していたどこかの俳優のインタビュー」なんて、燃えるゴミに出してやる。

 ディラン様も要注意だ。ブートレグ・シリーズの昨今の巨大化はいかがなものか。[Vol 10: Another Self Portrait] ですでに疑問で、[Vol 11: The Basement Tapes complete] に至っては、良いのはジャケットだけ。感想を聞いてきたディラン仲間に「買わない方がいい」と言ったほど。
 [Cutting Edge] では、通常版(?)の2枚組しか買っていない。これで正解だと思う。

 それにしても、今回のトム・ペティは特別だ。彼が亡くなって最初のイシュー。出す側の気合いもあるだろう。
 トラック・リストを見ていて疑問だったのが、"Somewhere under Heaven" が入っていないこと。
 つまり、彼の生前から言われていた、[Wildflowers] の再発とそれに伴う未発表音源のイシューは、まったく別の ― おそらく、「ボックス」が今後、出ると言うことだろうか。
 ボックスを置く場所なんて、もうそれほどないのだが。

 ともあれ、今回の "An American Tresure" に関しては、当然のこととして、"Super Deluxe Limited Edition" を買うことにしている。
 ボックスもどんどん膨らめば、名前も膨らむ。凄いな、F1のタイヤみたいだ。タイヤはソフト、スーパーソフト、ウルトラソフト、そしてハイパーソフトまである。次は、「スーパーデラックスリミテッドソフト」だろうか…?

Keep A Little Soul2018/07/14 22:13

 2018年9月28日、トム・ペティの6枚組ボックス・セット "An American Treasure" が発売される。



 ハートブレイカーズ名義ではないのは、ソロ活動時の作品も入っているからだろうか。それとも、便宜的に、"TOM PETTY BOX SET AN AMERICAN TREASURE" と表現していて、実際はハートブレイカーズの名も冠されるのか ―
 ともあれ、とうとう来たな ― という感じだ。

 まずはシングル, "Keep A Little Soul" が発表された。



 1982年、"Long After Dark" の頃。
 ああ、こういうのを待っていた!
 躍動するギターリフ、若きトム・ペティの青臭くて、パワフルなロックンロール。ビートルズ風のリフレインとコーラス!
 この時期、ジミー・アイヴィーンと意見が合わなくて、アルバムに入れられなかったけど良い曲があったということは、トム・ペティ自身がコメントしており、"Keep Me Alive" が有名だ。
 それにも劣らぬ、素晴らしい曲。なぜ、これまで公表されなかったのか不思議なくらいだ。この時期のトムさんの作詞では、 "keep" という言葉がカギだったのだろうか。

 ビデオを見ていて思うのは、こういう時代のトム・ペティが、もっと見たい。もっと知られて欲しいと思う。
 どうしても、ベテラン・ロックンローラー、音楽界の大物感がつきまとうが、しかしその根本は、60年代ロック黄金期に憧れた少年だ。その若い躍動感が、40年以上、彼をロックローラーたらしめた。

 "An American Treasure" のトラックリストを見ていて、楽しみなのは、まず未発表の「新曲」。そして、名曲のライブバージョン。
 中でも、[Echo] のセッション時の、"Gainsville" が楽しみだ。若い頃の曲が良い!…と言いつつ、これは矛盾しているが、この暗い時期のハートブレイカーズが好きだし。タイトルが魅力的。さぁ、暗い曲なのか、"Free Girl Now" 風のはち切れんばかりのロックンロールなのか?
 今からワクワクが抑えられない。

 もちろん、"Super Deluxe Limited Edition" が欲しいのだが、さてどうやって手に入る…?!

4th July2018/07/04 23:02

 7月4日は、アメリカの独立記念日。1776年7月4日に「アメリカ独立宣言」が採択されたことにより、この日を独立記念日として祝う。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの代表曲,”American Girl” は、独立宣言からちょうど200周年にあたる、1976年7月4日にレコーディングが行われた ― ということになっている。トムさん自身が、そう発言もしている。
 マイクに言わせると、「これぞ、俺たちのサウンドだ、これだ!」という閃きを得た曲だったともいう。きっとその通りだろう。

 一番好きなTP&HBの曲は何かというと、それは間違いなく “American Girl”。唯一無二、絶対的に “American Girl”。この曲のどこが良いのかをつぶさに挙げるとしたら、何日かかるか分からない。サウンド一つ一つが、歌詞が、リフも、Aメロも、ブリッジもサビも、ギターソロも、ピアノブレイクも、何もかも最高のロックンロールだ。



 昨日からスタジオ録音を何十回か聞いているのだが、今回、心に残ったのは、その躍動感だ。メロディやハーモニーの美しさが作り出すセンチメンタリズムもさることながら、この曲全体を力強く、軽やかに、しなやかに前進させる躍動感もまた、”American Girl” なのだ。
 冒頭のリフ三音を聞いただけで、ギタリストの右手の筋肉が躍動する様が浮かぶ。もうこの瞬間にハートブレイカーズは躍動感とそれが発する熱でいっぱいになり、まさに勢いよく飛び出してゆく。
 甘くて切ない歌詞とメロディなのに、底抜けに明るくて前向きな躍動感。相反する二つの性格が、この曲には同時に存在している。
 その刹那的で、奇跡的な実りこそが、彼らの代表曲となった。トム・ペティが最後にファンに向かって歌った曲が “American Girl” だったのも、運命だろう。

 "American" とつく曲をもう一つ。トム・ペティ晩年の作品ということになるのだろうか。"American Dream Plan B"。



 地を這うような、ちょっと近寄りがたいリフとAメロ。歌詞にも頑なな表情がある。そこに突然明るくひらける、サビの対照が良い。
 "I got a dream I’m gonna fight til I get it right" ―

一生の不覚!2018/06/10 20:08

 スポーツ中継などを除くと、好きなテレビ番組は、タモリ倶楽部、ブラタモリ、しごとの基礎英語、地球ドラマチック、ドキュランドへようこそ。
 タモリ倶楽部は毎回録画を欠かさないのだが、どう言うわけだか先週、録画をしそこねた。これが一生の不覚!なんと空耳アワーで、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの曲が取り上げられたのだという!
 しかも、"You got lucky" なんて超メジャー曲で!



 You put a hand on my cheek / And then you turn your eye...

 これが、「夕暮れの街 あんなに酔ったんよ、あ~」に聞こえるという!
 確かに聞こえる。実のところ、私もだいぶ以前から「夕暮れの街」は聞こえると思っていた。しかし、タモリ倶楽部に投稿するには、その後まで思いつかなければならないだろう。
 それにしても、なんたる失態!こんな時に録画をし損ねるなんて!南無三!

It's Stan's Birthday2018/05/21 20:49

 きょうは、スタン・リンチの誕生日だ。1955年生まれだから、63歳。スタンも、やっと63歳になったのか …

 トム・ペティ曰く ― 「スタンね。スタンだけで本が一冊書ける。」

 ずっとスティーヴ・フェローニのハートブレイカーズが耳馴染んでから、急にスタンのドラム ― 特にライブを聴くと、ああ、やっぱり巧さという意味では、フェローニが秀でているのだなと、最近、やっと感じるようになった。
 それでも、やっぱりスタンが大好き。彼のいたことろのハートブレイカーズが好きだったし、何と言っても彼のコーラスが素晴らしかった。もしかしたら、18年間スタンがハートブレイカーズでいられた根拠は、彼の声だったのかも知れない。
 そんな訳で、ヴォーカリスト・スタンの晴れ舞台。"Psychotic Reaction" とにかくみんな若い。トムさんが踊る。



 もうひとつ、スタンのヴォーカルというと、"Stories We Can Tell" も印象的だ。エヴァリー・ブラザーズのカバーとのこと。
 ヴォーカルのマイク・ヴォリュームとしては、トムさんとスタンは同じではないだろうか。サビではスタンの方が高音を出しているので、音が立っている。
 ハウイの声の美しさは、トムさんとの調和という点で奇跡的だったが、スタンだってかなりトムさんと似た声をしている。時々、どちらか分からなくなる。
 二度と戻らない、若き日のスタンとトム。とっくの昔に失ったようでもあり、ごく最近永遠のものになってしまったようでもある。

Seven Days in the Sun / Askil Holm2018/05/17 20:58

 iPodでランダムにアルバムを聴いていたら、アスキル・ホルム(Askil Holm)の[Seven Days in the Sun] にあたった。  冒頭、アルバム・タイトル曲のイントロからして、名曲であることを既に宣言してしまっている。



 よくよく確認してみると、このアルバムは日本編集版で、2003年に発売されている。当時、ホルムは23歳。私はこのアルバムを、渋谷のHMVで流れているのを聴いて気に入り、その場で買ったように記憶している。
 とにかく良く出来たアルバムで、どれもシングル級の名曲揃いだ。買った当時もヘヴィローテーションだったし、今でもよく聴く。

 アスキル・ホルムというのは1980年生まれのノルウェイ人。
 実のところ、私はその後の彼を追っておらず、「どこか北欧の人」程度の認識でいた。
 びっくりしたのが、このアスキル・ホルム、6年前に仲間とトム・ペティ・トリビュート・バンド ― その名も、Pretty Young Pettys というバンドを組んでコンサートをしているのだ。
 こちらは2012年のライブから、"American Girl" ホルムは真ん中のギブスンを持っている人で、リード・ヴォーカルではない。



 ホルムというのは、私の中で23歳の青年で認識が止まっていたため、すっかりおじさんになっているのに驚き、そしてやはりトム・ペティ・ファンだったかと、同じ音楽嗜好の同士を得た気持ちがする。道理で、15年前に若かった彼のアルバムに惹かれたわけだ。

 トム・ペティが亡くなったあと、もちろんホルムもトリビュート演奏をしている。
 いやほんと、貫禄がついちゃって、びっくり。あのときの23歳が37歳になり、トム・ペティがこの世の人ではないというのだから。時は流れるものだ。

Teeth2018/05/06 21:40

 誰が何と言おうと ― たとえ、ゲインズヴィルでトム・ペティにギターを教えたドン・フェルダーが「反っ歯だった」などと言おうとも ― トムさんの前向きでポジティブな歯並びが大好きだ。



 彼は、歯並びを直しているのだろうか…?若い頃の方がたしかに前に出ているような感じがするが、かと言って明らかにこの時に直した ― という時期も良く分からない。

 前向きでポジティブな歯並びの人と言えば、ディランも同じく。このビデオを見て、しみじみと「ディラン様って歯並びがセクシーだよね…」と呟いたら、どん引き去れたことがあるのだが、どうしてだろう。



 歯の話と言えば出てくるのが、スティーヴン・スティルス。モンキーズのメンバーに決まりかけていたが、歯並びが悪くて外されたと言う話がある。歯の問題なのか。頭髪じゃなくて?



 よく、ジョージのことを「八重歯だ」と評す人がいるが、あれは正確ではない。日本語で言う八重歯とは、正確には歯が前後に重なるように生えた結果、犬歯が前に突きだした状態を言う。
 ジョージは八重歯ではなく、単に犬歯が長くて鋭いのが目立つだけ。しかも可愛い…!



 ちょこっとだけ見えるのも可愛いよね。



 ジョージがいつ犬歯を削ったのか、実は定かではない。[Let It Be] のジャケットでは直していないのだが、その後になるとヒゲ期に入るので、犬歯の形が確認できないのだ。 ビートルズ後であることは確実だと思われる。

40 Years of the Classic Album You're Gonna Get It!2018/05/03 20:45

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式から知らせが来て曰く、"40 Years of the Classic Album You're Gonna Get It!" なのだと言う。



 このTP&HBにとって2枚目のアルバムは、1978年5月2日にリリースされた。
 このアルバムの魅力はまず何と言っても、一曲目の良さだろう。"When the Time Comes" は、ワクワクするようなギターリフのクレッシェンドから始まり、ちょっと固いドラムに、ずしんと来るベース。そしてうっすらと響くオルガンの音。サビでのヴォーカルの重ねかたもしゃれている。
 こういう細やかなサウンドは、パソコンやスマホのスピーカーからは聴き取れない。ちゃんとしたオーディオかイヤホンが必須だ。
 トム・ペティ自身は「バーズ的」と言っているが、それ以上にポップな味わいもあって大好きな名曲だ。惜しいのは、ちょっと短すぎること。2分45秒しかない。あと1分聴いていたい。



 次のアルバムが彼らの代表作である [Damn the Torpedoes] なので、このセカンドアルバムは影に隠れがちだが、実際は "I Need to Know" と "Listen to Her Hear" という超メジャー曲が含まれている。もっと評価があがっても良いだろう。
 特に "Listen to Her Heart" は、2010年代のライブでもオープニング・チューンになるほどの名作。



 あああああ…だめだ…眩しすぎる…!何て美しくて可愛くて格好良いのか!ベンモントは一体どこにいるのか!
 トムさんの金髪キラキラ、歯もキラキラ。あの前向きでポジティブな歯並びも好きなんだ…!
 この曲のポイントの一つに、スタンがメインヴォーカルのダブルトラックの役割をしていること。あのドタバタしたドラムも良いし、スタンの声も良い。ハウイがいる時代でも、スタンがトムさんの相方を務めている。素敵。

 [Album You're Gonna Get It!] のジャケット写真は、最初ほかのもっと明るいものが用意されていたが、発売するにあたって暗い方のものに替えられたという話を聞いたことがある。
 その明るい方の写真をどこで見たのかは忘れたが、ちょっと明るすぎて、ジャケット向きではなかったかも知れない。たしか、トムさんが白い服を着ていて、それが微妙にダサかったような気がする。
 しかし、実際にアルバム・ジャケットになった写真も、トムさんの金髪のキラキラが生かし切れていない。タイトルとバンド名の文字が適当。
 でもやっぱり、これは名盤で、40年前からロックンロールの輝きを失わずにいる。

Last Night on Earth (Noah and the Whale)2018/04/27 21:34

 映画「ボブという名の猫」を見た時、劇中で使われている音楽が良かったので、それを作った人、チャーリー・フィンクを聞こうと思った。なんでも、ノア&ザ・ホエール Noah & The Whale というバンドをやっていたという。過去形だ。2015年に解散している。
 何枚かアルバムがあるが、試聴したところ2011年の [Last Night on Earth] が良さそうだったので、購入した。



 これはかなり当たり。大好き。
 物の記事によると、このバンドは2006年結成のUK バンドで、British Indie Rock とか、Folk Band とか言われている。曲そのものはまさにフォーク・ロック。アレンジがポップでやや80年代風。
 このアルバムを聞いて連想するのは、ボブ・ディラン、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ジョージの Dark Horse レーベル時代、特に [Cloud Nine]、ウィルベリーズ、ザ・ヘッド&ザ・ハート、クラッシュ・テスト・ダミーズ。

 まずは、シングルカットされた "L.I.F.E.G.O.E.S.O.N"。アルバムのタイトルはこの曲の歌詞から来ている。



 お次は、"Waiting For My Chance To Come"。トム・ペティが80年代中盤に作って提供したのだとしても、驚かない。断っておくが、音楽は好きだがチャーリー・フィンクの容姿はタイプではない。



 気に入ったバンドや人が出てくると、Tom Petty とともに検索してしまうのが習慣になっている。喪失感をそうやって埋めているのだろう。
 案の定、フィンクはトム・ペティをお気に入りのミュージシャンにあげていた。こちらなどでは、直接の影響について述べている。

Noah and the Whale: 'Going out with our head held high'
Charlie Fink: 'I've accepted who I am'

 ドキュメンタリー映画 [Runnin' Down a Dream] を見たフィンク、ソングライティングについて語られたのを聞いて影響を受けたのだと言う。曰く、"Don't bore us, get to the chorus." 長ったらしいジャムなどしていないで、さっさとサビを歌え ― だから歌詞を書きまくったとのこと。
 この"Don't bore us, get to the chorus." というのは、実はトムさんではなくマイクの台詞だ。TP&HBがオールマン・ブラザーズ風の長いインストルメンタルのジャムを長々とやるタイプのバンドではない、という話の流れ上、マイクが述べているのだ。「ぼくらにはスローガンがあった。Don't bore us, get to the chorus."」
 まったくその通りで、我がロックンロールはそうではなくてはいけない。



 この "Don't bore us, get to the chorus." という言葉は、ほかにどこか、オリジナルがあるのだろうか。1990年代にはほかのアーチストのアルバムタイトルにもなっている。

 ノア&ザ・ホエールのことを、しばらく「ノア&ザ・シャーク」だと勘違いしていた。TP&HBのファースト・アルバムのレコーディング・スタッフに、ノア・シャークという人がいたせいだと思う。
 ともあれ、TP&HBと浅からぬ縁があるようで、無いような。でもすごくお気に入りのアルバムを見つけたので、猫の映画のサウンドトラックとともに何度も聴いている。

Shadow of a Doubt (Novel)2018/04/01 00:00

 いずれはトム・ペティに関する映画などが制作されるとは思っていたが、まず小説が出るとは思っていなかった。しかも推理小説だというのだからびっくり。
 アメリカ,イリノイ州出身の作家、イノック・アーデンによる [Shadow of a Doubt] は、6編から成る。探偵役はもちろんトム・ペティ。ワトスン役はローディのバグズで、舞台は1980年代だそうだ。

楽屋の死体 The Body in the Back Stage
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブツアー中、楽屋で身元不明の女の死体が発見される。バグズが容疑者として警察に拘束されるが、トムがその容疑を晴らすべく、捜査に乗り出す。

キャンベル家のブタ The Potbellied Pig of the Campbells
 スコットランドの旧家から、マイクがキャンベル家最後の男子となったので、家を継いで欲しいという知らせが来る。さもなければ、キャンベル家に語り継がれる呪いのミニブタの祟りがあるという。マイクを放したくないトムは、呪いの真実に迫る。

ピンクの館の秘密 The Big Pink Mystery
 有名なビッグ・ピンクにやってきたTP&HB。中に入ろうとしたその瞬間、銃声が響き、スタジオで富豪の死体が発見されるが、ほかには誰も家の中にはいなかった。犯人はどこから逃走したのか。

Dの悲劇 The Tragedy of D
 ハートブレイカーズ宛てに、「"American Girl" のキーをDからAにかえろ。さもなければステージで人が死ぬ」という脅迫状が届く。数万人が見守る「開かれた密室」で何が起ころうとしているのか。

ギターが多すぎる One Guitar Too Many
 TP&HBのツアー貨物の中に、謎のギターが一本、紛れ込んだ。それは高額で取引されるプレミア付きのギターで、ニューヨークのオークション会場から消えたものだった。一体、だれが何のために紛れ込ませたのか。

音の娘 The Daugher of Sound
 壁を殴って骨折し、入院を余儀なくされたトム。暇つぶしに昔のブルースを聴いていたが、やがてロバート・ジョンソンの死因について疑問を持ち始める。誰もが毒殺だと信じているが、これは伝説であり、真実はほかにあるのではないか。時空を越えた捜査が始まる。


 既にテレビ・ドラマ化が決定し、日本でも放映される。邦題「名探偵はロックスター」。乞うご期待。