Something Could Happen2020/12/10 19:48

 トム・ペティの [Wildflowers & All the Rest] から、"Something Could Happen" の新しい公式ビデオが発表された。
 けっこう手の込んだ作りである。



 面白いし、可愛いビデオ。そこかしこに、トムさんの生前のビデオの断片,オマージュが挟まっている。
 良いんだけど ―― こういうものを見ると、トムさん本人の不在がすごく重く感じる。別にこういう動画は無くても構わないから、もっとトム・ペティ本人が見たいという気持ちになる。

 さて、この曲の特色の一つは、スタンがドラムスを叩いていること。
 でも正直言って、スタン向きの曲かといわれると、そうでもないだろう。こういうメロウで穏やかな曲調よりも、元気で弾けるような曲のほうが、スタン向き。

 もう一つ特徴的なのは、ベンモントが弾く「タック・ピアノ」だ。
 ジョン・ケージの作品に、「プリペアド・ピアノ」を用いる物がある。これはピアノの弦と弦の間に何か物を挟んで、音色,音程を変える試みだ。音大時代、学校のピアノにこれをやって、怒られていた連中もいる。
 一方、タック・ピアノは、弦の打点に画鋲か釘を打ち、音色を変えた物で、「プリペアド・ピアノ」のような偶然性を求めた物ではない。チェンバロの音色や、ホンキートンク・ピアノを模しているそうだ。

 タック・ピアノのことを調べて、やっと分かったことがある。
 よく、ミュージシャンたち(たとえば、ハートブレイカーズのメンバーなど)がインタビューなどを受けていると、背後に前面パネルが外され、弦がむき出しになったアップライト・ピアノがあったりする。常々、どうしてあんなことをするのだろうかと、不思議だった。蓋を外すと、共鳴の加減が変わるし、異物が入ったりして、ピアノに良くないと思う。
 どうやら、タック・ピアノにするために、開いているらしい。パネルをいったん外したら、戻すのも一苦労なので、そのままにしているのだろう。
 クラシック出身の私にとって、ピアノは、大事に大事に、蓋の上にカバーまでして守る物だと思っていたが、ジャンルによっては、その点、無頓着だったりするようだ。それでこの曲のような素敵なサウンドが手に入るのなら、それも一つ良い手法だ。

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