アメリカ人のセレブたち2012/11/18 21:23

 F1はいよいよ大詰め。あと2レース。アロンソも良いが、やはり私はビートルズとモンティ・パイソン好きなドイツ人、セバスチャン・ベッテルを応援している。
 今週は、久しぶりのアメリカGPとなった。長いF1の歴史の中でも、一際異様なレースだった、2005年のインディアナポリス以来、7年ぶりのF1のアメリカ開催だ。
 今回の舞台は、テキサスのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ。いかにもアメリカっぽいガランとした雰囲気の新しいサーキットだ。メキシコ系の住民も多いはずで、ペレスの応援が目立つ一方、いつものヨーロッパ系のフラッグや、エンブレムはあまり見られない。

 さすがにアメリカということで、セレブのゲストも多い。
 ロン・ハワードやジョージ・ルーカスのような有名映画監督や、マット・ルブランのような俳優の姿もある。そういえば、ジョージが存命のころはジェフ・リンやトムさんがサーキットに姿を現していた。

 アメリカ人セレブ中のセレブと言えば、俳優のジョニー・デップ。言うまでもなく、熱烈なトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのファンである。"Into the great wide open" のPVでは主演だし、ドキュメンタリー映画 [Runnin' down a dream] にも出演している。
 アメリカのトム・ペティ大好きミュージシャンたちが、集まって盛大に行われる「トムさん大好きトリビュートイベント」である、[Petty Fest] に、そのジョニー。デップが登場した。

 Rolling Stone の記事




 ジョニー・デップが登場したのは、"Mary Jane's Last Dance" 。観客大盛り上がり。
 登場したデップさん、いつもの眼鏡に、バンダナ、でかい羽根つき帽子…海賊ですか?そして携えるは、青く燦然と輝くデューセンバーグのマイク・キャンベル・モデル。そうか、あなたも買っていましたか。そりゃ…買うよね。見せたいよね。



 この動画で痛感したのだが、やはりこの曲は女声に向いていない。なんだか窮屈に聞こえる。トムさんの曲では、こういうエッジの効いた曲よりも、メロディの綺麗な曲の方が、女声には合っているだろう。

 最後に "American Girl" をやったようだが、やはり男声はしっくりしている。アウトロに入るところで、ギタリストがほぼ全員、同時に同じあのギターリフを弾き始めてしまったのが可笑しかった。デップさんも例外ではないようだ。




 これまでは、このファンの集いである [Petty Fest] にはあまり興味がなかったのだが、とても楽しそうだし、デップのようなセレブの名前など見てしまうとやはり来年からはちゃんとチェックしてみようかと思わずにはいられない。

McLaren2012/06/30 22:46

 今回のロンドン遠征は、事前にあれやこれやと、行きたいところシラミ潰しに調べ上げ、七割ほどはそれらを達成し、一部やり残したこともあるのだが、その一方でまったく偶然に自分の興味をそそられる物に遭遇することもあった。
 それが、マクラーレンのショールームである。

 ロイヤル・アルバート・ホールが面している、ケンジントン・ロードを、ナイツブリッジ駅に向かって東へ行くと、左手にマクラーレンのショールームがあった。去年、ローマに行ったときは事前にフェラーリ・ショップをチェックしていたのだが、このマクラーレンは全くの偶然。
 まず目についたのが、正面玄関の上部、垂直に展示されていた、「シルバーアロー」のマシン。2008年 マクラーレン・メルセデス MP4-23 カーナンバー 22。ルイス・ハミルトンがの当時の最年少ワールドチャンピオン記録を作った車だ。
 ショールーム内に展示されていたのは、日本人にとってはとても思い入れの強い車 ― 1988年 マクラーレン・ホンダ MP4/4 カーナンバー12。アイルトン・セナが最初のワールド・チャンピオンになった年の車で、チームメイトのアラン・プロストとともに、マクラーレン・ホンダの全盛期を告げることとなる。



 このショールームはいわゆる「お客様」しか入れないらしく、観光客は外から写真を撮るしか無かった。
 偶然だが、私が渡英中に、東京のマクラーレン・ショールームがオープンしていた。このショールーム、私が日々通勤で通るところに位置しており、やはり外からF1マシンが見られるようになっている。

 マクラーレンと言えば、代表的なF1コンストラクターであり、名門と呼ぶに相応しい存在だ(ちなみに、ベビーカー・メーカーのMACLARENとは全く関係ない。第一、綴りが違う)。
 創設者は事故死したF1レーサー,ブルース・マクラーレンで、彼の夢のひとつに、マクラーレン製のロードカーを作ることだがあったそうだ。ようするに、市販のスーパーカー。それを実現したのが、1991年に発表された、McLaren F1。見た目からして、正真正銘の「スーパーカー」だろう。
 この車、凄まじく運転しにくいらしい。あの車オタクで、運転テクニックもかなりのローワン・アトキンソン(コメディアン)も、大破させたらしい。

 映画 [Living in the Material World: George Harrison] のDVD/BR特典映像に出てきたが、McLaren F1のデザイナーのゴードン・マーレイによると、ジョージは早速この車を注文し、その納車を日々心待ちにしていた。ジョージ用として、所々に、ガネーシャの飾りも組み込んでいるという熱の入れよう。
 しかも、実際ジョージはこの車をまともに運転していたというのだから、凄い。映像としては、まず "Any Road" に登場する。この曲のPVは、ジョージに関連する乗り物がたくさん出てくるが、やはり圧倒的に車が多い。McLaren F1は、2分37秒ごろに登場する。



 もう一つ、この車が登場するのは、ビートルズの[Anthology] の特典映像。[Real Love] のPVに入る前に、ジョージが運転するF1から、ポールとリンゴが出てくるというもの。この車、3人も乗れるのか…。
 ポールが「いい車だね…」と言っているが、本当だろうか。どう見ても乗り心地が悪そうだが。なんだかテキトーなコメントのような気がする。

Bohemian Like You2012/03/08 23:12

 私はサッカーに興味がない。(…唐突だが、こういう書き出しが多いような気がする。)基本的にスポーツを見るのは好きだし、野球やF1はファンと言って良いほど好きだ。
 しかし、どういう訳かサッカーには興味がわかない。自国のナショナル・チームを応援するという気分もあまり持っておらず、せいぜいプレミア・リーグでリヴァプールが勝つといいなぁとぼんやり思っている程度だ。
 NHKが週末の夜に放映するスポーツ・ニュース番組はよく見る。この番組で、サッカーのパート ― Jリーグ限定なのかどうかは分からない ― になると、テーマ曲のように流れるのが、ザ・ダンディ・ウォーホルズの、"Bohemian Like You" だ。
 この"Bohemian Like You" は大好き。この1曲のためにアルバムを購入し、ほかの曲はほとんどピンと来なかったという、典型的なアーチストが、ダンディ・ウォーホルズというわけ。



 やはり細工もけれんもない、ストレートロックな、リフが最高。最後までそのテンションを保って突っ走る自信と貫禄が、この曲の良さなのかも知れない。

 ダンディ・ウォーホルズは、この曲がヴォーダフォンのCMに使われたことによって、一気に有名になった。当時ヴォーダフォンはこの曲を使ったCMをインターナショナルに流しており、日本でも展開していたので、かなり流れた。
 そのCMを見た私は、曲の良さとともに、出演者が妙にアンバランスなような気がしていた。すなわち、当時トップ選手だった某日本人サッカープレイヤーと、やはり当時(今も?)非常に持てはやされていた英国人サッカープレイヤー、そして皇帝と呼ばれ、フェラーリで絶頂期を迎えていたミハエル・シューマッハである。
 三人とも有名は有名だが、それぞれの隔たりの大きさに、なんとなく変な気分がした覚えがある。それくらい、シューマッハというのは図抜けていた。

 全く関係ない話になるが、F1レーサーと、CMの話。日本ではあまり多くはないが、ヨーロッパではF1パイロットが出演するCMがたくさん流れている。
 この映像は…そういうCMの一つなのだろうか?それとも全然関係ないのだろうか?見ようによっては、レッドブル(ドリンク)のCMのようにも見えるが。



 「セバスチャン・ベッテルのお買い物」ってことになっているけど、この人、中身は絶対ベッテルくんじゃないよね?!あの指の立て方さえすれば、ベッテルという解釈をしなきゃいけないのだろうか?それにしても、人を食った動画で笑える。
 そして、店を出て、一瞬レッドブルをコックピットのどこに置くべきかを迷っているのも笑える。狭いんだよね。

GH:LITMW(7回目)/右京さんっ!2011/12/26 20:13

 映画館でのジョージ映画鑑賞、7回目。さすがに長く感じるようになった。ただし、前半のみ。後半は相変わらず短く感じる。

 さて、いよいよ映画のDVD/BRボックスが到着。高いシロモノだが、内容がなかなか充実しているので、日本版としては妥当な金額かもしれない。ジョージのポートレートを色々なバージョンに変えることが出来るのが嬉しい。マイクに手を置く髭ジョージもなかなか格好良い。今は、皮ジャンジョージで飾っている。

 ディスクは特典映像から早速観賞。
 ポールの「土蜘蛛エピソード」が面白かった。かなり笑えるけど、あの映画のどこに挿入するのかと言うと、確かに困る。
 ジェフ・リンはなんだか幸せオーラが出過ぎて浮いている。ジョージの「もっと寄って」が普通すぎる。ジョージって、本当に接近癖があるからね。

 F1ファンの私にとっては、やはりデイモン・ヒルが良かった。窓の外は雪!とても素敵なロケーションのインタビュー。本編に使われていないのはもったいない!しかも、このF1の下りで、トムさんの写真が登場。意外な出番で嬉しい。
 前の記事で上げた1994年オーストラリアGPでの動画は、どうやらこの映画のボートラをYouTubeにあげたものだったらしい。なるほど。
 デイモンがジョージに援助をお願いした話は有名だが、その後サーキットを傍若無人に駆け回る…いや、撮り回るジョージが凄い。
「ゲルハルトはどこぉ~?」
…ジョージ、ジョージ、大丈夫ですか?まぁ、ベルガー君はF1レーサーの中では気さくな方だからね。しかし、気むずかしいセナやプロストにまでこれやってたら凄いな。やっぱり、ベルガーくん、一言指導してやってください。



 一番笑ったのは、ジョージがしっかり片山右京さんをズームアップしていたことだった。6月14日の記事 Fasterでも言及したが、右京さんはセレブに疎く、ジョージが来ていてもそれと気付かなかった。しかし、ジョージはしっかり右京さんにロックオン!
 右京さ~ん!頼みますよ!幸せ者だなぁ。この事実、誰か右京さんに伝えてあげて下さい。

GH:LITMW (6回目)2011/12/22 22:36

 6回目というのは、映画館のスクリーンで見た回数。もうすぐBRが届きそうな気配だが、まだもう一回見る気でいる。
 6回目は、吉祥寺のバウスシアターで見た。ここの一番小さなスクリーンで席数も少ないのだが、バウス初日とあって、席はかなり埋まっていた。先着順のフォトカードも無事ゲット。
 バウスで驚いたのは、エンディングが短かったこと。最後の曲が終わった後、フライアー・パークで録音したと思われる鳥の囀りが、素敵な余韻を残すはずが、なんと曲が終わると共に、エンドクレジットも終わってしまったのだ。要するに、クレジットを流す速度が微妙に速かったと言うことになる。
 有楽町では最後に音声が途切れるという凄い事が起こり、その後直ったのだが、バウスでの「短縮」には驚いてしまった。せっかちな人はそれで良いのだろうが、この映画は余韻を十分味わえるほどの深さがあるはず。さすがにこの処置はいただけない。

 さて、そろそろ届きそうなBR, DVDの話。当然、届いたら最初にスペシャル・フィーチャー映像を見ることになるだろう。ジェフ・リンも楽しみだが、デイモン・ヒルも見ものだ。
 私がF1好き・デイモンが好きなので、このブログには頻繁に登場する。彼はジョージととても仲良くしていた。
 ジョージのサイケデリック・ペイント・ミニ・クーパーが再現されたとき、お披露目運転をしたのは、デイモン。ちなみに、助手席に乗っているのはリンゴ。



 動画で面白かったのは、1994年オーストラリアGP。この年の最終戦、ミハエル・シューマッハはコースアウトし、結果年間チャンピオンを争っていたデイモン・ヒルのコースをふさぎ、接触したデイモンもろともリタイアとなった。そしてシューマッハ自身最初のワールド・チャンピオンになった。
 このレース後、デイモンが記者に囲まれている。すると画面の外から、どこかで聴いたような声が…?!



「シューマッハのアレについてはどう思う?ドイツ人のスポーツマンシップってどうよ?!」

 苦笑いのデイモン。まぁ、デイモン贔屓のジョージとしては、言いたくもなるだろう。
 などと私は書いているが、実はこの年のこの事件を私は見ていない。この1994年のF1 GP自体を、ほとんど見ていないのだ。5月にアイルトン・セナが死んだショックで、残りのレースを全く見ていない。翌年から、狂ったようにデイモンを応援していた。
 おそらく、ジョージにとってセナは好きなドライバーだっただろう。彼が死んだとき、ジョージはどう思ったのだろうか。

チャンピオンはFABがお好き2011/10/10 19:54

 F1日本グランプリは、無事終了した。
 久しぶりで、鈴鹿でチャンピオン決定。やっぱり良いものだ。日本人としてのひいき目とは別に、鈴鹿は確かに世界屈指の名サーキットだと思う。
 日本人レーサーを応援する方としては、予選が一番の盛り上がりだった。右京さんも早々に泣いてしまったようだが、あの気持ちは分かる。
 セバスチャン・ベッテル、2年連続ワールドチャンピオンおめでとう!応援していただけに、嬉しい。今年は本当にぶっちぎりだった。可愛い顔して、クレバーでクールな走りもできるようになった。さて、シューマッハのごとく一時代を築くことになるだろうか?
 今年のレースもまだ幾つか残っているが、来年のことも気になる。シートに関してはあまり大きな動きはなさそう。レギュレーションはどうなるだろう。KARSも、DRSも良いシステムだが、タイヤはどうだろう。あのわざと摩耗しやすくしてあるタイヤ設定は、ピット作業が多すぎて煩わしい。F1はあくまでも、最高水準の技術を駆使する舞台であってほしい。わざと性能を落としてあるレギュレーションもなくはないが、タイヤの設定はやり過ぎだと思う。

 何度か話題にしたが、ベッテルはビートルズとモンティ・パイソンが好きな若者である。マシンにビートルズ関連の名前をつけたり、ビートルズのレア・アルバムをオークションで競り落としたり。

 雑誌(たぶん、Rolling Stone)取材のフォトセッションでは、[Abbey Road] を持ってご機嫌!



 ドイツ語圏で販売された、豪華なビートルズ・カタログ・ブック、[Help!]のHPにも、ベッテルくんがニッコリ♪



そんなベッテルくん、去年のブリティッシュGPでのパーティステージに、引っ張り出されてしまった。テレキャスター渡されちゃったんだけど…



 ごめん、弾けない!…そうだよね、世界チャンピオンだもん。これでギターまで弾けたら困るよね。
 と、思ったら、デイモン・ヒルはまともにギターが弾ける。コステロや、ジュールズと一緒に、"Stand by Me"
 デイモンは、ジョージとセッションできるくらい弾ける。デイモンは顔も格好良いし、性格も良いし、走りも好きだし、しかもジョージに愛されて、ギターも弾ける!さぁ、ベッテルくん、ヒルを目指して猛練習だ!

Faster2011/06/14 21:04

 F1第7戦,カナダGPは凄いことになった。スタートからウェットだったのだが、レース序盤雨が激しく、25周ほどで赤旗中断となった。なんと中断時間2時間。衛星中継だった地上波テレビはレース再開に間に合わずに終わってしまい、私はニュースで結果を知った次第。
 中断中、番組もつなげなければならず、アナウンサーと解説の片山右京が色々と話していた。画面の国際映像もレーサーやガレージ、パドックの様子や、観客席などを映すのだが、途中で赤い頭のセレブ然とした女性を追いかけ始めた。私は彼女が誰だか分からなかったのだが、フジテレビのアナウンサーと右京さんも分からなかったらしい。やがて視聴者からの情報で、歌手,モデルのリアーナだったことが判明した。
 右京さんは「セレブに疎くて済みませんと」苦笑していたが、ついでに彼の現役時代のエピソードとして、「ジョージ・ハリスンさんが来ていたんですけど、分からなかったんです」とコメント。アナウンサーもどう突っ込んだやら、ちょっと困った様子だった。

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 右京さーん!右京さんッ!その天然大ボケっぷりが大好きです!
 リアーナが分からないのはべつにどうと言うことは無いが、F1界でジョージを知らないというのは凄い!本当におセレブに興味ないんですね!そんな右京さんが大好きです!
 実際、右京さんの現役時代、その天然キャラが大ウケで、F1関係者の間でも大人気だったし、レーサーの間でも愛されていたらしい。インタビューも面白すぎて、大人気だったとか。当人は「英語の問題で…」と言っているが、いやいや、日本人がその程度で馬鹿ウケを取れませんよ。

 ジョージがF1に相当入れ込んでいたのは有名な話。彼のことなので、いったんF1界で人と付き合えば、とことんその友情を深めていったことは想像に難くない。デイモン・ヒルがまだ駆け出しで資金難に陥ったとき、亡父の友人だったジョージに援助してもらった話も有名。デイモンはチャンピオンになった時に返済を申し出たが、ジョージは断った。

 ジョージとF1とくれば、もちろん "Faster"。1979年[George Harrison] に収録されている。



 このジョージのギター、格好良くて可愛い!ビデオにジャッキー・スチュワートが運転手役で出演している。ほかにも、70年代の名だたるマシンやレーサーが登場する。6輪F1マシンとか、後部の空力ファンとかも凄い。前述のデイモン・ヒルの父,グレアム・ヒルの姿も一瞬映る。紺色に白線8本のヘルメットの人物で、このデザインはデイモンも継承している。
 曲調は、F1の歌にしては意外と長閑な雰囲気だ。無論、冒頭とエンディングのエンジン音はいかにもF1なのだが、いかにもジョージらしい柔らかで洒落た雰囲気が基本で、アコースティック・サウンドが基調になっている。F1のハイテクでひたすら早いというイメージよりも、このスポーツに集う人々の賛歌であり、F1を楽しむ幸福感の発露でもあるのだろう。

 この曲はシングルになっているのだが、そのアナログ・ピクチャーレコードがこれ。



 一番上から、右回りに…

ファン・マニュエル・ファンジオ(アルゼンチン)
50年代F1草創期の英雄
ジャッキー・スチュワート(イギリス)
60~70年代のチャンピオン。ジョージの親友のひとり。後にチームも運営
ニキ・ラウダ(オーストリア)
70~80年代のチャンピオン。フェラーリの不死身の英雄
ヨッヘン・リント(オーストリア)
70年代、シーズン中に事故死したものの、それまでの成績でチャンピオンになった人物
ジム・クラーク(イギリス)
60年代、最速伝説をもって2度チャンピオンになったが衝撃的な事故のため、32歳で死去
グレアム・ヒル(イギリス)
元祖モナコ・マイスター。1975年にヘリコプター事故で死去。典型的英国紳士として知られた
ジョディ・シェクター(南アフリカ)
79年代のチャンピオン。つまり"Faster"の年のチャンピオンだった
エマーソン・フィッティパルディ(ブラジル)
70年代当時の最年少チャンピオン。ジョージの親友で、50代までレーサーだった
スターリング・モス(イギリス)
無冠ではあったが、最も尊敬を集めたF1草創期の英雄

 こうして見てみると、"Faster"当時既に3人が亡くなっている。ジョージから、 彼らへの挽歌という側面もあるのかも知れない。
 この曲は、「全てのF1サーカスにかかわる人々と、ロニー・ピーターソン」に捧げられている。ピーターソンは、78年にチャンピオンになることなく、事故死したスウェーデン人ドライバーだ。さらにシングルの売り上げは、やはり78年に癌で亡くなったレーサー,グンナー・ニルソンの基金に寄付されている。

 このピクチャー・レコード、ちょっと欲しい。どうせなら2枚入手して、1枚を右 京さんにプレゼントしたいものだ。

千分の一秒の阿修羅2011/02/23 22:56

 3月になれば、F1が開幕する。心待ちにしていたら、なんと開幕戦バーレーンGPが、政情不安のためにキャンセルされてしまった。楽しみにしていただけに残念だが、事情が事情だけに、仕方がない。それにしても、これまで自然災害などの影響でキャンセルされたことはあるが、政情不安というのは前代未聞だろう。
 F1には、金持ちの道楽という側面も確かにある。その点について、全否定はしないが、やはりF1は車という機械そのものとその開発に情熱を傾ける文化のある国で、多くの国民が楽しめるように開催されてほしいと思う。そのためにも、もう少しチケットの値段は下げるべきだろうと思うが、どうだろうか。

 F1に関してはいつも、レース中継(実際は多くが録画)を見るのだが、昔は年末の「総集編」もよく見ていた。各レースの面白いところが凝縮され、舞台裏や、インタビューなどもうまく編集され、なんと言っても格好良いF1の映像とイカした音楽の組み合わせが素敵だった。
 私の印象に特に強く残っているのは、1993年の総集編だ。オープニングとエンディングが特に、格好良かった。



 オープニングは、プロコル・ハルムの "Whitershade of pale (青い影)" のカバー。
 アラン・プロストによるモノローグという形を取っているナレーションは、いまは亡き城達也。
 アイルトン・セナがチャンピオンになった1991年、プロストはフェラーリでペチャンコになった。彼が休養を取った1992年は、ナイジェル・マンセルが念願のワールド・チャンピオンを獲得。そして1993年。プロストはウィリアムズでF1復帰し、ワールド・チャンピオンになって引退。デイモン・ヒルはフル参戦としての1年目。ミハエル・シューマッハは3年目の若者で、ゲルハルト・ベルガーには頭髪があった。
 このプロストからセナへという体裁のモノローグは、プロストがこの年をもって引退したことを受けてのものだったのだが、翌年1994年5月、セナがサンマリノで事故死したために、意味が変わってしまった。それを思うと、この短いオープニングだけでもう泣きそうになる。
 私が好きなのは、「ぼくらは千分の一秒の阿修羅かもしれない」というフレーズ。「音速の貴公子」なんかよりも、たしかに阿修羅という表現がぴったりだろう。もっとも、セナとプロストは「お互いがうとましい」とか、「仲良くしようにも無理」というほど、険悪ではなかったらしい。

 エンディングの曲は、ヨーロッパの "Prisoners in paradise"。このバンドはまったく私の好みのジャンルではないのだが、さすがにこう格好良く映像とナレーションを重ねられると、敵わない。私はこの総集編を見た当時、フジテレビに電話して曲名をつきとめ、恥ずかしいことにヨーロッパのベストアルバムを購入した。そのアルバムは、先ごろの断捨離で売り飛ばしている。
 プロストが凱旋走行するところなど、本当に格好良い。政治,経済,科学を巻き込む「文化」という複雑なスポーツであるF1 ― なぜか、愛しくて、「ちょっぴり涙がでる」 ― そんなF1の良さが詰まっている。

 セナの死をもって、ピケ,マンセル,プロスト,セナの時代が終わり ― セナを乱暴に奪う事で終わらされてしまったのだが ― シューマッハを中心に、ヒル,ヴィルヌーヴ,ハッキネン,アロンソが挑戦していく時代になる。そして今は、アロンソ以降の世代へとF1は推移しつつある。そんな中に、シューマッハが復帰してまた走っているのだから、この人はやっぱり凄い。
 1993年総集編のオープニングとエンディングを見るたびに、やっぱりF1が大好きだという気持ちを新たにする。今年はどんなレースを見せてくれるのか、楽しみだ。

About EC2010/09/14 22:33

 F1イタリアGP inモンツァ。アロンソのスターティング・グリッド(PP)で、もさダサいおっさんがヘラヘラしていた。
 よく見たら、エリック・クラプトンだった。


左のおじさんは、レッド・ブルのコンサルタントだそうだ。ベッテル君はいつのまに4位にになったんだ?

 エリック・クラプトンは、五本の指には入らないものの(仕方がないじゃないか、GH, BD, TPHBに、FABとStonesを入れたらもう一杯なんだから)、かなり好きな方のロック・アーチストだ。

 60年代は、一人のアーチストとしてより、けっこう好きなジャンルであるブリティッシュ・ブルース・ロックの一味として、とらえている。クラプトンの生涯業績の中でも、私が一番好きなギター・プレイは、ザ・ヤードバーズの [Five Live Yardbirds] の冒頭,"Too Much Monkey Business" だったりする。
 70年代になると、ロック・アーチストのエリック・クラプトンとしてかなり好きな時期になる。最初のソロ・アルバムもかなりお気に入りだし、デレク&ザ・ドミノスもクラプトンの作品として、高評価。レイド・バック以降、70年代のアルバムは、いずれも良い曲が入っていて、出来が良いと思う。反則だとは思うが、彼のアルバムの中で一番好きなのは、[Just One Night] だ。
 80年代は、あの難しい時代に、良くやったのではないだろうか。80年代風のポップな雰囲気も、嫌いではない。時代には時代に即した生き方がある。

 ところが90年代からは、私のクラプトン評価が一変する。彼のソング・ライティング能力は、1989年(アルバム[Journeyman])を最後に枯渇したと思っている。聞きごたえのある良い曲が皆無になってしまった。
 ブルース・カバー・アルバムはともかく、オリジナル・アルバムに聞くべき曲があまりにも無いので、プリなんとかやら、レピなんとか言うアルバムは、iPodにも入れてない。[Back Home] は、かろうじてジョージとスティーヴ・ウィンウッドの良さだけで入れている。他の曲はどれも聞くのが面倒臭いほど、退屈。

 もう一つ疑問なのは、彼のバンドメンバー選択眼と、バンドマネージメント能力である。メイン(リード)・ギタリストはクラプトンであるとして、そのサポートをしたり、大事なリズム・ギターを担当する人が、近年どうも良くない。去年のライブの時など、たぶんデュアン・オールマン系のブルースっぽいギターを弾かせたら上手いであろう人が、このポジションだったのだが、リズムギター・プレイヤーとしてはどうしようもない感じで、正直言えばバンドワーク的には台無しだという感想を持った。
 バンドは分業制である。いくらスライド・ギターをグイグイ弾けても、刻むべきところでまともに刻めない人を入れるという、クラプトンの人選がよく分からない。そういう若手のブルース・ギタリストと共演したいのなら、もう一人まともに刻めるギタリストを入れるべきではないだろうか。

 しかし、単なる「ダメになってしまった、過去の偉大なロッカー」で終わらないのが、エリック・クラプトンである。理由は、主に二つ。

 ひとつは、彼がジョージ・ハリスンに非常に愛された人だということ。
 なんだそりゃと呆れられるだろうが、私は大真面目。ジョージにあれほど愛されるということには、深い意味がある。
 ジョージに愛された人たちにとって、ジョージの存在がどれほど巨大であったか。その事が人生にもたらした深い意義を思えば、その重要性は自ずから明白だ。ボブ・ディランにしても、トム・ぺティにしても、マイク・キャンベルにしても、彼らのジョージへの思いを断片的に知るにつけ、音楽云々を抜きにして、彼らの間にあった深い感情そのものに大きな価値を感じ取ることができる。
 クラプトンに関しては、二人の男の間に極めて難しい緊張状態が厳然として存在したとしても、結局彼らの愛情が保たれ続けたという点が、際立っている。[Concert for George] の時のクラプトンの素晴らしい働きと、迫真の演奏、その表情を見れば、互いが存在したという二人の人生の意味深さを思い知らされる。最近20年の新曲が良くないにしろ、その人生が浅薄になることは決してあり得ない。

 もう一つ特筆すべきは、エリック・クラプトンのギター演奏能力の高さだ。
 ソング・ライティング能力が枯渇したにしても、彼自身の古い曲や、カバー曲を演奏する時、プレイヤーとしてのクラプトンは文句なしに凄い。とにかく上手い。尋常ではない練習量が推し量れるし、常にオーディエンスを前にした緊張感のある演奏で、その技術を保とうとする努力も凄まじいものがあるだろう。
 この点において、すでにクラプトンはクラシック演奏家の域にあるのではないかと思っている。何か新しい物を作り出すだけが、音楽の価値ではない。既存の音楽をいかに演奏するか。クラプトンほど説得力のある演奏を、どれほどの人ができるだろうか?

 結局、クラプトンを誉めているのか、けなしているのかよく分からない記事になってしまった。
 ともあれ、彼が私にとって気になるロッカーであることは、間違いない。今月末、久しぶりにクラプトンはオリジナル・アルバムを発表する。新曲の出来には期待していないが、何か聞きどころのあるアルバムであるばと、願っている。

F1 GP 20102010/03/05 23:58

 オリンピック(と、言うより男子フィギュア)が終わってしまい、気が抜けたと思ったら、もう来週にはF1が開幕する。今年のチーム編成も発表になった。

 変化はF1の常とはいえ、ずいぶん状況が変わったなと感慨深い。まず、日本のメーカーが姿を消した。F1の良さの一つは国際色の豊かさであって、別に日本にこだわる気はないが、やはり寂しい。
 ドライバーでは、名物アイスマンこと、キミ・ライコネンが離脱。その代りにと言ってはなんだが、ミハエル・シューマッッハが帰ってきた。ヒルとチャンピオンを争っていた頃は目の敵にしていたシューマッハだが、フェラーリに移籍してからは応援していた。そして今年、これまた復帰となったメルセデス・ベンツGPのドライバーとして走る。これは面白いことになりそうだ。
 マクラーレンのバトンとハミルトンが、はたして仲良くやっていけるかと言うと…無理だろうな。
 アロンソがいよいよフェラーリでどんなパフォーマンスを見せるか。さらに、久しぶりに「ロータス」が帰ってくる。私にとってのロータスと言えば、黄色いマシンに、アイルトン・セナと、中嶋悟。そして、若きミカ・ハッキネンとジョニー・ハーバート(異常に仲が良くて気持ち悪がられた二人)が、引きずるように運転していた頃…。そんなロータスに、これまた好きなドライバーのトゥルーリと、コバライネンが乗るのだから、こっちも楽しみだ。

 去年と同じラインナップになったレッドブル。最年少記録を次々と打ち立てたセバスチャン・ベッテル君は、1987年生まれ。ビートルズとモンティ・パイソンと、英国式朝食が大好きなドイツ人で、自分のマシンに「ジュリア」とか、「セクシー・セディ」とか名前をつける。
 去年の話だが、ベッテルは4000ドルほどで、ビートルズの四人のサイン入りアルバム,[with the beatles] をゲットしたそうだ。
 元々の所有者は、ザウバーの広報担当アン・ブラッドショー。これでピンとこない人でも、「ウィリアムズの名物広報女性」なら、あの人かと気づくのではないだろうか。マンセル,パトレーゼ,プロスト,ヒル時代のウィリアムズチームで、よくテレビにも映っていた女性スタッフである。
 ブラッドショーは自宅のバスルーム(つまりトイレも兼ねる)のリフォーム費用にしようと、彼女が青春時代に入手した4人のサイン入りアルバムを、オークションにかけたのだ。それを聞きつけたのが、ベッテル君。かつてのチームメイトでもあるブラッドショーに、「自分が欲しいから、キープしてほしい」と口頭とメールで依頼してきた。ブラッドショーは喜び、自分で自分のオークションに入札し、4000ドルとひきかえにベッテルへ貴重なアルバムが渡ったというわけ。
 天下のF1レーサーにしてみれば4000ドルなんて、はした金だろうが、可愛い話じゃないか。ベッテルは大好きなビートルズの貴重なサインアルバムと、ブラッドショー家のトイレ使い放題の権利を手にした(ブラッドショーがそう発言している)。

 [with the beatles] は私もお気に入りアルバム。一番好きなのはたぶん、"You really got hold on me"  「最初から最後まで、ジョンとジョージのデュエットだからだろう!」…と言われれば、ハイその通りです。最後に「乱入」する人も、ビートルズらしくて結構。
 この曲のオリジナルは、ジョージが大好きなスモーキー・ロビンソン&ミラクルズ。ビートルズは、かなり原曲に忠実なカバーをしていたことが分かる。