All Things Must Pass / 50th Anniversary ― 2021/08/16 19:39
[All Things Must Pass / 50th Anniversary] は、一週間以上まえに手元に届いてたのだが、再生機器の問題で、今日から聞くことが出来た。
まずは、リマスターされた、本編 [All Things Must Pass] からじっくり聞き込む。
私が買ったボックスには、Blu-ray Audio がついていた。オーディオのことはよく分からないが、とにかくこれが一番、音が良いのだろう。
問題は Blu-ray ということで、普通のCD プレイヤーでは再生できないし、ファイル形式をコンバートしてしまうのも、意味がない。
そこで、パソコンで再生し、仕事中は Bose のワイヤレスで聴いていた。Work From Home 万歳。しかし、Bluetooth だと、これまた音が悪くなる言う話もきいているので、いまは有線の Bose で聴いている。うん、やっぱりこっちの方が音が良い。
さて、50周年のリマスターである。事実上、ダニーが施した「ダニー版リマスター」と呼んで良いだろう。
これが色々な意味で「凄い」。フィル・スペクターっぽさが吹っ飛んでしまい、全てがクリアで、一つ一つの音が手ざわりで分かるようなサウンドに、大変身したのである。
これは賛否が分かれるのではないだろうか。
オリジナルのフィル・スペクター・サウンドだからこそ、[ATMP] は名作なのだと考える人やファンもいるだろう。そういう人たちにとって、今回のリマスターは邪道であり、「ジョージが望んだ物ではない」と考える人が居てもおかしくない。
私の評価はというと、これはもう、文句なしに大絶賛である。そうだ、これが聴きたかったんだ!私は元の性分として、ボワーンとしたリバーブの多い音が嫌いなのだ。
この50周年 [ATMP] は、もの凄くライブ感があるのだ。まるで目の前で大編成のバンドが演奏しているように聞こえる。ブラスやストリングスもいるが、後ろの方で控えめにならしており、核になるのはロックバンドの編成である。
音の一つ一つが、その演奏者の仕草、手元、表情を想像させる。手触りのしっかりした、立体的でエッジ利いた音 ―― 最高ではないか。
「この音なんだろう?」というベッタリとした油彩画の壁ではなく、繊細な線描写の施されたされた細密画。ストリングスが鳴り響いても、一本一本の弦の音がちゃんと重なって聞こえるし、コーラスも一人一人の喉を通して発せられていることが、生々しく感じられる。
ベースを鳴らす指先のしなり、ピックがギター弦を捕らえるその瞬間、ピアノの鍵盤にすいつく皮膚の感覚 ―― ジョージがマイクに向かっているその喉と唇を、感じることが出来る。全ての音の出てくる「場所」が、くっきりと浮かび上がっているのだ。
いままで霧の向こうに霞んでいた、どんな些細な音も、ぼやけず、潰されず、鮮明に出現したのある。
このサウンド、何かに似ていると思った。
アレだ、[Concert for George] だ!あのサウンドにそっくりなのだ。大編成のバンドと、ブラスとストリングス。バンドのメンバー一人一人の演奏する様子が、音を聞くだけで目に浮かぶ。そういうサウンド。
[CFG] は、エリック・クラプトンとジェフ・リンを筆頭とするスタッフたちが、「ジョージのライブはこうだ」というものを突き詰めた、「理想の形」に近い。あそこまでにたどり着くには、オリジナルの [ATMP] があり、ディランとの交流があり、[Concert for Bangla Desh] があり、70年代のポップなジョージ、80年代のジェフ・リン・サウンド、ウィルベリーズ、日本公演、そして [Brainwashed] に集約されされてゆく。そういう「ジョージのサウンド」が最後にたどり着いた、ライブ形式の理想ではないだろうか。
同時に私は、ディランの最近のライブっぽいなと思うことも多い。ベースにのって気持ちよさそうに浮遊するサウンドなどがそれだ。
大好きな [CFG] とディランのサウンドが合わさったような、最高のサウンドだからこそ、私の感覚にぴったりはまったに違いない。
もう一つ、私がこのリマスターが気に入った理由として、ダニーと私が同世代のため、ずっと聴きなじんできた、好きな音楽に、共通点があるという点も、見逃せないだろう。第一、私はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの大ファンであり、ダニーもまた、トムさんをもう一人の父として慕っていた人だ。マイク・キャンベルも友達だし、ジェフ・リンに至っては説明不要の関係だ。
そういうダニーが合わせた照準に、私の感覚がピタリとはまるのは、自然なことに違いない。
さぁ、困った。私は [ATMP] の本編としては、この50周年記念リマスター・バージョンが一番好きになってしまった!
これからジョージのソロ・ワークを聴くという人にも、真っ先にこの [AHMP] 50周年バージョンを薦めてしまう。それぐらい、もの凄く良かった。
多幸感に満ちた、珠玉の名曲の連続、生々しいミュージシャンたちの息づかい ―― これこそ、ロックンロール・ミュージックの、一つの頂点に違いない。これは本当にお薦め。ぜひ聴いて欲しい。そう、50周年ダニー版リマスターを!
まずは、リマスターされた、本編 [All Things Must Pass] からじっくり聞き込む。
私が買ったボックスには、Blu-ray Audio がついていた。オーディオのことはよく分からないが、とにかくこれが一番、音が良いのだろう。
問題は Blu-ray ということで、普通のCD プレイヤーでは再生できないし、ファイル形式をコンバートしてしまうのも、意味がない。
そこで、パソコンで再生し、仕事中は Bose のワイヤレスで聴いていた。Work From Home 万歳。しかし、Bluetooth だと、これまた音が悪くなる言う話もきいているので、いまは有線の Bose で聴いている。うん、やっぱりこっちの方が音が良い。
さて、50周年のリマスターである。事実上、ダニーが施した「ダニー版リマスター」と呼んで良いだろう。
これが色々な意味で「凄い」。フィル・スペクターっぽさが吹っ飛んでしまい、全てがクリアで、一つ一つの音が手ざわりで分かるようなサウンドに、大変身したのである。
これは賛否が分かれるのではないだろうか。
オリジナルのフィル・スペクター・サウンドだからこそ、[ATMP] は名作なのだと考える人やファンもいるだろう。そういう人たちにとって、今回のリマスターは邪道であり、「ジョージが望んだ物ではない」と考える人が居てもおかしくない。
私の評価はというと、これはもう、文句なしに大絶賛である。そうだ、これが聴きたかったんだ!私は元の性分として、ボワーンとしたリバーブの多い音が嫌いなのだ。
この50周年 [ATMP] は、もの凄くライブ感があるのだ。まるで目の前で大編成のバンドが演奏しているように聞こえる。ブラスやストリングスもいるが、後ろの方で控えめにならしており、核になるのはロックバンドの編成である。
音の一つ一つが、その演奏者の仕草、手元、表情を想像させる。手触りのしっかりした、立体的でエッジ利いた音 ―― 最高ではないか。
「この音なんだろう?」というベッタリとした油彩画の壁ではなく、繊細な線描写の施されたされた細密画。ストリングスが鳴り響いても、一本一本の弦の音がちゃんと重なって聞こえるし、コーラスも一人一人の喉を通して発せられていることが、生々しく感じられる。
ベースを鳴らす指先のしなり、ピックがギター弦を捕らえるその瞬間、ピアノの鍵盤にすいつく皮膚の感覚 ―― ジョージがマイクに向かっているその喉と唇を、感じることが出来る。全ての音の出てくる「場所」が、くっきりと浮かび上がっているのだ。
いままで霧の向こうに霞んでいた、どんな些細な音も、ぼやけず、潰されず、鮮明に出現したのある。
このサウンド、何かに似ていると思った。
アレだ、[Concert for George] だ!あのサウンドにそっくりなのだ。大編成のバンドと、ブラスとストリングス。バンドのメンバー一人一人の演奏する様子が、音を聞くだけで目に浮かぶ。そういうサウンド。
[CFG] は、エリック・クラプトンとジェフ・リンを筆頭とするスタッフたちが、「ジョージのライブはこうだ」というものを突き詰めた、「理想の形」に近い。あそこまでにたどり着くには、オリジナルの [ATMP] があり、ディランとの交流があり、[Concert for Bangla Desh] があり、70年代のポップなジョージ、80年代のジェフ・リン・サウンド、ウィルベリーズ、日本公演、そして [Brainwashed] に集約されされてゆく。そういう「ジョージのサウンド」が最後にたどり着いた、ライブ形式の理想ではないだろうか。
同時に私は、ディランの最近のライブっぽいなと思うことも多い。ベースにのって気持ちよさそうに浮遊するサウンドなどがそれだ。
大好きな [CFG] とディランのサウンドが合わさったような、最高のサウンドだからこそ、私の感覚にぴったりはまったに違いない。
もう一つ、私がこのリマスターが気に入った理由として、ダニーと私が同世代のため、ずっと聴きなじんできた、好きな音楽に、共通点があるという点も、見逃せないだろう。第一、私はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの大ファンであり、ダニーもまた、トムさんをもう一人の父として慕っていた人だ。マイク・キャンベルも友達だし、ジェフ・リンに至っては説明不要の関係だ。
そういうダニーが合わせた照準に、私の感覚がピタリとはまるのは、自然なことに違いない。
さぁ、困った。私は [ATMP] の本編としては、この50周年記念リマスター・バージョンが一番好きになってしまった!
これからジョージのソロ・ワークを聴くという人にも、真っ先にこの [AHMP] 50周年バージョンを薦めてしまう。それぐらい、もの凄く良かった。
多幸感に満ちた、珠玉の名曲の連続、生々しいミュージシャンたちの息づかい ―― これこそ、ロックンロール・ミュージックの、一つの頂点に違いない。これは本当にお薦め。ぜひ聴いて欲しい。そう、50周年ダニー版リマスターを!
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。