Ímar2024/06/07 21:23

 好きなケルティック・ミュージシャンとして、コンサティーナの名手、モーゼン・アミニがいる。彼の今のバンドはタリスクなのだが、なんだか活動ご無沙汰である。どうやらまたメンバーが替わったようだが…

 アミニはタリスクの前に、Ímar というバンドに所属していた。イマール?なんと読むのかはよく分からない。9世紀、アイルランドやスコットランドで活動していたヴァイキングのリーダーの名前だそうだ。
 このバンドはアミニのコンサティーナのほかに、ギター、フィドル、イーリアンパイプ(フルート、ティン・ホイッスル兼業)、バウロンと、なかなか重厚な構成で、演奏も抜群に上手い。演奏ががっちりしているというべきか。
 こちらの演奏は、前半から後半へのテンポの切り替えが絶妙で格好良い。



 9世紀のヴァイキングをイメージに取り入れているため、アルバム・ジャケットなどはややゲーム的というか、中二病気味。それでも、ディスクが出ているうちは良かった。
 こちらは、ダンスとの共演。やや演出過多だが、許容範囲。



 知らないうちにÍmar は新譜を出していたらしい。タリスクがお留守だったのはそのせいか。ともあれ、その新譜 [Awakening] が欲しいのだが、どうやらMP3 だけで、ディスクは無いらしい。うーん。ディスクが欲しいなぁ。



 Ímar の格好良いところとして、ギター・サウンドがかなりしっかりしていることが挙げられる。バウロンの人はギターも兼務なのだ。この曲ではギターの一本は12弦で、サウンドに厚みを持たせている。
 考えてみると、私が好きなケルティックバンドは、いずれもギタリストがしっかりしている。ボシー・バンドしかり、ルナサしかり、タリスクしかり。要するに私はギター好きのロックンロール大好き人間ということらしい。

Angel Of Mercy2024/06/11 20:25

 マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜 [Vagabonds, Virgins & Misfits] の発売が迫り、収録曲から "Angel or Mercy" のビデオが発表された。
 これがとてつもなく良い!ロックンロール最高!



 軽快で疾走感たっぷり、さわやかで若々しい、まるでハートブレイカーズの青春時代そのもののような雰囲気で泣きそうになる。
 良いところを挙げれば切りが無いが、まずギターサウンドの良さが堪能できる。何か特別な奏法とか、超絶技巧などではないが、リズムギターの迷いのないドライブ感が美しいという次元にまで高められている。スライドも交えたソロは、決して派手ではなく、歌のために最大限かつ最小限のサウンドで心を満たしてくれる。いっそ、使用した全てのギターを一つ一つ報告して欲しいくらいだ。
 マイクのヴォーカルも堂に入った物で、ブレイクに入る前の "Oh" のバックコーラスなど、トム・ペティの声をサンプリングしたのではないかと思うほどそっくり。
 リズムセクションもキリっとしていて、しかもポップで明るい。サビの歌詞 "Angrel of mercy" の後に入るドラムとタンバリンの合いの手なんて、ポップ過ぎて一緒に飛び跳ねるしかない。

 びっくりするのが、こんな名曲を、トムさんがさばききれずに放置していたと言うことだ。トムさん自身がまた有用なソングライターなため、まぁ、マイクのこの曲は誰かに提供してもいいか…というノリか、トムさん自身がそのうち自分で歌うつもりだったのか。
 トムさんを失ったマイクは今、自分自身でやるしかない。そう、やるとなったらやるしかないのだ。人生は悲しみと喪失の連続。それでも生きている人は生きるしかない。そんな誰もが心にかかえる痛みに対する、素晴らしい応援歌 ―― それが "Angel of Mercy" なのだろう。

Sail Away2024/06/21 19:55

 マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜 [Vagabonds, Virgins & Misfits] の到着を待ってウキウキしていたのだが、いつまで経っても届かない。しまいにはアマゾンから、在庫切れのため8月10日到着予定などとひどいことを言われて、発狂している。
 いっそUSのアマゾンで買うか。MP3で二重に購入しても良いのだが、やはりあのCDを挿入して、ちゃんとしたオーディオから聴くとう手順を経たいのだ。
 我慢がいつまで続くやら。

 携帯音楽プレイヤーには、もう処分してしまった CD の楽曲もいくらか残っている。そいう曲の中で、ハリー・ニルソンの "Sail Away" に強い感銘を受けた。
 CDを確認してみると、どうやら彼のアルバムは全て処分してしまったようだ。大袈裟なオーケストレーションは好きではないが、ハリー・ニルソンの絶唱は賞賛に値する。



 オリジナルはランディ・ニューマンの作詞作曲。
 美しい音楽とはうらはらに、歌詞はかなりきつい。人類の愚行をその当事者になりきって歌い上げ、強烈に皮肉っている。なかなか思い切った試みで、ランディ・ニューマンの肝の太さ、詩人としての覚悟が分かる。
 ロック史でもっとも優れた楽曲の一つであるディランの "Like a Rolling Stone" も、けっして愛や夢、希望そういう明るく楽しいテーマではない。いわば人生の苦難を「当事者になってみてどうだ」という痛烈な皮肉をあれだけの名曲に乗せて歌い、叫んだのだから、改めてその凄さを思い知らされる。

Vagabonds, Virgins & Misfits2024/06/26 20:48

 案の定、品切れになっていたマイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜 [Vagabonds, Virgins & Misfits] の CD を待ちきれず、MP3で買ってしまった。もちろんCDも買うので二重に購入しているのだが、構うものか。

 期待を遙かに上回る名盤であることは、オープニング曲から分かる。
 "The Greatest" の壮大でワクワクするようなビートルズ・サウンドに、のっけから大泣きしてしまった。なんてことだ、こんな素晴らしい曲を後に残して、トムさんは天国へ行ってしまったのか。



 先日も記事にしたが、やはり "Angel of Mercy" はキラー・チューンだ。サビのポップなノリはちょっと気恥ずかしくなるほどだが、聴く人それぞれの青春を映し出しているようで、笑顔にしかならない。



 さらに、ヘヴィなサウンドと、うねるようなスライドギターから、開く感じのサビの気持ちよい "Dare To Dream" ―― この冒頭三曲の素晴らしさはなかなか類を見ない。



 その後テンポは様々だがヘヴィな曲が続く、そしてキラキラしたサウンドが魅力的な "Innocent Man" 、マンドリンの響きが素敵だ。


 最後に、いろいろな比喩を含んでいるであろう、別れのカントリー・ロック・ナンバー "My Old Friends" これは間違いなく、ベンモント・テンチが参加しているだろう。



 こんな素晴らしいアルバムを出されると、ライブも見たくなってしまう。でもアメリカ以外では無いだろうし、会場も広くないだろう。私が気軽に(?)行けるような、良い感じのマンハッタンでライブしてくれないだろうか。