Take Good Care Of My Baby2021/04/23 21:03

 YouTubeが、「あんたこれが好きだろう」と勧めてきた、ビートルズによる"Take Good Care Of My Baby" ―― 1962年1月1日の、デッカ・オーディション・テープからの一曲である。



 そりゃぁ、好きに決まっている。動画からして、若ジョージ・マニアがうっとりする物ばかり連ねているのだから。ジョージの余りのハンサム加減に、身震いがする。
   この曲は、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの名コンビによる1961年のヒット曲で ―― この二人の早熟ぶりには驚きだ ―― ボビー・ヴィーが歌って全米一位になった。

 それにしても…私は、今回この動画を見るまで、このデッカ・オーディションの録音を知らなかった。ブートレグ界ではよく知られているらしいが、私は音楽好きの割にブートをほとんど聴かないので、知らなかったのだ。
 [Anthology] にも数曲、デッカ・オーディションの曲が収録されていて、ヴォーカルとしてのジョージは好調だったことが知られているが、全曲を網羅しているわけではなかった。
 Amazon に [The Complete Decca Tapes 1962] なるCDが売っていたので買ってみたが、まるでオフィシャルのような顔をした、立派なブートである。堂々とした物だ。

 この話には続きがある。
 つい二週間ほど前に、故障していた CD プレイヤーが修理から戻ってきた。修理には二万円もかかっている。そのプレイヤーに、この[The Complete Decca Tapes 1962] を入れて、何回か聞いた。一日仕事が終わって、電源を切る。そして翌朝、電源を入れてまた聞こうとすると ―― なんと、再生できないのだ。
 CD を入れ替えて他の物、ブートなどでは無い、由緒正しいCDのどれを挿入しても、再生不能。要するに、また壊れたのである。ほとんど発狂しかけた。やむなく、プレイヤーは再入院。
 私は、この不埒なブートレグ CD を、大事なプレイヤーに挿入したことが間違いだったと信じている。用心されたし ――

What You Eat You Are2021/04/19 19:51

 いままで、なんとなく好きかも…と思っていたが…
 ランドー・ノリス!きみは、私の贔屓ドライバー決定だ!



 これ、一生言われるよ。さっそく川井ちゃんにもネタにされてたし。キミのアイスクリームと一緒だよ。
 もういいんです。私はセブがこの世に生きているだけで。キミがなぜかチームメイトの前で走って、ノリスが何か食べて、表彰台に上がって、セブが生きていればそれでいいんです。

 食べる人といえば、ジョージ。
 ジョージは痩せの大食いである。
 特に、ビートルズがマッシュルームだった時期、ジョージはよく食べていたようだ。[A Hard Day's Night] の脚本は、メンバーの普段の様子をよく観察して、その特徴をとらえているという。
 何かというと食べているジョージは、本当によく食べていたのだろう。
 たくさん食べるきみが好き!



 [A Hard Day's Night] のプレミアで、プリンセス・マーガレットが長居するので、ごはんがお預けになっていたジョージ。プリンセスに「Ma'am, あなたが帰らないと、食事にありつけないんです」と言ったのは有名な話だ。
 生きることは、食べること。毎食感謝しつつ、いただきます。

Heading for the Light (Movie)2021/04/01 00:00

 トラヴェリング・ウィルベリーズのドキュメンタリー映画、[Heading for the Light] が製作される。監督はフランツ・アッシャー。
 これまで、[The True History Of The Traveling Wilburys] のように、ウィルベリーズの活動時期だけにスポットを当てた短いドキュメンタリーは存在したが、今回の映画は、ウィベリーたちの生い立ち、そもそもの音楽活動から、彼らのつながり、友情などを、二時間にわたって網羅的に描きだす。
 しかも今回の映画では、ウィルベリーたちの家族,友人,関係者のみならず、ジェフ・リンとボブ・ディラン本人も新たなインタビューに応じているというのだから、画期的だ。一人一人だけではなく、グループ・インタビューもあるという。

 始まりは第二次世界大戦が終わった頃、年長のウィベリーたちの少年時代が、家族や友人たちの証言も交えて語られる。
 そしていち早くデビューするロイ・オービスンの活躍。ディランは大いに感化されたことを語り、ジョージの存命中のインタビューや、ポール・マッカートニー,リンゴ・スターなどのゲストが、ビートルズがオービスンの前座を務めたときのエピソードを語る。
 ビートルズとディランが初めて出会ったときのことは、ポール、リンゴ、ディランが揃ってのコメントが聞けるとのこと。さらにディランは、ビートルズに魅せられ、とりわけジョージに対する特別な思いを抱くに至る詳細を語る。
 ビートルズに熱狂した経験を語るジェフ・リンは、自分の音楽活動開始について語る。そしてエド・サリバン・ショーを見たトム・ペティの経験も、彼自身のインビュー映像を交えて紹介される。
 その後のハートブレイカーズ結成や、活躍の経緯については、マイク・キャンベル,ベンモント・テンチ,ロン・ブレアが登場している。

 ディランが長いジョージとの交友を語り、80年代にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズと行動を共にするに至る経緯を、豊富な映像も交えて紹介される。当時を懐かしんで、ハートブレイカーズとディランが一緒にインタビューに答える姿は鮮烈だ。
 そしていよいよ、ロンドンでジョージとジェフがディラン,ハートブレイカーズの楽屋を訪ねる日を迎え、その後はよく知られた、トムとジェフの LA での再会、ジョージとの楽しい日々、ロイ・オービスンの復活が語られる。
 ディランの家にメンバーが揃い、ウィルベリーズ結成となるが、その後の録音エピソードについては、アラン・バグズ・ウィーデル,マイク・キャンベル,ジム・ケルトナーなども状況を語る。
 特に見物なのは、ダニー・ハリスンとジェイコブ・ディランが、子供たちから見たウィルベリーズを語るシーン。一緒にゲームをやった思い出話のついでに、リターンマッチに挑む二人にも注目だ。
 ロイ・オービスンが亡くなった後、ディランが [Vol. 3] 制作を言い出す経緯や、謎のアルバムタイトルについて、興味深い話を聞くことが出来る。ビデオ撮影の楽しい思い出も豊富だ。

 やがてそれぞれの活動に戻ってゆくウィベリーたちと、その変わらぬ友情、交流が続き、ジョージが亡くなる2001年を迎える。
 映画は [Concert for George] における、ウィルベリーズ再結成で終わりを迎える。その映像を見ながら、トムがもう居ないことを悲しむ、残されたウィルベリー兄弟たちのコメントが胸をつく。 
 エンディングでは、ウィルベリーズに影響を受けた、若いミュージシャンたちのコメントが続き、余韻を味わえる。

 既に予告動画ができあがっている。さっそく見てみよう!

Mama, You Been on My Mind2021/03/21 19:42

 [1970 with Special Guest George Harrison] を無限に聴いていると、だんだん「ジョージ耳」が研ぎ澄まされてきて、彼の声やギターが浮き上がって聞こえてくるようになる。
 "Mama, You Been on My Mind" では、かすかにジョージが歌っていると思う。ジョージが意図的にディランに寄せた歌い方をしているので、ディランとの見分けが付かなくなる「ウィルベリー現象」が起きているが、たしかにジョージが歌っている。さらに、カントリー風のギターソロもジョージだろう。

 "Mama, You Been on My Mind" は、ディランの正式スタジオ録音アルバムには収録されていないが、ブートレッグシリーズを揃えていると、すっかりおなじみの楽曲だ。
 録音年代として一番古いのは、[The Witmark Demos 1962 - 1964] だろう。ここではピアノを弾いている。
 次は、[Concert at Philharmonic Hall 1964] で、ジョーン・バエズとデュエットしている。私が一番好きなライブバージョンがこれ。アコースティックをベースに、両手を取り合うようにぴったりと歌う様が、切れがあって最高。途中で歌詞を忘れて「アー」とか、「そっちからでしょ」とか、「忘れた」とか言っているのも含めて、一番の演奏だ。
 それから、[Rolling Thunder Revue] でもバエズとデュエットしている。
 後年 ―― 90年代にも演奏された。こちらは1992年だそうだ。
 やはり、アコギにハーモニカのディラン、これが見たい。



 しかし、私にとってもっとも印象的な "Mama, You Been on My Mind" は、ディラン自身の演奏ではない。ほかでもない、ジョージが一人で録音したバージョンだ。
 これは、映画 [Living in the Material World] のDVDボックスの特典CDに収録されていた。



 ジョージの曲と、作者を愛おしむような丁寧な歌い方と、滑るように、それでいてねっとりとした質感のギターソロ。素晴らしく素敵だ。

Can't Help Falling in Love / Piacer d'amor2021/03/13 19:34

 [1970 with Special guest George Harrison] で初めて、ディランによる "Can't Help Falling in Love" を聴いた。[DYLAN] を持っていないのだ。
 調子っぱずれなのに、変に説得力のある、ディランの力業が堪能出来て、面白いし、楽しい。こういうディランもけっこう好き。
 もっとも、こういう昔の曲のカバーは、彼の自作の曲をたくさん聴かせてくれる合間に、ちょっとだけ入るから良いのであって、懐メロのオンパレードをディランで聴きたいわけではない。

 しかし、ディランのバージョンばかり聴いていたら、この曲の本来の良さを見失うので、ちゃんとエルヴィスのバージョンも聞かなければ。
 そう思って聴いたら、あまりのエルヴィスの上手さに、鳥肌が立った。やっぱりエルヴィスは凄い。



 この "Can't Help Falling In Love" には、元ネタになった曲がある。
 18世紀から19世紀にかけて活躍した、フランスの作曲家,ジャン・ポール・マルティーニの作品で、原題は "Plaisir d'amour" ―― 「愛の喜びは」だが、内容としては「愛の喜びは長続きしない」というような切ないものだ。
 この曲、イタリア語版の "Piacer d'amor" も非常に有名。音楽高校,大学で声楽をやった者なら、必ず歌った、「イタリア歌曲集」に入っている。
 私も音高時代に歌っており、譜面には発音に関するメモが残っている。
 私の声楽の成績は惨憺たるものだったが、音高生一般の感覚として、「イタリア歌曲集」というのは、クラシック音楽を勉強している中で、大人の領域に一歩踏み出した感じがして、すごく好きだったと思う。発声のコンコーネ,音程のコールユーブンゲンに対して、このイタリア語の歌詞で情感豊かに歌い上げる「イタリア歌曲集」は、やりがいがあったともに、格好良かった。

 動画を検索すると、フランス語版も多いし、男声も多かった。
 その中で、こちらは女声だし、調も Es-Dur (中声用)、ピアノ伴奏なので、私や音高の仲間たちが歌っていたバージョンである。
 ボブ・ディランとはかけ離れた世界だが、これを聴いてからまたディランを聴くのも、味わいがあって良いだろう。

1970 with Special Guest George Harrison がやってきた、ヤァ!ヤァ!ヤァ!2021/03/09 21:00

 お待ちかねの、ボブ・ディランの [1970 with Special Guest George Harrison] が届いた。仕事の間中、ずっと聴いている。



 1970年3月から8月までの、[Self Portrait] や、[New Morning] などのアルバムにつながるセッションで、5月1日にはジョージがセッションに参加している。
 今回の公式発売における、最大の目玉は、「ジョージが参加している!」という一点だったのだが…これが、笑えるくらい、ジョージの存在が薄い。特徴的なギターを前面で弾いているわけでもないし、ディランとがんがん絡んで歌いまくっているわけでもない。
 ちょっとはにかみながら、遠慮がちに、でもディランと一緒に過ごせる幸せをかみしめる、26歳のジョージの密やかな存在感を堪能するのが、このアルバムではないだろうか。
 そう、ジョージ・ファンは謙虚なので、ジョージがいる空気さえ記録されていれば、それで良いのである!

 もう一つ強く思ったのは、このアルバムのタイトルは [If Not For You] にするべきだったということ。
 それくらい、何度も何度も演奏して、練りに練って、つかみ取ろうとするディランがいる。この時期のディランにとって、"If Not For You" が、いかに重要な曲だったのかが、よく分かる。
 ディスク3になって、タンバリンがじゃらじゃら鳴るゴスペル風になったのは、さすがに可笑しかった。

 "If Not For You" は、ジョージの方がモノにした感じで、[All Things Must Passs] の収録バージョンはとても良い。
 それから、やはり [Concert for Bangla Desh] 。じいっと見つめう二人の、幸せな瞬間。1970年5月、こういう空気が流れていたんだな。

CRT ジョージ・ハリスンまつり・特別編2021/03/01 20:57

 毎年恒例の、レココレ・プレゼンツ,CRT ジョージ・ハリスンまつりである。
 こんなご時世なので、キャストたちのトークが、インターネットで生配信された。もちろん申し込んで、生で楽しんだ。

 いつもの、本秀康さんのジョージ愛語りなのだが、音楽は大人の事情があってかけることができないとのこと。CRTと言えば、会場のみんなでジョージの名曲を聴いて、感動を分け合うことがその醍醐味だと思う。それができないのは、ちょっと残念。
 しかし、その分、ひたすらジョージ愛を「語るだけ」という、マニアック過ぎるカオスへと突入していて、これぞ CRT ジョージまつりと言う観もあった。

 そもそも、ジョージの何かは出るのか?!…という辺りから話が始まったが、なぜか本さんの「ビートルズってどうして凄いかわかります?」という力説になり、これが面白かった。
 曰く、「バンドのソングライターの三番手が、ソロになって大ヒットするんですよ?すごくありません?!」
 それは確かにそうだ。バンドの三番手が、ソロデビューできるだけでも、凄まじいことだ。ついでに言えば、全員ソロでちゃんとキャリアを積んでいる。

 さて、今年は [All Things Must Pass] の新しい「箱」が出るはずである。
 既に、"All Things Must Pass" が発表されている。



 これは、パソコンのスピーカーで聴いてはいけない。ヘッドホンを使うのがベスト。本当に素晴らしい。
 アコースティック・ギター一つ一つが粒まで聞こえるし、ストリングスも澄んだ音色だ。ジョージの声の重なりが輝いて引き立っているし、ベースの動きが複雑で格好良い。
 本さん曰く、アルバム全体を、この路線でやってくれるなら、最高。
 しかし、フィル・スペクターを全否定である。彼が亡くなったこのタイミングで、それは許されるのか?!

 許されると思う!
 ぜーんぶ!きれーいに!クリーンに!してください!!

 ちなみに、映画 [Get Back] は話題にならなかった。完全に忘れていたらしい。もしくは、ジョージ・ファンとしては、それほど楽しみでもない…というところかな。

Rolling Thunder Revue2021/02/20 21:56

 Netflix が配信している映画,[Rolling Thunder Revue: A Bob Dylan Story by Martin Scorsese] を、Netflix に加入せずに見る方法。それは、Blu-ray ディスクを買うことである。ただし、アメリカ版なので、日本語字幕無し、パソコンでのみ再生可能だ。
 1975年夏、ボブ・ディランのライブツアー,「ローリング・サンダー・レビュー」の模様を描くドキュメンタリー ―― ということになっている。タイトルに、"A Bob Dylan Story by Martin Scorsese" 「マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説」と、但し書きが付いているところが重要だ。



 これはまた…微妙な映画だ…。

 ライブシーンは、間違いなく傑作。ブートレグ・シリーズ Vol 5. の映像を見ることが出来るのだから。白塗りのディランは、叩きつけるように歌いまくり、ツイン・ドラムスに引っ張られたバンドが、重量感抜群に迫ってくる。
 ディランの容姿も格好良い。花で飾った帽子をかぶり、ジーンズが似合っていて、笑顔が目立つ。  ジョーン・バエズとの息ぴったりのデュエットシーンも良いし、当時の最新アルバム,[Desire] の曲とともに、"Hattie Carroll" や "Hard Rain" のような古い曲を、ロック・バージョンで聴かせてくれるところも、堪能できる。
 容姿の目立つ ―― 要は美しいギタリストがいて、それがミック・ロンソンであることを初めて知った。名前は聞いたことはあるが、どういう人かは知らなかったのだ。
 ロジャー・マッグインの迫力のある見た目が、ちょっと笑えた。衣装がダサく、白塗りや、アイメイクが似合わない。でも聴かせてくれるのは、これぞマッグインと言う、繊細なギターと歌声だ。
 行く先々で加わるゲストも豪華。パティ・スミスやジョニ・ミッチェルが、若く溌剌としていたのが印象的だ。

 しかし、この素晴らしいライブシーンを堪能するだけでは、監督は満足しなかったようだ。たびたび演奏がぷっつり切れて、インタビューや、舞台裏のシーンが挿入される。
 ツアーの様子を描くのだから、そういうシーンも必要なのだろうが、私にとっては、なくても良かった。
 しかもそう言ったインタビューシーンが、いわゆる普通の「ドキュメンタリー」ではなくて、様々な仕掛けが施されている。それを示唆するように、まったく関係ない、古い映画のシーンが挟まれたりする。
 私が期待したのは、[Shine a Light] のように、コンサートを堪能するような映画なので、かなり微妙な評価にならざるを得ない。

 そのうち、日本語の字幕の入ったソフトが発売されるだろうか。そうなったら、もう一度日本語で見て、ドキュメンタリー部分の良さを認識出来るようになるかも知れない。
 私が好きなのは、ディランの「伝説」ではなく、「音楽」なのだということを、再確認した映画だった。

License to Kill2021/02/04 22:02

 1986年6月6日、ボブ・ディランは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズと共に、アムネスティ・インターナショナルのチャリティ・イベントに出演した。
 その際の、"License to Kill" が動画サイトにあがっている。



 このバージョンでは、ディランの相棒はもっぱらマイクのようだ。たびたび彼の方を見ながら、歌っている。
 原曲は訥々とした、おとなしい曲だが、ディランの叫ぶような口調と、エレクトリック・ギターサウンドの重なりで、格好良いロックに変貌した。
 惜しむらくは、エンディングで女性コーラスに "License to kill..." を繰り返させたことだろうか。ちょっと垢抜けなくて、ダサい感じがする。

 1992年の、ディラン・デビュー30周年コンサートで、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが "License to Kill" を演奏したのだが、ディランと共演したときのことが下敷き似合ったのだろう。
 そもそもこのライブの映像は、私がTP&HBのファンになりたてのころ、音大の図書館にリクエストして、入荷してもらった物である。毎日図書館に通ってTP&HBと、ジョージと、ディラン様を繰り返し見ていた。

 TP&HBが登場するときの、会場の盛り上がりが凄い。"License to Kill" を演奏しようとしたトムさんが、盛り上がりすぎて、「あれっ?」という顔をするところからして、既に最高。後ろでドナルド・ダック・ダンが笑っている。
 曲はしずしずと始まり、だんだん分厚いサウンドに、仕上がっていく。3分18秒のところで、いったん演奏を止めてに、ニヤリとするトムさん。絶品。



 マイクによるギター・ソロの格好良さも素晴らしい。目立たない佇まいで、表情もよくわからないし、大人しいギタリストなのに、そのソロはものすごい。しかも、そのテクニックを見せつけるのではなく、曲と歌を最高に引き立てる、溶け合うようなサウンドなのだ。
 4分43秒の所で、マイクがトゥルク・スイッチを切り替えるところなんて、本当に憧れない?あれに憧れない人がいるだろうか?

 ハウイのコーラスも美しいし、スタンのバタバタする感じのドラムも最高。トムさんの髪はつややかで、コンバースの靴が欲しくなる。
 何度でも見たい、まさに世紀の名演奏だった。

Phil Spector2021/01/31 20:47

 1月16日に、フィル・スペクターが死去したわけだが、記事を書き損ねていた。何せ彼の音楽は偉大ではあるが、私の好みとは、少し合わないのだ。
 そうしたら昨日、ピーター・バラカンさんの「ウィークエンドサンシャイン」で、フィル・スペクターの特集をしてくれた。これは、彼をお手軽に知る良い機会である。

 言うまでも無く、スペクターは、大量の楽器を鳴らして多重録音を駆使し、分厚い Wall of Sound 「サウンドの壁」を作りあげた、名プロデューサーである。数々のヒット曲を残し、後のミュージシャンたちにも多大な影響を与えた。
 「ウィークエンドサンシャイン」では、様々なスペクター・プロデュース楽曲が紹介された。中でも印象的だったのは、ザ・クリスタルズの "Then He Kissed Me" ―― キャッチーでノリが良い。演奏が始まると同時に、わぁっと盛り上がる感じは、よく分かる。名曲。



 1960年代前半を中心にスペクターは名作を残したが、ビートルズの [Let It Be] をアルバムとして仕上げた事に関しては、賛否両論。
 私個人としても、両論。ただ、"Let It Be" に関しては、スペクターがプロデュースしたアルバム・バージョンの方が好きだ。何せジョージのギターが前面に押し出されていて、格好良い。



 ビートルズ後、ジョンとジョージのソロ・ワークにスペクターが関わるところも、番組では言及される。ジョンが二曲紹介されてて、ジョージが一曲だけか ―― うーん。苦笑せざるを得ない。
 しかし、[All Things Must Pass] と、[Living in the Material World] での、スペクターの働きは微妙らしい。そもそもプロデューサーとして使い物にならなかったり、雲隠れしたり、ジョージも大変な思いをした。
 ジョージは亡くなる前、[ATMP] をリマスターして、過剰なエコーを取り除いた。スペクターに多くを学び、彼をプロデューサーに迎えた当時を、どんな風に回顧していたのだろうか。