Mike Campbell - What's In My Bag?2022/05/08 19:47

 そもそもは、バッグの中身を紹介することで、その人を知る企画だと思う。YouTube を見ると、同じような趣旨の動画はたくさんある。
 しかし、マイク・キャンベルがその対象になると、「おれ、バッグ持ってないんだよね」と言って自宅のキッチンでお気に入りレコードの案内になった。



 私はジェイムズ・ブラウンに興味はほとんど無いのだが、ここに登場した1965年の JB はとても格好良いと思う。
 そしていまだにロックする「神のご加護のあらんことを」ザ・ローリング・ストーンズ。バートブレイカーズでもカバーした名曲の数々だ。
 次に、「当然」という風に登場する、ビートルズの [A Hard Day's Night] だが、こちらは私が馴染んでいる青く小さな写真があつまったジャケットのものではなく、どうやら US 盤らしき赤いジャケットだ。こちらもなかなか格好良い。映画のオープニング・シーンの、ジョージが転ぶところはいつ見ても可愛いと思う。

 お次は、ミスター・ボブ・ディラン。[Bringing It All Back Home] を挙げたのは実に「同感!」という感じだが、さらに同感だったのは、 [Desire] を挙げたことだ。決してディランの代表作品として評価されることはないが、熱量や充実感が素晴らしいアルバムで、私も大好きなのだ。どこまでもマイクとはとても気が合う。
 ザ・キンクスは、1964年から1970年までのベストアルバムを挙げたのもわかる。私が好きなのもこの時期のキンクスで、その後のロック・オペラ指向は好きではないのだ。うん、やっぱり気が合う。

 キャンベル家のキッチンにはいつでもレコードが聴けるように、ゼニスのポータブル・レコード・プレイヤーがあり、運が良ければちゃんと動く。これは1970年のモデルらしく、いまインターネットで買おうとしたら、30万円以上するシロモノだ。
 マイクの家には、こういう ガラクタ 宝物がたくさんあるのだろう。

Commercials2022/04/24 19:41

 あの、ザ・ローリング・ストーンズがケロッグのライス・シリアルのコマーシャル・ソングを歌っていたという話は、ずいぶん前に聞いたことがあるはずだが、このブログの記事にしたかどうかは覚えていない。10年以上やっていると、けっこう忘れるのだ…



   当時としてはかなりイケてる CM だったのではないだうか。

 CM には、商品をのものを連呼して買ってもらうのもや、なんとなく雰囲気でブランドイメージを売り込むものもある。
 こちらは、我らが Bose の、ルイス・ハミルトンを使った CM。ルイスとお友達のピザ・パーティの雰囲気だけで、Bose の製品そのものは出てこない。



 ちなみに、 Bose は既に今年の F1 とは提携していない。既にかなり元を取っただろう。
 ルイス、どうか腐らないで。レギュレーションの大きな変更があって、実質別の車になった以上、どこかのチームが悪い状況に陥るのは仕方が無い。ルイス自身も、それを知っているし、セバスチャンはさらにもっと身にしみて分かっている。そういう世界を生き抜いてきたのが、ライコネンやアロンソであり、ルイスやセバスチャンであってほしい。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは CM とは無縁かと思ったら、MTV のイベントの CM に使われていた。ハートブレイカーズ、オフィス・ワーカーになるの巻。



 例によって一番芸達者なのは、ハウイ。トムさんが電話に出たら、内容を理解する自信がない。でも、ビデオ会議はぜひともお願いしたい。

Best Boxed Or Special Limited Edition Package2022/04/19 20:03

 ジョージ関連のニュースで知ったのだが、今年のグラミー賞で、ジョージの [All Things Must Pass: 50th Anniversary Edition] が、 Best Boxed Or Special Limited Edition Package (最優秀ボックス,スペシャル,限定版パッケージ)を受賞したそうだ。そんな部門があるとは、知らなかった。
 [ATMP 50th] のボックスが受賞したと言うことは、あの一番高い通称「木箱」が受賞したのだろう。さすがの私も、金額よりもスペースがネックで買わなかった。あの本秀康さんですら買わなかった…と思う。
 なんかご立派な賞なんて獲得しちゃうと、いまさら欲しくなった。しかし、そもそもとんでもない価格だったが、今やさらにとんでもないことになっているだろう。



 これまで、どんなアイテムが受賞したのかと思って見ると、ウッドストックの記念箱とか、アル・ヤンコビックのアコーディオン型全集箱、ポールのウィングス・USツアーの箱なんて物もあった。

 そんな中で、去年受賞したウィルコのボックス [Ode to Joy] がなかなか凄かった。

WilcoOdeToJoy from Lawrence Azerrad on Vimeo.



 こういう紙モノ、印刷物、デザイン系が好きな人などにはすごく受けるだろう。
 この曲もなかなか良い。思えばウィルコというバンドは、名前は聞いたことがあるけれど音楽は知らなかった。ちょっと気になるバンドの発見になった。

Jim Horn2022/04/15 20:13

 偶然、80年代に作られたジム・ホーンの紹介動画を見た。
 いかにも80年代風で緩い感じだが、出てくる面々は豪華。ありがたくも日本語の字幕が付いており、ウィルベリーズの表記が定まっていない頃のようだ。



 ジム・ホーンという人は、名前からして管楽器を吹くべく地上に使わされたに違いない。ジョージのキャリアには欠かせない人で、その存在感たっぷりの姿、演奏が印象的だ。
 ビートルズの全員とソロワーク期に仕事をしたと言うことになっているが、ジョンはハリー・ニルソンのアルバムを一緒に作っていたときの話だそうだ。
 「こんにちは、ジョージ・ハリスンです」って固く言うジョージがチャーミング。「これでいいの?」と、おちゃらけるところも含めて最高。同じ事がリンゴにも言えるのが、さすが魂の兄弟。
 ジェフ・リンも登場するが、これってフライヤー・パークのお庭なのでは?

 ジム・ホーンの良い仕事というのは無数にあるが、あえて一つあげるなら、[Concert for George] での "Wah Wah"。そもそも何十人もステージ上にいてもの凄い音量をぶちまけるとんでもない演奏なのがだ、中でもジム・ホーンとトム・スコットのサックス隊が全体をキリっと締めている感じで素晴らしい。
 ここでは音だけだが、これはぜひとも動画で見て欲しい。全てのロック・ファンはこのコンサートの映像を見なければならない。

Philip Philips2022/03/29 21:39

 フィギュアスケート世界選手権は、私が好きなシングル・スケーターが男女ともに優勝して、満足満足。
 オリンピックの時から気になっていた、キーガン・メッシングのフリーの曲,フィリップ・フィリップスの "Home" をチェックした。



 これはドンピシャ!好きにならないはずがない。フォーク・ロックっぽいし、ハートランド・ロック傾向があって、アコースティック・ギターを多用し、ちょっとハスキーで切ない系の声。
 それで彼のことを Wikipedia の記事で調べてびっくり。2012年のアメリカン・アイドルの優勝者で、それがきっかけでデビューしたそうだ。私はこの手のオーディション番組に興味が無いのでまったく知らなかったが、こういう「ロック・シンガーソングライター」系ミュージシャンも輩出していたとは。



 フィリップスの歌唱力は保証書つきだし、ギターも弾ける。しかしソングライターとしては独り立ちしていないようで、何人かのプロ・ソングライターの曲を歌っている。最近のアルバムではソングライティングに彼の名前も併記されているので、共作もしているようだ。
 私は基本的にビートルズのような「自分で作って自分で歌う」タイプのアーチストが好きなのだが、彼はちょっと異色。いまのところ、3枚目のアルバムまで買って気に入っているので、これからも追っていこうと思う。

 二枚目のアルバムから、"Unpack Your Heart" ―― 雰囲気的には、ザ・ヘッド&ザ・ハートにも似ているな。クレジットの Special Thanks には、ジミー・アイヴィーンの名前もあった。何か関係があるのだろうか。レーベルなどのビジネス関係だろうか。

FIA Executive Summary Report2022/03/22 22:02

 F1 2021年シーズンは、去年12月13日(日本時間14日)に最終アブダビGPのチェッカーフラッグが振られてから、ずっと私のなかで時が止まってしまっていた。
 日本では圧倒的に、そして世界でも少数派であっただろう、ハミルトン・サポーターだった私は、間違いなく彼のものだったワールド・チャンピオンシップが、魔術にかかったかのようにほかの人の物になってしまった瞬間を、消化できなかった。
 悪夢を避けるように、あのときのことを考えないようにして、ニュース記事にもあまり触れないようにしていた。あまりにも恐ろしい現実に、それを見つめ直すのも辛かったのだ。
 だから、あのソーシャル・メディア好きなハミルトンが、ふっつりといなくなり、懲罰承知で表彰式を欠席したのも理解できた。受け入れがたい悲劇から、距離を取ることが可能であれば、誰にでもその権利はある。もしそれが、7回のワールド・チャンピオンであってもだ。

 心が片付かないまま、今年の F1 開幕を迎えた。
 最初に見たのが、バーレーンの予選セッション。そのテレビ放映の冒頭で、FIA が去年の最終戦アブダビGPに関する調査結果を発表したことを知った。曰く、「セイフティ・カーと、再スタート、周回遅れの車の扱いにおいて、レギュレーションに曖昧な点があった」とし、「レースディレクターは誠意を持って、自らの知識の及ぶ限り行動した」とのこと。
 さっそく、原文を見に行った。

FIA Executive Summary Report / Executive summary of the analysis and clarification exercise conducted by the FIA following the 2021 Abu Dhabi Grand Prix

 じっくり読んで分かったのは、レース・ディレクター(マイケル・マシ)が強いプレッシャーを受けて、難しい状況に置かれたということだ。特にメルセデスとレッドブル、双方からの無線通信がさらに彼の状況を困難な物にした ―― としている。この「チームからの口出し」が悪影響をもたらしたことは、何度か強調されている。
 さらに、前任のチャーリー・ホワイティングは、長年にわたって複数のタスクをこなしており、その経験豊かなホワイティングの急逝によって急遽就任したのがマシであることも、考慮に入れるべきだとしているように読める。
 そのような状況の結果、レース・ディレクターは、ハミルトンと、フェルスタッペンの間を走っていた周回遅れの車だけをセイフティ・カーの前に出し、グリーンにするという、「ミス」を犯したのだった。

 人間はミスをする。

 私はやっと、自分を説得することが出来たような気がする。人間は完璧ではない。そういう運命の結果として、チャンピオンシップは、ハミルトンのものにはならなかった。それが2021年の F1 だった。

 いまでも、世界にはいろいろな理不尽が起る。何の罪もない人々が、おなじく人がもたらした戦禍に苦しめられる。
 次元は異なっても、いつもどこかで、おかしな事が起きる。故意なり、誠実なミスなり。大なり、小なり。そういう諸々の中に、F1チャンピオンシップも存在したのだ。

 なんと言っても、新シーズンは始まっているのだ。しかも私の贔屓は揃いも揃って低調ときている。マクラーレンとアストン・マーチンの遅さには頭が痛い。その上セバスチャンがCOVID-19 陽性って…!私にどうしろと?
 耐えろ,耐えろ、苦しい時は必ずあるものだ…!望んだ物が手に入るとは限らない!

17th October 1987 Monday London2022/03/18 23:56

 ここ数日、YouTube がなんとなく私に見ろと促しているような気がする動画がある。どうやらジョージのライブ映像らしい。
 何の気なしに見たら、素敵な物だった。
 1987年10月17日ロンドン。ボブ・ディラン with トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのステージに飛び入り参加したジョージとの、 "Rainy Day Women # 12 & 35" である。



 何が凄いって、ステージに立っている面々が凄すぎる。最初から、ボブ・ディランとトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズという取り合わせで豪華すぎるのに、さらにジョージと…後ろにいるのは、ロジャー・マッグインだろう。
 あまりにも迫力がありすぎて、トムさんが映り込まない。遠慮しているのだか、場所が狭いのだか、とにかく舞台右手のほうに居るのだろう。
 マイクが満面の笑みを浮かべているのが最高。もう夢のような気持ちだったのではないだろうか。この時点で既にウィルベリーズは結成されたも同然で、その序章がこのロンドンでのライブというわけだ。

 有名な逸話によると、このボブ・ディランとトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアー最終日、楽屋ではトムさんの誕生日祝いが行われ、ジョージがケーキを持ってきた。このときの記念写真は、トムさんの宝物である。



 必死に映り込もうとするノーベル文学賞受賞詩人…ちなみに、この写真を撮影したのは、マイクである。マイクとディランのローディさんが入れ替わったバージョンもあるのだ。
 そしてこの打ち上げの後、ディランはジョージのおうちにお泊まりしている。他にもだれか泊まりに行ったのか?いや、ディラン様のジョージ独占特権が発動されたのか?
 とにかく想像するだけでもワクワク、ドキドキな1987年10月17日だった。

Time Is On My Side (RS/ TP&HB)2022/03/14 22:19

 ザ・ローリング・ストーンズのヨーロッパ・ツアーが発表された。6月22日スペイン,マドリッドから始まり、7月31日スウェーデン,ストックホルムまで。どれもスタジアムや、ハイドパークなど、とにかく器が大きい。
 羨ましい…本気で行きたくて、ウィーンの場所とか確認し始める。ああ、プラーター公園じゃん…路面電車、夜中まで動いているかな…地下鉄乗る必要あるかな…とか…行かないけど。でも行きたい。

 ストーンズといえば、先日ラジオで「"Time is on my side" にはイントロの異なる二つのバージョンがある」と言う話をしていた。実は私には初耳だった。ストーンズのファンの間では常識なのだろう。
 よく分からないので、自分が持っている,つまり CDで持っている物を確認すると、私が自分の中でストーンズのセカンドアルバムだと思っている [12 X 5] に収録されていた。厳密に言うと、 [12 X 5] はアメリカでのセカンドアルバムであって、UKでは違うらしい。
 とにかく、私が持っている方のバージョンが先に ―― 1964年6月にロンドンで録音された。そしてアメリカでシングル,およびアルバム収録曲として発表された。
 私の耳に慣れているこのバージョンの特徴は、イントロがイアン・スチュワートが弾くオルガンだけ。Wikipediaによれば、「ややルーズな感じに」聞こえるそうだ。




 一方、ギターのソロが冒頭から入っているもう一つのバージョンは、1964年11月にシカゴで録音された。これが UK におけるセカンドアルバム [The Rolling Stones No.2] に収録された。ウィキペディアによれば、当時のラジオや、ベスト盤などにはこちらのバージョンが使われたとのこと。
 


 どうしてロンドンと、シカゴ、5ヶ月おいて二回録音したのかは、よく分からない。知っている方がいたら教えて欲しい。

 "Time is on my side" といえば、どうしても思い出されるのが、1997年にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがフィルモアでライブを行った際に演奏され、その音源(たぶんインターネットかラジオで中継されていた)がブートレグで出回っている。
 これがまた最高なのだ。トムさんのだらんとしたヴォーカルが、実はしなやかで力強い。そして、忘れてはいけないのが、ハウイとスコットのハーモニーだ。美し過ぎず、整い過ぎず。三本のギターがガツン、ガツン、ガツンとロックンロールであることを高々と響かせる。格好良い。



 実は、沢田研二, 玉置浩二, 高橋幸宏(ジョージ・ファン)という豪華な三人によるカバーもあるのだが、改めて聞いてみたら、やっぱりストーンズやハートブレイカーズとは違い過ぎて辛かった。悪くはないのだが…ご興味のある方は検索していただきたい。

Echo in the Canyon / The Philosophy of Modern Song / If Not For You2022/03/10 21:40

 興味深いニュースが、いくつか入ってきている。
 まずはこちら。待望の "Echo in the Canyon" の日本での公開だ。

『エコー・イン・ザ・キャニオン』5月27日(金)公開決定!

 わーい!これは心待ちにしていた。まさにロック最盛期「ウェストコースト・ロックの聖地、ローレル・キャニオンの歴史的音楽シーンのルーツを紐解くドキュメンタリー映画」である。
 トム・ペティ関係の映画ではあるが、彼はちょっと当時の音楽の偉大さをジェイコブ・ディランに向かって、リッケンバッカーを抱えて語るだけである。それだけでも要素過多だが…重要なのは、おそらくこの映画に登場するトム・ペティのインタビューが、彼の生前最後の「動画によるインタビュー」であろうことである。
 無論、ザ・バーズ、ビーチボーイズ、CS&N などなど錚々たる面々の音楽を、大物ばかりが揃って証言するのも面白いし、ジェイコブとその仲間たちとのライブも見応えがある。楽しみだ。

 ボブ・ディランは久しぶりに本を出すらしい。

『The Philosophy of Modern Song』11月8日に発売

 「スティーブン・フォスター、エルヴィス・コステロ、ハンク・ウィリアムズ、ニーナ・シモンなどのアーティストの楽曲についてディランが執筆した60本以上のエッセイが収められています」とあるので、一つ一つのエッセイは短そうだ。これは英語読書再開だな…
 それはいいけど、ディラン様。バイオグラフィーの続きはどうなったの?さらなるジョージ・エピソード、トムさん・エピソードを待っているのですが。

 ジョージとディラン様といえば、[Concert for Bangradesh] での "If Not For You" の様子が、ファンによってレストア,公開されたというニュースも流れてきた。一ファンの行動が翻訳ニュースになるのだから、たいした物だ。

ボブ・ディランが71年にジョージ・ハリスンと「If Not For You」をリハーサルしている映像 ファンが4Kレストア化

 肝心の動画が、こちら。



 いいね…いつ見てもいい…。最高。
 ジョージの顔に視線を釘付けにするディラン様に釘付け。ジョージを見つめてないと窒息でもするかのようだ。しかめっ面のようで、実は終始ニヤニヤしている。二人で "I judt wouldn't have a clue" のところで、笑い声を上げてしまうのも、可愛さ大爆発。
 この動画、うまくジョージやスティル・カメラマンのコメントなどを前後につなげて、このときのディランやジョージの様子を伝えている。
   さらに、これまで見ていたものより、演奏後のざわついた感じのシーンが長く、3分30秒ぐらいで、ジョージの右手がアップになるのなんて、たまらーん!ジョージの美しい腕,手の甲,浮き出た血管がはっきり見えるともう、発狂しそう。ファンというのは、そういったものだ。

EXTERNAL COMBUSTION2022/03/06 14:14

 マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜,[EXTERNAL COMBUSTION] が届いた。
 まず、前作よりジャケットが格好良い。マイクがクールにフィーチャーされており、横には合成と思われるの最近愛用の白いギター。背後には燃えるリッケンバッカーが描かれているが、何かの暗示だろうか?



 最初は既に発表されていた "Wicked Mind" 格好良いロックンロール。
 次に古風なブギー "Brigitte Bardot" が来たのは意外性があって良かった。
 3曲目の "Cheap Talk" はゲスト女性ヴォーカルを迎えての、ちょっと不穏な曲調。マイクにしては珍しい感じだ。
 4曲目の "External Combustion" は、TP&HB の [MOJO] にあるような、ずしんとくるリフを展開して、ちょっとビートルズ風で格好良い。
 5曲目の "Dirty Job" もまた、マイクお得意のリフからの成立だろう。緊迫感のあるサビが辛口に響く。ゲスト・ヴォーカルとして参加しているのは、イアン・ハンター…ってモット・ザ・フープルのイアン・ハンター?!マイクより10歳以上年上だからびっくりしたが、写真を見るとちゃんと居るので、本物だ。こいうところにもつながりがあるとは意外だった。
 6曲目はガラッとかわって、穏やかな "State of Mind" 。女性カントリーシンガーのマーゴ・プライスを迎えて、味わい深く、しみ通るように盛り上がっていく様子が感動的だ。ブラスの使い方なんかが、ちょっとザ・バンドっぽくて郷愁を呼ぶ。
 7曲目は "Lightning Boogie" ―― 端からゴキゲンなブギーである。なんと言っても、ベンモント・テンチの参加が嬉しい。こういうときこそのベンモント登場で、マイクも楽しそうだ。しかもベンモントの存在感もたっぷりで、ピアノとギターの絡み合いも抜群に格好良い。
 8曲目の "Rat City" は格好良いギターのリフを中心に、ミドル・テンポに、ちょっとヘヴィメタルっぽく決めている。そこに早弾きではなく、あくまでもゆったりとギターを響かせるところがさすがである。これもTP&HBのアルバム [MOJO] を彷彿とさせる。そしてアウトロはビートルズ風。
 9曲目 "In This Lifetime" は、ちょっと変わったエキゾチックな音階を使っている。こういうのは、ギターをそういう風にオープンチューニングにしているのかなぁと、そちらの興味が湧く。歌詞もなんとなく暗示的で、"I'll never understand her in this life" というところが、輪廻とかそういうこと、ジョージの世界のサウンドも感じられて、素敵だった。
 10曲目 "It Is Written" は軽い手触りだが、ロードムービーにぴったりくる感じ。根拠は曖昧だが、この曲に出てくる "you" が、なんとなくトム・ペティのことのように思われた。
 そして最後の11曲目、"Elecyric Gypsy" ―― これも既に発表されている。これぞいかにも、TP&HB で、知らない人が聞いたらオマージュか何かかと思うだろう。ギターがゆっくり浮遊するようで、ガツンとした低音と漂う虚無感が、人生の達観をしているようで、どこか開放感がある。

 前作からそうだが、驚くのはマイクの作詞家としての成長である。20年前は「頭に穴が空きました!」とか言っていたのに。まさに必要は発明の母。
 自ら歌う必要の無かった頃というのは、詞も必然的に湧いてこなかったのだろう。それがカバーなり、なんなり自分で歌い始めると、口をついて歌詞が出てくるようになるのだろうか。

 マイク・キャンベルのミュージシャンとしての人生は、示唆に富んでいる。学校に残るか、せいぜい兵役にでもつくのかと思っていたギター好きの少年が、ひょんなことから金髪男のバンドに加わり、何十年も活動して大成功を収め、その相棒を亡くして、静かに立ち去るのかと思ったら、これである。
 人生は長い。芸術も長い。彼の生き様は、何かを犠牲にして打ちひしがれて何もしない、もしくは勇をふるって戦い続ける、どちらでもない、ごく自然体で穏やかで、それでいて楽しい生き方を教えてくれる。