Concert for George を見よう!2023/06/25 19:37

 何週間か前から告知されているのだが、このたび、ジョージ・ハリスンの誕生80年を記念して、「コンサート・フォー・ジョージ Concert for George」が劇場特別版公開されることになった。
 2002年に開催され、2003年に公開されたCFGは、DVD 発売時に日本でも特別試写会があって、オリヴィアやクラプトンも会場にいた。私もその会場の大スクリーンで鑑賞したのだが、それ以降、意外なことに劇場公開はされていなかった。
 これはとても良い機会なので、ぜひともCFG 未見の方も、何度も見た人も大スクリーンで楽しんで欲しい。

ジョージ・ハリスン生誕80周年記念 劇場特別版公開



 私は自称、日本一の CFG ファン。何度見たか数知れないし、そのたびに号泣している。
 特にジョージ・ファンでもないけれど、ある程度ロックが好きな人に何セット DVDをプレゼントしたかも覚えていない。いずれの人からも大好評だった。
 あるジョージ・ファンが「だって、ジョージは出てないんでしょ?」といって見ていない。そこで「私が責任を取る!だまされたと思って見るのだ!」といって説得。結果、次に会ったとき、その人は「泣いちゃったよ…!」と言っていた。
 そして、特に音楽ファンというわけではないが、「モンティ・パイソン教育」を施した友人に、その総仕上げとして CFG を見せたのだが、「あのコンサート、なんか凄くよかったね」との、感想を得た。

 CFG の良さを挙げると切りが無い。
 まず演奏される音楽の多くが、ジョージの名曲であること。そしてその名曲の数々を超一級のミュージシャン達が抜群の名演して魅せる。「コンサート・フォー・バングラデシュ」や、日本公演での思い出、ビートルズ時代の輝き、ソロ時代の豊かな音楽世界を入念なリハーサルをしたうえで披露する。この完璧な演奏が CFG の骨幹だろう。
 そして、インド音楽のセクションが冒頭にあり、興味深いインド音楽の世界を紹介してくれる。多彩な音色、不思議と心沸き立つリズム感、たくさんの特徴的な楽器が奏でる世界が、更に広がり、西洋楽器のストリングスや、クラプトンのギターと相まって、壮大な世界を見せてくれる。なかなかない機会だ。
 そしてモンティ・パイソンがスケッチを披露して、ジョージのチャーミングな一面を懐かしみ ―― しかも、パイソンで泣かされるとは思ってもいなかったのだが、本当に感動的なのだ。
 まだ20代前半で、ジョージとうり二つのダニー、それを囲むバンド、ジョージと親しかったクラプトン、ジェフ・リン、ゲイリー・ブルッカー、ジョー・ブラウン、サム・ブラウン、ビリー・プレストン、そしてトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの名演奏は、迫力と説得力に満ちている。
 終盤には狂乱のビートルズ時代を共にした、リンゴとポールが登場し、さらに会場の熱量をあげる。ハンブルグ時代からの親友、クラウス・フォアマンも加わって、あの60年代を共に生きた同士を想い、その存在、音楽、愛情を讃える、温かな瞬間のひとつひとつ ―― そうして、奇跡的なコンサートを作りあげてゆく。

 最後の最後に、"Wah-Wah" を演奏するシーンは本当に圧巻だ。このパフォーマンス後、この曲をカバーするアーチストが続出するのも、納得だ。若くして亡くなった友人の追悼コンサートなのに、みんなが笑顔で幸せそうなのが印象的だ。
 そしてコンサートの締めくくり ―― おそらく、ジョージ自身がリクエストするであろう、"See You in My Dream" ―― まぁ、とにかく見てくださいと言うしかない。私はこの二十年、何度見ても号泣している。

 劇場版は一部コンサートをカットしているので、ぜひともDVD,もしくはブルー・レイ・ボックスを買って欲しい。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "I need you”での、トムさんの切ない表情が泣かせる。
 ほかにも名場面を挙げたら切りが無い。"Something" でのポールの高音の素晴らしさ、ジェフ・リンのコーラスの絶妙さ、クラプトンとの名演は本当に極上。リンゴが登場するなり、ステージ上も、会場も、見ているこっちも笑顔になる不思議な魔法。
 "While my guitar gently weeps" 渾身の演奏後にうつむくクラプトンに、そっと声をかけるダニー。胸がいっぱいになる。

 私に CFG を語らせたら、たぶん数日はしゃべり続ける。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのパートだけでも丸一日かける自信がある。
 ジョージ・ファンも、そうでなくても音楽に興味がちょっとでもある人、そして友情をテーマにした作品を見たい人、全てにお薦めの作品である。
 そう、一番大きなテーマは友情。「友達っていいな。」きっとそう想うに違いない。