Steps of Freedom ― 2023/06/12 20:13
「アイルランド映画祭2023」で、興味深い映画があったので、二作品見てきた。
まずは、アイリッシュ・ダンスのドキュメンタリー 「ステップス・フォー・フリーダム Steps of Freedom:The Story of Irish Dance」
なんと言っても、緑溢れ、風がごうごうと鳴るアイルランドで、力強くステップが踏まれるアイリッシュ・ダンスのパワーに圧倒される。
アイリッシュ・ダンスの起源として、祭事のほかに軍の行軍が「3+3」の二拍子、ジグの誕生に大きく貢献していると言う話しも興味深かった。極端に強調された足音、アクセントのを説明するには、この「行軍説」がとても説得力があると思う。さらにその様子は、エリザベス朝の頃からすでに人々の印象に強く焼き付けられていたという文献もある。
それから強くステップを踏む踊りの形式は、アイルランドから南下してイベリア半島(フラメンコが特徴的)や、西アフリカへと南北に分布しているという。この関連性への言及もとても興味深かった。
さらに、アイルランドは長きにわたってイングランドの植民地としての苦難の歴史を歩んだことも、当然強調された。イングランドはアイルランドをイングランド化しようとしたが、アイルランド人は勇気を持って抵抗し、力強く踊ってきた。極東に生まれた私が、アイルランド音楽とダンスに心を強く引きつけられるのは、その屈服しない精神、力強い魂のパワー故だと思う。
さらに、ジャガイモ飢饉を代表とする、貧困故のアイルランド移民達の、移民先での音楽とダンスの伝統もとても力強かった。特に印象的だったのは、黒人奴隷、およびその子孫達と、年期奉公人だったアイルランド人たちが、互いにステップを競い合ったという点だ。試合も盛んだったという。今で言えば協調、調和、友愛で理由付けが出来るが、当時としては互いのアイデンティティを懸けた真剣な勝負だっただろう。
そして、アイリッシュダンスはアイルランドのケルト人だけのものではなくなる。1990年代に大ケルトブームを巻き起こし、現在も吹き続けている風の原点であるリバーダンスでさえ、そのダンサーの多くはカナダ、アメリカ、オーストラリアから参加しているし、日本人ですらそのメンバーに加わっている。
特に、マンハッタンのど真ん中で、イカしたアイリッシュ・ステップを踏む黒人女性,モーガン・ブルックが良かった。「この人種はこの音楽を、このダンスをやるべきだ」と観念は、ある意味その血統や宗教、文化伝統の意味で説得力も有るかも知れないが、しかし素晴らしい音楽や、そのほかの芸術は人種を、地域を、時空を越えるのである。極東の島国に住む私がクラシックピアノを弾き、ロックンロールを聴き倒し、アイルランドのティン・ホイッスルを吹くのは、そういう芸術のパワーに裏打ちされた一つの現象なのだ。
アイルランドでは伝統的なダンスの保護を目的として、スタンダードな踊りを制定し、その他雑多なものをうち捨ててきてしまったという歴史もあるという。雅楽にも同じようなことがあった。長く伝えようとする余り、形式にこだわりすぎてかえって内容が貧しくなってしまうと言うことは、往々にして起きるようだ。
しかも、教会が家々の台所や町々の交差点で行われていたダンスパーティを不謹慎なものとして規制したという、アイルランド人にとっては自分で自分の首を絞めるといった時代もあったという話しも、興味深かった。
ザ・ボシー・バンドや、ザ・チーフテンズも登場したし、最近のダンサーではガーディナー・ブラザーズもチラっと登場した。
そろそろロックのライブも色々見たいし、演奏もしたい。そういう意欲をかき立てさせる、良い映画だった。
リバーダンスもそろそろ曲目や演目を一新したら良いと思うが、どうだろう?
まずは、アイリッシュ・ダンスのドキュメンタリー 「ステップス・フォー・フリーダム Steps of Freedom:The Story of Irish Dance」
なんと言っても、緑溢れ、風がごうごうと鳴るアイルランドで、力強くステップが踏まれるアイリッシュ・ダンスのパワーに圧倒される。
アイリッシュ・ダンスの起源として、祭事のほかに軍の行軍が「3+3」の二拍子、ジグの誕生に大きく貢献していると言う話しも興味深かった。極端に強調された足音、アクセントのを説明するには、この「行軍説」がとても説得力があると思う。さらにその様子は、エリザベス朝の頃からすでに人々の印象に強く焼き付けられていたという文献もある。
それから強くステップを踏む踊りの形式は、アイルランドから南下してイベリア半島(フラメンコが特徴的)や、西アフリカへと南北に分布しているという。この関連性への言及もとても興味深かった。
さらに、アイルランドは長きにわたってイングランドの植民地としての苦難の歴史を歩んだことも、当然強調された。イングランドはアイルランドをイングランド化しようとしたが、アイルランド人は勇気を持って抵抗し、力強く踊ってきた。極東に生まれた私が、アイルランド音楽とダンスに心を強く引きつけられるのは、その屈服しない精神、力強い魂のパワー故だと思う。
さらに、ジャガイモ飢饉を代表とする、貧困故のアイルランド移民達の、移民先での音楽とダンスの伝統もとても力強かった。特に印象的だったのは、黒人奴隷、およびその子孫達と、年期奉公人だったアイルランド人たちが、互いにステップを競い合ったという点だ。試合も盛んだったという。今で言えば協調、調和、友愛で理由付けが出来るが、当時としては互いのアイデンティティを懸けた真剣な勝負だっただろう。
そして、アイリッシュダンスはアイルランドのケルト人だけのものではなくなる。1990年代に大ケルトブームを巻き起こし、現在も吹き続けている風の原点であるリバーダンスでさえ、そのダンサーの多くはカナダ、アメリカ、オーストラリアから参加しているし、日本人ですらそのメンバーに加わっている。
特に、マンハッタンのど真ん中で、イカしたアイリッシュ・ステップを踏む黒人女性,モーガン・ブルックが良かった。「この人種はこの音楽を、このダンスをやるべきだ」と観念は、ある意味その血統や宗教、文化伝統の意味で説得力も有るかも知れないが、しかし素晴らしい音楽や、そのほかの芸術は人種を、地域を、時空を越えるのである。極東の島国に住む私がクラシックピアノを弾き、ロックンロールを聴き倒し、アイルランドのティン・ホイッスルを吹くのは、そういう芸術のパワーに裏打ちされた一つの現象なのだ。
アイルランドでは伝統的なダンスの保護を目的として、スタンダードな踊りを制定し、その他雑多なものをうち捨ててきてしまったという歴史もあるという。雅楽にも同じようなことがあった。長く伝えようとする余り、形式にこだわりすぎてかえって内容が貧しくなってしまうと言うことは、往々にして起きるようだ。
しかも、教会が家々の台所や町々の交差点で行われていたダンスパーティを不謹慎なものとして規制したという、アイルランド人にとっては自分で自分の首を絞めるといった時代もあったという話しも、興味深かった。
ザ・ボシー・バンドや、ザ・チーフテンズも登場したし、最近のダンサーではガーディナー・ブラザーズもチラっと登場した。
そろそろロックのライブも色々見たいし、演奏もしたい。そういう意欲をかき立てさせる、良い映画だった。
リバーダンスもそろそろ曲目や演目を一新したら良いと思うが、どうだろう?
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