シロウト、歌舞伎座へゆく2023/03/25 22:08

 先日、生まれて初めて歌舞伎を見た。場所は、東京,東銀座の歌舞伎座である。
 そもそも、邦楽に関しては雅楽か能楽にしか興味が無い私が、どうして歌舞伎を見に行くことになったのか。これには訳がある。
 1974年に発表された当時の新作歌舞伎「花の御所始末」の作曲を、芝祐靖先生が担当しているのだ。芝先生なら何でも良いのかと聞かれそうだが、まぁなんでも良いのだ。それがこのたび、再演となったというわけ。

 話の筋としては、足利将軍家の内輪争いのの中で、足利義教が悪行の限りを尽くして人殺しをしまくるという内容。シェイクスピアの「リチャード三世」に触発されたとのことだが、主役が悪人設定という以外は、大して関係ないなぁ。
 主演は松本幸四郎。ほかには、中村芝翫、片岡愛之助。ここまでしか知らない。要するに歌舞伎役者はテレビに出ている人しか知らないのだ。



 そもそも、どうして歌舞伎で雅楽の芝先生が作曲をするのか不思議だったのだが、見てやっと分かった。全体的に花の御所の雰囲気を雅楽器、雅楽の雰囲気で作ろうという意欲作なのだ。それで芝先生にお鉢が回ってきたらしい。
 歌舞伎の筋は荒唐無稽だというのは散々言われてきたのだが、それにしても作りの甘いストーリーで、そのくせ演出が大袈裟なので、ややぽかーんとしながら見ていた。大向こうも聞こえるのだが、なんとなく盛り上がらない。
 初めて歌舞伎を見るには、余り良くない演目だったことは間違いない。もっと王道の古典から見るべきだろう。

 歌舞伎の見方というのも、勉強になった。どうして休憩が35分もあるのかと不思議だったが、その間にシートでお弁当を食べるのだ。ホールのシートでの飲食は絶対禁止だと思い込んでいたので、そういう思想がなかった。
考えてみれば、江戸時代から旦那衆が芸者を引き連れ、枡席を占領し、一日飲み食いしながら芝居見物をしたのだから、ホールのシートになった現代も、シートでお弁当を食べるのが正しいのだ。
 なるほど。何事も経験である。経験して得る知見ほど、身になる物は無ない。

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