Revolver / 2022 Deluxe 5 Discs ― 2022/11/01 19:43
注文は確かにしていたが、忘れた頃に大きな箱が届いた。ザ・ビートルズの [Revolver / Deluxe 5 Discs] ―― 特典で大きなポスターつき。飾りたいけど、私の自由に出来る壁面はジョージとトムさんと、ディラン様で占められている。
5枚のCDの内容は以下の通り。
CD1: オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス
CD2 & 3: セッションズ
CD4: オリジナル・アルバム モノ・マスター
CD5: EP (Paper back writer と Rain, それぞれステレオ&モノ)
セッションズは全部で31トラックあって、なかなか聴き応えのある内容だった。ちょっと残念なのは、"And Your Bird Can Sing" の3トラックが、2枚に分かれたこと。どちらかに寄せ集めた方が良かっただろう。ともあれこの曲は超名曲で、セッションズのバージョンでは "If I Needed Someone" のような "Ah" というコーラスが入っていた。とても美しい。
"Got to Get You into My Life" や、"I Want to Tell You" などが、最初はけっこうストレートなロックだったのが、格好良かった。アルバム収録バージョンも良いが、セッションズ・バージョンも捨てがたい。
"Yellow Submarine" の、ジョンとポールの初期バージョンが聴けたのも嬉しい。ディランっぽいフォーク調だったのが、やがてリンゴが歌い、サウンド・エフェクトを加えて、あの賑やかな行進曲になって行く様がありありと分かる。
"Taxman" にジョンとポールの賑やかなコーラスが入っていたのも興味深いし、"Elenor Rigby" では弦楽のアーティキュレーションがかなり違っていたのも面白いかった。スラーで弾いていた和声をスタッカートにしたセンスは、さすがジョージ・マーティンとポールだ。
"She Said She Said" では、最初はあの変拍子が不完全だったことが分かる。これはリンゴと合わせていくことで、あのアルバム収録バージョンの、変拍子なのに歌詞に完璧にフィットしたリズムになったのだ。ジョージがディランのように「言葉」を語るリズムで自然に変拍子を作ったように思えるのとは、対照的だった。
さて、オリジナル・アルバムの "New Stereo Mix" と、"Mono Master" である。どちらの方が良いか?
そもそも、"Revolver" は発売された当初から モノ と ステレオ の両方が存在したが、最初の CD 化の時には Stereo が採用されたらしい。ただ、2009年のリマスター時には両方発売されたため、両方買うはめになったのだが ―― 私の耳だと、2009年のステレオは何となく失敗だったと思う。初期アルバムのステレオ化が顕著なのだが、音の層を無理に剥がして強力な接着剤で左右に貼り付けた感じがして、どうもバランスが悪かったのだ。そのような訳で、2009年のリマスターはモノでばかり聴いていた。
しかし、このたびのニュー・ステレオ・ミックスがひと味違う。変な言い方だが、とてもモノに近いサウンドで、左右への偏りがない。それでいて音楽の各層が丁寧に、微細に、洗浄されたように聞こえる。
"She Said She Said" を何回も、モノ・ステレオ,交互に聴いて比べたのだが、モノの方が音がぼやけている。一方、ステレオは三拍子になる辺りの高音オルガンの音まで、手に取るように聞こえるのだ。
また、分かりやすいところでは "I'm Only Sleeping" に挿入される欠伸の声が、モノラルだと高音域しか判然としないが、ステレオだと低音域もちゃんと聞こえて、これまでに聴いたことのない音がした。
結局、今回2022年の再販では、"New Stereo Mix" が一番良いという結論になったので、私はこれからこれを基準にしようと思う。
それにしても、大きなポスター、でっかい箱、何枚もの新旧のディスクで、辺りが "Revolver" 過多の洪水状態である。今回のセッションズが入っていたスリーブのデザインが、どうやら当時ボツになったらしき円形のコラージュ写真なのだが、それと比べても、やはりクラウス・フォアマンによるアート・ワークは抜群だ。
5枚のCDの内容は以下の通り。
CD1: オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス
CD2 & 3: セッションズ
CD4: オリジナル・アルバム モノ・マスター
CD5: EP (Paper back writer と Rain, それぞれステレオ&モノ)
セッションズは全部で31トラックあって、なかなか聴き応えのある内容だった。ちょっと残念なのは、"And Your Bird Can Sing" の3トラックが、2枚に分かれたこと。どちらかに寄せ集めた方が良かっただろう。ともあれこの曲は超名曲で、セッションズのバージョンでは "If I Needed Someone" のような "Ah" というコーラスが入っていた。とても美しい。
"Got to Get You into My Life" や、"I Want to Tell You" などが、最初はけっこうストレートなロックだったのが、格好良かった。アルバム収録バージョンも良いが、セッションズ・バージョンも捨てがたい。
"Yellow Submarine" の、ジョンとポールの初期バージョンが聴けたのも嬉しい。ディランっぽいフォーク調だったのが、やがてリンゴが歌い、サウンド・エフェクトを加えて、あの賑やかな行進曲になって行く様がありありと分かる。
"Taxman" にジョンとポールの賑やかなコーラスが入っていたのも興味深いし、"Elenor Rigby" では弦楽のアーティキュレーションがかなり違っていたのも面白いかった。スラーで弾いていた和声をスタッカートにしたセンスは、さすがジョージ・マーティンとポールだ。
"She Said She Said" では、最初はあの変拍子が不完全だったことが分かる。これはリンゴと合わせていくことで、あのアルバム収録バージョンの、変拍子なのに歌詞に完璧にフィットしたリズムになったのだ。ジョージがディランのように「言葉」を語るリズムで自然に変拍子を作ったように思えるのとは、対照的だった。
さて、オリジナル・アルバムの "New Stereo Mix" と、"Mono Master" である。どちらの方が良いか?
そもそも、"Revolver" は発売された当初から モノ と ステレオ の両方が存在したが、最初の CD 化の時には Stereo が採用されたらしい。ただ、2009年のリマスター時には両方発売されたため、両方買うはめになったのだが ―― 私の耳だと、2009年のステレオは何となく失敗だったと思う。初期アルバムのステレオ化が顕著なのだが、音の層を無理に剥がして強力な接着剤で左右に貼り付けた感じがして、どうもバランスが悪かったのだ。そのような訳で、2009年のリマスターはモノでばかり聴いていた。
しかし、このたびのニュー・ステレオ・ミックスがひと味違う。変な言い方だが、とてもモノに近いサウンドで、左右への偏りがない。それでいて音楽の各層が丁寧に、微細に、洗浄されたように聞こえる。
"She Said She Said" を何回も、モノ・ステレオ,交互に聴いて比べたのだが、モノの方が音がぼやけている。一方、ステレオは三拍子になる辺りの高音オルガンの音まで、手に取るように聞こえるのだ。
また、分かりやすいところでは "I'm Only Sleeping" に挿入される欠伸の声が、モノラルだと高音域しか判然としないが、ステレオだと低音域もちゃんと聞こえて、これまでに聴いたことのない音がした。
結局、今回2022年の再販では、"New Stereo Mix" が一番良いという結論になったので、私はこれからこれを基準にしようと思う。
それにしても、大きなポスター、でっかい箱、何枚もの新旧のディスクで、辺りが "Revolver" 過多の洪水状態である。今回のセッションズが入っていたスリーブのデザインが、どうやら当時ボツになったらしき円形のコラージュ写真なのだが、それと比べても、やはりクラウス・フォアマンによるアート・ワークは抜群だ。
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