Ich bin Sebastian2022/08/23 20:12

 2022年7月28日、セバスチャン・ベッテルは今季限りでフォーミュラ・ワンから引退することを公式に発表した。
 これまで一切ソーシャルメディアに関わってこなかった彼が、初めてインスタグラムを開設し、その最初の投稿として英語とドイツ語で、自ら引退する旨、そのほかの思いを語った。

Instagram / Sebastian Vettel

 今シーズン、マシンは決して速くないが、彼個人としては善戦が続いていたし、チームとの関係も良好。来シーズン以降の契約継続を望まれていたので、この引退表明には驚いた。
 正直言ってとてもショックで、受け入れがたい、嘘だろうという気持ちがした。しかし、彼自身の口からはっきりとその意志、今思っていること、大事にしていきたいこと、F1 を愛していることを伝えられると、やがて彼の決意を受け入れられるようになった。
 万事は移ろいゆき、時代は変わる。最年少ワールド・チャンピオンの記録を持つセバスチャンも、引退の時が来ることはわかっていたのだ。それが今年というわけだ。

 思えば、セブというドライバーが好きすぎて、ドイツ語をかじり始めたくらいである。スポーツ観戦は好きだが、一人の選手にここまで入れ込んだのは彼だけではないだろうか。先日、ゲイ向けの雑誌の表紙を飾ったときは、本気で買いそうになった。



 今回のインスタグラムのコメントももちろん英語で聞いたし、ドイツ語も全て手書きで書き写して、ちまちま翻訳している。英語とほぼ同じ事を話しているが、所々表現が違ったりする。
 一番分かりやすいのは、もちろん "Wer bin ich? Ich bin Sebastian. Vater von drei kindern und Mann einen wundervollen Frau" だろう。自分が何者で、どんな物が好きで、どんな性格であるのか。F1 ドライバーとても、人間であり、チョコレートが好きだったり、好きな色は青だったりする。
 そして何度か出てくるのは、Zeit (時)という言葉である。何事にもその「時」がある。レースを愛する人々にとっての共通の時、自分が引退を表明する時、家族と過ごす時。人はそれぞれ、その時どきに必要な選択をしなければならない。それが人生なのだろう ―― 
 そういうセバスチャンの選択を支持したいし、今後の彼の人生が豊かで幸せなものであることを祈っている。

 考えてみれば、私はもはやセバスチャンの個人的なファンであって、F1 ドライバーではなくても良いのかも知れない。世界のどこかで ―― 多くはスイスの湖畔で、家族と幸せに過ごしてくれれば良いし、社会問題に対してメッセージを発したり、運動したって構わない。
 インスタグラムを開設したということは、F1 後のセバスチャンは、自分を発信していくつもりだということではないか?それはそれで楽しみが増えるというものだ。彼の引退レースを迎えるのはとても寂しいし、きっと号泣するだろうけど。リタイアしてマッサのように万雷の拍手で迎えられたり(翌年戻ってきたけど)、ライコネンのようにいつの間にか居なくなったりするかもしれないけど。それもきっと、たくさんのレースのなかの一つなのだ。

 それにしても ―― !セブの引退を惜しむ声ったらない!特に F1ドライバーからのコメントはいちいち報道されるので、本当にきりがない。
 思えば、ハミルトンなどはかなり寂しい思いだろう。同世代のライバルだったし、多数回チャンピオンとしての気持や、社会問題への発言をする勇気も分かってくれる、同士、理解者だったのだから。
 ドライバーズ・アソシエーション理事としての役割も大きかったようで、セブがはっきりと物を言ってくれるおかげで、ドライバーたちはかなり助かっていたようだ。それは会社組織などにいると良く分かる。説得力のある人が、ズバリと問題に切り込み、意見してくれるというのは、とてもありがたいのだ。現役ドライバーは引退しても、理事として残ってもらっては?なんて話も出るくらいだ。セブに対する信頼感はとても大きかったのだろう。
 ミック・シューマッハは公私ともにとてもセブと親しかったし、ガスリーも親身になってアドバイスをもらったり、「トロ・ロッソ優勝者の会」の会員にもしてもらった。ノリスに関しては去年、大雨のスパで、大クラッシュした彼の様子を、セブはわざわざマシンを止めて確認してくれたが、そのノリスだって子供の頃に撮影してもらった、セブとのツージョット写真が自慢だ。
 そう、去年のスパでのセブに関しては、日本の解説陣も「なんか優しさを見ちゃったな」「ベッテルは優しいですよ」とか言ってた。そういう「優しさ」が、実は「トップの」 F1 ドライバーではなくなった証拠なのかも知れない。それはきっと人間として良いことに違いない。

 しんみりばかりも、していられない。夏休みが終わり、レースが再開されるのだ。
 私が好きではないドライバーが最もチャンピオンに近く、フェラーリに期待するとがっかりする!罰金はセバスチャンが払いまくり(スクーターなんて乗り回して、わざと払っているような…)、アロンソは移籍が決まる、リカルドは危ないと噂される!
 今シーズンはまだ終わっていないのだ。

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