FIA Executive Summary Report2022/03/22 22:02

 F1 2021年シーズンは、去年12月13日(日本時間14日)に最終アブダビGPのチェッカーフラッグが振られてから、ずっと私のなかで時が止まってしまっていた。
 日本では圧倒的に、そして世界でも少数派であっただろう、ハミルトン・サポーターだった私は、間違いなく彼のものだったワールド・チャンピオンシップが、魔術にかかったかのようにほかの人の物になってしまった瞬間を、消化できなかった。
 悪夢を避けるように、あのときのことを考えないようにして、ニュース記事にもあまり触れないようにしていた。あまりにも恐ろしい現実に、それを見つめ直すのも辛かったのだ。
 だから、あのソーシャル・メディア好きなハミルトンが、ふっつりといなくなり、懲罰承知で表彰式を欠席したのも理解できた。受け入れがたい悲劇から、距離を取ることが可能であれば、誰にでもその権利はある。もしそれが、7回のワールド・チャンピオンであってもだ。

 心が片付かないまま、今年の F1 開幕を迎えた。
 最初に見たのが、バーレーンの予選セッション。そのテレビ放映の冒頭で、FIA が去年の最終戦アブダビGPに関する調査結果を発表したことを知った。曰く、「セイフティ・カーと、再スタート、周回遅れの車の扱いにおいて、レギュレーションに曖昧な点があった」とし、「レースディレクターは誠意を持って、自らの知識の及ぶ限り行動した」とのこと。
 さっそく、原文を見に行った。

FIA Executive Summary Report / Executive summary of the analysis and clarification exercise conducted by the FIA following the 2021 Abu Dhabi Grand Prix

 じっくり読んで分かったのは、レース・ディレクター(マイケル・マシ)が強いプレッシャーを受けて、難しい状況に置かれたということだ。特にメルセデスとレッドブル、双方からの無線通信がさらに彼の状況を困難な物にした ―― としている。この「チームからの口出し」が悪影響をもたらしたことは、何度か強調されている。
 さらに、前任のチャーリー・ホワイティングは、長年にわたって複数のタスクをこなしており、その経験豊かなホワイティングの急逝によって急遽就任したのがマシであることも、考慮に入れるべきだとしているように読める。
 そのような状況の結果、レース・ディレクターは、ハミルトンと、フェルスタッペンの間を走っていた周回遅れの車だけをセイフティ・カーの前に出し、グリーンにするという、「ミス」を犯したのだった。

 人間はミスをする。

 私はやっと、自分を説得することが出来たような気がする。人間は完璧ではない。そういう運命の結果として、チャンピオンシップは、ハミルトンのものにはならなかった。それが2021年の F1 だった。

 いまでも、世界にはいろいろな理不尽が起る。何の罪もない人々が、おなじく人がもたらした戦禍に苦しめられる。
 次元は異なっても、いつもどこかで、おかしな事が起きる。故意なり、誠実なミスなり。大なり、小なり。そういう諸々の中に、F1チャンピオンシップも存在したのだ。

 なんと言っても、新シーズンは始まっているのだ。しかも私の贔屓は揃いも揃って低調ときている。マクラーレンとアストン・マーチンの遅さには頭が痛い。その上セバスチャンがCOVID-19 陽性って…!私にどうしろと?
 耐えろ,耐えろ、苦しい時は必ずあるものだ…!望んだ物が手に入るとは限らない!

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