King of Broken Hearts2021/11/19 19:56

 仕事中、音楽を聞くことが出来るのは、WFH (work from home, いわゆるテレワーク,リモートワーク)がもたらす、たくさんの利点の一つだ。おかげで、持っている CD をアルファベット順に聞くことができる。そうして、売り飛ばされる「戦力外通告」の CD もけっこうな数に上っている。

 R のアーチストになって、リンゴのアルバムを机上に出したら、びっくり。なんと一度も聞いていないアルバムがあった。
 それが1998年の [Vertical Man] ―― 道理で!道理でトムさんも参加している、"Drift Away" に聞き覚えがないはずだ!(2021年10月11日の記事参照
 これは完全なる私のミス。一体いつ購入したのかもまったく分からないが、とにかく携帯音楽プレーヤーに落とし込むのを完全に忘れたのだ。そのせいで、まったく聞かないまま、今日を迎えたというわけ。
 考えてみれば、購入していないはずがない。トムさんも、ジョージも参加しているのだから、持っていて当たり前じゃないか。

 "Drift Away" も素晴らしいが、やっぱりぐっと心を掴まれるのは、"King of Broken Hearts" だ。ジョージがスライド・ギターを担当している。
 1998年と言ったら、ジョージの生涯ではほんとうに最後の方の演奏になる。Beatles Anthology で昔を懐かしんで、間もなく最初の癌になり、自分の生涯の終わり方について深く考えていた時期かも知れない。
 大好きなリンゴの、優しくて心和む曲のために、慈しむようにスライド・ギターを奏でるジョージの、その指の動きさえも伝わってくるような音色だ。
 リンゴのアルバムを聴いて実感するのも変な話だが、本当にジョージは亡くなるのが早すぎた。でも、その分濃密なものを残してくれた。それをジョージに感謝したいと思う。
 そうか、もうじきジョージが亡くなって二十年が経つのか…