Somethin' Else2021/11/04 22:02

 引き続き、所有する CD をアルファベット順に聴いて、処分するするものがないかチェックしている。
 先日から、レッド・ゼッペリンが始まった。
 始まる前は、少し心配だった。私はそれほどゼッペリンの熱心なファンというわけではない。音大時代ロック師匠が、「レッド・ツェッペリンは、一枚目のアルバムから順々に聴いていき、もういいかなと思ったところで、立ち止まればいい」と教えた。私はその教えに従い、五枚目までで、アルバムの購入は止まっている。
 例外的に、BBC ライブの2枚組 CD も持っていたので聴いていたら、おなじみの、懐かしい曲が流れたので、ちょっと面白かった。
 "Somethin' Else" ―― 1969年の BBC セッションだそうだ。



 私はこの曲を、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのカバーでよく知っている。
 オリジナルは、早世した伝説のロックンローラー,エディ・コクラン。発表されたのが1959年7月というのだから、当時20歳だったわけだ。ずば抜けて格好良い。



 素晴らしきオリジナルを聴いても、私にとっての一番はやはりTP&HBである。
 1980年ロンドン,オデオンでのパフォーマンスが、[Damn the Torpedoes] のデラックス・エディションに収録されている。
 "Woo!" と軽やかに歌うトムさんのヴォーカルが最高だし、バランスが良く、出しゃばらないマイクのギターも、この曲を完全に理解している。
 ゼッペリンを聴いてそう思うのも失礼な話だが、やっぱりTP&HBは最高だなぁと再認識するに至る。

フィギュアシーズン開幕2021/11/08 23:17

 野球と F1 が終盤なので、今度はフィギュアスケートが始まる。
 グランプリ・シリーズも始まり、トップ選手の曲も出そろい始めた。

 去年もそうだったのだが、「シンドラーのリスト」がけっこう人気曲。うーん、まぁ良い曲だけど…フィギュアの曲としては、それほど好きではないかなぁ。編曲はブラウンの方が良いと思う。コリヤダの編曲はちょっと大袈裟でダサい。ただ、スケーターとしてのコリヤダは好きだ。フィギュア界のライコネン。頑張れ。



 イタリア大会で鮮烈な印象を残したイタリアのダニエル・グラスル。久々にヨーロッパ勢の男子で期待が持てそうな彼、フリーの曲が後半エアロスミスの "I Don't Want to Miss a Thing" になって吹いた。おいおいおい、そういう展開なのか?!感動すればいいのか、呆れるべきなのか迷う。
 なんか恥ずかしいので動画は割愛。まぁ、良い曲だとは思うんだけどね…

 宇野とボーヤンは、ボレロが被った。まぁ、両方とも編曲が独特だからいいけど、順番としては並びたくないな。
 一番驚いたのは、ネイサンがショートの後半に、あの四年前の悪夢となった "Nemesis" をつなげたところだ。曲は最高だし、ショート・プログラムとしても最高だったが、ただオリンピックでの失敗は痛すぎた。
 しかも振り付けも同じ物をもってきている。そういうのは…どうなんだろう。私はあまり良い判断だとは思わないけどなぁ。ネイサンなら、過去とは関係なく、常に新しい物に挑戦して、トップをがっちり掴む実力がある。なんと言っても、今シーズンも本命は彼だ。

 オリンピックに日本から誰を派遣するかという問題なのだが、女子は坂本,三原を推す私。まず坂本が今一番好きな女子選手だし。選手村同室にして、前回の長洲&リッポンばりの友情パワーを炸裂させてほしい。
 男子は…うーん、私は宇野が好きだからな…鍵山は固いかな…田中は無理かな。でも、田中って好きなのだ。日本人では珍しいマッチョなタイプで、ジャンプさえ決まれば、すごく精悍で格好良い。
 日本は一組しか出られないアイス・ダンス。これまた悩む。何せ、去年は「本当にやるんだ」という感じだった、村元・高橋組のリズムダンス、ソーラン節が予想外に良かったので、小松原組が安泰とも言い切れないのでは…?!
 いずれにしても、全日本選手権が楽しみだ。

Tom Petty: Somewhere You Feel Free - The Making of Wildflowers2021/11/14 23:04

 「2020年初頭、トム・ペティ・アーカイブから、16ミリ・フィルムのコレクションが発見された。これは1993年から1995年にかけて、ペティの長年のフィルモグラファーを務めたマーティン・アトキンズによるもので、ペティの [Wildflowers] アルバムをレコーディングと、それに続くツアーをとらえている。その多くが初公開である。」

 これは、このたび公開された音楽ドキュメンタリー映画[Tom Petty: Somewhere You Feel Free - The Making of Wildflowers] の冒頭に出てくる字幕の内容である。
 映画はこの16ミリフィルムを中心に、そのほかの既存の映像や、新しく撮影したリック・ルービン,マイク・キャンベル,ベンモント・テンチ,スティーヴ・フェローニなどのコメントを追加し、編集した物だ。
 トム・ペティのファンはぜひとも、YouTubeで鑑賞して欲しい。英語の字幕もあるが、音楽と映像を楽しむだけでも良いだろう。



 印象的だったことが、いくつかある。
 まずトムさんがとんでもないチェーン・スモーカーだったこと!時代もあるが、あれは吸い過ぎでしょう?!まじで、ピアノがある場所でタバコとか、あり得ないんですけど?!あなたたちの大事なギターにも悪影響だと思うなぁ。しかもベンモントも吸ってるし。調律師さんに超怒られるよ。
 でも困るのが、そんな嫌煙家の私でも、トムさんたちがタバコを吸う姿が、妙に格好良いってこと。あれはなんなんだろう?ちょっとした「隙」みたいなものかなぁ。

 いままでも断片的に見たことがある、トムさんと、ベンモントによる "Wildflowers" の演奏シーン。とにかくベンモントのピアノが美しくて、この人は本当に天才だなぁと思うのだが、今回印象的だったのは、ピアノがボールドウィンだったこと。
 ベンモントのピアノというと、ヤマハか、スタインウェイだが、このアルバムのスタジオにあったのは、ボールドウィンだったのだ。

 リック・ルービンがハウイをベーシストとして用いたがらなかった話も、興味深かった。スタンはいない、マイクとベンモントはトムさんのレイドバック・モードに完全にシフトしている。しかし、ハウイのベースはハートブレイカーズそのもの過ぎたのだろう。その話になったとき、マイクが無言で春日みたいに胸を張って「おれおれ」サインをしているのが可笑しかった。
 そうは言っても、トムさんはハウイの声だけは絶対に外せなかった。

 そして、若きスティーヴ・フェローニ!トムさんやマイクよりも実際には年上だが、茶目っぽくて少年の輝きがあって、うわぁ、若いって感じだった。何人ものドラマーが来ては、トムさんにダメだしをされたけど、スティーヴが叩いたら、トムさんとマイクが顔を見合わせて、「こいつだ!」――と、なる。
 もっとも、最初に「良いドラマーがいる」と言ってスティーヴを持ち出したのはマイクである。どうせなら、そうなる経緯である、ジョージの話もしてくれれば良かったのに。ジョージ・ファン的な贅沢である。

 ジョージと言えば!一番の収穫は、ウクレレを弾くトムさんの映像である。トムさん、ウクレレ好きを公言している割に、その写真、映像はいままでほとんどなかったと思うのだが、今回は "I Won't Back Down" をウクレレで面白おかしく歌って、ジョージ・ドゥラコウリアスが馬鹿ウケ(泣くほど)していた。

 ちょっと謎だったのが、マイクが「リックと、俺と、トムがプロデューサーで、ベンは…貢献者 contributor で…」と言ったら、ベンモントが "Layabout" と言ったところ。マイクもそれを受けて、「そう Layabout で…」と何でも無かったように話を進めたので、思わず、そして唯一このときだけ、動画を停止して辞書を引いた。
 layabout:名詞≪略式≫ 怠け者,不精者;浮浪者
 これはどう解釈するべきか?ベンモントは自虐的に「プロデューサーという重責はなく、気楽にそこらで楽しんでいる人」という意味で言ったのか?マイクの言う "contributor" とはちょっと離れた言葉だと思うのだが…ううむ、外国の、そしてロックンローラーの言語は難しい。

 ちょっと物足りなかったのは、マイケル・ケイマンについてはあまり突っ込まなかったところ。まぁ、当人が故人なので仕方がないが… [Wildflowers] というアルバムのサウンドを特徴付けるオーケストレーションをした人なので、とても重要だと思う。

 嬉しかったのは、[Wildflowers] のサポートツアー (Dogs with wings だっけ?)の映像もけっこう多かったところ。私はこの時期のトムさんを、「フワフワシャツ時代」と呼ぶことにした。
 このライブ映像、まとめてリリースしてくれないだろうか?[Wildflowers] 以外の曲もあれこれ演奏しているはずだから、すごく見たい。

 映画鑑賞の一回目としては、ちょっと英語字幕を追いすぎたので、もう一度、字幕無しで見る機会を設けたいと思う。

King of Broken Hearts2021/11/19 19:56

 仕事中、音楽を聞くことが出来るのは、WFH (work from home, いわゆるテレワーク,リモートワーク)がもたらす、たくさんの利点の一つだ。おかげで、持っている CD をアルファベット順に聞くことができる。そうして、売り飛ばされる「戦力外通告」の CD もけっこうな数に上っている。

 R のアーチストになって、リンゴのアルバムを机上に出したら、びっくり。なんと一度も聞いていないアルバムがあった。
 それが1998年の [Vertical Man] ―― 道理で!道理でトムさんも参加している、"Drift Away" に聞き覚えがないはずだ!(2021年10月11日の記事参照
 これは完全なる私のミス。一体いつ購入したのかもまったく分からないが、とにかく携帯音楽プレーヤーに落とし込むのを完全に忘れたのだ。そのせいで、まったく聞かないまま、今日を迎えたというわけ。
 考えてみれば、購入していないはずがない。トムさんも、ジョージも参加しているのだから、持っていて当たり前じゃないか。

 "Drift Away" も素晴らしいが、やっぱりぐっと心を掴まれるのは、"King of Broken Hearts" だ。ジョージがスライド・ギターを担当している。
 1998年と言ったら、ジョージの生涯ではほんとうに最後の方の演奏になる。Beatles Anthology で昔を懐かしんで、間もなく最初の癌になり、自分の生涯の終わり方について深く考えていた時期かも知れない。
 大好きなリンゴの、優しくて心和む曲のために、慈しむようにスライド・ギターを奏でるジョージの、その指の動きさえも伝わってくるような音色だ。
 リンゴのアルバムを聴いて実感するのも変な話だが、本当にジョージは亡くなるのが早すぎた。でも、その分濃密なものを残してくれた。それをジョージに感謝したいと思う。
 そうか、もうじきジョージが亡くなって二十年が経つのか…

Autoharp2021/11/23 20:11

 ラヴィン・スプーンフルの代表曲といえば、"Do You Believe in Magic?" だが、1965年の映像があった。この時期の特徴として、お嬢さんがたが騒々しい。



 出だしでドラムスがミスるのがご愛敬。ディランのアンプラグドでもそういうシーンがあった。ポップスでは笑えるので良いが、クラシックだったら、全員真っ青である。
 ラヴィン・スプーンフルは特に好きなバンドというわけではないが、この曲は名曲だ。ちなみに、エリック・クラプトンが初めてジョージに会ったのはラヴィン・スプーンフルのライブの楽屋だったというエピソードがある。

 目立つのは、ジョン・セバスチャンが抱えている楽器である。(どうでも良いが、日本語で「ジョン・セバスチャン」を検索したら、真っ先にセバスチャン・ベッテルが上がってきて、しばらくその記事を読みふけった。)
 オートハープ Autoharp というそうだ。ハープとは言うが、実際にはチターを縦に抱えたような楽器だ。特定のダンパー(音止め)を抑えることで、コードを奏でる仕掛けになっている。
 ウィキペディアによれば、フォークやカントリーのバンドで使用されたとのことで、カーター・ファミリーの動画でもオートハープの演奏シーンがあった。ただ、大して面白くはない。

 コードを弾く分には豊かな響きがして良いのだが、メロディ楽器としてはちょっと向いていない。そういう意味で私にも向いていない。私はウクレレ弾きだが、コードとメロディを同時に演奏しようとして、先生が笑いながら悲鳴を上げている。それから、私の体格だと、この楽器を抱えるのも難しいだろう。

 動画を見ていると、アイリッシュ・バンドのメンバーがオートハープを用いてソロを演じている物があった。動画のタイトルにはないが、曲目は有名な "Kesh Gig"。これくらい出来たらいいなと思う。

Stephen Foster2021/11/28 20:01

 ティン・ホイッスルのレッスンも、再開している。1年以上レッスンから離れていると、呼吸と指がついていかない。音楽は日々の鍛錬が必要だ。

 ちらっと初心者教室とご一緒したら、もうすぐクリスマスだから、ケンタッキーの曲をやろうと言う話になった。
 そもそも、クリスマスで、アメリカのケンタッキー州という連想は、某ファストフード会社に完全に洗脳されている気がするが…(そもそも、アメリカではクリスマスでチキンって食べるのか?感謝祭の七面鳥と混同していないだろうか…)
 更にそもそもの話で、アイルランドの音楽であるティン・ホイッスルでどうして、スティーヴン・フォスター (1826 - 1864) の曲なのか?しかし、先生にはそれなりの根拠があった。フォスターはアイルランド系移民の子孫だそうだ。その音楽の根底には、先祖の国の音楽があるというわけ。

 

 たしかにアイルランド風の ―― 日本人も懐かしさを感じる音楽だ。
 フォスターはクラシック音楽の脈絡で語られることもあるが、一般的にはポップミュージックの人と認識されているだろう。私は「金髪のジェニー」で歌われている女性と結婚し、困窮し、早く死んだということしか知らない。

 フォスターには様々な有名曲があるが(死後に評価された)、ロックファンとしては、"Oh! Sussana" は外せないだろう。ジェイムズ・テイラーのバージョンもあるが、ここはザ・バーズで。どこかゆるっとして、ネジが抜けている感じに愛嬌を感じる。