Springtime in New York2021/10/07 19:29

 愛用の CD プレイヤー,Bose の Wave Music System が今年三回目の故障を起こし、入院せざるを得なかった。
   このブログを始めた頃に買ったモデルだから、もしかしたら年数的に限界なのかも知れない。いや、これは Bose だ。安くもなかった。大事に使えば一生物だと思いたい。そもそも、最新のモデルはデザイン的に気に入らない。最近流行りの Bluethoos スピーカーにも興味がない。どうして、在宅勤務中に圧縮ファイルを無線で飛ばすみたいな音質で我慢できようか。
 ともあれ、退院してきたプレイヤーで、やっとボブ・ディランのブートレグシリーズ16,1980-1985 [Springtime in New York] を聴くことができた。



 いわゆる「ゴスペル三部作」の後、[Shot of Love], [Infidels], [Empire Burlesque] の時代の、アウトテイクや、リハーサル集である。一応、未発表曲もあるが、数は少ない。
 何となくこの1980年から1985年にかけてのアルバムの別テイクを並べただけど、ブートレグシリーズにしてはちょっと物足りない内容かも知れない。
 しかし、不思議なことにちょっとしたエアポケットのように思われている、ディランのこの頃も私は大好きなのだ。もっとも、私が余り好きではないディランなんて、「フランク・シナトラ&懐メロカバー時代」だけなのだが。
 マーク・ノップラーを迎えて、ポップで温かいロック・バンド・サウンドが心地よい。ノップラーは自身の活動もあって、徹底的に付き合ってはくれなかったようだし、商業的には大成功とは言えない時期だった。でも、商業的な成功と、ミュージシャンの充実具合は、ちょっと違ったりすることが度々ある。ジョージの [Gone Troppo] などその好例だろう。
 ポップ・ミュージックなので商業的な面を無視することはできないが、ボブ・ディランほどの人なら、こういう時期があっても、少し肩の力を抜いて楽しげなロック・バンドサウンドでディラン節を聴かせてくれれば、それだけで心が安まる。



 思うに、この頃から既に、ディランにとってのウィルベリーズへの道しるべが出来ていたのかも知れない。ただ、パートナーをどうするかで多少寄り道をしたが、結局トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとの幸せなタッグが成功し、あのウィルベリーズへの実りに繋がっていく。
 結局、商業的な成功とか、評論家がどうこう言うとか、そういうことは彼の音楽の良さとはあまり関係ないのだろう。ディランが、ディランらしく、彼自身の曲を歌ってさえいれば、私はそれで幸せだ。