CRT ジョージ・ハリスンまつり・特別編2021/03/01 20:57

 毎年恒例の、レココレ・プレゼンツ,CRT ジョージ・ハリスンまつりである。
 こんなご時世なので、キャストたちのトークが、インターネットで生配信された。もちろん申し込んで、生で楽しんだ。

 いつもの、本秀康さんのジョージ愛語りなのだが、音楽は大人の事情があってかけることができないとのこと。CRTと言えば、会場のみんなでジョージの名曲を聴いて、感動を分け合うことがその醍醐味だと思う。それができないのは、ちょっと残念。
 しかし、その分、ひたすらジョージ愛を「語るだけ」という、マニアック過ぎるカオスへと突入していて、これぞ CRT ジョージまつりと言う観もあった。

 そもそも、ジョージの何かは出るのか?!…という辺りから話が始まったが、なぜか本さんの「ビートルズってどうして凄いかわかります?」という力説になり、これが面白かった。
 曰く、「バンドのソングライターの三番手が、ソロになって大ヒットするんですよ?すごくありません?!」
 それは確かにそうだ。バンドの三番手が、ソロデビューできるだけでも、凄まじいことだ。ついでに言えば、全員ソロでちゃんとキャリアを積んでいる。

 さて、今年は [All Things Must Pass] の新しい「箱」が出るはずである。
 既に、"All Things Must Pass" が発表されている。



 これは、パソコンのスピーカーで聴いてはいけない。ヘッドホンを使うのがベスト。本当に素晴らしい。
 アコースティック・ギター一つ一つが粒まで聞こえるし、ストリングスも澄んだ音色だ。ジョージの声の重なりが輝いて引き立っているし、ベースの動きが複雑で格好良い。
 本さん曰く、アルバム全体を、この路線でやってくれるなら、最高。
 しかし、フィル・スペクターを全否定である。彼が亡くなったこのタイミングで、それは許されるのか?!

 許されると思う!
 ぜーんぶ!きれーいに!クリーンに!してください!!

 ちなみに、映画 [Get Back] は話題にならなかった。完全に忘れていたらしい。もしくは、ジョージ・ファンとしては、それほど楽しみでもない…というところかな。

ギターの選択2021/03/05 19:45

 私はアルコールを飲まないので、アルコールの CM というものにはあまり興味が無いのだが、これはちょっと、おおっ?! ―― と思った。



 なんだ、このギターは?!
 なんでも、特注の一本物だそうだ。実際の音は、まともなギターとアンプを使ってるのだろう。
 ちゃんと、ギターの弾きマネ演技指導者さんもいる。撮影中の、ギターの扱いも担当していた様子。派手な見た目で、珍しい緑のリッケンバッカー(615?)を持っているから、プロのミュージシャンなのだろう。

 先日の記事で紹介したデイヴィッド・ボウイの "Starman" でこそ、このギターは使われるべきだった。
 そもそも、別の星からやってきた、あの見た目の宇宙人が、エグモンドの12弦アコースティックなんて、シブい物を弾いているというのは、違和感があったのだ。せめて、フライングV か、レスポールのゴールド、真っ赤なストラト辺りではないだろうか。

 エレクトリック・ギターいうものには、音だけではなく、見た目の「ロマン」も重要。ここぞと言うときに、イケてるギターを、誇らしく見せつけることも、ロックンローラーには必要だ。
 この1980年の "American Girl" で、トムさんが弾いているリッケンバッカー362なんて、どう見ても弾きにくそうだし、重すぎるだろう。でもたぶん、トムさんは入手したばかりで、嬉しくてたまらず、見せびらかしたかったに違いない。軽やかにテレキャスをひいているマイクと対照的で、ちょっと笑える。

1970 with Special Guest George Harrison がやってきた、ヤァ!ヤァ!ヤァ!2021/03/09 21:00

 お待ちかねの、ボブ・ディランの [1970 with Special Guest George Harrison] が届いた。仕事の間中、ずっと聴いている。



 1970年3月から8月までの、[Self Portrait] や、[New Morning] などのアルバムにつながるセッションで、5月1日にはジョージがセッションに参加している。
 今回の公式発売における、最大の目玉は、「ジョージが参加している!」という一点だったのだが…これが、笑えるくらい、ジョージの存在が薄い。特徴的なギターを前面で弾いているわけでもないし、ディランとがんがん絡んで歌いまくっているわけでもない。
 ちょっとはにかみながら、遠慮がちに、でもディランと一緒に過ごせる幸せをかみしめる、26歳のジョージの密やかな存在感を堪能するのが、このアルバムではないだろうか。
 そう、ジョージ・ファンは謙虚なので、ジョージがいる空気さえ記録されていれば、それで良いのである!

 もう一つ強く思ったのは、このアルバムのタイトルは [If Not For You] にするべきだったということ。
 それくらい、何度も何度も演奏して、練りに練って、つかみ取ろうとするディランがいる。この時期のディランにとって、"If Not For You" が、いかに重要な曲だったのかが、よく分かる。
 ディスク3になって、タンバリンがじゃらじゃら鳴るゴスペル風になったのは、さすがに可笑しかった。

 "If Not For You" は、ジョージの方がモノにした感じで、[All Things Must Passs] の収録バージョンはとても良い。
 それから、やはり [Concert for Bangla Desh] 。じいっと見つめう二人の、幸せな瞬間。1970年5月、こういう空気が流れていたんだな。

Can't Help Falling in Love / Piacer d'amor2021/03/13 19:34

 [1970 with Special guest George Harrison] で初めて、ディランによる "Can't Help Falling in Love" を聴いた。[DYLAN] を持っていないのだ。
 調子っぱずれなのに、変に説得力のある、ディランの力業が堪能出来て、面白いし、楽しい。こういうディランもけっこう好き。
 もっとも、こういう昔の曲のカバーは、彼の自作の曲をたくさん聴かせてくれる合間に、ちょっとだけ入るから良いのであって、懐メロのオンパレードをディランで聴きたいわけではない。

 しかし、ディランのバージョンばかり聴いていたら、この曲の本来の良さを見失うので、ちゃんとエルヴィスのバージョンも聞かなければ。
 そう思って聴いたら、あまりのエルヴィスの上手さに、鳥肌が立った。やっぱりエルヴィスは凄い。



 この "Can't Help Falling In Love" には、元ネタになった曲がある。
 18世紀から19世紀にかけて活躍した、フランスの作曲家,ジャン・ポール・マルティーニの作品で、原題は "Plaisir d'amour" ―― 「愛の喜びは」だが、内容としては「愛の喜びは長続きしない」というような切ないものだ。
 この曲、イタリア語版の "Piacer d'amor" も非常に有名。音楽高校,大学で声楽をやった者なら、必ず歌った、「イタリア歌曲集」に入っている。
 私も音高時代に歌っており、譜面には発音に関するメモが残っている。
 私の声楽の成績は惨憺たるものだったが、音高生一般の感覚として、「イタリア歌曲集」というのは、クラシック音楽を勉強している中で、大人の領域に一歩踏み出した感じがして、すごく好きだったと思う。発声のコンコーネ,音程のコールユーブンゲンに対して、このイタリア語の歌詞で情感豊かに歌い上げる「イタリア歌曲集」は、やりがいがあったともに、格好良かった。

 動画を検索すると、フランス語版も多いし、男声も多かった。
 その中で、こちらは女声だし、調も Es-Dur (中声用)、ピアノ伴奏なので、私や音高の仲間たちが歌っていたバージョンである。
 ボブ・ディランとはかけ離れた世界だが、これを聴いてからまたディランを聴くのも、味わいがあって良いだろう。

St. Patrick's Day2021/03/17 20:37

 セント・パトリックス・デイである。
 例年なら、聖パトリックが何者かも知らない人も含めて、飲めや歌えや踊れや練り歩けやの、世界各地での大騒ぎなのだが、さすがに今年はそうも行くまい。
 私自身、このパンデミック下で、感染リスク減少のために犠牲にしているのが、アイルランド音楽のティン・ホイッスルである。最近すっかりご無沙汰で、腕もなまっている。
 セント・パトリックス・デイを期に、アイリッシュ・ミュージックを聴いて、やる気を掘り起こさねば。

 まずは、ヒストリー・チャンネルによる、「3分でわかる聖パトリック」から。
 アイルランドにキリスト教を広めたパトリックは、今やアイルランドの守護聖人だが、実のところアイルランド人ではないとか、アイルランドにヘビが居ないのは彼の力ではなく寒いからだとか、華やかな祝祭日になったのは、アメリカからとか、豆知識がいっぱい。



 では、音楽。
 やはり、ザ・ボシー・バンドが最高。とてつもなく凄い演奏なのに、涼しい顔をしているところが格好良い。



 そして、ケネディズ・キッチン。このバンドは、ホイッスルが上手い人を堪能できるので好きだ。
 この演奏では、途中で曲が "Rip the Calico" になったとたんに、どっと盛り上がって駆け込む感じが最高。



 こういう名演奏を見ると、自分もホイッスルを吹きたくなる。まずはセッション・チューンズ(曲集)の頭から順番に吹いていくことにしよう。

 番外編だが、リバーダンスも貼り付ける。
 ショー要素が強すぎるが、リバーダンスがアイルランド文化人気を爆発させたことは間違いなく、大きな功績がある。

Mama, You Been on My Mind2021/03/21 19:42

 [1970 with Special Guest George Harrison] を無限に聴いていると、だんだん「ジョージ耳」が研ぎ澄まされてきて、彼の声やギターが浮き上がって聞こえてくるようになる。
 "Mama, You Been on My Mind" では、かすかにジョージが歌っていると思う。ジョージが意図的にディランに寄せた歌い方をしているので、ディランとの見分けが付かなくなる「ウィルベリー現象」が起きているが、たしかにジョージが歌っている。さらに、カントリー風のギターソロもジョージだろう。

 "Mama, You Been on My Mind" は、ディランの正式スタジオ録音アルバムには収録されていないが、ブートレッグシリーズを揃えていると、すっかりおなじみの楽曲だ。
 録音年代として一番古いのは、[The Witmark Demos 1962 - 1964] だろう。ここではピアノを弾いている。
 次は、[Concert at Philharmonic Hall 1964] で、ジョーン・バエズとデュエットしている。私が一番好きなライブバージョンがこれ。アコースティックをベースに、両手を取り合うようにぴったりと歌う様が、切れがあって最高。途中で歌詞を忘れて「アー」とか、「そっちからでしょ」とか、「忘れた」とか言っているのも含めて、一番の演奏だ。
 それから、[Rolling Thunder Revue] でもバエズとデュエットしている。
 後年 ―― 90年代にも演奏された。こちらは1992年だそうだ。
 やはり、アコギにハーモニカのディラン、これが見たい。



 しかし、私にとってもっとも印象的な "Mama, You Been on My Mind" は、ディラン自身の演奏ではない。ほかでもない、ジョージが一人で録音したバージョンだ。
 これは、映画 [Living in the Material World] のDVDボックスの特典CDに収録されていた。



 ジョージの曲と、作者を愛おしむような丁寧な歌い方と、滑るように、それでいてねっとりとした質感のギターソロ。素晴らしく素敵だ。

You Saw Me Comin'2021/03/25 22:42

 恐ろしく忙しい上に、あらゆることが上手くいかず、ストレスがたまっている。家で仕事が出来るのは救いだが、それでもつらいものはつらい。
 しかも、CDプレイヤーが壊れた。これは大問題だ。
 BOSE の Wave Music System を購入したのは、10年以上前だと思う。最近もいちど修理に出したのだが、どうも調子が悪く、またCDが聞けなくなった。
 iPod で音楽を聴くこともできるが、仕事中はちょっと不便で、ヘッドフォンは避けたい。そこで、パソコンで CD を聴くことを試みた。一応、ちょっと良いスピーカーを搭載しているという自覚はある。
 だが、やはり BOSE のスピーカーと比べるのは無理だった。パソコンだと低音がまったく聞こえていない。一曲も耐えられなかった。
 やはり、週末に時間を作って、BOSE を直す方向に行かなければ。

 パソコンだって、良いところはある。大きな画面で、動画が見られる。
 先日公開された、"You Saw Me Comin'" ―― ただの風景動画なのだが、見入ってしまう。独特の浮遊感が気持ち良い。80年代風の、ポップでカラフルなハートブレイカーズも大好きだ。



 途中で、富士山が登場したと思ったのは私だけだろうか。人の常として、富士山が見えると ―― ちらっと山頂が見えただけでも、気分があがるのは、どうしてだろう。

Tom Petty SJ-200 Wildflower2021/03/29 21:41

 ギブスンが、トム・ペティのシグネチャー・モデルのアコースティック・ギターを発売した。名付けて、Tom Petty SJ-200 Wildflower ――
 ジョージ・ドゥラコウリアス曰く、ある日自宅でテープを回したトムさんが、これを弾いて "Wildflowers" を作ったのだという。



 このSJ、あまりトムさんが弾いているのを見たことがない。
 トムさんのギブスン・SJ と言えば、ピックガードにお花が描いてあるものの方が、見慣れている。



 "Wildflowers" をつくった方の、今回のシグネチャー・モデルは、ピックガードがクワガタみたいな形をしているところが特徴だろうか。
 象眼もきれいだし、とても美しい。ちょっと欲しいけど…たぶん、私には抱えることすら出来ないほど、大きいのだろう。スーパージャンボだからね。