Phil Spector2021/01/31 20:47

 1月16日に、フィル・スペクターが死去したわけだが、記事を書き損ねていた。何せ彼の音楽は偉大ではあるが、私の好みとは、少し合わないのだ。
 そうしたら昨日、ピーター・バラカンさんの「ウィークエンドサンシャイン」で、フィル・スペクターの特集をしてくれた。これは、彼をお手軽に知る良い機会である。

 言うまでも無く、スペクターは、大量の楽器を鳴らして多重録音を駆使し、分厚い Wall of Sound 「サウンドの壁」を作りあげた、名プロデューサーである。数々のヒット曲を残し、後のミュージシャンたちにも多大な影響を与えた。
 「ウィークエンドサンシャイン」では、様々なスペクター・プロデュース楽曲が紹介された。中でも印象的だったのは、ザ・クリスタルズの "Then He Kissed Me" ―― キャッチーでノリが良い。演奏が始まると同時に、わぁっと盛り上がる感じは、よく分かる。名曲。



 1960年代前半を中心にスペクターは名作を残したが、ビートルズの [Let It Be] をアルバムとして仕上げた事に関しては、賛否両論。
 私個人としても、両論。ただ、"Let It Be" に関しては、スペクターがプロデュースしたアルバム・バージョンの方が好きだ。何せジョージのギターが前面に押し出されていて、格好良い。



 ビートルズ後、ジョンとジョージのソロ・ワークにスペクターが関わるところも、番組では言及される。ジョンが二曲紹介されてて、ジョージが一曲だけか ―― うーん。苦笑せざるを得ない。
 しかし、[All Things Must Pass] と、[Living in the Material World] での、スペクターの働きは微妙らしい。そもそもプロデューサーとして使い物にならなかったり、雲隠れしたり、ジョージも大変な思いをした。
 ジョージは亡くなる前、[ATMP] をリマスターして、過剰なエコーを取り除いた。スペクターに多くを学び、彼をプロデューサーに迎えた当時を、どんな風に回顧していたのだろうか。