Confessions of a Vintage Guitar Dealer - The memoirs of Norman Harris2021/01/19 22:13

 「ビンテージ・ギターをビジネスにした男 ノーマン・ハリス自伝」を読んだ。
 ノーマン・ハリスは、1949年生まれのアメリカ人。ロック・ミュージシャンとしてキャリアをスタートしたが、同時にギターを中心とした中古楽器のディーラーを始めた。やがてディーラー業に専念し、LA に Norman's Rare Guitars を開いた。
 彼のショップは、音楽ファンの間では有名で、観光名所にもなっている。私のように、ビンテージ・ギターに疎い人間でも、その存在は知っている。

 自伝は、ミュージシャンを始めて、怪しい(と、いうか違法な)稼業に手を出すあたりから始まり、そのころから中古ギターの仲介 - と同時にコレクションを開始する。その評判が広まり、有名なミュージシャンも彼の顧客になっていく。
 数々の名器、名ミュージシャンとの出会いと、エピソードがつづられ、ロックの世界を彩ってゆく。なかなか面白かった。

 そもそも、「ビンテージ・ギター」にあまり興味のない私が、この本を読むことになったのは、ジョージのエピソードがあるからだ。
 まだ20代だったハリスは、ある日ジョージのギター探しのために、指名を受ける。ジョージなんて大物と仕事をするなんて、悪ふざけに付き合わされているのだ、偽物に違いないと思ったら、本物のジョージ登場。舞い上がるハリス!ざわつくご近所!
 ジョージが探していたのは、あの有名なギブソン・レス・ポール・スタンダード,チェリー・レッドの、通称「ルーシー」だ。エリック・クラプトンからのプレゼントで、ジョージはとても大切にしていたが、盗難に遭う。そのギターの所在が判明し、ジョージは買い戻そうとするが、その取引には、ルーシーと同等のレス・ポールが必要になる。そこでハリスの出番というわけだ。
 ジョージと楽しく過ごした思い出が残ると同時に、この出会いはトップ・ロックスターの間で、ハリスが信用できるディーラーであるという、評判を勝ち取った。その後、ロビー・ロバートソンや、ジョニ・ミッチェル、果てはボブ・ディランも彼の顧客となる。

 ディランのエピソードで面白かったのは、「リッチー・サンボラはいい奴だ」というエピソード。(ちなみに、私はサンボラの名前こそ聞いたことがあったが、どのバンドの人かは知らなかったので、今回初めて知った。)
 サンボラが、とびきりのギターを友人にプレゼントするにあたり、ディランのサインも添えるということを思いつく。ノーマンから買ったマーチン D-18 を携えてディランのサインをもらいに行くと、ディランが「これ欲しい」と言い出すではないか!― 断れなかったそうだ。

 当然、トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズも登場する。トムさんとマイクが、ハリスの顧客であったことは有名だ。さらに、ロン・ブレアは、ハリスとバンド・メイトだったことすらある。謝辞にもTP&HBの名前が挙がっている。
 トムさんの話で面白かったのは、リッケンバッカーの12弦 ― しかも、リヴァプールのビートルズゆかりの店から、60年代に出たというのだから、ビートルズ・ファンなら欲しいに違いないという、とびきりの代物だった。トムさんは「垂涎状態」― さんざんハリスにいたぶられつつ、様々な条件をのんで、このリッケンバッカーはトムさんの物になった。
 ハリスによると、トムさんはこの楽器を、スーパーボウルの時に弾いていたそうだ。
 ハリス曰く「スーパースター所縁のギターでも、弾いてもらえる機会があるなら素晴らしい…彼のように威厳のあるアーチストが再び命を吹き込んでくれるのなら、なおさらのことだ。」